このウイスキーの特徴
ザ・マッカラン ダブルカスク12年について
今回は、シングルモルトウイスキー「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」をご紹介致します。
「マッカラン」といえば代表作に「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」があり「シングルモルトのロールスロイス」と称される銘柄で、日本においても非常に人気が高いですね。
「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」については、別記事をご参照ください。
そんな”孤高の存在”であるマッカランが、2017年からレギュラーラインナップとしてリリースしているボトルが「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」になります。
では早速、「ダブルカスク12年」とは、どんなウイスキーなのか見ていきましょう!!
ダブルカスク12年とは(製法)
「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」はマッカラン蒸留所がリリースしているシングルモルトです。
ボトルネームである”ダブルカスク”とは2種類のシェリー樽で熟成された原酒が使われている事を意味しています。
定番品である「シェリーオーク12年」は、100%スペイン産ヨーロピアンオークのシェリー樽原酒が使われています。
対して「ダブルカスク12年」はヨーロピアンオークのシェリー樽に加え、アメリカンオークのシェリー樽も使った2種類の原酒構成からなります。
どちらの樽も厳格な管理を行っている森林から伐採された木材を、1年近く自然のシーズニングを行い、職人の手によって樽へと生まれ変わります。
北スペイン産のヨーロピアンオーク、そしてアメリカ東部のアメリカンオーク。
出来上がった樽はスペインに輸送され、指定された方法でシェリーの熟成を行います。
最低2年(ヨーロピアンオークは3年)シェリーの熟成に使用した樽は、いよいよスコットランドに運ばれ、マッカランのウイスキー熟成へと使われるのです。
木材の伐採から樽の製造、シェリーの熟成を経てウイスキーの熟成に至るまで”10数年もの時間”を費やしてる事になりますね・・・。
そして、長い時間をかけ大切に造られた2つの原酒をブレンディング。
こうして、マッカランの新たなスタンダード「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」が造られているんです。
ウイスキーとは「時間を飲む、飲み物」と言われます。木材の成長まで含めると途方も無い時間を費やしているんですね・・・(驚)
では、肝心の味わいをいつものように3種類の飲み方でレビューしていきます。どうぞ、最後まで御覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ハチミツ、バニラ、レーズン、プラム、白ワイン、硫黄、ゴム
味わい
- シェリーのエレガントな香りとタンニン、アメリカンオークの甘やかさ
感想
まず、最初はストレートで飲んでみます。香りはマッカランのエレガントな香味よりも、ハチミツやバニラのしっかりとした甘さが先行して感じます。この辺は、アメリカンオーク樽の特徴だと思います。しかし、グラスの中でモルトを揺らしていると、マッカランらしいエレガントな香りが立ってきました。レーズンやプラムなどの果実、そして白ワインの爽やかさ、またシェリー樽原酒の特徴的な硫黄やゴムっぽい香りもわずかに感じます。
口に含むと、シェリーの瑞々しい酸味とタンニンが膨らみ、続いてキャラメルのような甘さが追いかけてきます。中盤からスパイシーさも感じられ、余韻にかけて果実感のあるビターと酸味が優しく長く残ります。
定番の「シェリーオーク12年」と比べると、”重厚感”こそやや少ないですが、甘さや香ばしさが心地よくマッカランらしいエレガントさも十分にあるので、普段ハイボールを常飲されている方は、シェリー感が程よく抑えられているコチラの方が馴染みやすい味わいかもしれません。
当たり前かもしれませんが、とても美味しいモルトです。
ロックで飲んでみる
香り
- カラメル、焦げたビスケット、バニラ、ハチミツ、レーズン、ワックス
味わい
- ブドウの渋みと酸、果実の皮、シェリー感のある余韻
感想
次は、氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りはストレートの時とはまるで違い、焦げ感が強く樽の内側を想像させる香り立ちがあります。例えて言うなら、カラメルやビスケットの様なシリアル感があり、続いてバニラやハチミツの甘い香り、わずかにレーズンとワックスの様なニュアンスが漂います。
口に含むと、焦げ感とは裏腹にシェリー由来の葡萄の酸味と渋み、果実の皮の様な優しくもしっかりとしたビターを感じます。
氷が溶けて加水が進むと、焦げ感も落ち着き、味わいは非常にまろやかになります。香ばしさを奏でるアメリカンオークと、エレガントなヨーロピアンオークの絶妙なバランスが口の中に広がり、ロックにしても”マッカランらしさ”をしっかりと味わうことが出来ます。
ハイボールで飲んでみる
香り
- プラム、レーズン、ハチミツ、バニラ、ワックス
味わい
- 華やかでエレガント、ブランデーハイボールの様
感想
最後は、ハイボールで飲んでみます。香りはフレッシュなプラム、そしてレーズンなどの熟した果実香が漂い、ハチミツやバニラの甘い香りが伴います。奥まってワックスっぽい香りもありますが、主役はあくまでマッカランらしいエレガントな果実香がメインです。
口に含むと、香ばしい麦の香りに優しい甘さが感じ取れます。そして、後を追うようにエレガントなシェリーの酸味とビターが膨らみ、アフターにかけてハチミツの甘さがしっとりと残ります。
口に含んだ瞬間の香ばしさと芳醇な果実感、全体的にエレガントな味わいは「マッカラン」の唯一無二の味わいそのもので、とても贅沢な気分にさせてくれるハイボールです。
「これにツマミは要りません(笑)」
まとめ
近年のマッカランを揶揄する意見もチラホラありますが、伝統の「シェリーオーク」には無い「新しい可能性」を確立した「ダブルカスクシリーズ」。
私自身、90年代のマッカランの味わいを思い出すと今のマッカランは・・・と、比較してしまう悪い癖があります。以前のマッカランは確かに芳醇でエレガント、まさに王様といった風格がありましたが、同時にクセも強かった傾向にあります。(以前のマッカランは現在のシーズニングによるシェリー樽ではなく、本物のシェリー樽を使用)
それを踏まえ、現在の需要のあるウイスキーの味を考えると、往年のマッカランは濃すぎて受け入れ辛いかもしれません。そのくらいシェリー感やボディの厚みなど系統は同じでも全く違う味だったのです。
しかし今回、「ダブルカスク12年」を飲んでみて、新旧の違いや使われている原酒構成が違うものの「マッカランはやはりマッカラン」という結論と、「飲みやすい」という「飲み物としての正義」を感じることが出来ました。
マッカランの特徴である”シェリー樽”の個性は十分にありながら、ややライトな方向に振った味わいは幅広い層に受け入れられそうですし、何よりアメリカンオークの特性がハイボールにとてもマッチしていると言えます。
「ウイスキーはストレート」という古い固定概念を払拭する”王様の回答”が、このマッカランの新しいシリーズにあるのだと感じました。
現在は、出荷制限などで入手し辛い状況にもありますが、機会があれば是非お試しください。特にハイボールにして真価を発揮するマッカランです♪♪
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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