桜尾の姉妹ブランド「戸河内」にピーティーな味わいが楽しめるボトルがあります!!
今回は、手軽にピーティーな味わいが楽しめるジャパニーズウイスキー「戸河内 ピーテッドカスクフィニッシュ」をご紹介いたします!!
このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
戸河内とは
「戸河内」という名前、聞いたことがありますか?これは、広島県の桜尾蒸留所で造られているジャパニーズウイスキーのブランドです。しかしこの名前には、ただのブランド名にとどまらない、特別な意味が込められています。実際、「戸河内」とは、ウイスキーの原酒が熟成される場所の名前を指します。
昔は、広島県西部にあった町の名前でもありましたが、今では広島市内の安芸太田町の一部に統合されています。この土地で育まれるウイスキーには、その土地ならではの歴史や風土が織り交ぜられています。
戸河内ウイスキーを味わうと、まるでその土地の歴史を垣間見るような感覚に包まれます。それぞれのボトルには、広島の美しい風景や人々の温かさが凝縮されているのです。
桜尾蒸留所
「桜尾蒸留所」は、広島県廿日市市にあります。この蒸留所は2017年に完成し、瀬戸内海を一望できる絶好のロケーションにあり、ウイスキー製造に理想的な環境にあるのが特徴です。ここで生み出される原酒は、「桜尾蒸留所」独自のものであり、クラフト蒸留所の中でも他に類を見ない独特の味わいを持っています。
さらに、ウイスキーの熟成には桜尾蒸留所内の熟成庫の他に、今回のレビューボトルの名前にもなっている「戸河内」という山間の熟成庫も利用されています。それぞれの環境が原酒の特性を引き出すことによって、このウイスキーの独自の魅力が形成されます。
戸河内の製法
「戸河内」ウイスキーは、桜尾蒸留所において独自の製法で生み出されています。この蒸留所は非常にコンパクトで、蒸留を行うスチルは1基のみ。それでも、モルトの粉砕から蒸留までの全工程がここで丁寧に行われています。
ここで使用されているスチルは、アーノルド・ホルスタイン社製のハイブリッドスチルで、単式蒸留のポットスチルと連続式蒸留のコラムスチルが織り交ぜられています。初留ではポットスチル部分のみを使い、約46時間かける再留ではポットスチルとコラムスチルを併用します。この独特の工程によって、甘みがあり飲みやすい原酒が誕生します。
さらに、桜尾蒸留所ではスコットランドから輸入された厳選されたモルトが使用されており、そのうち約半分がノンピートで、残りがミディアムピートです。このモルトが、戸河内ウイスキーの独特の香りや風味を織り成しています。
独特の熟成環境(戸河内熟成庫)
桜尾蒸留所には、敷地内に桜尾貯蔵庫に加えて「戸河内貯蔵庫」があります。この貯蔵庫の最も特筆すべき点は、かつての鉄道用トンネルを活用していることです。このトンネル内では、一年中冷涼な気温が保たれ、気温は約15°C、湿度は約80%という安定した環境が提供されています。
この特別な環境が戸河内ウイスキーの熟成をゆっくりと促進し、桜尾貯蔵庫の原酒とは一線を画す味わいの原酒を生み出しているのです。
トンネルの中は年間を通して湿潤冷涼で、ウイスキーの熟成はゆっくりと進みます!!
廃線になったトンネルで熟成を行うという発想が凄いですね!!
戸河内 ピーテッドカスクフィニッシュ
「戸河内ピーテッドカスクフィニッシュ」は、ピーティーな燻製香をもつウイスキーが熟成された樽で、独特の風味と香りを生み出すフィニッシングを施されます。このプロセスによって、ウイスキーに豊かな甘みと深み、そして独特のピート香が与えられます。
さらに、このウイスキーは2021年4月に日本洋酒酒造組合で制定された「ジャパニーズウイスキー」の定義に準拠し、使用されるモルトウイスキーとグレーンウイスキーは、どちらも「SAKURAO DISTILLERY」で蒸留・貯蔵されたもののみがブレンドされ、ボトリングされています。
「戸河内 ピーテッドカスクフィニッシュ」は正真正銘のジャパニーズウイスキー!!
戸河内の環境で育まれた原酒にピートのエッセンスが加わったウイスキー、味わいがとっても気になりますね!!
それだは今回も、ストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- カカオ、バニラ、オレンジ、ウエハース、ピート
味わい
- ほろ苦くスパイシー、ピーティーな余韻
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、カカオのほろ苦さとオレンジなどのシトラスの爽やかな酸味が最初に感じられ、バニラやウエハースの香ばしい香りにピートのツンとしたアクセントが加わります。
口に含むと、オレンジの爽やかさと香ばしい穀物感が口の中に広がります。そして追いかけるようにスパイシーさが出てきて、少しスモーキーなピートのニュアンスが広がり、最後にはシトラスの風味とビターがゆっくりと消えていきます。
ピートというと嫌がる方もいるかもしれませんが、アイラモルトなどのような強烈なピート香ではなく、もっと控えめで優しく香る程度で落ち着いた味わいです。シトラスからくる爽やかさと、桜尾ならではの香ばしい穀物感が心地よく、他にはない独特の味わいが楽しめます!!
少しだけツンっとしますが、シトラス、ほろ苦い甘さなどとうまくバランスがとれていますので、ピート感はさほど気にしなくても大丈夫だと思います!
ロックで飲んでみる
香り
- オレンジ、カカオ、バニラ、オーク、スモーク、ピート
味わい
- ほろ苦い味わい、スパイシーでシトラスとピートが絡む余韻
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、オレンジのほろ苦さが混ざったカカオと、バニラと焦がしたオークの香りがします。さらに、柑橘(オレンジ)のフレッシュな皮のニュアンスと、ミルクチョコレートのようなクリーミーでほろ苦い香りも感じられます。
口に含むと、シトラスのフレッシュな柑橘の香りと、ミルクチョコレートのほろ苦くクリーミーな味わいが広がり、その後ビターなとスパイシーなニュアンスが膨らんできます。そして、シトラスの爽やかさとピートのアクセントが混ざった余韻は、わずかに舌に柑橘の皮を思わせるビター感が残りながら、ゆっくりと消えていきます。
味わいはビターな傾向がありますが、それを包むような穀物の香ばしさと、チョコレート、バニラの甘さがあります。若干の若々しさを感じますが、目立った荒々しさはなく、スルッと飲める印象でした。
ストレートよりも感覚的にフレッシュでクリーミーな印象でした。ピート感がやや強まりますが、シトラスとクリーミーさが上手に包み込んでくれています。
ハイボールで飲んでみる
香り
- ピート、スモーク、シトラス、カカオ、オーク(ヨード)
味わい
- 心地よいピートスモークとクリーミーさ
感想
最後はハイボールで飲んでいきます。
香りは、ピートとスモーキーなニュアンスがかなり前面に出てきます。しかし、決して強烈な印象ではなく、独特のオーキーな香りと、ほろ苦いカカオの香りが調和しています。また、全体的に香りはやや控えめですが、ヨードのようなニュアンスもスモーキーさの中に感じられます。
口に含むと、ピートのシトラスが絡んだ酸味のあるフレッシュな味わいが口の中に広がり、徐々にスモーキーで柑橘を思わせるビターな感覚が広がってきます。そして、ピートの香りにオーキーな要素が顔を出し、クリーミーな味わいを感じると、そのまますっと消えて余韻は短く、ほんの少しスモーキーな香りが残ります。
ロックの時よりもピートのニュアンスとスモーク感が強く感じられます。アイラモルトを好む方でも満足出来る味わいに仕上がっていると思いました。
ピートとスモーキーな香味が際立ち、好きな人にはたまらない味わいがします。クリーミーさを感じる穀物の甘さもあるので、苦手な人でも飲めてしまうのでは!?
まとめ
「戸河内 ピーテッドカスクフィニッシュ」のレビューでした。
個人的にはリニューアルされた「戸河内」の中でも、市場では一番タマ数が少ない印象があり、人気なのか、生産本数が少ないのか不明ですが、加水していくほどにピーティーな味わいが楽しめるボトルといった印象を受けました。
ストレートでは原酒の穀物の甘みとシトラスのスッキリとしたキレのある味わいが楽しめ、ロック、ハイボールと加水されていく度に、スモーキーでピートのニュアンスが顔を出してきます。
最初は「思ったほどピーティーではないなぁ」といった印象でしたが、ハイボールの頃には煙たさやヨード感まで感じられ、フィニッシュのみの熟成でも十分ピートの香りを楽しめる味わいに仕上がっています。
ピートの香りが苦手な方には少しハードルが高いかもしれませんが、”飲めるようになりたい”という方や、”ピートにニュアンスを知ってみたい”という方には丁度よい加減のピーティーさを持っています。
そして、なによりジャパニーズクラフトウイスキーとして手の届きやすい価格帯というのも非常に魅力的ですし、近い将来ヴィンテージの「戸河内」のリリースも非常に楽しみでもあります。
ボトルデザインのイメージからは想像できない、優しい穀物の味わいと程よいピート感が楽しめる「戸河内 ピーテッドカスクフィニッシュ」おすすめです!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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