
このウイスキーを簡単にまとめると
- ウイスキーの属性:シングルモルト
- 産地:スコットランド
- 蒸溜所:非公開
- 飲みやすさ:★★☆☆☆☆
- 味わい:スモーキー、シトラスとモルティな余韻
- おすすめの飲み方:ロック、ハイボール
- 総合評価:★★★★☆☆
- どんな人に向いている?:アイラモルト好き、スモーキーなモルトファン
このウイスキーについて

今回のレビューは、印象的なラベルのウイスキー「スカラバス」です!!


とても美しいラベルでエレガントな印象のスカラバス。しかし、実はとってもヘヴィーな味わいのシングルモルトウイスキー!!


というのも、このスカラバスの正体は蒸留所非公開のアイラモルト!!

販売しているのはスコットランドのボトラーズメーカー「ハンターレイン社」です。
ハンターレイン社とは


ハンターレイン社は、「ビッグピート」などを展開するボトラーズの名門「ダグラスレイン社」から分社化されて2013年に創業しました。

ダグラスレインから分社という形ですから、新規のボトラーズとはいえ蒸留所へのコネクションは幅広く、モルトファンを魅了する銘柄を数多く手掛けています。


「オールドモルトカスクシリーズ」や「オールド&レアシリーズ」などが有名で、2018年にはアードナホー蒸溜所の創業を開始しました。

その「アードナホー蒸留所」誕生の記念に発売されたブランドが、この「スカラバス」になります!!
スカラバスとは


「スカラバス」とは、スコットランドに古くから伝わるノルド語で「岩の多い場所」という意味。

元来、アイラ島の秘境であったこの場所には現在、「スカラバス」という名の農園があり、近くにはアイラの女王と言われる「ボウモア蒸留所」があるんです。


古くは「スカラバス蒸留所」も存在したようですが、1818年に閉鎖されてしまい、スコッチ史上最も短命の蒸溜所として知られ、創業期間はたったの1年間という短さの幻の蒸留所でした。

それから、200年後「スカラバス」というブランド名がハンターレインによって復活しました!!

スカラバスの内容

「スカラバス」に使われている原酒は、アイラ島の蒸留所で造られた「リフィルバーボンカスク」と「バージンアメリカンオークカスク」の原酒。情報はこれだけです(笑)


情報は少ないですが、ハンターレインならではの品質の高さからモルト通の間でも高い評価を得ています。

巷では、「〇〇の蒸留所では?」と議論がされていますが、未だその答えを知る人はいません。

実際にあった「スカラバス蒸留所」の幻の味を想像しながら飲んでみるのも面白いかもしれません。

では、いつものようにストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしてみたいと思います!!それでは、いってみよー!!
スカラバスをテイスティング

スカラバスのフレーバー
スカラバスの味わい
ストレートで飲んでみる

香り
- 白ワイン、プラム、ピート、スモーク、キャラメル、レモンドロップ、麦
味わい
- オイリー、爽やかな酸味、スパイシーでスモーキーな余韻
感想
まずはストレートから飲んでみます。
香りは、開栓仕立ての影響もあると思いますが、白ワインのような酸味にプラムの淡い果実感、そしてピートやヨード、スモークとアイラならではの香りがたっぷりとあります。
時間が経つと、バーボン樽らしいキャラメルの甘い香りが少しずつ開き、レモンドロップや麦の香ばしさも感じられる様になりました。
口に含むと、オイリーな舌触りでレモンの酸味が広がります。途中からスパイシーに変化して、余韻ではとてもスモーキーな香りが長く残ります。
個人的な先入観で、このようなシークレット系のモルトの中身は品質の安定さから「カリラでは!?」と思ってしまったり、バーボン樽の「ボウモア?」とも感じ取れる気もしますが、答えは出ません。ただ、アイラモルトの魅力が溢れ出ていることは確かです。

ワインの様な華やかさと、バーボン樽の甘い香りが心地よく膨らんできたと思ったら、すぐにアイラらしい煙たさが爆発します。この価格で、アイラモルトの特徴がしっかり出ているのは素晴らしいです!!
ロックで飲んでみる

香り
- プラム、スモーク、コールタール、ピート、硫黄
味わい
- 柑橘の皮、バニラやキャラメルの甘み、麦の香ばしさ、スモーキー
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、プラムの酸味とグラスいっぱいにスモーキーさが広がっています。また、少しコールタールっぽい香りにピートのアクセント、そして硫黄も若干感じます。
口に含むと、酸味とビターがバランスよく調和した味わいが広がり、ほのかにバニラっぽさがあります。そして、麦の香ばしくビスケットにも似た味わいがして、とても煙たくピーティーな余韻へと変わりました。
冷やされてもビターは強くならず、酸味と香ばしさのバランスがとっても良い感じで、余韻にかけて一気に膨らむスモーキーな香りは、アイラを飲み慣れた自身でも楽しくなるくらいの煙たさを持っています。

ロックで飲む機会は少ないのですが、このスカラバスは氷を入れて飲んだほうが美味しいかもしれません。加水でピートの刺激が和らぎ、麦の香ばしい香りと柑橘の酸味やビターが程よく馴染みバランスが良いです。でも、煙たさはシッカリと健在!!
ハイボールで飲んでみる

香り
- ピート、スモーク、タール、プラム、麦
味わい
- スモーキー、ふわっと香るバニラと樽香
感想
最後は個人的に期待しているハイボールで飲んでみます。
香りは、とても煙たくそしてピーティー!!これぞアイラモルトのハイボールです。やや、灰の混じった乾いた感じのスモーキーさと、ピートのツンっとするアクセント、タール、まさにアイラ全開の香り!!
口に含むと、BBQのような煙たさが広がり、バニラや樽のモルティな香りが追いかけてきます。余韻は香ばしい甘さと煙たさが入り混じり、最後はスモーキーなニュアンスが長く残ります。
シークレットモルトなので、フェノール値は公表されていませんが数値と煙たさはイコールではないと改めて教わった気がします。煙たさを求める方には自身を持ってオススメできるハイボールです!!

ヨード感こそ抑えられていますが、バッチバチのスモーキーなハイボールです!!煙たさだけでなく、バニラや香ばしい穀物の甘さが中盤から効いてきて、何杯でもイケちゃいます!!
まとめ
近年のウイスキーブームで、アイラモルトは高騰の一途を辿っています。昔はオフィシャルボトルよりもリーズナブルに購入出来たボトラーズボトルですが、最近は逆転なんてこともしばしば・・・。
ボトラーズは、品質や味わいの面で不安定な部分も多くありますが、この「スカラバス」のようなオフィシャル並に販売しているボトラーズブランドであれば心配いりません。品質の安定の代わりに、蒸留所を非公開にすることで、安定的な味わいを保っているのでしょう。
気軽に変える値段ではありませんが、オフィシャルから出ているアイラモルトに比べれば、随分と良心的な価格で、蒸留所が明かされていないとはいえ、正真正銘のアイラのシングルモルト。特筆すべきはその煙たさと香ばしいモルトの香りです。ストレートはもちろん、ロック、さらにハイボールとスタンダードな飲み方で十分すぎる美味しさとコストパフォーマンスがあり、お勧めです!!
ただ、くれぐれもクセの強いウイスキーであることは忘れないでくださいね!!(笑)

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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