このウイスキーの特徴を簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回のレビューは、ダグラスレイン社の「ロックアイランド」です!
「ロックアイランド」はボトラーの「ダグラスレイン社」が手掛けているブレンデッドモルトで、使われるモルトはスコットランドのアイランズに分類される蒸留所のモルトになります。
ダグラスレインとは!?
「ダグラスレイン社」は前進が海運業の会社で、1948年にスコットランドのグラスゴーに設立されたボトラー(瓶詰め業者)です。
当時、ブレンデッドウイスキーの需要が高まりスコッチウイスキーの輸出業に進出、その際にストックしていた原酒を元に「ダグラスレイン社」はボトラーとして歩み始めました。
モルト品質に評判のある「ダグラスレイン社」は、ブレンデッドウイスキーの製造やフラッグシップ「オールドパティキュラー」シリーズなどを展開し、モルトファンからの支持を集めています。
中でも人気が高く、手軽に購入できる価格帯にあるのが「エリア別のブレンデッドモルト」シリーズです。以前レビューを行った「ビッグピート」に続き「ロックアイランド」もその中の1つになります。(以下が産地別のボトルになります)
ビッグピートのレビュー記事はコチラからどうぞ!!
アイランズとは!?
スコッチウイスキーでは、造られる場所によって6つのエリア分けがされます。
(画像左の色分け)
そして、アイランズはスコットランド本土以外の島々を指す総称になります。
ハイランド (Highland) | スコットランドで最も蒸留所が多い地域(全体の3分の1がハイランドにある) |
ローランド (Lowland) | ハイランドの南側に位置しスコッチでは珍しい3回蒸留を行うところもある |
スペイサイド (Speyside) | スコットランド北東部、スペイ川のほとりに沿って蒸留所が多く存在 |
アイラ(Islay) | アイラ島、強烈なスモーキーフレーバーやピートを用い「スコッチの聖地」 |
アイランズ(Islands) | スカイ島やオークニー諸島といった、スコットランドの島々を括ったもの。 |
キャンベルタウン(Campbeltown) | かつては30以上の蒸留所があったウイスキーの主要産地。現在は3箇所のみ |
本来、「アイラ島」は含まないという意見もありますが、「ロックアイランド」ではアイラモルトもブレンド対象になっています。
ロックアイランドの詳細
「ロックアイランド」を造るモルト原酒の産地はアイラ島、ジュラ島、アラン島、オークニー諸島の4つが公表されています。
どの地域も海を連想する島ならではの味わいが特徴の有名なモルト産地です。
ただ、モルト産地は公表していても蒸留所の名前までは公表をしていません。理由は、蒸留所との契約であったり、一樽ごとに味わいが違うので固定してしまうとボトルの味わいを維持するのが難しくなるからと言われています。
ですが、おおよその蒸留所を特定することは出来ます!!
例えば、ジュラ島ですがここには「ジュラ」を製造している「アイルオブジュラ蒸留所」が最も有名です。
次にアラン島では、「アランモルト10年」を製造している蒸留所「ロックランザ蒸留所」と「ラッグ蒸留所」の2箇所ですが、ラッグ蒸留所は稼働したばかりですので、おそらくは「ロックランザ蒸留所」のモルトでしょう。
では、残り2島のアイラ島とオークニー諸島ですが、アイラは「ビッグピート」で公表しているモルト原酒(ボウモア、カリラ、アードベッグ、ポートエレン)のいずれかだと思います。
そして、オークニー諸島の蒸留所は主に2つ。「ハイランドパーク蒸留所」と「スキャパ蒸留所」です。
個人的には、オークニーが最も難しいんです。どちらもダグラスレインから発売されていますし・・・、ただ、ヘザーハニーと言われる独特の香味をウリとする「ハイランドパーク」である可能性が高いです。
どちらにしても、オークニー諸島にある最北の地で造られるモルト原酒であるに違いはありません。
以上の4島から厳選されたモルト原酒を使って「ロックアイランド」は造られています。「海」をフューチャーしたラベルであるのもそのためですね!!
では、海の恩恵を受けたモルトの味わいをいつものように3種類の飲み方でレビューしてみたいと思います。どうぞ、最後までご覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- 樽香、潮風、レモン、ハチミツ、ピート、乳酸菌飲料
味わい
- 若々しく爽やか、乳酸菌、ライム
感想
まずはストレートから飲んでみます。
香りは樽のウッディな香りが先行して、同時に潮風を感じるブリニーなニュアンスがあります。レモンピールをしたような柑橘感にハチミツ、ピートのアクセント、そして乳酸菌飲料を思わせる香りが印象的です。
口に含むと、少しオイリーな舌触りに潮っけの効いた味わいが広がって、樽感をまとったビターが膨らんできます。ピートの香りも感じますがスモーキーさはさほどではありません。
余韻にかけてレモン、乳酸菌飲料の爽やかな酸味が広がり樽香とともにゆっくり消えていきます。さすが島々のモルトをヴァッティングしただけあり、全体の荒々しさや潮気が効いてとても個性的な味わいに仕上げっていると思います。
スコットランドの島系モルトで作られているだけあって”潮気”たっぷりの味わいはクセになります。一つ一つのモルトの個性が飲むたびに感じられ飽きずに杯を重ねることが出来ました。ただ、ちょっと若さを感じるところもあるので、上位ボトルの「ロックアイランド10年」も試してみたいと思いました。
ロックで飲んでみる
香り
- 潮気、レモン、乳酸菌飲料、ハチミツ、ビスケット、若葉
味わい
- 爽やかな口当たり、フレッシュなビターとスパイシーさ
感想
次は氷を入れて飲んでみます。
香りは、海の潮気からレモン(ライム)の柑橘、乳酸菌飲料の爽やかな酸味と続き、ハチミツ、ビスケットと香ばしく甘い香り、そして若葉を思わせるフレッシュな青っぽさがあります。
口に含むと、潮気からくるしょっぱさとレモンピール、すぐにビター感が広がりスパイシーさが追いかけてきます。余韻にかけて乳酸菌飲料の酸味が残り樽のウッディな感じと相まって鼻に抜けていきます。ビター強めのロックですが、レモンや乳酸菌の酸味のおかげでサッパリとした印象を持ちました。
ビター傾向になるロックスタイルですが、ほんのり感じる酸味があるので飲み飽きることはありません。加水が進むと乳酸菌飲料の酸味がミルキーな印象へと変わったりもするので、時間をかけて楽しめます。
ハイボールで飲んでみる
香り
- 樽香、ビスケット、潮、レモン、ライム、未熟の柑橘感
味わい
- 優しい酸味と香ばしさ、フレッシュな柑橘
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、樽香を最も前に感じ、香ばしいビスケット、潮っぽさ、そして爽やかな未熟の柑橘があります。
口に含むと、香ばしいモルト感とミルキーにも感じてしまう乳酸菌飲料のような酸味が広がります。先程までのビターはほとんどなく、余韻に少しスモーキーな香りとモルトの香ばしい甘さが残ります。
飲みやすさだけでなく、隠れていたスモーキーさが良いアクセントになっていて、アイラモルトの存在を認識させてくれる味わいでした。
3種類の飲み方でもっともスモーキーさを感じました。と言っても、アイラモルトほどではなく”ほんのり”といった程度なので、スモーキーなウイスキーが苦手な方でも十分美味しく飲むことが出来ると思います。
まとめ
同社のブレンデッドモルト「ビッグピート」の影に隠れて、少し印象の薄い「ロックアイランド」ですが、なんとも言えないブリニーさと柑橘や乳酸菌飲料の爽やかさはとっても好印象でした。
島系モルトはとっつきにくいイメージがあると思いますが、「ロックアイランド」はラベルの印象とは裏腹でとても飲みやすく仕上げられていると思います。
ふくよかなモルトを求めると長期熟成物に行かざる得ない傾向にありますが、未熟なところも旨味になる島系モルトはある種コストパフォーマンスにとても優れているのではないでしょうか!?
ハイボール主体で、しっぽりと時間を過ごすお供としてもお勧めできますし、食事にも合わせやすい万能型のブレンデッドモルトだと思います!!是非、お試しください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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