

こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!




今回は、2023年に限定リリースされた「MARS The Y.A. #2」の解説&レビューを行っていきます!
南アルプスの麓に位置するマルス駒ヶ岳蒸溜所と鹿児島の津貫蒸溜所。日本を代表するウイスキーメーカー・本坊酒造が手掛ける2つの蒸溜所から生まれた原酒を、世界自然遺産の屋久島で熟成させた特別なウイスキーが「MARS The Y.A. #2」です。
このボトルの最大の特徴は、15ppmという控えめながらも確かなピート感と、屋久島の亜熱帯気候と潮風の影響によるトロピカルでミネラル感のある味わいにあります。約12,000本の限定リリースによる希少性も手伝い、世界中のウイスキーファンを魅了しています。
この記事では、「MARS The Y.A. #2」の魅力と、その背景にある本坊酒造の歴史や蒸溜所の特徴について詳しくご紹介します。
MARS The Y.A. #2はこんなウイスキー
| カテゴリー | ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー |
| 蒸溜所 | マルス駒ヶ岳蒸溜所・マルス津貫蒸溜所 |
| 熟成地 | 鹿児島県屋久島 |
| アルコール度数 | 49% |
| 内容量 | 700ml |
| 価格帯 | 約15,000円〜25,000円(販売店・時期により変動) |
| 発売年 | 2023年 |
| 限定本数 | 約12,000本 |
| ピートレベル | 15ppm |
| 熟成年数 | 3年以上(蒸溜年2017-2019年) |
| 使用樽 | 主にバーボンバレル(一部シェリーバレル) |


「Y.A.」は「Yakushima Aging」の略で、世界自然遺産・屋久島の独特な気候を活かした熟成に焦点を当てたシリーズです。




亜熱帯気候と高い湿度、豊富な降水量、そして海からの潮風が、ウイスキーに独特の風味をもたらします。
本坊酒造と蒸溜所の歴史





MARS The Y.A. #2をより深く理解するために、本坊酒造の歴史と蒸溜所の特徴を見ていきましょう!




焼酎メーカーとして知られる本坊酒造ですが、実はウイスキー造りの歴史も非常に長いんです!
創業と発展


本坊酒造は1872年に創業し、当初は製綿業を営んでいましたが、1909年からは焼酎の製造を開始しました。その後、日本のウイスキー産業が発展する中、1949年にウイスキー製造免許を取得。日本のウイスキー界の先駆者である岩井喜一郎氏の指導のもと、本格的なウイスキー製造への道を歩み始めました。
岩井喜一郎氏は、ニッカウヰスキーの竹鶴政孝氏の上司でもあり、日本のウイスキー造りの礎を築いた重要人物の一人です。彼の知見を活かした初期のマルスウイスキーは、重厚でスモーキーなスタイルだったと伝えられています。





日本ウイスキーの礎を築いた人物として、ニッカウヰスキーの竹鶴政孝氏、サントリーの鳥井信治郎氏と共に、岩井喜一郎氏の名は欠かせません。
蒸溜所の変遷


本坊酒造のウイスキー製造は、時代と共に様々な変遷を経てきました
- 山梨蒸溜所(1960年設立):本坊酒造が最初に本格的なウイスキー製造を行った蒸溜所。岩井氏の指導のもと、スコットランド式の製法でウイスキーを製造していましたが、後にワイン製造に転換されました。
- 信州蒸溜所(1985年設立、現マルス駒ヶ岳蒸溜所):より理想的なウイスキー製造環境を求めて長野県に開設。標高約800mの冷涼な気候と良質な水を活かした、軽快で洗練されたスタイルのウイスキー造りを目指しました。しかし、日本のウイスキー需要低迷により1992年から2011年まで蒸溜を休止。2011年に蒸溜を再開し、2024年には「マルス駒ヶ岳蒸溜所」に名称変更されました。
- マルス津貫蒸溜所(2016年設立):創業の地である鹿児島県に32年ぶりに開設された蒸溜所。温暖な気候を利用した、より力強いスタイルのウイスキー造りを目指しています。
- 屋久島熟成庫(2016年設立):世界自然遺産に登録されている屋久島に設立された熟成庫。信州と津貫の原酒を、亜熱帯気候という特別な環境で熟成させる試みが始まりました。これがY.A.シリーズの誕生につながります。




本坊酒造の歴史は、常に新たな挑戦を続けてきた軌跡です。特に注目すべきは、異なる気候条件を持つ複数の蒸溜所と熟成庫を所有することで、多様な原酒づくりと熟成による香味の探求を可能にしている点でしょう。
マルスウイスキーの製造哲学と特徴


本坊酒造は、日本の自然の恵みを活かしたウイスキー造りを目指しています。その製造哲学は、日本のテロワール(その土地特有の自然環境)を尊重し、高品質なウイスキーを追求することにあります。
各蒸溜所の特徴
- マルス駒ヶ岳(信州)蒸溜所:
- 標高約800mに位置し、日本で最も標高の高い蒸溜所の一つ
- 冷涼な気候と花崗岩で濾過された良質な水
- クリーンで繊細、フルーティーなモルトウイスキーを生産
- 冷涼な気候により、熟成がゆっくりと進行
- マルス津貫蒸溜所:
- 鹿児島県の温暖な亜熱帯気候と高い湿度
- よりリッチで力強い、スモーキーフレーバーを強調したウイスキーを生産
- 温暖な気候により熟成が速く、よりダイナミックな香味変化
- スコットランドのアイラ島のピートも使用
- 屋久島熟成庫:
- 世界自然遺産・屋久島の海岸沿いに位置
- 亜熱帯気候、高い湿度、豊富な降水量、潮風の影響
- トロピカルで塩味のあるユニークな風味を付与
- 高い天使の分け前(年間7-9%の蒸発率)による香味の凝縮




マルスウイスキーの最大の強みは、異なる環境にある複数の蒸溜所と熟成庫を組み合わせることで、単一の蒸溜所では実現できない多様な原酒づくりとブレンディングを可能にしている点です!
注目すべき製品ライン


マルスウイスキーは、多様な蒸溜所と熟成環境を活かし、様々な製品ラインを展開しています
- 駒ヶ岳シングルモルト:毎年限定リリースされ、フルーティーでクリーンなスタイルが特徴。非常に人気があり、すぐに完売することも。
- 津貫シングルモルト:よりリッチで活き活きとした、時にはピーテッドなキャラクターが特徴。初のシングルモルトは2020年にリリース。
- 岩井トラディション:岩井喜一郎氏への敬意を込めて造られたブレンデッドウイスキー。バランスが良く親しみやすいスタイルで、フラッグシップブレンドとされている。
- マルスモルテージ:タイプの異なる複数のモルト原酒をブレンドしたブレンデッドモルト。
- ラッキーキャットシリーズ:ユニークな香味とパッケージが特徴の限定リリース。
- The Y.A. シリーズ:屋久島熟成の独特な影響に焦点を当てたシリーズ。今回紹介するY.A. #2はその第二弾。




本坊酒造のウイスキー造りの特徴は、伝統と革新のバランスにあります。焼酎造りで培った技術を基盤に、日本各地の気候風土を活かし、世界に誇れるジャパニーズウイスキーを生み出しています。
Y.A.シリーズのコンセプトと製造工程


Y.A.シリーズのコンセプト
「Y.A.」は「Yakushima Aging(屋久島熟成)」の略称です。このシリーズは、世界自然遺産にも登録されている屋久島という特別な土地の気候が、ウイスキーの熟成に与える影響を探求するプロジェクトから生まれました。
屋久島は亜熱帯気候に属し、年間を通して高い湿度(平均75%)と豊富な降水量に恵まれています。加えて、海岸に位置する熟成庫は潮風の影響も受けます。この独特なテロワールは、樽とウイスキー原酒の相互作用を促進し、本州の蒸溜所では得られない特別な香味特性をウイスキーにもたらします。
MARS The Y.A. #2の製造詳細


原料と蒸溜
「MARS The Y.A. #2」に使用されているモルトウイスキーは、マルス駒ヶ岳蒸溜所とマルス津貫蒸溜所の二つの蒸溜所で蒸溜されたシングルモルトをブレンドしたものです。
- 駒ヶ岳蒸溜所:標高が高く冷涼な環境で、クリーンで繊細なスタイルのスピリッツを生産
- 津貫蒸溜所:温暖な気候でより力強く個性的なスピリッツを生産
この対照的な二つの蒸溜所の原酒をブレンドすることで、より複雑で奥行きのある味わいを実現しています。
ピート特性
MARS The Y.A. #2は、平均15ppmというピートレベルで、軽やかなスモーキーさが特徴です。これは、第一弾のY.A.よりもピートの風味が強調されている点で、明確な差別化ポイントとなっています。このピート感は、単なるスモーキーさだけでなく、ミネラル感も香味に加えています。
屋久島での熟成
ブレンドされたモルトウイスキーは、鹿児島県屋久島にあるマルス屋久島熟成庫で熟成されます。屋久島の亜熱帯気候では、本州よりも熟成が速く進むとされ、約4〜6年(蒸溜年は2017年から2019年)の熟成期間を経ています。
熟成中のウイスキーは「呼吸」と呼ばれるプロセスで樽を通して外気と接触し、その環境の特性を吸収します。屋久島の気候では、年間7-9%という高い「天使の分け前(蒸発による減少)」が生じますが、これが香味の凝縮にも繋がっています。
使用樽
熟成に使用される主な樽はバーボンバレルです。屋久島熟成庫には、バーボンバレルが約80%、シェリーバレルが約20%貯蔵されているとされ、MARS The Y.A. #2にもその比率で使用されていると考えられます。
- バーボンバレル:バニラや甘い香り、オークの風味を付与
- シェリーバレル:ドライフルーツやナッツ、スパイスの複雑さを加える



屋久島熟成の最大の特徴は、この島特有の高温多湿な気候と海からの潮風が、ウイスキーに与える影響です。これにより、通常の熟成では得られない、トロピカルでミネラル感のある独特のプロファイルが生まれるのです!
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テイスティング(実際に飲んでみた)


The Y.A. #2のフレーバー
The Y.A. #2の味わい
ストレートで飲んでみる


香り
- 干し柿、バニラ、蜂蜜、ドライフルーツ、潮風、スモーク
味わい
- ぬたっとした南国フルーツの甘み、爽やかな渋さ
感想
まずはストレートで飲んでみます。
香りは、干し柿やドライフルーツの熟した果実の香りが漂います。また、バニラや蜂蜜の甘い香りにうっすらと潮風やスモーキーさが特徴的に感じられます。
口に含むと、南国フルーツのヌタっとしたオイリーな甘さが広がり、トロみを覚える感触があります。そして、爽やかな酸味と共に柑橘の皮やスパイシーな要素が追いかけてきて、スモーキーながらバニラの香りが漂う余韻へと続きます。
50°近くのアルコール度数を感じさせない滑らかさと、パンチの効いた力強さはマルスならではの味わいです。屋久島の自然に育まれたというだけでもロマンがありますが、お世辞抜きで美味しいモルトウイスキーです。




マルスらしい力強さと繊細な感じ、そしてジューシーな味わいがたまりません。屋久島という神秘的な場所で熟成した影響でしょうか!?湿潤とした湿気っぽさもあるのが不思議です。
ロックで飲んでみる


香り
- 南国フルーツ、みりん、グレープフルーツ、オレンジ、スモーク
味わい
- グレープフルーツの爽やかさとビター
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、パッションフルーツなど南国の果物を連想させる香りに、みりんのような甘さ、グレープフルーツやオレンジなどのシトラス、そして僅かなスモーキーフレーバーがあります。
口に含むと、グレープフルーツの爽やかなシトラス感が口いっぱいに広がり、柑橘に由来するビターが膨らんできます。アフターにかけてスパイシーさとビターが徐々に馴染み、舌の上を刺激しながらゆっくりと消えていきます。
氷を入れる前に、ほんの数滴ほど加水をしてみましたが、ロックも同様にビターが膨らみます。ただし、普通のビターではなく、ジューシーで潤いのある感じがあり、飲む度に口の中が爽やかになり、次々と杯を進めてしまう危険さもあります。




南国フルーツやシトラスの風味に”みりん”っぽい甘さ。味わいはジューシーで爽やか酸味があり飲むたびに印象を刻んでくれるビターも心地よいです。サントリーやニッカを飲まれている人は新感覚の味わいだと思いますよ!!
ハイボールで飲んでみる


香り
- フルーツサンド、グレープフルーツ、スモーク
味わい
- 香ばしくジューシー
感想
最後にハイボールで飲んでみます。
香りは、フルーツサンド(果物、生クリーム、食パンが組み合わさったような香り)にシトラスと淡いスモーキーフレーバーを感じます。
口に含むと、ジューシーで爽やかなシトラスの酸味とモルトの香ばしい甘さが広がります。余韻に向かってスモーキーな香りと少し磯っぽさを感じながら、余韻は短くスパッと切れのある感じで終わります。
南国のような陽気さも感じる味わいは、ジューシーさと時折感じる良質なモルトの香りによって、アテがなくても十分に時間を過ごせます。ハイボールにはもったいないとも思いましたが、バーボン樽原酒ですのでハイボールとの相性は抜群です(笑)




普段飲みには贅沢すぎる感じがしますが、モルトの香ばしい甘さにシトラスが合わさると最強のハイボールが出来るんですね!!炭酸と相まってとってもジューシーな味わいです。
まとめ
屋久島の豊かな自然によって育まれたウイスキー「MARS The Y.A.#2」
今回のレビューで「ジューシー」と何度綴ったかわかりませんが、マルスウイスキーが所有する2つの蒸溜所から異なるキャラクターを持つモルト原酒が造りだされ、南国「屋久島」の神秘的な気候の影響により、潤いのあるフルーティーな味わいに仕上がっていることに感動しました。
マルスウイスキーといえば、通常はハイランド地方に代表されるような力強く骨太な味わいが特徴とされますが、南国に位置する屋久島では、ウイスキーも人々と同じように陽気さをまとうのかもしれません。
屋久島のエージングセラーには現在も多くの原酒が眠っていると思います。本土とは異なる環境で熟成していくウイスキーたちは、将来的にどのような味わいに変化するのでしょうか? 今回の「MARS The Y.A.#2」の味わいから想像すると、とても楽しみです。


最後までお読み頂きありがとうございました。


テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。




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