このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
バーボンウイスキーといえば!?「アーリータイムズ」を思い浮かべる方も多いのでは内でしょうか!?
日本でも馴染み深いアメリカンウイスキーの代名詞「アーリータイムズ」がリニューアル!!
今回は、新たに生まれ変わったアーリータイムズの廉価版「アーリータイムズ ホワイトラベル」をご紹介致します!!
アーリータイムズとは
ブランドの移り変わりと誕生地の思い
アーリータイムズはブラウンフォーマン社のダウンタウン蒸溜所で生まれたウイスキーです。しかし、2020年にサゼラック社にブランドが売却され、製造拠点も「バートン1792蒸溜所」に移されました。この蒸溜所は、同じ名前のスモールバッチバーボンの発祥地であり、アーリータイムズもそこで初めて作られたことがあります。つまり、アーリータイムズはブランドの故郷に”帰ってきた”と言えるのです。
輸入元の変更と新たな一歩
日本においても、アーリータイムズは変革の時を迎えました。2022年6月には、輸入元がアサヒビールから明治屋に変更されました。この変更により、新たな展開やアーリータイムズのブランドが日本でどのように受け入れられるかが注目されました。
当時、アーリータイムズが終売と聞いてとても驚いた記憶があります。バーボンの代名詞的存在が店頭からなくなるなんて思いもしませんでした。
休売と新たな挑戦
これらの変更に伴い、アーリータイムズは一時的にレギュラーのイエローラベルなどが休売となりました。しかし、新しい蒸溜所で生み出された原酒をベースにしたホワイトラベルが、2020年9月から販売を開始しました。
以前のイエローラベルからホワイトラベルへの変更に伴い、ブランドイメージも大きく変わり古参銘柄の中では一際、洗練された印象へと変わりました。
黄色いラベルから白い現行ラベルに変更されたときはとても驚いた記憶があります!!
では、アーリータイムズがどのように生まれ変わったのかを見ていきましょう!!
アーリータイムズ ホワイトの製法
ホワイトラベルの特徴(バーボンではない)
アーリータイムズが新しいホワイトラベルを投入するにあたり、注目すべき変更があります。実は、この新製品は「バーボンではない」のです。アメリカの法律によれば、バーボンはトウモロコシを主成分とし、51~79%のコーンウイスキーを使用し、熟成樽は新樽であることが条件とされています。しかし、ホワイトラベルでは新樽以外に一度使用してリチャー等を行った樽も利用されており、これにより「アメリカンブレンデッドウイスキー」として位置づけられています。
アメリカンブレンデッドという聞き慣れないジャンルに戸惑った人も多いかもしれません。
現在のアーリータイムズのあり方
アーリータイムズは、バーボンウイスキーの製法に基づく条件を満たしており、ライムストーンウォーターなど高品質な原料を使用しています。ただし、熟成させる樽の条件に関しては異なり、中古の樽で熟成させた原酒が20%を超えるため、アメリカ本土ではケンタッキーストレートウイスキーとして販売されます。
この基準を敢えて外さない理由は、アーリータイムズがアメリカ本土の飲み手の好みを分析し、バーボンウイスキーの定義から外れることで、より洗練された味わいを提供できると判断したからです。厳格なバーボンの定義に従えば、名前をバーボンウイスキーとすることは難しくなりましたが、知名度や飲み手の嗜好を考慮し、より重要な要素と判断されたためです。
ただし、以前までのアーリータイムズイエローラベルは中古樽で熟成させた原酒が20%未満であるため、日本ではバーボンウイスキーとして販売されていました。現在では、同じリニューアルしたアーリータイムズの中で「ゴールドラベル」として販売されています。
実際に、以前から本国のアーリータイムズの殆どが「ケンタッキーストレート」や「アメリカンブレンデッド」でした。
しかし、輸出する場合はバーボンでないと売りづらいという観点から、コストの掛かるバーボンウイスキーとして販売がされてました。
つまり、今回の「アーリータイムズ ホワイトラベル」は従来から本国で飲まれている本場のアメリカンウイスキーの仕様とも言えるわけですね!
それでは、本場のアメリカンウイスキーの味わいをストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- セメダイン、オガクズ、ビスケット、ぶどうジュース、バニラ、キャラメル
味わい
- ライトでエステリー、安ウイスキー感
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、バーボンウイスキーに非常に近いエステリーな香りで満ち溢れ、セメダイン臭とアルコール感のある香りがあります。オガクズ(製材所)の新樽熟成特有のニュアンス、香ばしく焼き上げたビスケット、バニラ、キャラメルと続き、そしてぶどうジュース(子供が好む味)の香りが薄っすらと漂っています。
口に含むと、アルコール感はありますがキツさはなく、むしろ味わいが薄いと感じるくらいにライトな印象です。華やかなエステリーさが膨らむと同時にセメダインのような香りが広がり、スパイシーさが徐々に膨らみます。そして、バニラっぽさを感じてくると、スパイシーさと混じりながら尾を引き、ピリッとしたスパイシーな余韻がゆっくりと消えていきました。
以前のイエローラベルの頃よりも飲みやすさという点では勝りますが、やはりどこか薄い印象があります。この辺がバーボン本来の力強さに敵わないブレンデッドならではの味わいなのかもしれません。薄いというとネガティブな印象ですが、ライトと言い換えれば新たなファン獲得につながる味わいとも言えるでしょう。
まぁまぁのアルコール感はありますが、ストレートでも楽しめる滑らかさはアメリカンウイスキーならではの飲み心地でした。
ロックで飲んでみる
香り
- セメダイン、シンナー、オガクズ、バニラ、キャラメル、(卵の殻)
味わい
- ビターでエステリーな香り
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ストレートの時よりもセメダインの香りが強く感じられるようになり、シンナーっぽさもあります。また、新樽のオガクズのような木の香りにバニラやキャラメルの甘くウッディな香りに、卵の殻!?とも思えるような石灰感が漂っています。
口に含むと、バニラやキャラメルの甘さに混じって、セメダインっぽいエステリーさが広がります。そして、ビターとスパイシーさが徐々に膨らんでくると、エステリーさが再び追いかけてきて、スパイシーな味わいがジリジリと響きゆっくりと消えていきます。
バーボンはロックで飲むことが多いのですが、今回のホワイトラベルに至ってはストレートのほうがまろやかさがあり、セメダインっぽさも少なく飲みやすい印象を持ちました。
ロックにすると、セメダイン臭やピリつきなどネガティブな部分が出てくる印象ありましたしかししかし、ビターな味わいを好む方なら抵抗なく飲めると思います。
ハイボールで飲んでみる
香り
- オガクズ、セメダイン、バニラ、キャラメル、渋柿
味わい
- 華やかでビターな味わい
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、新樽の切ったばかりを連想する木の香りやオガクズが最初に感じられ、続いてやや弱まったセメダインにバニラやキャラメルの甘い香りが感じられます。また、渋柿!?のような酸味とタンニンが混じった香りも薄っすらと感じられ、ロックの時よりも華やかな印象があります。
口に含むと、花を思わせるフローラルな華やかさが口の中で広がり、穀物の香ばしさと甘さが優しく膨らみます。そして、飲み込むあたりからエステリーな香りがし始めると、華やかな香りとともにビターな味わいが余韻として舌の上に残ります。
ロックの時よりも香りは落ち着いてしまいましたが、ネガティブな味や香りが緩和され、穀物の香ばしさやアメリカンウイスキーらしい華やかさを感じられるようになりました。使われている原酒の配合からもハイボールで飲むのが最も美味しく楽しめるのではないでしょうか?
スッキリとした味わいと華やかな香りがとても心地よいハイボールです!!既存のバーボンよりも飲みやすく、良い意味で主張が少なく食中でも邪魔をしないクリアさが印象的でした。
まとめ
リニューアルしたアーリータイムズ「ホワイトラベル」のレビューでした。
現在、アーリータイムズでは「ホワイトラベル」とバーボンウイスキーとしての「ゴールドラベル」の2つのバリエーションが提供されています。これらは以前のアーリータイムズとは異なる製造元やアプローチが採用され、旧ボトルの印象からは少し変わった味わいに仕上げられています。これは、最新のウイスキーの傾向や飲み方に合わせて仕様が変更された可能性があります。
特に「イエローラベル期」のアーリータイムズに比べ、現行の製品は非常にライトな印象を与えます。ストレートでの飲用では物足りなさを感じるかもしれませんが、ハイボールにするとそのクセの少なさが現代の好みに合った華やかな味わいとして際立ちます。
最近では、サントリーの角瓶を含む従来の家庭で楽しまれてきたウイスキーが価格上昇の影響を受けており、経済的な制約もあるかもしれません。そのため、同じ価格帯または少しリーズナブルな価格帯で、ハイボール愛好者にとって新たな味わいのアメリカンウイスキーを試してみるのも良いアイデアかもしれませんね。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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