このウイスキーの特徴
このウイスキーについて
今回は、2020年に発売されアードベッグのレギュラーラインナップに加わった「アードベッグ ウィービースティー 5年」をご紹介します。
ウィービースティーとは
「ウィー・ビースティー」とはゲール語で、「小さいながらも強烈なインパクトがあり、手の付けられないリトルモンスター」という意味です。
このボトルは、アードベッグの中でも熟成年数が最も短い5年以上の原酒を使って作られたボトルになります。
何故!?5年という短い熟成の原酒を使ってこのようなボトルを発売したのでしょう!?
恐らくですが、昨今のウイスキーブームで原酒不足に悩まされ、主力商品である「アードベッグ 10年(TEN)」などに使う原酒を確保する為に、短年熟成の原酒で商品を展開したかったのでは!?と考えています。
人によっては若い原酒はカドがあり、まろやかさが欠けるなどネガティブなイメージを持たれているかと思います。
しかし、そこで終わらないのがアードベッグ!!熱狂的ファン「アードベギャン」を納得させるしっかりとした味わいと強烈な個性を兼ね備えています。
では、この「ウィービースティー 5年」とはどういった特徴のウイスキーなのか簡単に見ていきましょう。
ウィービースティー 5年の特徴
熟成年数について!?
ではここで熟成年数に関しての一般的な誤解について簡単に触れておきましょう。
この「アードベッグ ウィービースティー 5年」はラベルだけ見ると5年熟成と思われますが、少し違います。5年熟成ではなく、5年以上熟成が正しい意味になります。
初心者の方は、ラベルに書いてある年数が熟成年数と思ってしまうかもしれませんが、ウイスキーで表記する熟成年数は使われている原酒の最低熟成年数なんです。
つまり、この「ウィービースティー 5年」には”5年以上熟成した原酒が使われている”という事になります。
もちろん、5年熟成の比較的若い原酒が中心になるかと思いますが、10年以上の原酒やごく少量の長期熟成原酒も使われている可能性もあるというわけですね!
また、若い原酒には若いなりのパンチのある個性があり、熟成年数が長い原酒ほど穏やかで芳醇な特性を持つので、両者の個性を引き出しながら味わいの方向性を決めるので、短年だから駄目というわけではありません。
ちなみに、アイラモルトの大切な要因であるピート感の強いスモーキーさ、そしてヨードなどは若い原酒ほど強い傾向になるそうです。
臭~いウイスキーの代表格「アイラモルト」のファンにとっては短年熟成はむしろ”好都合”という訳ですね!つまり、このボトルは”バッチバチのアイラモルト”というわけです。
使われている原酒の違いにも注目
また、「ウィービースティー 5年」では「アードベッグ 10年」とは違った樽の原酒も使用されています。
アードベッグ 10年の熟成に使われている「バーボン樽」に加え、このウィービースティー 5年にはオロロソシェリー樽の原酒も使われています。
”オロロソシェリー”とは、スペインの酒精強化ワイン「シェリー」の一種で、酸化熟成したフルボディタイプのワインです。コーヒーやナッツの様な香りと熟した果実を感じさせる味わいが特徴です。
そのオロロソシェリーが詰められていた空き樽によって熟成された原酒が使われていますので、通常思い浮かべる”アイラモルト”にワインの様な風味がプラスされ、短年熟成モルトの若さに上品さが加わり、互いの不得意な部分を補いながらバランスのとれた味わいに仕上げています。(・・・はずです。)
パンチの効いた若いバーボン樽原酒と、シェリー樽原酒がブレンドされた「ウィービースティー 5年」はどんな味わいに仕上がっているのでしょう!?
今回も3種類の飲み方でレビュー致しますので、最後までご覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ピート、ヨード、硫黄、すもも、ハーブ、バニラ
味わい
- スパイシーで余韻にたっぷりのスモーク感、果実の酸味
感想
まずは、ストレートから飲んでみます。香りはアードベッグらしいとてもスモーキーな香りとヨード感に満ちていて、更にシェリー樽原酒特有の硫黄の様な香りが特徴的です。他には、すももの甘酸っぱさにハーブの薬草感、また甘くウッディなバニラがほんのりと香ります。
口に含むと、若い原酒ならではのパンチのあるアタックにシェリー原酒の渋みのある華やかさが加わり、余韻にかけて強烈なスモーク感が口の中に残ります。
思っていた以上に凄くスモーキーで、パンチがかなりあります!最初は、シェリー樽原酒の華やかな要素が多いのでは!?と思っていましたが、それは序盤のみで気づくと口の中はスモーキーな香りに満たされ、余韻にかけて印象的なのは、燻されたばかりの麦芽ようなスモーク感で、口に中で”焚き火をしているかの様な煙たさ”がありました。
ロックで飲んでみる
香り
- ピート、ヨード、ゴムチューブ、コールタール、硫黄、灰、バニラ、プラム
味わい
- 麦の優しい甘み、とてもスモーキーな香り
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りは、ガッツリとアイラのスモーク感たっぷりのピーティーな香りとヨードを感じます。そして、ゴムチューブや硫黄の香りが漂っていて、乾いた感じの灰が舞ったような雰囲気もあります。また、奥まってバニラのウッディで甘い香りにプラムの果実感がやや伺えます。
口に含むと、穀物の甘みをほんのりと感じながらビターが膨らんで行きますが、氷が溶け加水と冷却が進むとビターにはエグ味が強く現れるので、”アードベッグTEN”と同様に、ロックスタイルで飲むのはあまり好みではありませんでした。
ただ、ビターが過ぎ去った後の余韻はとてつもなくスモーキーでカドの取れていない感じが、一層手に負えない感じを醸し出しています。
ハイボールで飲んでみる
香り
- 灰、硫黄、ピート
味わい
- 麦汁を薄めた様な微かな甘味、灰を舐めたかのようなスモーク感
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りはかなり落ち着いて薄まってしまいましたが、灰のようなパサッとしたピートのスモーキーな香りと硫黄っぽさも僅かに残っています。
口に含むと、炭酸の刺激と共に”薄めた麦汁のような甘み”をわずかに感じて、余韻にかけてはしっかりとしたスモーク感に、じんわり漂う硫黄の香りがゆっくりと消えていきます。個人的には好みな感じですが、初心者の方や飲み慣れていない方は「口に入れて大丈夫!?」と心配になるほどのスモーク感があります。
エレガントな印象を持つシェリー樽原酒も、使い方によってはハードな印象に変わりピートやスモーキーな要素の引き立て役になっているところは非常に面白いと思いました。
まとめ
”アードベッグ ウィービースティー5年”のレビューでした。
シェリー樽原酒が使用されている事から、優しく華やかさをまとっているのでは!?という勝手な想像とは違い”アードベッグTEN”のスモーク感にシェリー樽原酒が獰猛さを加えたような非常に面白い味わいでした。
この”ウィービースティー5年”を飲んだ後に、通常の”アードベッグTEN”を飲むと、甘く感じてしまうくらいで、いかにこのボトルが尖っているボトルかを確かめることが出来ます。
オフィシャルでここまで尖った味わいも珍しく、アイラモルトならではの”飲み手を選ぶフレーバー”では物足りない方にはお勧め出来るボトルだと思います。つまり、初心者は手を出さないほうが無難ということでしょう(笑)
パンチと一楓変わった香味の刺激を求める方は是非っ!お試し下さい!!ただ、責任は持てませんので予めご了承ください(笑)
最後までお読み頂きありがとうございました。
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