このウイスキーの特徴
このウイスキーについて
「ザ・ニッカ テーラード」は、ニッカウヰスキーが販売するブレンデッドウイスキーで、同社のラインナップの中でも高級ラインの位置づけになります。
前身は2014年に発売された「ザ・ニッカ 12年」の後継ボトルで、昨今のウイスキーブームによって原酒が枯渇し、ラインナップ維持の為にノンエイジ仕様として2019年にデビューしました。
特徴的なボトルデザインは、重なり合う着物の衿もとをイメージし、モルトとグレーンが重なり合って誕生したブレンデッドウイスキーであることを表現していると言われています。
そしてボトル中央にある「ニッカエンブレム」は、二頭の狛犬が向かい合い、中央に兜があしらわれています。このデザインは、竹鶴政孝が自ら考案したものです。
大胆なカットデザインで、目を引くボトルは前身の「ザ・ニッカ12年」の時に「2015年度グッドデザイン賞」を受賞しています。
そんな、全身全霊をかけてリリースされた「ザ・ニッカ」ですが、元々はサントリーの「響12年」の対抗馬としてリリースされました。その後、両者とも原酒不足によりノンエイジのラインナップに変更し、「響」というネームバリューの裏で少し影を潜めている印象があります。
しかし、「ザ・ニッカ テーラード」はニッカウヰスキーが持つ技術と経験がふんだんに盛り込まれたプレミアムブレンデッドウイスキーに違いありません。「テーラード」日本語の意味は「仕立てた」という意味です。つまり、ニッカが丹精込めて仕立て上げたウイスキーという事になります。使われている原酒は次のとおりです。
まさにニッカの集大成の様なブレンデッドウイスキー。ハイランドの力強さを表現した「余市モルト」、華やかで優しいローランドの様な「宮城峡モルト」、世界でも稀で良質なグレーンを生む「カフェ式連続蒸留機」で作られる「カフェグレーン」。
これら3つの要素を持つ原酒達が、ブレンダーの技によって巧みにブレンディングされ至高のブレンデッドウイスキーが誕生します。それが、「ザ・ニッカ テイラード」です。
サントリー御三家「山崎、白州、響」の影に隠れて、少し目立たない印象がある「ザ・ニッカ」ですが、旧ラインナップの「ザ・ニッカ12年」の美味しさは格別でした。今回の「ザ・ニッカテイラード」は初めて飲むので、どの様な味わいなのかレビューが非常に楽しみです。それでは、行ってみよう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- モルティな香り、バニラ、キャラメル、全粒粉のクッキー、リンゴ、レーズン、カスタード、トースト、花、ダークチョコ
味わい
- 芳醇なモルト感、リンゴ酸味と甘味、焦がした感のある香味、ビター
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。香りは芳醇なモルト感がグラスの中いっぱいに漂っています。モルト感!?と聞いて、どんな香り?と思われる方は、これがそうです!!と、単純に答えられるほど、本当にモルトの香りが第一印象に来ます。続いて、砂糖菓子を思わせる甘い香りの中にバニラ、キャラメル、カスタードがいて、しばらくするとシリアル感があり香ばしい全粒粉のクッキーやトーストを思わせる香りが感じられました。少し控えめながら、宮城峡っぽいレーズンやリンゴ、フローラルな生花の様な香りも感じられます。
口に含むと、香りと同様にたっぷりのモルト感が口に広がり円熟といった言葉が似合う味わいがします。時折、リンゴの酸味が顔を出しながら甘味が広がり、ややスパイシーな感じが舌を刺激します。アフターにかけては、余市蒸留所の「石炭直火蒸留釜」を彷彿とさせる「焦げ感」が鼻と口の中を漂い、ややビターな余韻が続いて行きます。
ニッカが持つ個性と技術を1枚のアルバムにしたような贅沢な味わいがします。シングルモルトが持て囃されていますが、こんなにも複雑で、香味豊かに広がる様はブレンデッドウイスキーならではだと思います。もちろん、ブレンデッドだからこそ飲みやすくバランスも良く、飛び抜けた個性は控えめかもしれませんが、「ニッカって本当に、美味しいウイスキーを造っているんだなぁ~」と改めて思った素晴らしい味わいです。
旧製品のザ・ニッカ12年と比べて甘さが増している印象がありました。12年の方はもっとフローラル感が強かった印象ですが、このテーラードでも十二分に旨いウイスキーです。(12年とテーラードの飲み比べの記事予定あり)
ロックで飲んでみる
香り
- リンゴ、キャラメル、焦がした木片、ポン菓子、ゴム
味わい
- ビター感漂うスッキリな味わい、甘さと塩味が効いたモルト感
感想
続いて、氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りは、まず「これぞニッカ!!」と言いたくなるリンゴがふわっと香って、キャラメルの甘い濃縮した感じの香りが漂います。また、ストレートの時よりも少し湿気を帯びたような焦げ感があり、「木片を焦がした様な」と言った感じの香りを感じました。氷が少し溶けて加水が進むと、ポン菓子を思わせる砂糖と焦がした感のある香りに変わり、宮城峡モルトのシェリー樽でしょうか!?ゴムっぽい香りも感じ取れるようになりました。
口に含むと、軽やかでひっかかりの全くない口当たりで、ビターが少し強調されて味わいがします。モルトとグレーンがそれぞれ主張する甘さ、ちょっとの塩味を感じ、心地よいビターとシリアル感が漂います。味わい深くもグレーンの恩恵である軽やかな感じが飲み疲れさせないところが素晴らしいです。ただ、ビター感が人によってはちょっと敬遠するところになるかもしれません。加水によって表情が色々と変わるところも非常に面白いです。
ハイボールで飲んでみる
香り
- リンゴ、干しぶどう、ビスケット
味わい
- 丸く優しい舌触り
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りは、ふわっと香る優しいリンゴのフルーティな香りがして、レーズンと言うよりはちょっと控えめな「干しぶどう」の様な和を感じる熟した果実と、香ばしいビスケットやクッキーの様なシリアル感が漂います。
口に含むと、口の中はリンゴの酸味と甘さを感じてストレートの時と同様に「焦げ感」がある香ばしさを感じます。同時にビター感もありますがオンザロックの時ほどは強くなく、ふわっと引き締めてくれる程度のビターです。しばらくして、加水が進んでいくとハーブの様な香りも感じるようになり、複雑な香味成分を含んでいる事に改めて驚きます。ハーブ感を感じるのは、余市モルトのヨードな要素が顔を出したからかもしれません。ニッカの特徴を沢山感じることの出来る美味しいハイボールです。
まとめ
いかがでしたでしょうか!?ストレートからハイボールまで3種類の飲み方で飲んでみましたが、どの飲み方にも言えるのは、実にニッカらしい味わいがするということです。そして、加水等による変化によって顔を覗かせるブレンドされたウイスキー原酒達の個性を感じ取れることです。
前身の「ザ・ニッカ12年」が終売になり、新たなボトルとして今回の「テーラード」に変わった時は落胆しましたが、こうして飲んでみると「ノンエイジ」であっても十分すぎるくらい美味しいウイスキーであることに驚かされます。もちろん、年数表記のされたボトルであればそこに「安心感」みたいな感情があり、ノンエイジタイプに懸念を持ってしまう事もしばしばですが、「これからウイスキーを飲む」方にとっては、それが始まりであり全てなので、「年数表記でなくては駄目」といった固定概念は早々に捨て去ったほうが良いと思わされました。
ニッカの魅力がギュッと詰まったブレンデッドながら、挑戦的にも感じる「ザ・ニッカ テーラード」は最もニッカらしくないブレンデッドかもしれません(笑)定価販売で買えることに感謝しつつ、あんまり人気でないでね!?と、チョット思ってしまった自分がいます。機会がありましたら、是非、お試し下さい。
ザ・ニッカを持つ時に注意点があります!!
これは「ザ・ニッカ12年」の時からそうなんですが、大抵のウイスキーボトルはキャップ部分を持って持ち上げてもコルクが抜けて落ちることはありません。
しかし、「ザ・ニッカ」の特徴的な木製の大きなコルクキャップ。このキャップ部分だけを持ってボトルを持つと・・・、もれなく落下しますのでお気をつけください!
筆者は以前に、コタツの上で「ザ・ニッカ12年」を落として、中身をこぼれたことがあるので注意してください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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