【レビュー】スプリングバンク10年の味と香り、モルトの香水と呼ばれる理由を解説!

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sister-ley
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こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!

今回は、「スプリングバンク10年」の解説&レビューを行っていきます!!

スコットランド西部の港町キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所は、1828年の創業以来、伝統と革新を融合したウイスキー作りで知られています。

その代表作「スプリングバンク10年」は、”モルトの香水”と呼ばれ、地域特有の個性と蒸溜所の哲学が詰まった一本です。

有名なモルトとはいえ、初心者でも楽しめるのか?あるいはウイスキー愛好家向けなのか?気になる方も多いと思います。

本記事では、蒸溜所の歴史や製造方法、香りや味わいの特徴、ラインナップに至るまで詳しく解説。「試してみたいけど迷っている」方にも役立つ内容となっています!

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スプリングバンク10年はこんなウイスキー

スプリングバンク10年の詳細はこちら
カテゴリーシングルモルトスコッチウイスキー
産地スコットランド・キャンベルタウン
蒸留所スプリングバンク蒸留所
アルコール分46%
内容量700ml
価格帯10,000〜20,000円
飲みやすさ★★★☆☆☆☆
味わいの特徴塩辛く柑橘香る
おすすめの飲み方ストレート
スプリングバンク10年の長所・特徴
スプリングバンク10年の短所・注意点
  • 他にはない独特の香り
  • 手作りならではの温かみ
  • ブリニーな味わい
  • とても華やかで香しい
  • ピートが苦手な人は✘
  • スモーキーが苦手な人も✘
  • 希少性からプレ値での流通
  • 飲みやすさを求めては✘

キャンベルタウン:かつて「ウイスキーの首都」と呼ばれた町

栄光の時代

19世紀、キャンベルタウンは「世界のウイスキーの首都」として栄華を極めていました。肥沃な土壌で育つ良質な大麦、豊富で清らかな水源、そして北米航路に面した港町という地理的条件が相まって、この地には30以上の蒸溜所が軒を連ねていました。キャンベルタウン産のウイスキーは、その高品質から世界中で高く評価されていたのです。

成功の背景には、湿潤な気候と豊富な自然資源がありました。これにより、大麦の栽培や水の確保が容易で、独特で豊かな風味を持つウイスキーが生まれました。また、港町という立地は、スコットランド国内外への輸送を円滑にし、キャンベルタウンをスコットランド随一のウイスキー生産地へと押し上げました。

しかし、この黄金期は長くは続かず、やがてキャンベルタウンは衰退の時を迎えることとなります。

  • 19世紀のキャンベルタウンは、肥沃な土壌や清らかな水源、港町という立地条件により、30以上の蒸溜所が栄え、「世界のウイスキーの首都」と呼ばれていました。
  • 湿潤な気候と豊富な自然資源により、高品質で独特な風味を持つウイスキーが生産され、国内外で高く評価されました。
  • 港町として輸送が容易だったため、スコットランド内外への流通が円滑に行われましたが、全盛期の後に産業は衰退しました。

挫折と復興

20世紀初頭、キャンベルタウンのウイスキー産業は急速に衰退しました。その背景には、アメリカ市場に壊滅的な影響を与えた禁酒法、不良なウイスキーの流通、そして鉄道網の拡大による市場競争の激化がありました。鉄道の発展により、他地域から低価格のウイスキーが容易に輸送されるようになった結果、キャンベルタウンの蒸溜所は価格競争に対応できず、多くが閉鎖を余儀なくされました。

現在、キャンベルタウンで稼働している蒸溜所は3つのみですが、その中でも特に注目されるのがスプリングバンク蒸溜所です。この蒸溜所は、伝統的な手法を守りながらも新たな工夫を取り入れ、独自の風味を生み出しています。また、少量生産にこだわり、地元の伝統を大切にする姿勢が高く評価されており、世界中のウイスキーファンを魅了しています。

  • 20世紀初頭、禁酒法、不良ウイスキーの流通、鉄道による市場競争の激化が原因で、キャンベルタウンのウイスキー産業は急速に衰退しました。
  • 禁酒法はアメリカ市場に打撃を与え、鉄道の発展により他地域の安価なウイスキーが市場を席巻し、多くの蒸溜所が閉鎖に追い込まれました。
  • 現在稼働している蒸溜所は3つのみで、特にスプリングバンク蒸溜所は伝統を守りつつ独自の工夫を加えた少量生産で世界中から高く評価されています。
Key(筆者)
Key(筆者)

ウイスキー産地として区分されるには、最低でも3つの蒸留所が必要とされています。そのため、キャンベルタウンは基準をギリギリで満たしている状態です。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

現在、キャンベルタウンには3つの蒸留所があります。スプリングバンク、グレンスコシア、そしてグレンガイル蒸留所です。

最後にご紹介した「グレンガイル蒸留所」は、スプリングバンク蒸留所と同じグループによって運営されています。この蒸留所は、キャンベルタウンという産地の伝統を守るために、閉鎖されていた施設を半ば強引に復興させたものです。現在では「キルケラン」というブランド名でシングルモルトウイスキーを生産しています。

スプリングバンク蒸溜所の歴史:1828年からの伝統と革新

創業と家族の歩み

スプリングバンク蒸溜所は1828年にアーチボルド・ミッチェルによって創設されました。

ミッチェル家は、当時の農業と密造酒造りで培った高い技術を活かし、品質に徹底してこだわったウイスキーを生産していました。この家族経営の姿勢は創業から約200年を経た現在も受け継がれています。

現在でもミッチェル家が経営に深く関わっており、伝統を守り続ける一方で、時代の変化に対応した革新を取り入れる姿勢も特徴的です。

伝統的な手法と現代的なアプローチを融合させ、新たなウイスキーの可能性を追求しながら、スプリングバンクの名声を支えています。この両立の精神こそが、同蒸溜所の長きにわたる成功の秘訣と言えるでしょう。

  • スプリングバンク蒸溜所は1828年にアーチボルド・ミッチェルが創設し、ミッチェル家の農業や密造酒造りで培った技術を活かし、高品質なウイスキーを生産しました。
  • 創業から約200年を経た現在もミッチェル家が経営を継続し、伝統を守りながら革新を取り入れています。
  • 伝統的手法と現代的アプローチを融合させたウイスキー作りが、スプリングバンクの名声と長年の成功を支えています。

試練と復活

20世紀初頭のウイスキー産業が大きな試練に直面した中で、スプリングバンク蒸溜所はその波を乗り越え、閉鎖を免れました。

その背景には、徹底した品質重視の姿勢と独自の製造プロセスがあります。同蒸溜所は、伝統的な手法に基づく独特な製造方法や厳選された素材を使用し、常に高品質なウイスキーを作り続けました。

この品質への妥協なき取り組みが、国内外のウイスキー愛好家から厚い支持を集める大きな要因となりました。

スプリングバンクの製造プロセスは、他の蒸溜所とは一線を画す特徴を持っています。効率よりも伝統を重んじるその姿勢は、手間やコストがかかるにもかかわらず受け継がれています。

このようにして、スプリングバンクは単にウイスキーを生産するだけでなく、スコットランドのウイスキー文化とその遺産を守り伝える存在としての重要な役割を果たしています。

その姿勢は、歴史ある蒸溜所の名声を支える原動力となっています。

  • スプリングバンク蒸溜所は、20世紀初頭の試練を乗り越え、高品質重視と独自の製造プロセスで閉鎖を免れました。
  • 効率より伝統を重視し、手間やコストを惜しまない製造方法が国内外の支持を集める要因となっています。
  • ウイスキー文化と遺産を守る役割を担い、スコットランドの伝統を未来に伝える存在として高く評価されています。

「100%自社製造」が生むスプリングバンクの特別な魅力

スプリングバンク蒸溜所の際立った特徴である「100%自社製造」は、生産の全工程を自社で行うというウイスキー業界では非常に珍しいこだわりを示しています。

この独自のアプローチは、品質と伝統への深い敬意を象徴しており、スプリングバンクのウイスキーを特別な存在にしています。以下、その具体的なプロセスを段階ごとに解説します。

フロアモルティング:手作業による麦芽作り

スプリングバンクでは、麦芽の発芽工程を伝統的なフロアモルティングで行っています。この方法では、麦芽を床に広げ、手作業で管理しながら適切な発芽を促します。

他の多くの蒸溜所が自動化を進める中、この手間のかかる手法を守り続けています。発芽後、ピート(泥炭)を使って乾燥させることで、スプリングバンク特有の控えめなスモーキーさが加わり、複雑で深みのあるフレーバーが形成されます。

糖化と発酵:伝統の味を引き出す時間のかかる工程

糖化には伝統的なマッシュタンを用い、麦芽から糖分をじっくりと抽出します。次に、発酵は木製の発酵槽を使い、72時間以上かけて行われます。この工程により、フルーティーで奥行きのある味わいが生まれます。

木製の発酵槽は管理が難しいものの、発酵の過程で特有の微生物が活躍することで、スプリングバンクならではの複雑で深い風味が作り出されます。また、この長時間発酵により、フレーバーの層がより一層厚みを増し、豊かな味わいが完成します。

蒸溜:ユニークな2.5回蒸溜

スプリングバンクの蒸溜方法は非常に独特で、「2.5回蒸溜」と呼ばれる特異な技法が用いられています。この方法では、蒸溜液の一部を再度部分的に蒸溜することで、滑らかさと複雑さを巧みに両立させています。

この手法によって、フルーティーな香りに加え、かすかな潮風を感じさせるニュアンスや控えめなスモーキーさが絶妙に組み合わさったウイスキーが仕上がります。一般的な2回蒸溜や3回蒸溜と異なり、手間はかかるものの、この方法だからこそ生み出される独自の風味が特徴です。

熟成:厳選された樽とキャンベルタウンの気候

熟成にはオーク樽をはじめとする厳選された樽が用いられ、それぞれのウイスキーが持つ個性を最大限に引き出しています。キャンベルタウン特有の気候条件が熟成プロセスに影響を与え、スプリングバンクならではの風味が自然に形成されていきます。

樽の選定や管理にも細心の注意が払われており、熟成の段階でも品質を最優先にする姿勢が徹底されています。これにより、ウイスキーの仕上がりに深みと調和が生まれています。

地域と伝統を守る「完全自社管理」の哲学

スプリングバンク蒸溜所は、多くの蒸溜所が外部に委託する瓶詰め工程を自社で行い、生産の最終段階まで徹底した品質管理を実現しています。この取り組みにより、ウイスキーの信頼性と高い品質を保ち続けています。

全工程を自社で管理する手間はかかるものの、これによりスプリングバンクならではのこだわりが最後まで守られています。また、すべての作業を地元キャンベルタウンで行うことで、地域経済や文化を支え、地元雇用の創出や伝統の継承にも貢献しています。

「100%自社製造」の姿勢は、単なる伝統維持に留まらず、品質への揺るぎないこだわりを表しています。この徹底した取り組みが、他にはない個性を生み出し、世界中のウイスキー愛好家から高く評価される理由となっています。スプリングバンクは、妥協なき品質管理によって、変わらない卓越した風味を提供し続けています。

  • スプリングバンク蒸溜所は、瓶詰め工程を含む全工程を自社で管理し、高品質と信頼性を維持しています。
  • 地元キャンベルタウンで全作業を行い、地域経済や文化、雇用、伝統の継承に貢献しています。
  • 「100%自社製造」の姿勢により、独自性と品質が保たれ、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を得ています。
Key(筆者)
Key(筆者)

「スプリングバンクの『100%自社製造』がどれだけ特別か、この記事で伝わったでしょうか?他の蒸溜所ではなかなか見られない、こだわり抜いた工程ですよね。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

では次に、蒸留所のこだわりが詰まった代表的な銘柄、「スプリングバンク10年」について解説致します。

スプリングバンク10年

スプリングバンク10年は、スプリングバンク蒸溜所の特徴を理解するために最適な一本といえます。バーボン樽とシェリー樽で熟成されたこのウイスキーは、甘みと塩味が絶妙に絡み合い、最初の一口からその複雑で調和の取れた風味を楽しめます。

スコットランドのキャンベルタウンにある、数少ない現役蒸溜所の一つであるスプリングバンク蒸溜所が生み出すこのウイスキーは、「モルトの香水」とも評される深みのある香りが特徴で、ウイスキー通からも高く評価されています。

さらに、海沿いの熟成環境がもたらす塩気や海風を思わせる「ブリニー」な味わいが、このシングルモルトに独特の個性を与えています。

今回ご紹介するのは、現行品ではなく2017年以前の旧ラベル仕様のスプリングバンク10年です。

現在市場で高い評価を得ている新ラベルは、華やかさと際立つ個性が特徴ですが、一方で旧ラベル版には、一世代前の荒々しい風味という魅力があります。

本レビューでは、この旧ラベル版のボトルを通じて、スプリングバンク本来の魅力をご紹介したいと思います。

(新ラベル:万人向け、旧ラベル:荒々しく玄人好み)

Key(筆者)
Key(筆者)

スプリングバンク10年は、同蒸留所を代表するボトル、甘さと塩味のバランスが絶妙で、最初の一杯として相応しいボトルです!

Caoli(助手)
Caoli(助手)

特に港町キャンベルタウンで熟成された影響が感じられる塩味や、複雑で深みのある香りが魅力的ですね。

sister-ley
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それでは、いつものようにストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!

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スプリングバンク10年を実際に飲んでみた

スプリングバンク10年のフレーバー

スプリングバンク10年の味わい

スプリングバンク10年をストレートで飲んでみる

香り

  • 洋梨、グレープフルーツ、バニラ、麦、ハチミツ、乳酸菌飲料、ピート

味わい

  • 塩辛く麦々しい

感想

まずは、ストレートで飲んでみます。

香りは、最初に洋梨や青りんごのような爽やかでジューシーな果実感が広がります。その後すぐに、麦芽の香ばしい香りが立ち上り、華やかで甘いハチミツのニュアンスが感じられます。また、グレープフルーツのキュッとした柑橘感や、乳酸菌飲料を思わせるような酸味のある香りも混じり、奥には潮風やピートを思わせるニュアンスが漂っています。

口に含むと、まず爽やかなグレープフルーツの柑橘感が膨らみ、その直後に塩辛くスパイシーな味わいが追いかけてきます。続いてビターさが強まり、樽由来の渋みやモルティな麦の香ばしさが口中を満たします。そして再び塩辛さを感じながら、華やかな香りを余韻に残しつつ、ゆっくりと消えていきます。

10年熟成ながら非常に華やかで味わい深く、独特の塩辛さが特徴的で、他にはない唯一無二の個性を放っています。スプリングバンクといえば「塩辛さ(ブリニー)」が際立つイメージがありますが、意外にも洋梨やハチミツのような柔らかいニュアンスもあり、決して飲みにくい印象はありません。

ウイスキーには様々な味わいの方向性がありますが、このスプリングバンク10年を一つの軸として捉えると、自分の好みを明確に見つけやすくなるかもしれません。それほど多彩な要素を感じ取れる、魅力的なモルトだと思いました。

Key(筆者)
Key(筆者)

独特の塩辛さが、「まさにスプリングバンクを飲んでいる」と実感させてくれます。また、香りや味わいの情報量が多いにもかかわらず、それらがバランスよくまとまっている点も印象的でした。

スプリングバンク10年をロックで飲んでみる

香り

  • 洋梨、青リンゴ、乳酸菌飲料、グレープフルーツ、バニラ、岩塩、麦

味わい

  • ソルティードッグのような風味

感想

次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。

香りは、洋梨や青リンゴのジューシーな果実感に加え、乳酸菌飲料を思わせる淡く甘い酸味が感じられます。また、グレープフルーツのシトラス感にバニラの甘い香りがほのかに重なり、麦らしい穀物感とスモーキーな香りが調和しています。その中に、岩塩や炒り塩を思わせるニュアンスが漂っているのも特徴的です。

口に含むと、爽やかなグレープフルーツの香りと味わいが口いっぱいに広がり、同時にほのかな塩味が感じられます。さらに、華やかでオイリーなワックスのような芳香が現れ、余韻では樽由来のウッディな渋みや柑橘のビターさ、そして塩気が混ざり合いながら、ゆっくりと消えていきます。

冷やすことで香り自体は控えめになりますが、その分爽やかな印象が際立ちました。グレープフルーツと塩といえば、ソルティドッグというカクテルを連想しますが、まさに海沿いで焚き火をしながらソルティドッグを飲んでいるような味わいが印象的でした。

Key(筆者)
Key(筆者)

最初は洋梨感が強く、徐々にグレープフルーツと塩のニュアンスが出てきます。10年熟成でこの華やかさはとても稀だと思いました!ロックでも美味しい!

スプリングバンク10年をハイボールで飲んでみる

香り

  • 洋梨、青リンゴ、スモーク、ハチミツ、グレープフルーツ、樽香

味わい

  • シトラスとスモークのハーモニー

感想

最後はハイボールスタイルで飲んでみます。

香りはかなり弱まっているものの、洋梨や青リンゴのフルーティーさは健在で、包み込むようなウッディな樽香が感じられます。また、潮風を思わせるニュアンスに、グレープフルーツの爽やかさとわずかなスモーキーフレーバーが絶妙に混じり合い、繊細に漂っています。

口に含むと、まず華やかな香りとともにグレープフルーツの爽やかさが広がります。そこに塩気とスパイシーな風味が徐々に膨らみ、やがてハチミツの優しい甘さが顔を出します。ウッディな樽香が全体を包み込み、最後には華やかな香りとともにスモーキーフレーバーと塩気が穏やかに消えていきます。

果実感、塩気、そしてほのかなスモーキーさが見事に調和し、全体として非常に華やかで質の高いモルトの味わいを堪能できるハイボールです。

Key(筆者)
Key(筆者)

ストレートやロックに比べるとスモーキーさが感じやすい印象ですが、十分すぎる華やかな香りと甘じょっぱいさがグイグイ杯を進めます!

まとめ


スプリングバンク10年mの総合評価
イマイチ
良い

スプリングバンク10年は、ストレート、ロック、ハイボールと飲み方を変えても、一貫して華やかな香りと塩気、そしてそれを支えるフルーティーさが絶妙に調和する、唯一無二のシングルモルトです。

その複雑さと奥深さから、初心者向けとは一概に言えませんが、むしろ初心者にこそ一度味わってほしいウイスキーです。たとえ最初に合わないと感じても、その独特の魅力が時間とともに心に響き、「好きな1本」になる可能性があります。

少量生産による高い希少性とプレミアムな価格は確かにありますが、それこそがこのウイスキーの特別さを物語っています。スプリングバンク10年は、単なるウイスキーではなく、飲むたびに異なる魅力を感じさせる特別な一本です。

もし、タイミング良くこの希少な一本と巡り合える時であれば、その瞬間を大切に楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございました。

スプリングバンクの現行ラインナップ

スプリングバンク蒸留所は、キャンベルタウンの誇りともいえる存在で、その多彩なラインナップは世界中のウイスキーファンから愛されています。それぞれのブランドが持つ個性は、長い歴史やこだわりの製法によって培われたもの。

ここからは、スプリングバンク蒸留所が手がける4つのブランド「スプリングバンク」、「ロングロウ」、「ヘーゼルバーン」、そして「キャンベルタウンロッホ」の特徴や魅力について、詳しくご紹介していきます。

スプリングバンク (Springbank)

スプリングバンクは、2.5回蒸溜で作られるミディアムボディのシングルモルトで、潮風を感じるフレーバーとスモーキーな味わいのバランスが特徴です。

スプリングバンク10年

スプリングバンク10年は、キャンベルタウンで安定したウイスキー生産を続けるスプリングバンク蒸溜所を代表する商品です。ウイスキー愛好家の間では、その豊かな香りから「モルトの香水」と称されるほど評価が高く、港町に位置する特有の熟成環境によって生まれる「塩辛さ(Briny)」を特徴とする、個性豊かなシングルモルトとして知られています。この唯一無二の味わいは、多くのファンに愛され続けています。

スプリングバンク15年

スプリングバンク15年は、シェリー樽でじっくりと熟成された原酒のみを使用した贅沢なキャンベルタウンモルトウイスキーです。シェリー樽由来の特長が豊かに表れる香りには、ダークチョコレートを核に、ブラウンシュガーやフルーツケーキ、トフィー、アーモンドのニュアンスが重層的に広がります。

味わいは、レーズンやイチジクの濃密な甘みとマジパンのコクに、クリームやダークチョコレートが絡み合い、塩バニラが全体を引き締める絶妙なバランスを持っています。余韻にはブラジルナッツや熟成革のような深みが加わり、長く続くフィニッシュを楽しめます。

濃厚なダークチョコレートの香り、濃縮された甘み、そして塩味との絶妙な調和がスプリングバンク15年の大きな魅力です。

スプリングバンク18年

スプリングバンク18年は、主にシェリー樽で18年以上熟成された原酒を使用しており、その割合は80%以上にのぼります。このため、シェリー樽由来のリッチな風味が際立っています。

味わいはレーズンやパパイヤ、パイナップル、伊予柑といったフルーティな香りに加え、シャルドネワインを思わせる酸味も楽しめます。

また、潮風を連想させる塩味や、バニラ、ミルクチョコレートの甘みが絶妙に調和しており、複雑で深い味わいが魅力です。


ロングロウ (Longrow)

ロングロウは、スコットランド・キャンベルタウンに位置するスプリングバンク蒸溜所で造られるシングルモルトウイスキーです。

最大の特徴は、フェノール値50~55ppmという強いピート香と、オイリーな口当たりが生み出す力強いスモーキーさにあります。それに加え、華やかな甘みがバランスよく調和しています。

この個性は、48時間ピートで乾燥させた麦芽と、2回にわたる蒸溜工程によって作り出されています。これにより、他にはない独自の風味が楽しめる一本となっています。

ロングロウ ピーテッド

ロングロウ ピーテッドは、スプリングバンク蒸溜所で造られるヘビリーピーテッドなシングルモルトウイスキーです。

フェノール値50~55ppmの麦芽を用い、2回蒸溜によって仕上げられています。その特徴は、力強いスモーク香とオイリーな口当たりに加え、バニラやカスタードクリームの甘さが感じられる点です。

さらに、レモンやグレープフルーツの柑橘系風味がジンジャーのスパイスと調和し、複雑でバランスの取れた味わいを楽しむことができます。

ロングロウ レッド

「ロングロウ レッド」は、毎年異なる赤ワイン樽で後熟を行うカスクストレングスの限定ウイスキーシリーズです。

初回リリースは2013年で、カベルネ・ソーヴィニヨン樽が使われ、翌年の第2弾ではシラーズ樽が採用されました。これらのワイン樽仕込みによって、ロングロウ特有のスモーキーさに赤い果実の甘さや酸味、タンニン由来の渋みが加わり、複雑で奥深い味わいが楽しめます。

使用するワイン樽が毎回異なるため、リリースごとに新しい風味を堪能できるのも魅力です。


ヘーゼルバーン (Hazelburn)

ヘーゼルバーンは、スコットランド・キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所が手がけるシングルモルトウイスキーです。

ノンピート麦芽を用い、3回蒸溜を行うことで、軽やかでクリーミーな味わいが引き出されています。洋ナシやバナナのようなフルーティーな香りに加え、昆布だしを思わせる旨味が特徴で、ストレートやハイボールでの飲用が特におすすめです。

Key(筆者)
Key(筆者)

ニッカウヰスキーの創設者:竹鶴政孝氏がウイスキーの修行をしたヘーゼルバーン蒸留所、現在はブランドのみがスプリングバンクによって受け継がれています。

ヘーゼルバーン10年

ヘーゼルバーン10年は、ノンピート麦芽を用い、3回蒸溜によって仕上げられるシングルモルトウイスキーです。熟成にはすべてバーボン樽を使用しており、力強い甘味と豊かな余韻がその特徴です。

香りには、洋ナシやアプリコットのフルーティーさ、ミルクキャラメルの甘さ、さらにトーストやスコーンの香ばしさに、ほのかなバターのニュアンスが感じられます。

味わいは、バニラや蜂蜜の柔らかな甘みを軸に、ラムレーズンの芳醇さが広がり、続いて干し芋のようなクリーミーさやオレンジピールの爽やかなアクセント、さらにシナモンスパイスの余韻へとつながります。

最後には、ビターチョコのようなほろ苦さと昆布を思わせる旨味が印象的に残り、長く楽しめる余韻を提供する一杯です。


キャンベルタウンロッホ (Campbeltown Loch)

「キャンベルタウンロッホ」は、スコットランドのキャンベルタウン地域で造られるブレンデッドモルトウイスキーです。使用される原酒は、スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーン、キルケラン、グレンスコシアという5つの蒸溜所から供給されています。

原酒はバーボン樽とシェリー樽で熟成され、複雑でありながら調和のとれた風味を持つのが特徴です。香りにはバターや海塩が感じられ、味わいはクリーミーなコーヒー、塩キャラメル、デーツシロップ、黒糖の結晶化した甘さが広がります。

また、ほのかに漂うピートスモークがアクセントを加え、深みのある味わいを引き立てています。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!

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