

樽をまとったモンスターのイラストが印象的なラベルのウイスキー「ピーツビースト」をご存知ですか!?

今回は、思わず”ラベル買い”をしてしまいそうな「ピーツビースト(ピートの野獣)」というシングルモルトウイスキーをご紹介します。
ピーツビーストを簡単にまとめると

- ウイスキーの属性:シングルモルト
- 産地:スコットランド
- 蒸溜所:未公開
- 飲みやすさ:★★☆☆☆☆
- 味わい:シトラスの爽やかさ、加水でスモーキーに激変
- おすすめの飲み方:まずはストレート、そしてロックorハイボール
- 総合評価:★★★★★☆
- どんな人に向いている?:アイラモルトファン、スモーキーなウイスキーを好む人
このウイスキーについて
ピーツビーストとは

「ピーツビースト」は、2011年に誕生した蒸留所非公開のシングルモルトウイスキーで、製造を行っているのはスコットランドにあるボトラーズ会社「フォックス・フィッツジェラルド社」です。
創業者であるイーモン・ジョーンズ氏は、ダルモアなどで有名なホワイト&マッカイ社でディレクターを務め、数々のウイスキーを手掛けていました。そして、ジョーンズ氏は輸入業を行っているジェラルド・エルドリッチ氏と共に、専門知識と材料を活用して新しいウイスキーブランドを作ることを決意しました。
「ピーツビースト」は、同社がリリースした最初のボトルで特徴的なラベルが目を引きます。このラベルデザインは、友人のマーク・グラハム氏と、LA在住のブラジル人アーティスト、ダグ・アルベス氏のコラボレーションによるものです。
そして、ラベルデザインに負けないほど力強い味わいを実現するため、ジョーンズ氏の古巣でもあるホワイト&マッカイ社のマスターブレンダーであるリチャード・パターソン氏に味のヒントを打診しました。彼は「ザ・ノーズ」として高く評価される名ブレンダーで、”獰猛な獣を思わせる味”を提案し、こうして謎多きシングルモルト「ピーツビースト」が誕生したのです。


「ピーツビースト」にはこれだけスペシャリストが携わっているんですね!!

味わいはもちろん、ラベルデザインにも非常に強いこだわりを感じます!!
ピーツビーストの正体(中身)

「ピーツビースト」はシングルモルトではありますが、蒸留所は公開されていません。公式サイトには「ピーツビーストはアイラ島から来たのかもしれませんし、そうではないかもしれません…。」と書かれており、非常に曖昧な表現が使われています。
「ピート=アイラ」と結びつけてしまいがちですが、スコットランドでは古来より家庭用燃料として”ピート”が使用されていたため、ピートの効いたウイスキーというのも身近な存在です。アイラ島に限らず、蒸留所の中で最も多いハイランド(スペイサイドを含む)でもピートの効いたモルトウイスキーの生産が行われています。
噂では、ハイランドの「ベンロマック」ではないかという話もありますが、シークレットである以上、様々な想像を巡らせて飲むことが一番かもしれません。


ウイスキーは蒸留方法、樽、気候など様々な要因により一つの原酒が出来ます。そこから一つの銘柄にするためにブレンドがされるので、蒸留所を特定するのは困難(泣)

やはりここは”シークレット”という醍醐味を味わってみたほうが良さそうですね!!

では、今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類で味と香りを確かめていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)

フレーバーチャート

味わいチャート

ストレートで飲んでみる
香り
- シトラス、ピート、胡椒、食パン、木、スモーク
味わい
- 果実味とピートの刺激
感想
まずは、ストレートから飲んでみます。
香りはピートの香りよりもシトラス(レモン、グレープフルーツ)が際立っており、意外なほど爽やかな印象です。他には、スパイシーな胡椒、食パン、湿った木片などもあり、全体を優しいスモークが包んでいます。
口に含むと、サラッとしたややオイリーな感触でほのかなバニラとピートの香りが広がります。そして、シトラスとスパイシーが膨らんで、ピーティーさと混じりながらゆっくりと消えていきます。
ラベルデザインとは対照的にバランスの取れた味わいで、香りもシトラスがメインですが、時間を置くとバニラの香りもしてきます。蒸留所が不明なだけに想像力を掻き立てる、魅力的な味わいのモルトです。

シトラスとライトなピーティーさは「カリラ」と思いましたがヨードを感じません。ということは!?謎は深まるばかりです。
ロックで飲んでみる
香り
- スモーク、ピート、灰、土、シトラス、バニラ、ダークチョコ
味わい
- スモークとピートのドライな味わい
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、驚くほどスモーキーでピーティーに変化します。灰のようなパリパリと乾いた印象から土のようなニュアンスへと移り、奥にシトラスやバニラの微かな香りが広がり、ほんのりとダークチョコのほろ苦さが漂います。
口に含むと、非常にスモーキーでピートの効いたドライな味わいが口中に広がります。そして、シトラスの爽やかさとスパイシーさがじわじわと膨らみ、ビターでスパイシーな風味が残る余韻は長くは続かず、さっぱりとしています。
ただ、氷を入れるだけでこんなにも煙たい香りと味わいになるなんて驚きです。ストレートの時のシトラスが香る爽やかな印象は、仮の姿と言えそうです。まるでビースト(野獣)が本性を現した味わいですね。

ストレートとはまるで違う煙たくピーティーな味わいへの変化は驚くばかりです。是非、ストレートで飲んでからロックを試してみてください!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- スモーク、ピート、灰、シトラス
味わい
- スモークと爽やかなシトラスの香り
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは大分弱まりましたが、煙たいスモーキーさとピート、そして灰のような乾いた感覚があり、わずかにシトラスの爽やかさが感じ取れます。
口に含むと、シトラスからくるビターとスモーキーな香りが広がり、灰の乾いたニュアンスまたは、焚き火っぽい香りがシトラスと混じりながらスッと消えて余韻は僅かなスモークが残ります。
全体の印象はスモーキーでドライな感じですが、飲み込む際に”クリーミー”または”ジューシー”な感覚があり、ただスモーキーなだけではなくシトラスの香りやモルトの旨味を感じられるバランスの取れたハイボールです。

シトラスの爽やかさと煙たさがクセになる味わいで、食事にも相性が良さそうです!!飲み込む時の柔らかなモルト感は是非、体感してほしいです!
まとめ
「ピーツビースト」のレビューをお届けいたしました!
何といってもカッコいいラベルデザインで、味わいを知らなくても手が出てしまいそうですがウイスキーですが、描かれているビースト(野獣)は伊達ではありませんでした。
ストレートで飲む分には多少ピーティーさも感じますがシトラスの爽やかな風味と相まってバランスの良い味わいが楽しめます。
しかし、一度氷を入れたり炭酸で割ったりすると・・・、とんでもなくスモーキーでピートの効いた野獣へと変化。ウイスキーへの慣れが必要な個性的な味わいになり、コアなウイスキーファンも納得させるクセの強い味わいが飛び出してきました。
目を引くラベルが気になっている方も多いかもしれませんが、ピートの野獣に挑む心構えが出来た人だけ試した方が良いかもしれません(笑)
このように書くと「そんなに煙たいのか!?」と一部の変態系ウイスキーマニアを煽るようになってしまいましたが、煙たさやピーティーの度合いでいうと「カリラ」に近しくもう少し柑橘が強いイメージです。
ただ、ストレートからその先のロック、ハイボールと飲み方を変えて行ったときの変化幅は非常に大きくラベルの印象に沿った内容になっていて非常に面白みのあるモルトであることは間違いありません。
ピーティーで煙たいウイスキーを好む人であれば、間違いなく気に入るシングルモルトウイスキーであると言えます!!

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
コメント