このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回は、グレンファークラスのエントリーボトル「グレンファークラスヘリテージ」をレビューします!!
グレンファークラス蒸留所とは
「グレンファークラス12年」はスコットランドのスペイサイド地方にある『グレンファークラス蒸留所』で造られているシングルモルトです。
グレンファークラスとはゲール語で「緑の草の生い茂る谷間」という意味で、蒸留所はスぺイ川中域のベンリネス山の麓にあります。
グレンファークラス蒸留所は、現在では珍しい創業一族が今も経営している数少ない蒸留所の一つで、オロロソシェリー樽の熟成原酒では外すことの出来ない蒸留所です。
蒸留所の歴史
グレンファークラス蒸留所の起源は1836年、『ロバート・ヘイ』により設立されました。
その後、1865年に創業者のロバートが亡くなり、蒸留所は地元の農家である『ジョン・グラント』によって経営されるようになります。
一時期は経営が苦しくなり、グレンリベットの創業者『ジョージ・スミス』の息子である『ジョン・スミス』に業務を委任しますが、1870年から今日までグラント家によって経営が継続されています。
他の蒸留所は何度も経営者が変わる中で、160年近くも家族によって経営されているというのは非常に珍しく、希少な存在ですね!!
グレンファークラスの製法
グレンファークラス蒸留所では、仕込み水にベンリネス山の雪解け水を使用します。
この雪解け水は、ピート層をくぐり抜け濾過された軟水で良質な水はウイスキー造りにはかかせない重要な要素の一つです。
そして、蒸溜に使われる”ポットスチルはスペイサイド最大級のサイズ”の物を使用しています。
形はボール型と呼ばれる”おまんじゅう”のような形をしており、初溜3基、再溜3基の合計6基が稼働しています。いずれも20,000リットル以上の大きな釜で、同じスペイサイドで最小のマッカラン蒸留所とは対象的なサイズです。
また、蒸溜方法も昔ながらのガスによる「直火焚き」を採用しています。
多くの蒸留所がスチームによる安定的な蒸溜に切り替えている中で、あえて手間のかかる直火蒸留をしているところに「こだわり」を感じます!!
※ちょっとした豆知識
ちなみに、ニッカウヰスキーの「余市蒸留所」は石炭による直火蒸留を今も行っています!!恐るべし、ニッカのこだわり(笑)
また、熟成についてはグレンファークラスの大きな特徴であるシェリー樽熟成があります。
シェリー樽はスペインのアンダルシア地方にて”オロロソシェリー酒”の熟成に使われたものを使用しています。
ウイスキーを仕込む最初「ファーストフィル」から、2回目となる「セカンドフィル」が主に使われますが、さらに「サードフィル」など古いシェリー樽を大切に使い続けるのもグレンファークラスならでは!!
こだわりの樽によって、長い年月を過ごす熟成庫は床が土間のダンネージ式となっていて、低温多湿のウイスキー熟成に適した湿度を保つよう工夫がされています。
同じシェリー樽系のシングルモルトで有名なマッカランもありますが、同じ12年熟成でもコチラのグレンファークラスは半値以下!!かといって、手を抜いているわけではありません。
プライスの差が何なのかは定かではありませんが、この「グレンファークラス12年」は「マッカラン12年」と甲乙つけがたい素晴らしい味わいのシングルモルトです。
シェリー樽を知るためには必ずと言っていいほど名前が挙がる蒸溜所、それが『グレンファークラス』!!
グレンファークラスヘリテージとは
グレンファークラスヘリテージは、全ラインアップの中でもエントリーボトルの位置づけになります。
その理由は、熟成年数8年未満の若い原酒が使われていること。また、熟成樽も3回もしくは4回分のウイスキー熟成に使用した空き樽を使用した原酒を、メインに使用していることです。
シェリー樽熟成ながら、熟成の力が穏やかな樽を用いて比較的若い原酒を使っていることから、グレンファークラスらしいシェリー感はありながら、とてもライトな味わいに仕上がっています。
尚、ノンエイジ仕様ですので、それなりの熟成年数モルトもブレンドされてはいると思いますが、軽い味わいのグレンファークラスならば、シェリーが苦手という人や入門用としてもぴったりですね!!
エントリーボトルといっても天下のグレンファークラス!!一体どんな味わいなのか!?今回も3種類の飲み方でレビューしてみたいと思います!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- マンゴー、りんご、シトラス、プラム、ハチミツ、レモンケーキ、ビスケット
味わい
- サッパリとしていてスパイシー
感想
まずは、ストレートから飲んでみます。
香りは、マンゴー、リンゴ、プラムなどの果実、さらに爽やかなシトラスがいて、ハチミツの甘さとレモンケーキ、ビスケットの香ばしい穀物感があります。
口に含むと、拍子抜けするくらいライトな味わいで、12年と比べシェリー感や力強い焦げ感がほとんどありません。代わりに、樽のウッディさ、麦の甘み、そしてフレッシュフルーツの爽やかな酸味を感じます。中盤からはスパイシーが膨らんで、そのままリンゴやハチミツと共にさっぱりとした余韻が続きます。
華やかで、力強いグレンファークラスの印象を持って飲むと呆気に取られてしまいますが、世間一般的なグレンファークラスのイメージとは違ったアプローチがされていて、これはこれで面白い味わいだと思います。
華やかで力強く芳しいグレンファークラスではなく、化粧をしていないスッピンのファークラスといった印象です。フルーティーで甘みもありますが、とにかくライトテイスト!!穏やかになった樽の優しい熟成具合を実感出来る味わいに仕上がっています。
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、バニラ、リンゴ、レモンケーキ、シトラス、ぶどう、果実の皮
味わい
- 甘酸っぱくビター
感想
次は、氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ハチミツやバニラなど甘い香りが先行します。そして、リンゴやシトラスにレモンケーキが絡んで、ブドウの皮を思わせるタンニン感があります。
口に含むと、甘酸っぱさと香ばしい焦げた感じが口の中に広がり、すぐにビターが追いかけてきます。余韻にかけて、ほんのりとハチミツを感じながら、柑橘の皮やブドウのタンニンが追いかけ、ゆっくりと消えていきます。
ストレートの時よりもシェリー感が少しだけ増し、同時にハチミツやバニラの甘さが目立つようになりました。酒質がライトなだけに、加水によって味わいの表情変化が大きく飲み方によって色々と楽しめるのはウイスキーならでは!!
中盤から膨らむビターが口の中をサッパリと引き締めてくれます。そして、甘酸っぱさや麦の香ばしさなどもあり、飲み疲れすることなくスルスル飲めてしまいます。
ハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、ブドウ、レモン、草
味わい
- ハチミツと草っぽさが漂う牧歌的な味わい
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、ハチミツとリンゴの酸味がフワッと漂い、シトラスの爽やかさ、グラッシーで牧歌的な干し草のニュアンスを感じます。
口に含むと、ハチミツやりんごが口の中に広がって、すぐにビターが追いかけてきます。そして、干し草の香りが広がり、柑橘の苦味がゆっくりと消えていきます。
作ってすぐの味わいと、少し時間が経った味わいではハチミツが遠ざかり、干し草の表情が段々クッキリしてくるのがわかります。加水されていく程、香ばしさとグラッシー(草)な味わいが増していきます。薄まっていくのではなく、表情が変化していくのは良いモルト原酒ならではですね!!
まとめ
グレンファークラスんのエントリーボトル「グレンファークラスヘリテージ」のレビューでした。
単に求めやすいボトルと思って飲んでみましたが、グレンファークラスの別の顔が伺える新しい発見がありました。グレンファークラスといえば”シェリー樽”と言われるくらい、シェリー樽へのこだわりが強い蒸溜所です。しかし、今回のヘリテージはシェリー樽のニュアンスは感じつつ、穀物や干し草の香りが漂うライトな仕上がりで、気楽に飲め、シェリー樽独特の風味が苦手という方でも楽しめる味わいのボトルでした。
「シェリー香の薄いファークラスなんて・・・」と、思う方もいるかも知れませんが、干し草やミントっぽいグラッシーなニュアンスが感じれるグレンファークラスも中々良いもんですよ!!ハイボールメインであれば、間違いなくオススメできるスペイサイドモルトの1つになりました。
是非、お試しください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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