このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回は、「アードベッグ8年 フォーディスカッション」を紹介いたします。
「アードベッグ8年 フォーディスカッション」はアードベッグのコミッティー会員向けにECサイトで限定発売されているボトルになります。
日本にもアードベッグコミッティーはあったものの、2021年までは海外でのみ販売されていましたが、2022年より日本でも購入することが可能になりました。
この「アードベッグ8年 フォーディスカッション」はモルトの詳細が明かされておらず、リフィルのシェリー樽原酒が使われていることしか分かっていません。
それだけにファンの間で”議論をしながら楽しんでほしい”というアードベッグの思惑が読み取れます。
アードベッグコミッティとは
「アードベッグコミッティ」はアードベッグをこよなく愛するファンの為に発足した会費無料のファンクラブです。
会員になると専用のECサイトで会員限定のアードベッグを購入することが出来ます。
毎年6月に行われる「アードベッグデー」に向けた限定ボトルにも、コミッティー会員専用ボトルが用意されるなど、アードベッグを愛するファンには嬉しい特典があるのもコミッティの特徴です。
「フォーディスカッション」が出来た経緯
この「アードベッグ8年 フォーディスカッション」は、その名の通り「みんなで議論してほしい」という蒸溜所の想いが込められています。
というのも、このボトルの誕生には「もしも!?」という疑問からの経緯があるからなんです。
蒸溜所には製造最高責任者を務める「ビル・ラムズデン博士」という方がいます。
博士いわく「もし別の宇宙がありアードベッグ蒸留所のラインナップにTENがなかったとしたら??」
「その宇宙のアードベッグはシェリー樽の要素が生かされた物が主流になっているかもしれない」と考え、博士のもう一つのアードベッグに対するファンへの議論を投げかけたボトルということになります。
パラレルワールドにあるであろう”もう一つのアードベッグ蒸溜所”を想像して出来たボトルという発想が非常に面白いですね!!
リフィル樽について
「アードベッグ8年 フォーディスカッション」では、使われている原酒の内容が公開されていません。
唯一分かっているのは「リフィルのシェリー樽原酒」を使っている事だけです。
では、ここで「リフィル樽」について簡単に簡単に解説致します。
「リフィル」とは「セカンドフィル」とも呼ばれ、ウイスキーの熟成に用いられる回数としては2回目になります。
スコッチウイスキーでは新樽は使わず、バーボンやシェリーなどで使い終わった樽を使います。この時、初めてウイスキーを詰めて熟成に使用する樽を「ファーストフィル」と呼び、樽の特性が非常に強く出ます。
対して「リフィル」の場合は、一度ウイスキー熟成に使われているので樽の特性は穏やかに反映されます。
樽の個性が穏やかな分、詰められる蒸留液の特性が生かされやすいとも言えます。
憶測ですが、今回ご紹介する「アードベッグ8年 フォーディスカッション」ではバーボン樽原酒をベースにリフィル樽熟成のシェリー感で華やかさを演出しようとしているのではないかと思います。(開栓前の憶測です。見事に裏切られますが・・・)
何はともあれ、数々の議論を読んでいる「アードベッグ8年」をいつものように3種類の飲み方でレビューしてみます。どうぞ、最後まで御覧ください。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- 出汁、カスタード、バニラ、BBQ、ベーコン、レモン、ライム
味わい
- バニラの甘さ、柑橘の酸味とビター、アフタースモーク
感想
まずはストレートで飲んでみます。カスクストレングスなので強いアルコール度数ながら、それを感じさせない香味で溢れています。まず、印象的なのがカツオ出汁の様な旨味のある香りにバーボン樽のバニラ香、そしてBBQスモークと柑橘の香りが後を追うように感じ取れます。
口に含むとバニラやカスタードの甘さが広がり、柑橘の苦味と酸味が追いかけてきます。そして、余韻にかけては灰や石炭の様なスモーク感が鼻腔に留まりゆっくりと消えていきます。
文字で説明する特徴とは裏腹に非常にバランスが良く、強いアルコール感は感じません。レギュラーラインナップの「アードベッグTEN」や「ウィービースティー5年」などの特徴を上品にまとめた様な味わいです。ただ、開栓してすぐの影響かもしれませんがアフターのスモーク感は非常に強く、そして長く感じました。アードベッグの特徴をギュッと濃縮したような印象を持ちました。
ロックで飲んでみる
香り
- 柑橘の皮、ゴム、BBQ ,石炭、硫黄、山椒
味わい
- 山椒のスパイス、柑橘のビター、BBQスモーク
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りは柑橘の苦味がメインで、焼けたゴムの様な香りにBBQのスモーク、シェリー樽由来の硫黄っぽさに山椒のアクセントを感じます。
口に含むと、粒山椒の爽やかさと柑橘のビターが広がって硫黄感のあるフレーバーが後を追い、アフターにかけてはスモーキーな香りが口いっぱいに広がります。全体的に味わいは甘く、ストレートよりもオイリーさが増した印象があります。「ウィービースティー5年」ほど攻撃的な感じはなく、優しい甘さに硫黄とスモークが滲むような感じで、アードベッグらしい柑橘感と相まって氷を入れても美味しく頂くことが出来ました。
ハイボールで飲んでみる
香り
- 柑橘、ゴム、硫黄、ビスケット
味わい
- 強烈な硫黄とゴム、ビター
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りは柑橘の皮に焼けたゴム、そして硫黄に薄っすらと香ばしいシリアル感があります。
口に含むと、強烈な硫黄の感じと焼けたゴムっぽさが膨らみます。先ほどまでの上品さはどこへ!?と思いたくなるくらい攻撃的な味わい変化しました。麦の甘さも感じますが、硫黄やゴムなどシェリー樽の要素が爆発し、アフターにかけては潮の香り(ヨード)がいつまでも口と鼻の奥に残ります。
スモーク牡蠣やベーコンなどと相性は抜群で、アイラフィルターも貫通する独特の味わいを持つハイボールです。これはヤバイ・・・。
まとめ
「アードベッグ8年 フォーディスカッション」のレビューでした。
ストレートやオンザロックではバランスの取れた味わいで日本では終売となった「アンオー」や、「ウィービースティー5年」に通じる様なアイラ感をシェリー樽フレーバーで覆ったモルト感が有りましたが、ハイボールでは8年熟成の獰猛さをモロに受けてしまいました。
カスクストレングスですので”加水によって味や香りの幅を堪能出来る”のも特徴ですが、ここまで振り幅があるのも非常に面白く、アードベッグのパワーに打ちのめされた感じがします。
コミッティー会員のみの販売となっていますが、ボトルネームの通り「あぁでもない、こうでもない」と色々語れるボトルであるに違いありません。一般販売されるか微妙な所ですが、アードベッグ好きなら後悔しない内容だと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
味の傾向としては「ウィービースティー5年」っぽさがあり、この味が好きなら間違いなくバッチリとハマる味わいです。
また、上品さも兼ね備えた部分は日本では終売となった「アードベッグ アンオー」にも通じる部分があります。
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