広島県の世界遺産:安芸(あき)の宮島「厳島神社」の近くに、クラフトウイスキー蒸溜所があるのをご存知でしょうか!?
今回は、瀬戸内の海と中国山脈の豊かな自然が生み出したクラフトウイスキー「桜尾」のシングルモルトをレビューします!
このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
桜尾とは
「桜尾」とは、広島県で製造されるジャパニーズクラフトウイスキーの銘柄であり、製造販売は「株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー」が行っています。
もともとは1918年に創業した「中国醸造株式会社」という甲類焼酎を手掛ける会社でしたが、2015年に創業100周年のプロジェクトとして新たな蒸溜所の建設を計画し、2021年に現在の社名に改称しました。
「桜尾ジン」で有名な同社は、ウイスキー事業の歴史が古く、1938年から「グローリーウイスキー」というブランドで販売を行ってきましたが、酎ハイブームとなるバブル期の1989年にはウイスキー需要の低迷により一度撤退を余儀なくされました。
しかし、近年の「ウイスキーブーム」により再びウイスキー事業を再開し、2017年には自社蒸留所となる「桜尾蒸留所」を開設し、現在は「桜尾」ともう一つのブランド「戸河内」と共に精力的にウイスキー造りを行っています。
古くからウイスキー事業に携わっていたなんて意外ですね!!
ジンブームの派生でウイスキーにも?と思っていましたが、確かな技術を持った酒造メーカーなんですね!!
桜尾蒸留所について
「桜尾蒸留所」は、広島県廿日市市桜尾に位置するクラフトウイスキー蒸留所で、2018年1月より蒸留が開始されました。廿日市市は中国山脈と瀬戸内海を一望できる場所にあり、近くには世界遺産の安芸の宮島「厳島神社」があります。
創業の地「桜尾」の敷地内には蒸留施設と熟成庫が備わっており、ドイツ製のポットスチルによって生み出された「ニューメイク」は瀬戸内からの潮風によって「桜尾」特有の風味豊かなウイスキーに変化します。
また、「桜尾蒸留所」で生まれたニューメイクを、広島県の安芸太田町戸河内にある廃線となったトンネル内で熟成させたものが、「戸河内」というブランドであり、異なる熟成環境による原酒の違いを楽しむことができるのも興味深いポイントです。
ベースとなるニューメイクは「桜尾蒸溜所」で造り、熟成環境を変えて原酒の造り分けを行っているというユニークな発想!!
姉妹ブランドの「戸河内」も非常に気になります!
シングルモルトジャパニーズウイスキー桜尾
「シングルモルトジャパニーズウイスキー桜尾」は、桜尾蒸留所内の熟成庫で3年以上熟成された原酒を使用しています。熟成には4種類の樽が用いられており、これにより独自の風味が生まれますが、具体的な樽の内容については非公開とされています。
熟成は年間を通じて寒暖差が大きく、また瀬戸内の海が近いことから、自然に吹く潮風の影響が反映され、風味豊かな味わいが特徴となっています。
熟成樽の詳細は明らかではありませんが、3年熟成以上の原酒が使われていますので熟成環境の恩恵は十分に感じられるでしょう。
瀬戸内の潮風によって育てられたモルト原酒を使っているクラフト蒸溜所ならではのウイスキーですね!!
桜尾の営業マンの素晴らしさ(筆者の近辺での話)
今回、桜尾をレビューするきっかけとなったのは、もちろん偶然入店した酒屋で入荷されていたからです。気になっていた衝動にかられて購入しましたが、もう一つ理由があります。
桜尾は良質なジンを販売していることで知られていますが、新商品となるウイスキーの販売を促進するには、メーカーの営業活動が必須だと考えます。
さらに、この営業担当者の素晴らしい対応について、あるバーテンダーから話を聞きました。桜尾の営業担当者は「どんな難しく細かい質問(原料、製法、仕様)をしても、しっかりとすべての質問に答えてくれたんだ」と言っていました。
普通(筆者の想像ですが)、商品のパンフレット上の情報や販売本数、リリース予定など、売り込むために必要な知識を持っていれば、原料の産地や蒸留工程などの質問には「調べてみます」と答えることが多いかもしれません。しかし、すべての質問に即座に答えたそうです。
つまり、1つのブランドに関する情報共有が優れており、営業担当者であっても造り手としてのプライドをしっかりと持ち合わせている証拠だと感じました。歴史があるにもかかわらず、おごることなく自社のウイスキーの素晴らしさを伝えようとするその姿勢が、今回の購入のきっかけになったのです。
頑張れっ!!桜尾!!
では、「シングルモルト桜尾」をストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしてみたいと思います!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- バニラ、カスタード、ドライフル―ツ、シトラス、ハーブ、スモーク、潮
味わい
- ドライフルーツ甘み、スパイシーで潮気を感じるアフター
感想
香りは、バニラやカスタードのクリーミーな甘さに熟したドライフルーツの果実香が組み合わさり、爽やかなシトラスの香りとわずかなハーブのニュアンス、僅かながらのスモーキーで潮の風味が漂います。
口に含むと、やや若さを感じつつも、熟成したフルーティーな要素が広がり、スパイシーさとビターなノートが後に続きます。そして、シトラスの風味を帯びたビターな要素に潮風のニュアンスが絡み合い、爽やかな飲みごたえのある味わいがしっかりと感じられ、余韻の中でゆっくりと消えていきます。
微かに香る潮風の風味とスモーキーな香りが非常に心地よく、3年間の熟成にもかかわらず、味わい深いシングルモルトと思います。
個人的にクラフトウイスキーの中でも上位に入る味わいでした!そして何よりプライスが良心的で素晴らしいと思います!!
ロックで飲んでみる
香り
- バニラ、ビターチョコ、ウエハース、シトラス、スモーク、潮
味わい
- シトラス香るスパイシーな味わい
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、バニラとほろ苦いビターチョコレート、穀物の香ばしさとウエハース、そしてシトラスにスモーキーで潮風の風味が感じられます。
口に含むと、香ばしくほろ苦い樽の影響が広がり、海岸に近いヨードのような香りとスモーキーさが広がります。その後、ビターな要素が増し、スパイシーなノートが後に続き、シトラスの風味と絡み合って余韻としてゆっくりと消えていきました。
氷が溶けてくるにつれて、シトラスに海のような独特のニュアンスが漂い出します。ただし、アイラモルトのような感じではなく、非常に爽やかで飲みやすく、ビターな特徴がありますが、柑橘系の風味が感じられるので、初心者でも十分に楽しめる味わいだと思います。
海風の影響を受けたモルトならではの味わいがします。ただ、瀬戸内らしく優しく瑞々しさあふれる感じがあり、味の変化も楽しめてオススメです!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- バニラ、ウエハース、シトラス、スモーク
味わい
- 柑橘のビター、ほのかに感じるスモークと磯っぽさ
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、かなり控えめですが、バニラのニュアンスとウエハースの香ばしさ、そしてウエハースにスモーキーな風味が感じられます。
口に含むと、爽やかなシトラスの香りと香ばしいモルトの風味が広がります。ビターは柔らかく、香ばしいウエハースの味わいが感じられると、シトラスの爽やかさと少しの甘みと共にスムーズに消えていきます。
全体的にはドライな特徴を持ちつつ、心地よいシトラスとスモーキーな香りが広がっています。甘めのハイボールを好む方には少し物足りないかもしれませんが、食事との相性はバツグンです!!
ストレートから一貫してシトラスと潮っぽさがあり、ハイボールにすると炭酸の爽快さにとても良く馴染みます!レモンを追加で入れてもよいかもしれません!
まとめ
クラフトウイスキー「シングルモルトジャパニーズウイスキー桜尾」のレビューでした。
広島の「瀬戸内の海と自然が育んだウイスキー」のキャッチフレーズ通りの味わいがあり、若い熟成年数にもかかわらず複雑さを感じる素晴らしいウイスキーでした。日本のクラフトウイスキーには通常、「手に入りにくく」「高価」というイメージがありますが、桜尾は非常に現実的な価格で提供されています。
味わいに関しても、非常に出来が良いと感じますし、クラフトウイスキー分野で鹿児島県の「嘉之助蒸溜所」がリリースする「シングルモルト嘉之助」と同様に、高いクオリティを持っていると思います。どちらも若い原酒のみを使用しているという状況で、高い評価を得ており、今後どのようなウイスキーに成長していくのか非常に楽しみです。
日本の大手ウイスキーメーカー以外のジャパニーズシングルモルトウイスキーを試してみたい方にとって、「桜尾」は手頃で試しやすい選択肢だと思います。
チャレンジ精神と確かな品質を持った「桜尾」、見かけた時は是非、チェックしてみて下さい!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
桜尾から出ているリーズナブルなブレンデッド「戸河内」まずはこちらからチェックしてみても良いかもしれません!!
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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