このウイスキーについて簡単に説明
グレンモーレンジィ蒸留所について
ハイランド地方にあるグレンモーレンジィ蒸留所は『樽のパイオニア』とも呼ばれていて、熟成に使われる樽は2回以上は使わない、原料に使うアメリカンオーク材を原木から買い付けるなど樽においてのこだわりが非常に強い蒸留所です。また、仕込み水に関しても普通は軟水を使用するのに対して硬度(190)の硬水を使用しており、仕込みに関しての常識を覆した事でも有名です。
他にも非常に背の高いポットスチルを使用しているのも有名で、その高さはなんと5.14メートル。この高さは大人のキリンに相当する高さです。
背の高いポットスチルによって純度の高い蒸気が集められエレガントな仕上がりとなります。
非常に特徴的なポットスチルですが、実はこれは偶然の賜物で、当時バルブレア蒸溜所の共同経営者ウィリアム・マセソンが1738年に建てられた古いビール工場を改修しグレンモーレンジィ蒸留所が創設されました。蒸留所としては1849年から稼働しますが、ウイスキー造りを続ける中、1887年に資金的に余裕も無く、ジンの蒸留に使われるポットスチルを中古で導入したことがきっかけだったのです。
純度の高いアルコールを取り出す為に工夫のされた長い首の蒸留器を必要とするジン用の蒸留器を使って生まれたニューメイクは他に類を見ない華やかな香味をまとった原酒だったのです。
その原酒をこだわりの樽で熟成、またはフィニッシュする事でクリーミーでスイートな原酒を生み出しているんですね。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- バニラ、ハチミツ、レモン、オレンジ、熟した柑橘、紅茶、柔らかな樽香
味わい
- クリーミーな甘さ、柑橘の瑞々しさ、上品な舌触り、(加水によって微かなスパイス)
感想
レモンゴールドの色味とクリーミーで滑らかな舌触り。樽由来のアロマがグラスの中いっぱいに広がります。開栓したてではありますが、どこにもトゲがなく、ひたすら優しく上品なモルトです。最低熟成10年である事を忘れてしまう程、トロっとした味わいで『美味しい飲み物』を頂いている感が最後まで続きました。初心者の方には絶対お勧めできる銘柄です。
ハイボールで飲んでみる(初心者におすすめ)
香り
- オレンジピール、イチジク、レモン、紅茶
味わい
- クリーミー、柑橘の瑞々しさ、マーマレード
感想
これはまさに『クリーミーハイボール』と呼べるかもしれません。カドが見当たらなく、どこまでもスムーズです。柔らかな樽香と柑橘の瑞々しさが透き通る様に流れ、ビターなアクセントが心地良いです。それらが重なり合って、アフターはオレンジピールとなってスッと消えます。時間の経過と共に、薄まっても柑橘感が残るので非常に爽やかです。物足りなさを感じたら、ウイスキーをフロートさせればクリーミーなハイボールを再び楽しめます。何かに合わせるというよりはデザートでゆっくりと頂く方が良いかもしれません。
・濃いめでクリーミーハイボール
・薄めでフルーティーハイボール
グレンモーレンジィを上にそっと浮かせれば、フロートスタイルでクリーミーな味わいからフルーティーなハイボールへと味わいの変化が楽しめます。
まとめ
さすがは本場スコットランドで一番飲まれているシングルモルトです。どこまでもスムーズでエレガント。どのような飲み方をしても壊れないテクスチャー。10年熟成でこのような味わいを低価格でリリースできるのは流石としか言いようがありません。ウイスキーに馴染みのない人のスコッチの印象は『クセがあって飲みにくい』といったイメージが一般的ですが、それはグレンモーレンジィを飲んだことが無い人が言う表現であって、この銘柄は違います(笑)『ウイスキー!?』と、思えるくらい柔らかくて優しい味わいなのです。
ウイスキーが苦手な方や、初心者の方は『騙されたと思って』是非、一度お試し頂きたい銘柄です。
最後までお読み頂き有難うございました。
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