こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューをお送りいたします!!
日本には開業準備中も含めて、ウイスキーの蒸溜所が110カ所以上も存在しています。その中でも、地元の材料にこだわり、歴史的な蒸溜所からポットスチルを受け継ぐなど、国内外から注目を集めているクラフト蒸溜所が「静岡蒸溜所」です。
今回は、静岡蒸溜所が手掛けるブレンデッドウイスキー「ガイアフローブレンデッドM」をご紹介いたします。
ブレンデッドMについて興味のある方はこのような疑問をお持ちではないでしょうか?
この記事では、ウイスキー愛好家としての20年以上の経験やバーテンダーとの意見交換を踏まえ、「ガイアフローブレンデッドM」について詳しく解説します。さらに、ストレート、ロック、ハイボールという3つの異なる飲み方での味わいと香りについて、実際に飲んでレビューを行っていきます。
- ガイアフロー静岡蒸溜所について
- 静岡蒸溜所ならではの製造方法
- ブレンデッドMの製法や特徴
- まとめ
購入を検討しているけど”失敗したくない”という方は是非、最後までご覧ください!!
ガイアフロー ブレンデッドMの特徴を簡単にまとめると
ウイスキー属性 | ブレンデッド |
産地(メーカー) | 日本(ガイアフロー) |
原料 | モルト・グレーン |
味わい | エステリーでクリーミー |
飲みやすさ | ★★★★☆☆ |
おすすめの飲み方 | ハイボール |
個人的感想 | とても美味しいが割高感は否めない |
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機能美を追求したガイアフロー静岡蒸溜所
静岡蒸溜所は、日本の美と西洋文化の融合をテーマにデザインされ、静岡在住のアメリカ人建築家デレック・バストン氏とのコラボレーションにより、内外装に静岡の木材を多用した唯一無二のウイスキー蒸溜所が建設されました。この造りは、軽井沢ウイスキー蒸留所をはじめ、国内外の数多くのウイスキー蒸留所を参考にしています。
建物内では自然な空気の流れが起こり、二酸化炭素や熱気が常に外へ排出されており、見学ツアーの開催を前提として、見学客の視線や動線を設計。見た目の美しさだけでなく、機能的なデザインを兼ね備えています。
また、静岡蒸溜所は地元静岡の素材にこだわり、伝統と革新を融合させたウイスキー造りを行っており、旧軽井沢蒸溜所から受け継いだ伝説の蒸留器”K”を用い、静岡産の原材料のみで造られるウイスキーは、地域の特色を活かした独自の風味を持っています。
次に、静岡蒸溜所がどのようにしてこの伝説の蒸留機Kを活用し、新たなウイスキーの世界を創造しているのかを探ります。
世界を驚かせた静岡蒸溜所のクラフトウイスキー革命
静岡蒸溜所は、2016年に静岡県の奥座敷、中河内川のほとりに、洋酒インポーターであったガイアフロー社によって創業されました。この蒸溜所は、旧軽井沢蒸溜所の設備一式を市の競争入札で落札し、可能な限り活用する計画を発表し、ウイスキー業界の話題となりました。
しかし、設備は老朽化しており、ほとんどが新蒸溜所での運用に耐える品質を保持していなかったといいます。ただ、モルトミルとポットスチル1機は活用可能であり、静岡蒸溜所に移設されて再び原酒を生み出し始めました。この”伝説の蒸留機 K”は、オフィシャルリリースボトル「プロローグK」のルーツとなっています。
創業者の中村大航氏は、20代の頃から趣味としてウイスキーを好んでおり、2012年にスコッチ・ウイスキーの一大産地として知られるアイラ島とジュラ島への旅行に行きました。
その際、当時アイラ島で最も新しい蒸溜所であったキルホーマン蒸溜所を見学し、キルホーマンが非常に小規模な蒸留所であることを知りました。このような小規模蒸留所でも世界的に高い評価を得られる酒造りができることに驚いた中村氏は、同じようなクラフト蒸溜所を設立してウイスキーを造りたいと考えるようになりました。
静岡蒸溜所は、スコッチウイスキーの製法を細かに研究し、「スコッチに勝るとも劣らない日本ウイスキー」を造るためのノウハウを日々積み上げています。原材料から設備の素材、そして蒸留方法まで「静岡らしさ」を追求し、他の蒸溜所とは違う、唯一無二のウイスキー造りを目指しています。
静岡蒸溜所のコア:唯一無二の蒸留スタイル
静岡蒸溜所は地元静岡産の素材にこだわり、世界で唯一の薪を使った直火加熱式の単式蒸留器を使用しています。特筆すべき個性を持つ2つの初留用ポットスチル、”K”と”W”を使用しています。
“K”はかつて日本にあった軽井沢蒸留所で使用されていたポットスチルであり、そのボトルは数百万円単位の高値で取引されていることから、話題となっています。
一方で、“W”は創業時にオーダーメイドで作られたスコットランドのフォーサイス製のポットスチルです。このW最大の特徴は薪直火式で加熱し、約800℃(通常の蒸気式で150℃程度)にも上る高温で蒸留を行う世界でも類を見ない作りとなっています。蒸溜器の下にある大きな釜の中でたくさんの薪を焚き、炎で釜を加熱することで、ウォッシュを焦がし、原酒の味わいをまろやかで力強いものにし、長い余韻とトースト香を与えています。
また、原材料をすべて地元・静岡産にすることを目指し、地元での大麦栽培や酵母の開発を行うなど、努力を重ね”唯一無二のウイスキー”を生産しています。
静岡のミカン色が彩る、新感覚ウイスキー「ブレンデッドM」の魅力
静岡県産のモルトウイスキーを主体に、英国産モルトとグレーン原酒を絶妙にブレンドした「ガイアフローブレンデッドM」は、3年以上の熟成を経て、静岡の自然が育む繊細なモルトと、英国産モルトの力強さ、グレーンのまろやかさが融合し、新たな味わいを生み出しています。
静岡の天然水でアルコール度数を48%に調整後、静岡蒸溜所でボトリングされるこのウイスキーは、飲み方を選ばない柔軟性と、地域の特色を反映した味わいが特徴です。パッケージには、静岡を象徴する明るいミカン色のオレンジを用い、カジュアルかつスポーティーな印象を与えています。
商品名「M」は、「MEET」の頭文字から取られ、静岡蒸溜所で生まれたモルトウイスキーが外国産ウイスキーと出会う瞬間を表しています。ブレンデッドMには、気軽に楽しめる一方で、人々の出会いと交流を促す願いが込められています。
では、実際にブレンデッドMブレンデッドをストレート、ロック、ハイボールの3種類で味と香りをみていきましょう!
ブレンデッドMをテイスティング(実際に飲んでみた)
ブレンデッドMのフレーバー
ブレンデッドMの味わい
ストレートでブレンデッドMを飲んでみる
香り
- バナナ、キャラメル、バニラ、ナッツ、レモン、花、樽香、薪、アルコールの甘み
味わい
- 良質なグレーンの甘み、モルトの香ばしさ
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、バナナや南国フルーツのポテっとしたフルーティーな香りが広がり、クリーミーな印象があります。キャラメルやバニラの香りと香ばしいナッツ感も感じられます。これらの香りが混じり合い、フロランタンやフィナンシェのように感じてくるところがとても楽しいです。
その他には、レモンの僅かなシトラス感やフローラルな花っぽさ、そしてウッディな樽香や薪の香りに僅かですがアルコールの甘さみたいなものが感じられます。
口に含むと、48°と高いアルコール度数にもかかわらず、クリーミーで滑らかな舌触りが特徴的です。バナナやバニラのクリーミーでエステリーな香りが口の中に広がり、追いかけるようにスパイシーさが顔を出します。そして、ビターチョコを思わせるほろ苦さを感じると、エステリーさを保ったまま樽のウッディな余韻が続きます。
良質なグレーンの味わいに香味高いモルトのエステリーさが加わり、シングルモルトを飲んでいるような贅沢な味わいが楽しめます。このブレンデッドMは、少々割高な印象がありましたが、実際に飲んでみると、納得してしまうから不思議です。
驚くほどにエステリーで、芳しい香りにびっくりしました!グレーンの飲みやすさと良質なモルトのフレーバーが見事に調和しています!!
ロックでブレンデッドMを飲んでみる
香り
- バナナ、オレンジ(シトラス)、樽、キャラメル、バニラ、ナッツ、石鹸、花
味わい
- エステリーな香りとほろ苦さ
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、バナナにシトラスの爽やかさが加わり、樽香にキャラメルやバニラの甘さ、そしてナッツの香ばしさがあります。また、少し時間を置くことで加水が進み、石鹸のようなフレーバーや花を思わせるフローラルな香りも徐々に増していきます。
口に含むと、エステリーな香りと共に樽のウッディさが口の中に広がり、ナッツの香ばしさが追いかけてきます。そして、シトラスの爽やかなビターが膨らんでくると、クリーミーなニュアンスに変わり、石鹸を思わせる香りと共に、フローラルな印象が余韻にかけて続きます。
「水で花ひらく」とも言えるエステリーでフローラルな香りは、氷が溶けて加水によって生まれ、キリッと冷えたウイスキーの味わいとややビターな味わいが非常にマッチしています。味の変化をゆっくりと楽しむながら時間を過ごすのにピッタリですね
フローラルなフレーバーがとても心地よく、カンパリによく似たビターさがあります。フルーティーでスッキリと飲みやすく、エステリーな香りが非常に心地よい印象でした!!
ハイボールでブレンデッドM飲んでみる
香り
- 樽香、バナナ、ピーナッツバター、バニラ、キャラメル、カフェオレ
味わい
- エステリーで香ばしくクリーミーナ味わい
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、ウッディな樽香にナッツの香ばしい香りとバナナやバニラのクリーミーさが重なり、ピーナッツバターにも思える滑らかなニュアンスが漂っています。また、微かにですが石鹸のようなパフュームな感じも奥まって感じられます。
口に含むと、バナナを主体としたエステリーさが口の中に広がり、ナッツの香ばしさが膨らみます。そして、シトラスの爽やかなビター感が膨らんでくると、カフェオレにも感じられるクリーミーでほろ苦い味わいに変わり、余韻ではナッツの香ばしさがゆっくりと消えていきます。
香ばしくライトなグレーンと、エステリーな香りのモルトの組み合わせはハイボールでも崩れることなく、クリーミーで味わい深いテイストを楽しめます。割高なイメージがあった「ブレンデッドM」ですが、この味わいなら納得です。
良い意味で期待を大きく裏切ってくれました!!クリーミーな口当たりとエステリーなフレーバーがとても魅力的な味わいですべてのウイスキーファンにオススメです!!
まとめ
静岡蒸溜所初のブレンデッドウイスキー「ガイアフローブレンデッドM」は、香りと味わいの個性的な木のニュアンスが際立つウイスキーでした。
バナナのフルーティーな香りが広がり、キャラメルやバニラ、ナッツの香ばしさがとても調和しています。48°と高めアルコール度数にもかかわらず、クリーミーで滑らかな舌触り、エステリーな香りと樽のウッディさが口の中に広がる飲みごたえのある素晴らしいブレンデッドウイスキーです。
価格は約4,000円代と決して安くはありませんが、静岡蒸留所のウイスキーが非常に入手困難であることを考えれば、このボトルを試しても損はありません。気になる方は是非、チェックしてみて下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
その他のラインナップ
静岡蒸溜所は、その卓越した職人技と革新的な製法で広く注目を集めています。ここでは、伝統的な技術と最新の技術が融合し、独自の素晴らしいウイスキーが生み出されています。
特に、「ポットスティルK」、「ポットスティルW」、そして「ユナイテッドS」という静岡蒸溜所のラインナップは際立っています。これらのウイスキーは、それぞれ異なる製法を用いることで、独特の風味と個性を持つウイスキーとして仕上がっています。
ガイアフローポットスティル「K」
静岡蒸溜所の「Kシリーズ」は、かつて軽井沢蒸留所で使用され、現在は稼働を停止した蒸留器「K」によって造られるウイスキーです。
この蒸留器は、1950年代に日本で製造され、スチームによる間接加熱方式と、長く細いラインアームを特徴としています。
これらの特徴によって、蒸留器「K」は初留の段階でフルーティーで軽快な香りを持つ原酒を生み出し、その独特の個性が「ポットスティルK」のボトルに反映されています。
ガイアフローポットスティル「W」
「Wシリーズ」は、薪直火加熱法を用いる革新的な蒸留方法に焦点を当てています。この蒸留器は「W」と呼ばれ、薪を燃やしてウイスキーを蒸留することが特徴です。
使用される薪は、静岡県の豊かな森林から選ばれた針葉樹の間伐材で、地元の木こりが手間をかけて準備したものです。この伝統的な製法により、ウイスキーはその独特の風味を獲得します。
ガイアフロー社は、再生可能エネルギーの技術を活用して、この200年前の製法を現代に蘇らせました。通常のスチーム加熱法が摂氏150℃までの加熱に対し、薪直火法では摂氏800℃に達することが可能です。この高温がウイスキーに深い味わいと力強さ、そして心地よい香ばしい風味をもたらします。
この「W」蒸留器で造られたユニークな原酒をボトリングしたものが、「ポットスティルW」です。
ガイアフローユナイテッド「S」
静岡蒸溜所のシグネチャーシリーズである「ユナイテッドS」は、独自の「K」と「W」の蒸留器で作られた原酒をブレンドしています。
これらの蒸留器は、それぞれ独特の製法でウイスキーを生産し、静岡蒸溜所のウイスキーに個性を与えています。最終的に、これらの原酒は再留器「S」で再び蒸留され、混ぜ合わせることなく樽で熟成されます。このプロセスを経て、「ユナイテッドS」はその独特の風味を完成させます。
このウイスキーは、リリース年と季節を示すエディション名で識別され、静岡蒸溜所のスタンダードアイテムとして位置づけられています。
テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!
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