このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
シングルモルトの基本中の基本ともいえる、政府公認第1号蒸留所「ザ・グレンリベット」が200周年を迎えます!
今回は、グレンリベットから200周年を記念して限定発売された「ザ・グレンリベット12年 200周年記念ボトル」のレビューをいたします!
まずは、グレンリベットとは何なのか!?製法や歴史について簡単に振り返ってみましょう!!
グレンリベットとは
グレンリベットは、スコットランドのスペイサイド地域にあるザ・グレンリベット蒸留所で生産されるシングルモルトです。この蒸留所は、スペイ川の上流、リベット地区に位置し、1774年にアンドリュー・スミスによって創設されました。その後、息子のジョージ・スミスが蒸留所の運営を引き継ぎ、1824年にはスコットランド初の合法的な蒸留所として政府に公認されました。
グレンリベットの名は、ゲール語で『静かな谷』を意味することから来ています。この地域は、豊かな水源、穏やかな気候が揃っており、ウイスキー製造に理想的な環境にある場所です。
政府から正式に承認許可を受けたのが1824年!!つまり、2024年で200周年ということになります!!
密造酒であったウイスキーが現在の形に変わっていく”最初の一歩”、グレンリベットは現代へ続くスコッチウイスキーの歴史そのものですね!!
グレンリベットの歴史
グレンリベットの歴史は、ウイスキー製造の伝統と創造性の歴史です。アンドリュー・スミスがアッパー・ドラミン農場で蒸留所を設立したのは1774年のことでした。その後、息子のジョージ・スミスが1824年に政府公認の蒸留所として認められ、グレンリベットはスコットランド初の合法的なウイスキー製造所として歴史に名を刻みました。
グレンリベットの歴史は、高品質なウイスキーの製造と共に進み、1884年に「THE」を付けることでブランドの識別を図りました。その後も、多くの挑戦や変遷を経ながら、現在に至るまでグレンリベットは世界中のウイスキーファンに愛され続けています。
「THE」の称号を手に入れたことで、逆に粗悪なウイスキーを造る蒸留所がグレンリベットを名のりましたが、徐々に淘汰されていきます。
それは、質の高い素晴らしいウイスキーだけを生産する蒸留所だけが現在に至るまで残っている証ともいえますね。
グレンリベットの特徴
グレンリベットは、その独特な特徴によって他のウイスキーと一線を画しています。まず、蒸留所の敷地内から湧き出るジョシーズ・ウェルの泉から得られるミネラル豊富な硬水を使用しています。この水は地下200mの水脈を源泉とし、独自のフルーティな風味をもたらします。
さらに、グレンリベットの製法には、背の高い細いポットスチルの使用や、オレゴンパイン製のウォッシュバックの採用など、独自の工程が含まれています。これらの要素が組み合わさり、クリーンでフルーティーなアルコール分が厳選されるウイスキーが生み出されます。
日本を代表するお酒「日本酒」も仕込み水が非常に重要ですが、ウイスキーも同様に仕込んだ水によってその後の味わいに大きく影響します。
グレンリベットの製法
グレンリベットの製法は、厳選された素材と伝統的な技術を駆使して行われます。製造プロセスは以下の通りです。
1. 水源
グレンリベットでは、ウイスキー製造に使用する水源として、ジョシーズ・ウェルの泉から湧き出る豊富なミネラルを含んだ硬水が採用されています。この水は地下約200mの水脈を源泉とし、その豊富なミネラル分が糖化の際に大麦から多くの糖分を抽出し、グレンリベット特有のフルーティな風味を香りづけすると言われています。
仕込み水である「ジョシーズ・ウェルの泉」はグレンリベット蒸留所のみが使用できる水源だそうです!
2. 蒸留設備
グレンリベットでは、ウイスキーの蒸留に特別なポットスチルが使用されています。これらのポットスチルは、長く細い首を持つランタン型のデザインをしており、ウイスキーにクリーンでライトかつフルーティなアルコール分を提供します。かつては、ウォッシュ・スチル(初溜釜)4基、スピリット・スチル(再溜釜)4基の体制でしたが、2010年には更なる生産拡大のために新しい蒸留棟が建設され、計14基のポットスチルを備える体制に拡充されました。そして2018年には更に第3の蒸留棟が完成し、ポットスチルの数は計28基に増加し、年間2,100万リットルの生産量を誇ります。
ウイスキー需要を受けて増産体制を整えたグレンリベット蒸留所、ポットスチルの数が28基もあるなんて圧巻ですね!!
3. 熟成
グレンリベットのウイスキーは、主にアメリカンオークのバーボン樽で熟成されます。これらの樽は、ウイスキーに豊かな香りと深みを与え、バニラのような風味を引き出します。また、一部ではヨーロピアンオークのシェリー樽やポート樽も使用され、ウイスキーに複雑な味わいを加えます。そのため、グレンリベットのウイスキーは熟成によって多彩な風味を楽しむことができます。
バーボン樽やシェリー樽の他にもラム樽やブランデーの樽など様々な種類の樽で新たな味わいを探求しているそうです!!
グレンリベット12年 200周年ボトル
「グレンリベット12年 200周年ボトル」はグレンリベットが200年の歴史と伝統を祝して、数量限定で発売したボトルです。
この限定版のザ・グレンリベット12年は、創業者の技術と信念を受け継ぎながらも、常に進化し続けるブランドの象徴で、ファーストフィル・アメリカンオーク樽で100%熟成した原酒のみを使用し、通常の12年よりも高いアルコール度数43%でボトリングされています。
通常の「グレンリベット12年」は、2種類の樽原酒をブレンドしたダブルオーク仕様となっていますが、コチラはアメリカンオークの原酒のみを使用!!
しかも”ファーストフィルの原酒だけ”を使い、度数も43%とレギュラーの12年よりも個性的な味わいを楽しむことができます。
「ファーストフィル」とは、別のお酒を熟成した樽にウイスキーを初めて詰める時の事を言います。今回の”ファーストフィルのアメリカンオーク樽のみをボトリング”を例にすると、アメリカのウイスキー(主にバーボン)の熟成に使われた樽にグレンリベットのニューメイクを詰めて熟成した原酒だけでボトリングを行ったという意味です。
現行のグレンリベット12年はダブルオーク使用ということもありますが、アメリカンオーク樽の原酒も”ファーストフィル”だけではなく”セカンドフィル”や”サードフィル”の原酒もブレンドされているようなので、アメリカンオークの個性を存分に楽しめる内容となっています。
さらに、200周年を記念して世界42か国のアーティストからデザインを募集し、合計400種類以上の中から選ばれた特別なパッケージが施されています。
この特別なパッケージには、ザ・グレンリベットの過去・現在・未来を、大胆かつ独創的な手法のイラストレーションで表現されています。例えば、創設者ジョージ・スミスが困難を乗り越えて最初に合法的な蒸留免許を取得したスペイサイド地方リベット渓谷や、蒸留所のランドマークであるジョシーの泉リベット川に架かるパックホース・ブリッジなどが描かれています。さらに、アメリカで初めて大規模販売された際に使われた有名なプルマン列車や、ザ・グレンリベットの代表的なフレーバープロフィールであるパイナップルとシトラスのイメージも表現されています。
グレンリベットの歴史を物語る素晴らしいパッケージデザインですね!!
ボトリングされたウイスキーだけでなくラベルやパッケージデザインからも200周年の偉大さが伝わってきます!!
では、この記念すべきボトルの味と香りをストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でみていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- 青リンゴ、洋梨、プラム、ハチミツ、バニラ、パイン、みかん
味わい
- フルーティーでピールの爽やかなビター
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、青リンゴや洋梨などのフレッシュな果実感と、パインやプラムの南国フルーツ、柔らかいシトラス(みかん)のニュアンスが広がります。
口に含むと、滑らかでクリーミーな舌触りで蜜のような甘さが広がり、青リンゴや洋梨の果実香とシトラスやピールの爽やかなビターが口いっぱいに広がります。そして、ハチミツやバニラの滑らかな甘さが広がり、ビターが追いかけてきて、余韻ではパウンドケーキのような香ばしくもふっくらとしたほのかな甘さがゆっくりと消えていきます。
このフルーティーな香りとクリーミーな味わいは、グレンリベットらしい魅力が存分に詰まったものです。”ファーストフィルのバーボン樽熟成”というスペックが如実に反映された素晴らしい味わいです。通常の12年もこのような味わいならば素晴らしいでしょうが、原酒不足が残念です。
グレンリベット12年と飲み比べてみた
次に、通常の「グレンリベット12年」とストレートで飲み比べてみました。
香りは、200周年ボトルと同様に青リンゴや洋梨、ハチミツ、バニラの香りがありますが、全体的に薄っぺらい印象で、特にアルコールのネガティブなニュアンスが強く感じられます。口に含むと、フルーティーな香りとともに砂糖菓子のようなベタッとした甘さが広がり、ビター感は控えめですが、味わいは200周年ボトルと似ています。しかし、味わいが薄く、やや雑味を感じ、アルコール感もあります。
現行品の12年は、シェリー樽原酒とセカンドフィルやサードフィルのバーボン樽を使った原酒が使われており、味わいの傾向が穏やかになっています。しかし、飲み比べてみると、モルトの味わいやふくよかさが全く違い、レギュラー品でも十分美味しいですが、200周年ボトルに見劣りする感覚は否めませんでした。
200周年ボトルの圧倒的な美味しさに、現行ボトルの良さが霞んでしまいました・・・。樽の違いでこんなにも変わる事実に改めて感動しました!
ロックで飲んでみる
香り
- カスタード、ハチミツ、パイナップル、青リンゴ、ピール
味わい
- ピール感のあるフレッシュなビター
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りはストレートの時よりも一層甘やかで、カスタードクリームとハチミツが全体を覆い、青リンゴと少しポップなパイナップルの果実感、そしてシトラスやピールの爽やかなビターがアクセントとして漂います。
口に含むと、クリーミーで滑らかなカスタードとハチミツの香りが広がり、ピールの爽やかなビターが追いかけてきます。そして、ビター感をまとったスパイシーさが徐々に広がり、最後にはシトラスと少しの甘みが残り、スッと消えていきます。
香りは甘く、味わいはスッキリとしていて、全体的にフレッシュなビター感が印象的です。氷が溶けて加水が進むと、徐々に甘やかな香りが引き立ちますので、食後のデザートの代わりにも良いでしょう。
強すぎず丁度よいビター感がとても心地よく響きます。バーボン樽の素直なバニラやカスタードクリームの滑らかな舌触りは特筆すべきものでした。
ハイボールで飲んでみる
香り
- カスタード、ハチミツ、パイナップル、ピール、青リンゴ、若葉
味わい
- クリーミーで透明感のあるビター
感想
最後は、ハイボールで飲んでみます。
香りはかなり弱まっていますが、カスタードやバニラ、そしてハチミツの甘い香りが際立ち、続いてパイナップルと青リンゴ、さらに若葉やミントのような瑞々しい森林感が感じられます。
口に含むと、清々しいビターな味わいが広がり、ピールやシトラスの風味が口いっぱいに広がります。そしてミントにも似た清涼感があり、徐々にオレンジピールのフレッシュで甘酸っぱいビターが残り、スーッと消えていきます。
バーボン樽原酒ならではの特徴であるクリーミーな舌触りと、ミントや若葉を思わせる清涼感、そしてアフターで薄っすらと感じるオレンジピールのジューシーなビター感は、ハイボールとの相性が抜群に良いです。この味わいはまさにハイボールの理想的なスタイルを体現しています。
樽由来の甘やかな香り、森林を思わせる清涼感、そしてフルーティーな香りは贅沢すぎるくらい華やかで飲みやすく美味しいハイビールでした!!
まとめ
「グレンリベット12年 200周年ボトル」のレビューでした。
グレンリベットが200周年を迎えたことはもちろんですが、そのウイスキー自体がスコッチウイスキーの歴史そのものを体現しているような、シンプルで奥深い味わいを楽しめました。ストレート、ロック、ハイボールなど、どの飲み方でもその多彩な表情が崩れず、”はじまりのシングルモルト”の名にふさわしい味わいを感じました。
かつてのグレンリベットは、”ファーストフィル”のバーボン樽原酒も使用していましたが、最近のウイスキーブームの影響でその製法や原酒は珍しくなっています。グレンフィディックと同様に生産本数が多いグレンリベットでは、多くのニューメイクが生産されるため、セカンドフィルやサードフィルの樽を使用する熟成が必然的と言えるかもしれません。
いずれにせよ、スコッチシングルモルトの元祖にふさわしい豊かな味わいを楽しむことができました。このような味わいが将来的にレギュラー品にも反映される日を楽しみにしつつ、この限定ボトルをゆっくりと楽しんでいきたいと思います。
200周年を祝う特別なグレンリベット12年、見かけた際にはぜひチェックしてみてください!
パッケージがレギュラー品と似ているので、購入の際は注意が必要です。限定ボトルはエメラルドグリーンの色調にイラストがあり、中央に”200″と書かれたメダルのロゴがあります。通常の12年であっても200周年というキャッチコピーが飾られていたりなど紛らわしい部分があるのでご注意下さい!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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