アードベッグ 10年

このウイスキーの特徴

このウイスキーについて

今回は、奇跡的な復活劇から躍進し続けている蒸溜所「アードベッグ蒸溜所のスタンダードボトル「アードベッグ 10年」をご紹介します。

アードベッグ蒸溜所

出典:Whisky.com

では、まず初めに「アードベッグ蒸溜所」について簡単にご紹介致します。

アードベッグ蒸溜所はスコットランドの西側にある「アイラ島」の南側の海岸にあります。

アイラ島はスコッチウイスキーの聖地として有名で、島の中には数多くの蒸溜所が存在しています。「アードベッグ蒸溜所」の近くには他にも「ラガヴーリン蒸溜所」、「ラフロイグ蒸溜所」などもあり、目と鼻の先くらいに有名な蒸溜所が密集している地域です。

この「アードベッグ」という言葉ですが、ゲール語で「小さな岬」という意味があります。蒸溜所の建つ場所は、その名の通り小さな岬に蒸溜所が建てられています。

今や熱狂的なファンもいる「アードベッグ蒸溜所」ですが、歴史を見ると決して順風満帆ではなかった過去があります。では、蒸溜所の歴史を簡単に開設いたします。

アードベッグ蒸溜所の歴史

アードベッグ蒸溜所が建てられたのは1798年、「ジョン・マクドゥーガル」という人物によって創設されました。

実は、初期の段階では生産量も極わずかで、本格的に商業用ライセンスを取得した1815年が蒸溜所の創設とされています。

その後、蒸溜所は1977年にハイラム・ウォーカー社の傘下になりましたが、ウイスキーとしては冬の時代、1981年に閉鎖を余儀なくされ8年間一切の生産を中止していたんです。

閉鎖の間、蒸溜所は管理されること無く廃墟の様な佇まいに変わり果ててしまいました。

出典:Ardbeg 公式HP

一旦閉鎖となりましたが、ここから「アードベッグ」の復活劇が始まります。1989年にアライド・ライオンズによって少量ながらも生産が再開されます。

その後8年間、細々と生産をしながらも1997年に転機が訪れます。

1997年に「グレンモーレンジィ」によって蒸溜所が買収され、蒸溜所の本格的な復活が始まります。

出典:Ardbeg公式HP

見事に復活を果たした蒸溜所は、観光局の4つ星観光名所に選出されたり、2008年には今回ご紹介する「アードベッグ10年」が「ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、現在までに輝かしい賞を多数受賞しています。

蒸溜所の製法について

では、ここからはアードベッグ蒸溜所の製法について見ていきましょう。

原料

出典:Whisky.com

アードベッグ蒸溜所では、原料となる大麦麦芽にピート(泥炭」の値が最も高い50ppmという数値のモルトを使用にしています。

この「~ppm」という値をフェノール値というのですが、高くなればなるほどスモーキーな味わいの原酒が生まれます。それだけ、麦芽に燻した煙の成分が浸透いているというわけです。(人によっては拒絶するかも・・)

尚、アードベッグ蒸溜所では、現在モルトを作る作業は行っていません。近くのポートエレンに製造を委託して指定の値のモルトのみを使用しています。

そして、指定の値に出来上がったモルトを粉砕機にかけ、糖化の工程を行うわけですが、アードベッグ蒸溜所では仕込み水に近くの湖「ウーガダール湖」から流れてくる水を使用しています。

この「ウーガダール湖」に由来するボトルも発売されています。「母なる水」に敬意を評しているのだろうと思われます。

糖化工程

出典:Whisky.com

ウーガダールの水と粉砕したモルトを混ぜ合わせ、デンプンから糖を生み出す「糖化」という工程に入ります。

糖化には容量4トンの糖化槽(マッシュタン」で63.5度に熱したウーガダールの水が大麦麦芽の糖化酵素の働きを活発にさせ、糖化によって甘い麦汁が出来上がります。

出来上がった麦汁は温度を変えながら3回程濾され、次の工程「発酵」の工程に進みます。

発酵工程

出典:Whisky.com

アードベッグ蒸溜所には木製の容量28,000リットルの発酵槽が6基あります。木製の発酵槽は蒸溜所特有の酵母や乳酸機が住み着くために、独自の風味をもたらしてくれる特徴があります。

約18度に冷却された麦汁は酵母を添加され、酵母の働きによって糖分からエタノールが生み出される神秘的な工程「発酵」が始まります。

酵母菌によって麦汁はアルコール度数8.5%の醪となり、いよいよ次は「蒸溜」というウイスキーならではの工程に移ります。

蒸溜工程

出典:Whisky.com

アードベッグ蒸溜所には、初溜基(ウォシュスチル)と再溜基(スピリットスチル)それぞれ1基ずつの合計2基のポットスチルがあります。

出来上がった醪は最初の蒸溜(初溜釜)を行いアルコール分24%程度のローワインという液体が出来上がります。

その後、ローワインは2回目の蒸溜(再溜釜)を行い、アルコール度数76%の蒸留液(ニューポット、ニューメイク)が誕生します。

蒸溜の仕方が非常に重要で、最初の方はフルーティーな香味の蒸留液、後半はドッシリピーティーな蒸留液が出来上がります。この2つのさじ加減がアードベッグの味わいにとても重要なんです。

熟成

出典:Whisky.com

蒸留され出来上がったニューメイク(蒸留液)は、樽に詰められ海に近い熟成庫の中で長い年月、熟成という眠りにつきます。

アードベッグに使われる熟成樽には、バーボン樽が多く使われています。しかし、最近ではシェリー樽など他の種類の樽も使うようになりました。

樽の種類によって性質が異なる原酒が誕生しますが、海沿いの熟成庫で長い年月をかけ熟成されるのでアイラ特有の潮の香りやヨードなど海の影響を受けた独特の原酒が誕生します。

ロゴについて

出典:Ardbeg公式HP、ウィキペディア

アードベッグといえば、何と言っても圧倒的にカッコいいロゴマークがあります。

このロゴマークはケルト十字の紋章をモチーフにしたとされ、なんとなくRPGを連想する感じがして、ボトルが棚にあるだけでサマになりますよね!

筆者も最初はアードベッグのボトルを見て「ジャケ買い」をしてしまった人間です(笑)その後にアイラモルトの洗礼を受けるとも知らずに・・・。

そんな訳で、今回は熱狂的なファンもいる「アードベッグ10年」をいつものように3種類の飲み方でレビューしていきます!!

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テイスティング(実際に飲んでみた)

フレーバーチャート
味わいチャート

ストレートで飲んでみる

香り
  • ピート、ヨード、干し草、レモン、スモモ、カスタード、バニラ、ウエハース
味わい
  • 潮の香りにピート香、シトラスと樽の香り
感想

まずはストレートで飲んでみます。香りは、アイラらしいピートの効いたスモーク感にヨードの磯っぽさが第一印象。続いて、干し草など牧歌的な香りに柑橘の香り、スモモの様な酸味も感じます。奥まってウッディな甘さも開き、しっとりとしたカスタードやバニラ、そしてシリアルで香ばしいウエハースも感じ取れます。

口に含むと、こちらもアイラモルトらしい磯の香りであるヨード感と煙たいピートのスモーキーさが鼻を抜けて、爽やかな柑橘の風味の後に樽香がフワッと香ってわずかな甘さと酸味、そして優しいビターな余韻を迎えます。

個人的に大好きなシングルモルトですが、改めて「美味いっ!!」

しかし、アイラに慣れ親しんだ鼻はアイラへの免疫「アイラフィルター」がかかっている為、初心者の方には強烈に思える香りも優しく思えてしまいます。

初めて飲んだ頃は煙たく感じましたが、モルト通に「甘いよ!?」と言われ、意味不明に陥ったのを思い出します。そこそこ飲んできた自身の歴史で、アノ時の意味がようやく分かってきました。「アードベッグ」は甘いのだと。

ロックで飲んでみる

香り
  • ピート、ヨード、レモン、ゴム長靴、コールタール
味わい
  • 強めのビターとほのかな樽香、ピート感のあるスモーキーさ
感想

次は、氷を入れてオンザロックで飲んでみます。アードベッグをロックで飲むのは初めてかもしれません。80年代にウイスキーを飲まれていた方は、ロックが標準の飲み方でストレートは馴染みがない人も多いと思いますが、現在はストレートかハイボールが主役だと思います。

香りは、アイラの洗礼ともいうべきピーティーなスモークさとヨードの海藻を含んだ海水、そして少しシトラスっぽさがあります。氷によって加水と冷却が進むにつれてゴム長靴やコールタール、燃えたゴム片の様な香りもします。

公式のテイスティングノートに記載があり「ゴムなんて感じない・・」と疑っていましたが、今回のレビューではっきりと感じることが出来ました。

口に含むと、ストレートの時よりもビターが強まり柑橘をそのまま噛んだ様なオイリーな苦味が口に広がります。そして、BBQの時のような煙のスモーキーさが広がり、余韻にかけてクリーミーなチョコレートっぽい甘さが静かに消えていきます。

アードベッグをロックで飲むのも悪くないかもしれません!キリッとした印象から、少しクリーミーな感じも伺えるアードベッグのロックスタイル、ストレートが主でしたので新たな発見をすることが出来ました。

ですが、やはりストレートの方が果実感があり好みなので「ウイスキーが少しだけイジケた」と勝手に妄想してしまいます。

ハイボールで飲んでみる

香り
  • ピート、ヨード、コールタール、干し草、レモン、焦げた木片
味わい
  • ピーティーでシリアルな甘さ、柑橘のビター
感想

最後はハイボールで飲んでみます。香りはやや薄まってしまいましたが、ピートの香りのするスモーク感とヨードがしっかりとあります。続いて、ロックで感じたコールタールやゴムが焦げたような香りがして、爽やかな柑橘の酸っぱさに干し草の発酵を伴うような感じがあり、焦げた木片や樽の内側の様な感じの香りがします。

口に含むと、ピート感のあるスモーキーな香りが口に広がり、麦汁のほのかな甘さが漂います。余韻にかけてはビターで、柑橘っぽいややオイリーな感じと煙たさが徐々に消えていきます。

同じアイラモルトの「ラフロイグ 10年」と比べると、見切りが早い感じで煙たさがありながら甘さと酸味、そしてビターの展開がとても早く感じます。抽象的ですが、潔さを感じるハイボールです。

まとめ

アイラモルトの中で「ラフロイグ」と人気を二分すると勝手に思っている「アードベッグ10年(TEN)」のレビューをしてみました。

改めて飲んでみると、強烈な個性の中に「優しい果実感と甘さ」を感じるアイラモルトでした。初めて口にする方には、難易度のあるボトルかもしれませんが、飲み方やペアリングする食べ物で案外美味しく飲めるようになるものです。(牡蠣や塩焼き、ベーコンなど)

気づけば、虜になっている!?なんてこともあるかもしれません。世界中にいるアードベッグの強烈なファンの方たちは「アードベギャンと呼ばれ、毎年6月に開催される「アードベッグデー」には、限定ボトルも発売され世界中で「お祭り騒ぎ」になるほどです。

こういった熱狂的なファンがいるのも、80年代からの苦境を乗り越え見事に復活を果たし、蒸溜の再開からレギュラー商品であるこの「アードベッグ 10年(TEN)」への、一連の復活劇があったからかもしれません。

しかし、何よりファンを虜にしているのは、他でもなく「この味わい」であり、これからもアードベッグの人気は衰えそうにありません。

最後にミーハーな事を綴らせて頂きます。ロゴといい!ボトルの形やラベルまで文句なく「最高にカッコいいウイスキー」です(笑)

最後までお読み頂きありがとうございました。


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