このウイスキーの特徴を簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回は、リニューアルされたばかりのニッカウヰスキーが販売する「ブラックニッカ リッチブレンド」のレビューです。記事後半には「旧ボトル」との比較も記載してます。
「ブラックニッカ リッチブレンド」は連続テレビ小説『マッサン』が放送される1年前の2013年に発売されました。ニッカウヰスキーの看板商品である『ブラックニッカ』の派生ボトルで華やかさをフューチャーしたウイスキーになります。
使われる原酒は5年以上熟成されたシェリー樽原酒をキーモルトに使用し、レギュラー品よりもリッチで芳醇な香りが特徴です。もちろん、家呑みの定番品である『ブラックニッカ』である以上価格も1,000円台前半に抑えられており、低価格ながらスペイサイドを思わせる華やかなウイスキーに仕上げられていて、飲みやすくコストパフォーマンスに優れているという評価が多く見られます。
そんな「ブラックニッカ リッチブレンド」は、リリース後初めてリニューアルされました。「ラベルデザインの変更のみで、ブレンドは変わっていない」というアナウンスがされていますが、味わいに本当に変化はないのか!?新旧の比較も交えてテイスティングしてみたいと思います。
どちらも未開栓のボトルで開けたてを同時にテイスティング。劣化や経年変化の要因を限りなく少なくして公平に比較しました。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ハチミツ、紅茶、リンゴ、ゴム、ハーヴ
味わい
- 華やかでフルーティー、アルコールの刺激、ビターな余韻
感想
最初はストレートから飲んでみます。第一印象は開けたてというのもあるかもしれませんが、アルコールの刺激が思ったより強く、鼻にピリピリとした感触がありましたが少し待ってから再び嗅ぐと・・、ハチミツの甘い香りと、紅茶っぽいやや渋みのある甘い香りがして、リンゴの甘酸っぱさへと続きます。リンゴを感じるところはニッカならではですね!!また、シェリー原酒が使われている証!?として、ゴムっぽい独特の香りや、ハーブの様な薬草感も若干感じられレギュラーのブラックニッカとは違う華やかさがあります。
口に含むと、まずは果実感のある華やかさが口に広がりますが、すぐにアルコールのピリッとした刺激と渋みのあるビターが膨らんで、そのまま余韻まで続いていきます。リッチさよりもビター感の方が印象に残り、若さを感じる部分もありますが、華やかなモルト感にフィルターがかかっているようで、飲んだ感想としては薄っぺらい印象を持ちました。個人的にストレートでは厳しいかもしれません。(開けたてという事でカドが落ち着く数日後ならイケるかも・・・!?)
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、リンゴ、バニラ
味わい
- 甘酸っぱさとビター、軽やかでさっぱりとしている
感想
次は氷を入れてオン・ザ・ロックでいただきます。香りはストレートよりも甘さが前に出てきてハチミツやバニラのウッディな香りがします。少し控えめながらリンゴの甘酸っぱい香りがして、加水によってピリピリしたアルコール感は感じなくなりました。
口に含むとウッディなバニラ感を感じますが、すぐにリンゴの甘酸っぱい味わいに変化し、ビターが膨らんで苦味と柔らかな酸味のある余韻へと変化していきます。ロックで飲んでもやはりビターが目立ち、甘みや華やかな印象は薄く、コクもあまり感じません。メーカーとしてはロックで飲むことを推奨しているみたいですが、なんというか全体的に中途半端な印象が残りました。あっさり感があり飲みやすいといえば飲みやすいかも・・・。
ハイボールで飲んでみる
香り
- フレッシュなリンゴ、ハチミツ、バニラ
味わい
- 心地よい酸味と柔らかなビター
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りは爽やかなリンゴの香りがして、ほのかにバニラやハチミツを感じます。若干ですが香りの中に「リンゴの皮」の苦味みたいなビターアクセントも感じます。
口に含むと、爽やかな酸味がフワッと口の中に広がり心地よく感じられるビターが優しく香って後味がスッキリとしたハイボールです。ストレートやロックでは薄っぺらさを感じましたが、ハイボールにしてようやく着地した感があり、個人的には爽快感がウリのハイボールに適したブレンドでは?と思いました。
ストレートで飲み比べてみた(同時開栓)
フレーバーチャート
味わいチャート
感想
未開栓の旧ボトルがありましたので、開けたてのボトルで新旧の比較をしてみました。
率直な感想として、旧ボトルの方がウイスキーとして美味しいと思います。好みはあるかもしれませんが、開けたてでもアルコールの刺激がなく、余市モルトの様な焦げた感じの香ばしさと、チョコの様な甘さ、レーズンの熟した果実感などニッカとしての要素が多く感じられます。同じ価格で熟成感は圧倒的に旧ボトルの方があり、飲み比べると「新ボトル」は薄く、軽い印象です。
ただ、ストレートでの飲み比べなのでハイボールなどにした場合はライトでスムースな印象の「新ボトル」の方がスッキリと飲みやすいかもしれませんし、一概にはどっちが良いとは言えませんが、「ブレンドを変えていない」というのメーカーのアナウンスの意味は、「使われる原酒の種類」なのか「原酒のブレンド比率」なのかはわかりません。しかし味わいが違う以上、「ブレンドが同じ」とは到底思えない結果となりました(笑)
※飲み比べをする場合、飲む順番によっても印象は大きく変わってしまいます。どっしりとしたシングルモルトの後に今回のリッチブレンド「旧ボトル」を飲めば薄っぺらく感じてしまうでしょうし、グレーンウイスキーやアイラモルトの後に「新ボトル」を飲めば華やかでフルーティーに感じられると思います。
今回はあくまで同じブランドの新旧比較です。(比較の際は「旧ボトル」から先に飲みました。)
まとめ
リニューアルしたばかりの「ブラックニッカ リッチブレンド」のレビューでした。メーカーの推奨する「ロックでリッチ」というキャッチコピーがありますが、全体的にビター感が強くてキリッとしたドライな印象が残りました。「まろやか・リッチ」といったイメージの「リッチブレンド」ですが華やかさを推すほどのリッチさは感じられませんでした。しかしハイボールでの爽やかな味わいはとても好印象で、ビター感が心地よくフルーティーな香りを心地よく堪能できるので、しばらくはハイボール要員として楽しみたいと思います。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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