このウイスキーの特徴
このウイスキーについて
今回は、クーパーズチョイスの「ベンリネス11年 2010 マデイラカスクフィニッシュ」をレビューします!!
クーパーズチョイスとは
独特の後熟工程により、ウイスキーファンを楽しませているクーパーズチョイス。
クーパーズチョイスとは、「ザ・ヴィンテージ・モルト・ウイスキー社」のウイスキーブランドの1つで、同社は1992年に創業したボトラーズの会社です。
ボトラーズとは、独立瓶詰業者のことで自らは蒸留所を持たず、蒸留所から樽ごと原酒を買い取り独自の熟成などを行い瓶詰めして販売する企業を指します。
そのようなボトラーズは沢山ありますが、このクーパーズチョイスに関しては、他ではなかなか無いような独特のフィニッシュ(後熟)に定評があります。
ブランド名にある「クーパー」とは、「樽職人」のことを指しラベルにも描かれています。
創業者は「ボウモア蒸留所」で20年以上のキャリアを持つプロフェッショナル。樽熟成に関しては特に自信があるブランドと言えるかもしれません。
今回のレビューボトルもそうですが、「クーパーズチョイス」では創業者「ブライアン・ルック」により選びぬかれた樽を、カスクストレングスなど加水を抑えた状態でボトリングされています。
ベンリネス蒸留所とは
ベンリネス蒸留所は、スコッチウイスキーのメッカであるスペイサイド地方にあります。
蒸留所の名前は、近くにある標高840mのベンリネス山に由来していて、作られるウイスキーはナッツのような香りでヘビーな酒質となっています。
このベンリネス蒸留所は、親会社であるディアジオ社が販売するスコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」への原酒供給が主であり、蒸溜所独自のオフィシャルボトルは販売していません。
唯一、一般に販売されているものといえばディアジオ社が販売する「花と動物シリーズ」のみで、シングルモルトを味わう為には必然的にボトラーズの物になってしまいます。
ベンリネス蒸留所の特徴
ベンリネス蒸留所の特徴はなんといっても、ナッツの香ばしい香りと重たくヘビーな酒質にあります。
その要因となっているのが、糖化工程においての麦汁にあります。普通は澄んだ清澄麦汁を用いられますが、ベンリネスでは濁ったままの麦汁を使用します。
また、発酵時間や蒸留時間が極端に少ないのが特徴で、普通ならば嫌われるようなフレーバーもウイスキー造りに活かす方法が採られています。
このような特異な製造方法を行っているのは、もちろん「ジョニーウォーカー」の味わいを造る為であり、ベンリネスが欠けては同じ味わいは生まれないということですね!!
少しネガティブにも思えてしまうベンリネスのモルトですが、熟成に使用される樽はヨーロピアンオークのシェリー樽を使います。
どっしりとしたクセの強いベンリネスのスピリッツを、シェリー樽で長く寝かせることによってナッツやミーティーと言われるベンリネスのモルトが出来上がるんですね!!
このボトルの仕様について
今回のレビューボトル「ベンリネス 11年 2010 マデイラカスクフィニッシュ」の仕様を見てみましょう!
ラベルから蒸留した年は2010年、瓶詰めが2021年と書いてあります。
熟成にはアメリカンオークの樽(シェリー樽)が使われ、フィニッシュにマデイラワインの樽「マデイラカスク」を使用したモルトのようです!
1つの樽から瓶詰めされるボトラーズのモルトウイスキーは一期一会。二度と出会えないかもしれない儚さが魅力のウイスキーでもあります。
通常の仕様とは違ったアプローチも魅力のボトラーズウイスキー、今回はストレートで香りや味わいをレビューしてみたいと思います!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- 青リンゴ、ハチミツ、バニラ、オレンジ、プラム、ユーカリ、リコリス、麦
味わい
- クリーミー、オークと完熟フルーツ、スパイシーな余韻
感想
では、ストレートで飲んでみます。
香りは、青リンゴの爽やかさにハチミツとバニラが絡んできます。そして、オレンジのビター感にプラムと続き、ベンリネスとマデイラカスクの特徴でもあるグラッシーでハーブ感のあるユーカリやリコリスが麦の香ばしさと共に漂っています。
口に含むと、舌触りはとてもクリーミーでアルコールの存在感はあるものの、全くトゲトゲしさがありません。オークの樽香が広がり熟した果実のまろやかな甘みが膨らんで、スパイシーな風味が追いかけてきます。余韻にかけてもスパイシーは続き、ハーブのような香りが鼻に抜けゆっくり消えてゆき、爽やかな後味が舌の上にいつまでも残ります。
マデイラカスクならではのハーブ感と、ベンリネスの重厚なモルトが見事に融合している、素晴らしい味わいだと思います。
ウイスキーはジャケ買い(笑)することも多く、ボトル下部の緑の帯で購入を決めました。味わいはイメージ通りで、グラッシーな感じがとても心地よく、飲みごたえのある1本です。残りが少なくなっているため、今回はストレートだけのレビューですが、ロックやハイボールにしても間違いなく美味しいウイスキーだと思います。
まとめ
フィニッシュに定評のあるクーパーズチョイス。今回のボトルはスペインの酒精強化ワイン「マデイラ・ワイン」の樽を使って後熟をしたベンリネスのシングルカスクモルトになります。
オフィシャルもあまり流通しないベンリネス。全てはジョニー・ウォーカーの為に原酒は供給されているため、このようなボトラーズの存在はとてもありがたいですね!
尚、ボトラーズのウイスキーはブランド、ロットなどよって味わいは異なるので、ハズレを引いてしまうこともあります。ですが、クーパーズチョイスであれば、値段相応、品質も問題なく安心して気になる蒸溜所のボトルにありつくことが出来ます。
個人的にも大好きなベンリネスとマデイラ樽熟成のモルト。好きなものが重なり合えば美味しいに決まっていますが、そういった部分を加味しなくても十分に美味しいシングルモルトでした。
残りも大切に飲んでいきたいと思います!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
こちらは、MHDからリリースされているベンリネスの唯一のオフィシャルボトル「花と動物シリーズ」のベンリネス15年です。ベンリネスの味わいを是非、お試しください。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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