今回は、茨城が誇るクラフトウイスキー「日の丸ウイスキー」の限定ボトル「KOME」と「シェリーカスク」の2種を直営店で試飲してきた際の感想をお送り致します!
「日の丸ウイスキー」には、茨城県内の水戸駅や石岡駅などにウイスキーの試飲が出来るテイスティングルームがありますので、機会があれば立ち寄ってみて下さい!!
このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
日の丸ウイスキーとは
「日の丸ウイスキー」は、茨城県那珂市に本拠を置く老舗の酒造り専門店「木内酒造」が手がけるクラフトウイスキーです。同社は、世界中で人気のあるクラフトビール「常陸野ネストビール」も製造しており、さらに日本酒、焼酎、果実酒など、幅広い分野で活動しています。
ウイスキー事業への参入は、2020年から本格的にスタートし、その際に培った醸造技術と茨城県の風土を生かして、独自の味わいを追求し、ウイスキーの生産に積極的に取り組んでいます。
「日の丸ウイスキー(木内酒造)」は現在、2つの蒸留所を拠点にウイスキーを製造しています。1つは創業地である茨城県那珂市に位置する「額田蒸溜所」で、焼酎製造の一部から試験的にウイスキー製造を開始しました。現在のボトルには、額田蒸溜所で生産されたモルト原酒も多く使用されています。
もう1つは、茨城県石岡市にある「八郷蒸留所」です。以前は公民館として使用されていた建物をリノベーションし、本格的なウイスキー蒸留所として稼働しています。興味深いのは、ポットスチルの初留と再留がフォーサイス社の製品で行われ、さらにグレーンウイスキーも同じポットスチルで蒸留されていることです。近年では、連続式蒸留器の導入も計画され、さまざまな種類のウイスキーの蒸留が予定されています。
現在、日の丸ウイスキーは主に原酒を「八郷蒸留所」にある貯蔵庫で熟成させ、さまざまな種類の熟成樽を使用して多彩な原酒を生産しています。
2つの蒸留所と多彩な樽で日の丸ウイスキーの原酒は今も茨城の風土で熟成という眠りについています。
日の丸ウイスキー KOMEとは
「日の丸ウイスキー KOME」は酒米30%の配合で醸造したもろみをポットスチルで蒸留したライスグレーンウイスキーに、モルト原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーです。熟成にはバーボン樽、シェリー樽を用いて3年以上熟成した原酒を使用。
米由来のフルーティーな香りとモルトウイスキーが奏でる複雑な味わいが特徴というとてもユニークなウイスキーです。
お米を使ったグレーンウイスキーは日本ならではの発想ですね!
近い将来、お米のシングルグレーンウイスキーといった商品も出るかもしれません!
日の丸ウイスキー シェリーカスク
「日の丸ウイスキー シェリーカスク」は「額田蒸溜所」で蒸留したモルト原酒をシェリー樽で5年以上かけて熟成したモルトウイスキー。蒸留と熟成が別の場所なので、シングルモルトとは謳えませんが同社の良質なモルトと筑波山の麓でじっくりと時間をかけた意欲作です。
5年という熟成期間は短いという意見もありますが、詰められる原酒によっては短い方が良かったりする場合もあります。
ウイスキーに古くから使われてきたシェリー樽、ウイスキーの色味からも「シェリーカスク」は期待がもてますね!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
日の丸ウイスキーKOMEを飲んでみる
香り
- ハチミツ、バニラ、パウンドケーキ、メロン、乳酸菌
味わい
- 爽やかな酸味と香ばしいモルト感
感想
「日の丸ウイスキー KOME」から飲んでみます。
香りは「THE 1st」や「2023」と同じように、ハチミツの甘い香りとバニラ、そしてパウンドケーキに日本酒のような酸味(乳酸菌)とメロンの香りがほんのり感じられます。3年の熟成とのことで、もっと刺々しい印象を想像していましたが、意外なほどまろやかな印象に驚きました。
口に含むと、麦の香ばしい香りと焼酎(米)のようなツンとした刺激があり、スパイシーな味わいが広がります。そして、ビターな要素が後から追いかけてきて、スパイシーさと共に米ぬかを思わせる和風のテイストを帯びた余韻がゆっくりと消えていきます。
やや米焼酎のようなスピリッツ感はありますが、一貫して1stから感じるハチミツの香りや香ばしいモルト感がとても好印象でした!!
加水してみる
ここで、用意された加水用の水を少量加えてみました。このお水は仕込み水だと聞いたところ、専用のボトルから注がれており、モルトとの相性も抜群だそうです。しかし、残念ながら”非売品”とのことでした。
水を加えると、爽やかな酸味が際立ち、乳酸菌のような特徴も感じます。ハチミツ、ビスケット、バニラの要素もありつつ、米由来の成分が広がっている印象です。
口に含むと、爽やかな香りと共にスパイシーさが際立ち、同時に味わいもビターな方向に変化します。バーボン樽の要素も感じつつ、加水によってライスグレーンの存在が引き立ち、和のウイスキーらしい特徴を強く感じました。
加水すると上質な日本酒の香りにも似た爽やかさが感じられるようになりました。まさに日本の和イスキーといった味わいです!
更に加水すると
そして、さらに加水をしてみました。
香りはバニラとシトラスのような爽やかさが感じられ、味わいはかなりビターな要素が際立っています。口に含むと、ますますシトラスの香りとビターが広がり、ややスパイシーで、日本酒のような発酵感のある酸味が感じられます。そして、ハチミツの甘さとスパイスが優しく、ゆっくりと消えていく余韻は短めで、サッと消えていきます。
今回の試飲では15mlのテイスティングでしたが、スプーン1杯分くらい加水するとビターが強まる傾向にあるようです。しかし、爽やかな香りは変わらずあってとても心地良いです!
日の丸ウイスキーシェリーカスクを飲んでみる
香り
- レーズン、黒糖、ハチミツ
味わい
- 円味のあるエレガントさ、シェリー樽の素直な要素
感想
次は「日の丸ウイスキー シェリーカスク」を飲んでみます。
香りは非常にエレガントで、シェリー樽特有の赤い果実を思わせる芳香が広がり、ハチミツや黒糖などの甘い香りも感じられます。
口に含むと、華やかでフルーティーな香りが広がり、黒糖の甘さとブドウの皮(タンニン)が一体となって喉を通り過ぎます。余韻にはシェリー樽特有のタンニンとややほろ苦さが残り、5年の熟成に比べて長めです。
シェリー樽原酒特有のネガティブなゴムや硫黄のような香りは感じられず、フルーティーで赤い果実を彷彿とさせるエレガントな味わいを楽しむことができました。個人的にはもう少し熟成感が欲しいところですが、あまり長く熟成させるとあまりにも重たくなる印象も残りました。(約12年程度が最も飲み頃に感じました)
想像以上にエレガントな香りで果実味もありとても美味しかったです!熟成感がもう少し欲しいところですが、これは時間しか解決策はありませんね!
加水してみる
では、加水をして飲んでみます。
香りは一気に甘みが広がり、ハチミツとシュガートーストのような香ばしさと菓子のような香りが感じられました。
口に含むと、スパイシーさが強調され、同時にブドウのタンニン感も増して、シェリー樽熟成特有の風味が広がります。また、飲み干してスタッフの方とお話を聞いていると、グラスからは洗剤のようなパフューミーな香りも漂ってきました。5年間の熟成にもかかわらず、充分に楽しむことができる内容でした。
加水すると甘い香りが引き立ってきます。空いたグラスからは洗剤のようないい香りが立ちモルトの可能性を感じました!!
まとめ
茨城県の木内酒造が手がける「日の丸ウイスキー」。今回、限定ボトルとして「KOME」と「シェリーカスク」を水戸駅構内の直営店「きき酒処」で試飲しました。
2022年の1stエディションから、いくつかの限定リリースを行っている「日の丸ウイスキー」。今回の「KOME」は、バーボン樽原酒の香ばしさに日本酒の爽やかな酸味が加わり、日本人にしか創り出せないテイストを持っています。熟成期間はもう少し長ければ良いと感じましたが、ハイボールとの相性はとても良いのではないかと思います。
一方、「シェリーカスク」は樽の特性が素直に現れ、5年の熟成に思えないほどエレガントな味わいが楽しめました。価格が30,000円を超えるため、手が出しにくい部分もありますが、期待を大きく超える味わいで、仕方がありませんね!
どちらもまだ熟成中の段階であり、今後に大いに期待できる味わいです。日本中でさまざまなクラフトウイスキーが生まれていますが、茨城の風土を活かした、日本を代表するウイスキーに育ってほしいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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