このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回レビューするウイスキーはシンプルで上品なラベルの「アランモルト10年」です!!
アランモルト(アラン)はスコットランド、アラン島で製造される「シングルモルトウイスキー」です。
製造はアラン島にある「ロックランザ蒸留所」が行っていて、スコッチの産地区分は「アイランズ」に分類されます。
ロックランザ蒸留所とは
蒸留所がある「アラン島」はスコットランドのクライド湾にある島で、西側にあるウイスキーの聖地「キャンベルタウン」の対岸にあります。
アラン島はウイスキーの熟成に非常に適した環境で、スコットランドの地形的な特徴を全て備えている為、「スコットランドのミニチュア」と呼ばれることもあります。
19世紀に中頃には、アラン島だけで50を超える蒸留所があり密造酒(ウイスキー)の生産拠点として賑わっていましたが、英国からの重い麦芽税によって1837年のラッグ蒸溜所閉鎖を最後に、アラン島でウイスキーは造られていませんでした。
しかし、1990年代この地に「再び蒸留所を建設する」という夢を抱いた2人「ハロルドカリー氏」と「デイビッド・ハッチソン氏」によって、アラン島に再びウイスキー造りの歴史が始まります。
2人は困難な資金調達の問題を独特のアイディアで解決しました。それは、購入者(出資者)にウイスキーを優先的に届けるという手法で、現在のクラウドファンディングに近い方法です。
こうして実に150年ぶりとなる蒸留所の復活により、アラン島でのウイスキー造りが始まりました!!
尚、以前は「アイルオブアラン蒸留所」という名称でしたが、アラン島の南岸に新たなラッグ蒸留所が建設されたタイミングで、蒸留所名も「ロックランザ蒸留所」へと改名されています。
ロックランザ蒸留所の製法
ロックランザ蒸留所は独立資本の為、ブレンデッドウイスキーへの供給を行わずシングルモルトのみの販売を目的とする蒸留所です。
量より質にこだわるクラフト蒸留所の先駆けとなった蒸留所でもあるので、製法には強いこだわりを持っています。
原材料となる大麦麦芽は2000年頃から使われている比較的新しい品種オプティック品種を使っています。
水源には適度なミネラル分を含む水、イーサンビオラック川からの水を使用しています。この水はアランの上質な原酒を造る上で重要な骨格になります。
効率ではなく質を重要視するため、発酵槽(ウォッシュバック)はあえて木製を使用。
また、蒸留器(ポットスチル)は昔からの単式蒸留器が初溜2基、再溜2基の合計4基あります。
普通、新設された蒸留所では連続式蒸留機を採用しますが、ロックランザ蒸留所では効率の面で劣る単式蒸留器をあえて採用しています。
これは、素材の風味を活かすことの出来る唯一の蒸溜方法だからです。
そして、アランの味わいの特徴的な香りや味わいを形成する要素「熟成樽」には、新樽のフレンチオーク材を選び抜いて使用しています。
これによりバニラやキャラメル、ココナッツといった風味とシトラス感、そしてスパイシーなアクセントが生まれます。
また、リフィル樽はワイン樽やシェリー樽、ポート樽を使用したり、バーボンバレルを用いた熟成なども行っています。
アランモルト10年
今回ご紹介する「アランモルト10年」はアランブランドの中では最もスタンダードな位置づけのボトルになります。
2019年のリニューアル以降、非常に人気が高く入手が難しい銘柄の一つで、蜂蜜や砂糖漬けのシトラスのような爽やかな甘味、そして柔らかくなめらかな口当たりが印象的です。
ファーストフィルのバーボン樽熟成原酒をメインに使い、シェリーホグスヘッドで熟成させた原酒をバランス良くヴァッティング。
アルコール度数は46%とやや高めですが、アラン島で10年以上熟成した味わいがたっぷりと詰まっています。
それでは、今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしていきますので、最後までご覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- はちみつ、桃、マンゴー、干し草、麦
味わい
- 甘酸っぱい果実、スパイシー、フルーティーな余韻
感想
まずは、ストレートから飲んでみます。
香りはハチミツと桃、マンゴーなどが合わさった甘くジューシーな香りがあり、麦芽の香ばしさや干し草っぽい香りがあります。
口に含むと、心地よい酸味と甘い果実感が広がり、華やかでフルーティーな味わいです。途中、スパイシーな感じが追いかけてきて、再び果実とちょっぴりビターなニュアンスの余韻へと続きます。
以前のアランはもっと甘くのっぺりとした印象でしたが、現行のアランはバランスもよく程よい香ばしさとスパイシーさがあって飲みやすくなっています。この味わいなら人気があるのも納得!!
グラスに注いだ瞬間から、ハチミツと桃やマンゴーのフルーティーな香りがとても心地良いです。ただ、甘ったるいだけでなく、適度にスパイシーで香ばしく非常にバランスの良いモルト!!
乱暴な言い方(印象)ですが、サントリー「響JH」に近い感じの果実感、モルト感があり、あちらはブレンデッドですが、全体のまとまり方はシングルモルトのアランも非常に素晴らしい!!
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、桃、クランベリー、カモミール、花、ライム
味わい
- 柑橘の果肉と皮、ジューシーでビター
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りはハチミツに桃(マンゴー)などの果実と、ちょっと酸味が強いクランベリーなどのベリー系の香り、そしてハーブ(カモミール)に、花(ブーケ)っぽさがあります。
口に含むと、爽やかな果実香とともに優しい酸味が広がります。甘さは抑えられ、優しい酸味とビターが膨らみややスパイシーなアフターに。余韻はライムとほのかな穀物感が続きます。
冷やしてもフルーティーな香味と甘さは残りますが、シェリー樽原酒のニュアンスも出てとても華やかで大人のスパイシーさがあります。
ロックにしてもビターが強すぎることもなく、優しい果実の酸味や甘さを感じることが出来ます。ちょっぴりワインのような香りと、程よいビター感は飲み飽きることがなく、気づけば・・・(笑)!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、クランベリー、チョコ、麦、ビスケット、ライム
味わい
- 香ばしくフルーティー
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、ハチミツの甘い香りとクランベリーの甘酸っぱさ、そしてほろ苦いカカオに、麦やビスケットの香ばしさ、そして僅かに煙たいニュアンスを感じます。
口に含むと、ジューシーな果実感が広がりながらモルトの香ばしさが追ってきて、アフターにかけて少しツンっとするビターのアクセントを感じ、モルトの優しい余韻が静かに香ります。
ハイボールの爽快さと、柔らかなモルト感はウイスキーを飲み慣れない方でも抵抗なく飲めますし、コアなウイスキーファンでも納得できる味わいだと思います。
飲みやすさも去ることながら、上質なモルトの旨味が口の中いっぱいに広がります。スコッチのツンっとくるあの感じが苦手な方でも抵抗なく飲め、ウイスキーの美味しさを知る最適なハイボールです!!
まとめ
アランモルト10年のレビューでした!!
アランモルトを購入するのはかなり久しく、あのパッとしないラベルデザイン、素朴な味わい、という印象でした。
しかし、リニューアルされたアランモルトはとても洗練されていて、素晴らしいモルトウイスキーに生まれ変わったと思います。華やかさと力強さ、2つの特徴がキレイにバランスよくまとまっていて、上質なモルトの旨味で溢れています。”バランスの良い味わい”は「物足りなさ」ではないと改めて思わされました。
誕生から約30年と蒸留所としてはまだまだ若いですが、今後も熟成していく原酒を考えると、しっかりチェックしておかなければ後々後悔してしまうことでしょう(笑)
人気の為、定価での入手はやや難しい部分もありますが、「アランモルト10年」飲んで損はないモルトウイスキーです!!ぜひ、お試しください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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