

こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!
今回は、「カーデュ12年」の解説&レビューを行っていきます!!
ジョニーウォーカーのキーモルトとして世界的に評価されながらも、シングルモルトとしての魅力も兼ね備えたウイスキーをご存知ですか?スコットランドのスペイサイド地方に位置するカーデュ蒸溜所で造られる「カーデュ12年」は、フルーティーな香りと蜂蜜のような甘い味わいが特徴の逸品です。
200年以上の歴史を誇るこの蒸溜所が生み出すウイスキーには、スコットランドの伝統と革新が詰まっています。今回は、ウイスキー通も唸るカーデュ12年の魅力を余すところなくご紹介します。
カーデュ12年:基本情報と特徴
カテゴリー | シングルモルトスコッチウイスキー |
産地 | スコットランド・スペイサイド |
蒸留所 | カーデュ蒸留所 |
アルコール分 | 40% |
内容量 | 700ml |
価格帯 | 5,000円〜7,000円 |
飲みやすさ | ★★★★★★☆ |
味わいの特徴 | 蜂蜜や洋梨のようなフルーティーさと、モルトの甘み。軽やかでスムースな味わい。 |
おすすめの飲み方 | ストレート、ロック、ハイボール |
カーデュ12年とは?スペイサイドが生んだ名酒の基本情報

カーデュ12年は、スコットランドのスペイサイド地方にあるカーデュ蒸溜所で製造されるシングルモルトウイスキーです。1824年に正式な免許を取得したこの歴史ある蒸溜所では、伝統的な製法を守りながら高品質なウイスキー造りを続けています。
スペイサイド地方は、フルーティーで華やかな香りのウイスキーの産地として世界的に有名です。カーデュ12年もその特徴を継承し、リンゴや洋ナシを思わせるフルーティーな香りと、バニラや蜂蜜のような甘い味わいが特徴となっています。
特筆すべきは、カーデュが世界的に有名なブレンデッドウイスキー「ジョニーウォーカー」の原酒としても重要な役割を果たしていることです。ジョニーウォーカーのキーモルトとして使用され、その華やかな香りとバランスの取れた味わいは、ブレンド全体の品質を左右する重要な要素となっています。
時代を超えて愛される:カーデュ蒸溜所の知られざる歴

密造時代から始まった物語
カーデュ蒸溜所の歴史は1811年、スコットランドのスペイサイド地方マノックヒルにおいて、ジョン・カミングとその妻ヘレンによって始まりました。蒸溜所名の「カーデュ(Cardhu)」はゲール語で「黒い岩」を意味し、その地形に由来しています。
創業当初、カーデュは多くのスコットランドの蒸溜所と同様に密造酒を生産していました。特に興味深いのは、ヘレン・カミングの機知に富んだ経営手腕です。彼女は税務官が近づくと赤い旗を掲げ、近隣の密造業者に警告を発していたという逸話が残っています。この「赤い旗」の物語は、後のカーデュのブランドアイデンティティにも反映されることになります。
1824年、カーデュは正式な蒸溜免許を取得し、合法的なウイスキー生産へと移行しました。この時期から、カーデュのウイスキーは滑らかでフルーティーな味わいを持つと記録されており、現在のスタイルの礎が築かれたと言えるでしょう。
女性経営者が支えた発展の時代
カーデュ蒸溜所の発展に大きく貢献したのが、ジョン・カミングの息子の妻であるエリザベス・カミングです。彼女はウイスキーの品質向上に熱心に取り組み、1885年には大規模な設備拡張を実施しました。最新の蒸溜機を導入することで、生産能力を約3倍に増強し、カーデュのウイスキーの安定供給を可能にしました。
エリザベスの先見性と経営手腕は高く評価され、カーデュはスペイサイドを代表する蒸溜所としての地位を確立していきました。創業期からの女性経営者の活躍は、当時としては珍しく、カーデュの独自性を象徴する要素となっています。
ジョニーウォーカーとの運命的な出会い

1893年、カーデュ蒸溜所はジョン・ウォーカー&サンズ社(現在のディアジオ社)に売却されました。この買収により、カーデュはジョニーウォーカーの主要な原酒となり、世界的なブランドの一部として成長していくことになります。
1930年には、ジョン・ウォーカー&サンズ社がディスティラーズ・カンパニー・リミテッド(DCL、現在のディアジオ)に買収され、さらに1965年には「Cardhu」の名称が正式な商標となりました。1981年には蒸溜所名も「Cardow」から「Cardhu」へと変更され、現在の名称が確立しました。
カーデュはジョニーウォーカーに欠かせないキーモルトとして、そのバランスの取れた甘さとフルーティーな風味で重要な役割を果たす一方、シングルモルトとしても高い評価を得ています。そのシルキーな口当たりと華やかな香りは、スペイサイドモルトの代表的な特徴として、多くのウイスキー愛好家に親しまれています。

カーデュがなくてはジョニーウォーカーを製造することができないくらい重要な蒸留所の1つとなっています。
ブランドアイデンティティの象徴

カーデュ蒸溜所のロゴには、旗を掲げる女性の姿が描かれています。これは創業者の妻ヘレン・カミングが密造時代に役人の接近を知らせるために赤い旗を掲げていた逸話に由来しています。この勇敢さと機転を象徴するロゴは、カーデュの歴史と伝統を表現するデザインとなっています。
また、「黒い岩」を意味するカーデュの名称も、ロゴデザインに反映されており、独自の地理的背景と長い歴史を強調しています。
スペイサイドモルトの真髄:カーデュ12年の製造工程

こだわりの水源がもたらす品質
カーデュ蒸溜所では、ウイスキーの品質を決定づける重要な要素として、仕込み水に特別なこだわりを持っています。使用されるのは、スペイ川上流のマノックヒルにある井戸水と、地元のレイ・バーンの水の組み合わせです。
これらの水源は、ミネラルバランスに優れた柔らかい水質を持ち、ウイスキーに独特のピュアな風味と軽やかさをもたらします。スコットランドの豊かな自然に育まれた水が、カーデュのウイスキーの基盤を支えているのです。
長時間発酵がもたらす豊かな香り

発酵プロセスもカーデュの風味に大きな影響を与えています。カーデュ蒸溜所では、発酵時間を75時間と長めに設定することで、酵母がじっくりと糖をアルコールに変換し、フルーティーで甘みのあるアロマを生成します。
この工程が、カーデュ12年の特徴である豊かな果実の香りと柔らかな口当たりを生み出す秘訣となっています。さらに、発酵槽(ウォッシュバック)には、スコットランド産のヒバリ材、オレゴンパイン材、そしてステンレス製の3種類が使用されており、これらの多様な素材の組み合わせが、ウイスキーの風味に微妙なニュアンスを加えています。
独特の蒸溜器が生み出す優美な味わい

カーデュ蒸溜所では、特徴的な形状の銅製ポットスチル(蒸溜器)を使用しています。このスチルは上部が細くなった形状をしており、蒸気の再凝縮を促すことで、軽やかで繊細なスピリッツを生み出すことができます。
この独特な蒸溜プロセスによって、ウイスキーのスムーズな飲み心地と芳醇なアロマが際立つ仕上がりになります。女性的な柔らかな味わいの要素が、この蒸留器の形状によるもので、カーデュの印象を決定づける重要な要素となっています。

女性的な柔らかな味わいの要素が、この蒸留器の形状によるもので、カーデュの印象を決定づける重要なファクターとなっています。
丁寧な熟成が育む深みのある風味

カーデュ12年の熟成には、主にアメリカンオークのバーボン樽が使用されます。これにより、バニラやキャラメルのような甘い風味が加わり、シルキーな口当たりが強調されます。
熟成の過程では穏やかなスモーキーさも加わり、ウイスキーに奥行きを与えています。カーデュ12年の熟成は、ディアジオ社の中央倉庫で行われ、厳格な品質管理のもとで12年間という時間をかけて、複雑で調和のとれた風味が育まれていきます。
カーデュ12年:構成とスペックを徹底解析

原酒と熟成樽の秘密
カーデュ12年は、100%カーデュ蒸溜所で製造されたモルトウイスキーのみを使用した純粋なシングルモルトです。ブレンドウイスキーとは異なり、単一の蒸溜所の個性を純粋に表現しています。
熟成には、アメリカンオークのバーボン樽とヨーロピアンオークのシェリー樽の両方が使用されています。この組み合わせにより、バーボン樽からのバニラやキャラメルの甘さと、シェリー樽からの豊かなフルーティーさが調和し、複雑で奥行きのある風味が生まれます。
アルコール度数とボトリング方法
カーデュ12年のアルコール度数は40%と比較的穏やかで、ウイスキー初心者でも飲みやすい強さに設定されています。また、冷却濾過を施しているため、クリアで透明感のある美しい琥珀色の液体に仕上がっています。
カーデュ12年は、スペイサイドモルトの代表格として、またジョニーウォーカーを語る上で欠かせないスタンダードボトルとして、世界中のウイスキーファンに親しまれています。

カーデュを語るうえでは外せないスタンダードボトル「カーデュ12年」

それでは、カーデュ12年をストレート、ロック、ハイボールで味をみていきましょう!
テイスティングレビュー:カーデュ12年の魅力を探る

カーデュ12年のフレーバー
カーデュ12年の味わい
ストレートで楽しむ深い個性

香り
- アプリコット、クランベリー、洋梨、ハチミツ、ナッツ、スパイス
味わい
- 香ばしくスパイシー
感想
まずはストレートで味わってみましょう。グラスに注ぐと、アプリコットやクランベリーのフルーティーな香りに、ハチミツの甘さ、ナッツやスパイスの香ばしさが重なり、複雑で華やかな印象を受けます。洋梨のような爽やかさも感じられ、スペイサイドモルトの特徴が顕著に表れています。
口に含むと、滑らかな舌触りで軽やかな口当たりが特徴的です。ハチミツの甘さとシナモンのようなスパイシーさが広がり、余韻にはビターなニュアンスと草のような香りが残ります。
開栓したてはフルーティーさが際立ち、時間の経過とともにナッツやスパイスの香ばしさが顔を出すなど、変化を楽しめる奥深い味わいが魅力です。

カーデュ12年の複雑な香りと味わいをダイレクトに楽しめる飲み方で、ジョニーウォーカーのブレンドにも通じる特徴を感じ取ることができます。
ロックで引き立つ甘さと爽やかさ

香り
- アプリコット、ドライフルーツ、ハチミツ、シュガー、草
味わい
- 華やかで香ばしくビターな余韻
感想
次は氷を入れてオン・ザ・ロックで楽しんでみましょう。氷を加えることで、ドライフルーツやアプリコットの凝縮感のある甘さに、ハチミツやシュガーの甘さが加わり、より華やかな香りが立ち上がります。ユーカリやハーブのような爽やかさも感じられるようになります。
口に含むと、華やかな香りが口いっぱいに広がり、ドライフルーツやアプリコットの甘さとハーバルなニュアンス、ビターさがバランス良く調和しています。余韻には心地よいナッツの香ばしさが残ります。

加水によって、よりフルーティーで華やかな香りと、ビターで香ばしい余韻のバランスが絶妙になります。時間の経過とともに変化する味わいをじっくりと楽しめる飲み方です。
ハイボールで広がる爽快感

香り
- アプリコット、ハチミツ、ジンジャー、シュガー、スライスナッツ
味わい
- 華やかで甘く、緑を思わせるビター感
感想
最後にハイボールスタイルで楽しんでみましょう。炭酸水で割ることで、アプリコットなどのフルーティーさが際立ち、ハチミツやシュガーの甘さ、ジンジャーのスパイシーさ、スライスナッツの香ばしさが心地よく調和します。
口に含むと、華やかで甘い風味に、草のような爽やかなビターさが感じられ、複雑な味わいが広がります。余韻にはビターさが残りますが、甘さと華やかさが交互に現れ、心地よく消えていきます。
カーデュ12年の持つフルーティーさや甘さ、ビターさがバランス良く調和した爽快感のあるハイボールは、食事との相性も抜群です。

特に暑い季節には、カーデュ12年の爽やかでフルーティーな味わいを軽やかに楽しめる最適な飲み方といえるでしょう。
カーデュ12年:総合評価とおすすめポイント
カーデュ12年は、スペイサイド地方を代表するフルーティーで飲みやすいシングルモルトウイスキーです。1824年から続く伝統と、女性経営者が育んできた独自の味わいが、200年以上の時を経て現代に受け継がれています。
その最大の魅力は、スペイサイドモルト特有の華やかな香りと、滑らかでバランスのとれた味わいにあります。ストレート、ロック、ハイボールと、どんな飲み方でもその個性を失わず、時間とともに変化する複雑な風味を堪能できる懐の深さも特筆すべき点です。
ウイスキー初心者にとっては親しみやすい入門酒として、上級者には奥深い味わいを楽しめる一本として、どんなシーンでも活躍する万能なウイスキーといえるでしょう。
ぜひカーデュ12年を手に取り、ジョニーウォーカーと飲み比べながら、スコットランド・スペイサイドの豊かな自然と長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございました。
カーデュのラインナップ
カーデュ蒸溜所では、12年もの以外にもさまざまなウイスキーをリリースしています。ここでは、カーデュの代表的なラインナップを紹介します。
カーデュ ゴールドリザーブ
カーデュ ゴールドリザーブは、厳選されたバーボン樽で熟成された特別なリリースです。12年ものよりもさらにリッチで芳醇な味わいが特徴で、バニラやキャラメルの甘さが前面に出た、滑らかな口当たりが魅力です。
少量の水を加えることで、より豊かなフルーティーな香りが広がり、カーデュの持つポテンシャルを存分に感じることができます。年齢表記のないノンエイジステートメントながら、高い完成度を誇る一本です。
カーデュ スペシャルリリース
ディアジオが展開する限定シリーズ「スペシャルリリース」の一環として、カーデュも不定期に特別限定ボトルをリリースしています。これらの限定品は、通常のラインナップとは異なる熟成方法や樽の影響を生かした、より個性的なフレーバープロファイルを持っています。
限定数のリリースとなるため、コレクターズアイテムとしての価値も高く、カーデュの新たな一面を発見できる貴重なボトルとなっています。熱心なウイスキーファンなら、一度は試してみたい逸品です。
カーデュ200周年ボトル

カーデュ蒸留所200周年を記念してリリースされた限定ボトルです!詳しくレビューをしましたので是非、合わせてご覧ください!

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!
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