今回は、待望の復活を果たしたニッカウヰスキー「余市10年」の現行ボトルと旧ボトルを宮城峡蒸溜所で飲み比べした際の違いについてレビューします。
余市10年について
「余市10年」は2015年に惜しくも終売、長らく市場から消えていた銘柄でしたが、2022年に待望の数量限定での復活となり、ウイスキー界隈では大きな話題になりました。
旧ボトルの終売になった経緯は、ジャパニーズウイスキーブームにより、原酒の確保が難しくなった為で「余市10年」には、余市蒸留所で10年以上熟成した原酒が使われているからです。
現在でも年数表記のウイスキーを生産するには厳しい状態が続いており、各社は増産をしていますが、ウイスキーは造ってすぐに出荷できない飲み物ですので、しばらくは安定的な供給は難しいと言われています。
復活を果たした現行の「余市10年」はもちろん、貴重な旧ボトルなどは高額での取り引きがされていて、定価での購入はとても難しいのが現状ですね・・・。
蒸留所での試飲について
しかし、蒸溜所に行けば貴重なウイスキーも有料で手軽に試飲する事が出来ます!!
また、蒸留所では「ウイスキーの製造過程)などを間近で見ることが出来るツアーを行っているので、ウイスキーファンにとっては興味深い時間が過ごせます。
その他、売店では蒸留所でしか買えない「蒸留所限定ボトル」などもありますので、ウイスキーファンなら一度は訪れてみても良いかもしれません!!
今回は、筆者が宮城峡蒸留所に行った際に試飲することが出来た、現行の「余市10年」と旧ボトルの「余市10年」のレビューをお送りいたします。
どちらもストレートでの試飲でしたが、何故か「旧ボトル」の方が安く試飲でき、これは当時の販売価格での提供かと思われます。それでは、行ってみよ~!!
テイスティング(現行と旧瓶の比較)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
余市10年(現行)
香り
- リンゴ、洋梨、キャラメル、バニラ、ハチミツ、チョコ、ピートスモーク,灰、焦げ感
味わい
- ニッカらしい甘さ、余市の直火蒸留の焦げ感
感想
では、最初は現行の「余市10年」から飲んでみます。香りはリンゴや洋梨の果実感とバニラ、キャラメル、ハチミツの甘い香りがします。続けて、ほろ苦いチョコレートとピートの香り、そして余市らしい直火蒸留ならではの焦げ感があり、香ばしく甘いモルト香が特徴的です。
口に含むと、これぞニッカと思える濃密な甘さと骨太なスコッチ感、直火蒸留からくる焦げた感じのニュアンスと共に、海風を感じる塩気が香ります。
中盤くらいからビターが追いかけてきて、ほのかにゴムっぽい香りが鼻をかすめていきます。余韻はリンゴやハチミツの甘く果実感のある香りと、程よいピート香や焦げた木片のような香ばしさがゆっくりと香ります。
余市10年(旧瓶)
香り
- ハチミツ、バニラ、キャラメル、リンゴ、アプリコット、洋梨、ビスケット、杏、ビターチョコ、ナッツ、スモーク、焦げ感
味わい
- カドの取れた優しいモルト、甘酸っぱい、円熟感
感想
次は、旧瓶の「余市10年」を飲んでみます。香りはハチミツ、バニラ、キャラメルと甘く濃厚な香りとリンゴ、アプリコット、洋梨、杏など現行品よりも熟した感のある果実感があり、ビスケットやナッツの香ばしさに、余市の焦げ感が馴染んでいて心地よいです。
口に含むと、リンゴ、アプリコット、杏といった果実の甘さが広がり円熟感のある口当たりは10年熟成とは思えないくらいに柔らかく優しい味わいがします。また、中盤からは優しいビターが追いかけてきて、甘酸っぱいアプリコットやあんず感が静かに香り、焦げ感こそ感じますが骨太な感じというよりは、「カーデュ」のような優しく甘い果実感が印象的でした。
まとめ
ニッカのシングルモルト「余市10年」の新旧ボトルを飲み比べてみましたが、どちらも「余市」らしい果実(リンゴや洋梨)や、キャラメルのような甘い味わいがクッキリと出ていて、現行品には石炭直火蒸留の香ばしい焦げ感があり、旧瓶には長期熟成モルトがブレンドされていたであろう円熟感がありました。
ただ、現行品は目の前で開栓をしていたのでまだ”固い”と思う部分もあります。実際、試飲中に少し経った現行品からは、これでもかっ!!というくらいに甘い香りが立ってきましたので、完全な同条件にした場合の印象は少し変わるかもしれません。
どちらにせよ、余市蒸溜所で10年以上の歳月を過ごした原酒を味わっているわけですから、ニッカファンのワタシにとっては至福の時間でした。
試飲のお値段はどちらも15mlで¥500前後ですので、入手困難なボトルの味を手軽に味わうことが出来るのは蒸溜所ならでは!
試飲スペースには他にも、加水や炭酸水などが置いてあるので、ストレートでなくても「余市10年」をお好みで楽しむことが出来ます。(コロナ禍の為、制限時間は20分)
今回は「宮城狭蒸留所」でしたが、「余市蒸留所」でも貴重なモルトや自社のウイスキーを試飲出来ます。気になっているけど買えないボトルや、ウイスキーについてのあれこれを知るために蒸留所に行くことで沢山の経験値が上がりますので、機会がありましたら是非、訪れてみて下さい!!
※運転の方には、ソフトドリンクが用意されておりますのでくれぐれも飲酒運転はしない様にしてください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
こちらが現在、数量限定で販売されている「余市10年」になります。年間9,000本が限界らしく店頭ではめったに見かけません。
そして、こちらが2015年に終売となってしまった旧ボトルの「余市10年」です。今となっては貴重なウイスキーのひとつ。
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