このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
ボウモアについて
「ボウモア」とは、スコットランドのアイラ島にある「ボウモア蒸留所」が生産するシングルモルトウイスキーを指します。ゲール語で「大きな岩礁」という意味を持つ名前は、蒸留所が海抜0メートルの海岸に位置し、波の音や潮風がモルト原酒に海の影響を与えています。
1779年にアイラ島の商人「デイビッド・シンプソン」によって創設された蒸留所は、経営の変遷を経ながらも継続してウイスキーの製造を行ってきました。2014年にサントリーが買収し、現在は安定した経営を続けています。
ボウモアの特筆すべき特徴の一つは、今もなお行われているフロアモルティングです。大麦を発芽させて麦芽を作る際、発芽を中断させて糖化工程に進めるようにする必要があります。このために、発芽した麦を敷き詰めたフロアで、下からの熱風や煙を用いて乾燥を行う工程が行われ、これがフロアモルティングと呼ばれます。
フロアモルティングは手間のかかる作業で、発芽の進行をコントロールするために床に広げた麦芽を手作業でかき混ぜる必要があります。最近では外部業者から仕入れた完成品の麦芽を使用する蒸留所が多い中、ボウモアは完全にはその手法を捨てず、自社でフロアモルティングを行った麦芽を一部使用しています。
このことにより、ボウモアは他のアイラモルトにはない柔らかなピートの香りとエレガントな味わいを持ち、「アイラの女王」とも称される特異な存在となっています。
ボウモア18年
「ボウモア18年」は、ボウモア蒸留所がリリースするミドルエイジのシングルモルトウイスキーで、今回のボトルは2017年以降のニューラベルになります。
使われている原酒は、スパニッシュオーク樽(シェリー樽)を中心としながらバーボン樽など数種類の樽を使い熟成年数は18年以上のものだけを使用して造られています。
ボウモアといえば「アイラの女王」と言われる銘柄、気品に満ちた風格と18年以上の歳月をかけて潮風の影響を受けた原酒による味わいはモルトファンから高い評価を受けています。
今回のレビューボトルは1990年代に仕込まれた原酒を中心にブレンドがされていると推測しますが、かつてのボウモアはパフューム香が有名で、その更に前の60年代のボウモアはトロピカルフルーツのような味わいがしました。時代によって酒質に特徴があるため、中期熟成のボトルをテイスティングする際はどのあたりの原酒が使われているのか!?を探るのもボウモアを味わう上で楽しみの一つと言えます。
ボウモアは各年代それぞれにファンがいます!まずは、現行品から試してみて機会があれば昔のボトルも試してみて下さい!
時代によって違う味わいというの興味深いですが、何より現行品でも多くのファンに愛されている銘柄というは素晴らしいですね!!
では、今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- マンゴー(トロピカルフルーツ)、ベリー、ハチミツ、黒糖、スモーク、ヨード
味わい
- 気品に満ちた果実香と穏やかで柔らかいスモーク
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、マンゴーやトロピカルフルーツ、そしてレーズンやベリーなどのフルーティーな香りに、ハチミツや黒糖といった甘さ、ほろ苦さが複雑に絡み合い、柔らかくもしっかりとしたスモーキーフレーバーが漂います。
口に含むと、熟した果実の甘さとスモークが口いっぱいに広がり、スパイシーさが追いかけてきます。そして、ほろ苦さとブドウのタンニンがスモークと絡み合い、余韻は果実の円味と心地よいスモークが静かに消えていきます。
アイラモルトのシェリー樽原酒を使ったものは何種類も飲んできましたが、煙たさとシェリーのサリファリー感で個性的で飲みにくく、暴力的な印象でした。しかし、これは違います。
アイラの女王と言われる所以、まさにその通りの気品満ちた味わいで、シェリーのニュアンスも「ザ・マッカラン」のように非常にエレガントで、円熟と呼ぶにふさわしい味わいです。
香りも味わいも非常にエレガント!!まさに果実と煙(ピート)のハーモニーがグラスに注いだ瞬間から余韻まで続きます!!
ロックで飲んでみる
香り
- スモーク、ヨード、トロピカルフルーツ、ブドウ(皮)、黒糖、マンゴー
味わい
- 果実と黒糖、スモーキーで果実感あるアフター
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ストレートとは立ち位置が入れ替わり、スモークとピート、そしてヨード感が前に来ます。そして、丸みを帯びた優しいトロピカルフルーツとブドウの皮のようなタンニン、奥むって黒糖のほろ苦さも感じます。
口に含むと、スモーキーさと熟した果実、トロピカルな香りが混じり合い、鼻から抜けていきます。味わいにはビターさも少しありますが、果実の優しい甘さとシュガーバターのようなクリーミーなニュアンスもあり、中盤からはダークチョコとタンニンが膨らみ、スモーキーと一緒にスッと消えていきます。
氷が溶け出し、加水が進むと、ビター(タンニン)も強調されますが、柑橘のようなビターではなく、ブドウの皮、つまりシェリー樽の特性が滲み出てくる感覚を味わえました。
スモーキーさが一気に加速するオンザロック!!しかし、エレガントな香りはマッカランのような気品に満ち溢れていて、ゆったりとした時間をかけて楽しめる味わいです!
ハイボールで飲んでみる
香り
- スモーク、ヨード、マンゴー、ゴム、ハチミツ、黒蜜
味わい
- レーズンとスモーク、失われないコク
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、スモークとヨード感が前面に感じられ、その直後にマンゴーやトロピカルフルーツ、そしてゴムのようなシェリー樽独特の香り、ハチミツや黒糖の甘さをわずかに感じます。
口に含むと、トロピカルフルーツ(マンゴー)とスモークが絶妙に絡み合い、麦の優しい甘さが広がります。そして、ブドウの皮とトロピカルフルーツ(黄色い果実)にスモーキーさが混じり、爽やかな余韻は長くは続かず、サッと消えていき、贅沢でエレガントな味わいのハイボールです!
トロピカルな果実とスモーク、アイラモルトならではの共演は唯一無二!!ハイボールにしてもコクがあって腰折れしないのは流石といった感じでした!!
まとめ
「ボウモア18年」のレビューでした。
ボウモアに限らずですが、個人的には18年熟成くらいのモルトが一番好きです。というのも、熟成が長ければ長いほどウイスキーとしての力強さは失われ、良い意味で円熟味を帯びて枯れていくからです。ウイスキーとしての本質と熟成樽からの恩恵、この両者のバランスに最も優れているのは17年~21年くらいだと個人的には考えています。
つまりウイスキーとしての飲み頃でもある「ボウモア18年」は、アイラモルトファンに限らず、すべてのウイスキーファンに試してもらいたい銘柄の一つで、スモーキーな香味は好みが分かれるところですが、シェリー樽熟成の良い部分を存分に味わえ、エレガントかつモルトの持つ力強さも兼ね備えています。
年々高騰するウイスキーですが、その中でもアイラモルトの上昇幅は大きく中々手の届かないものがあります。しかし、そんな中でも「ボウモア18年」は1万円代前半に留まっており、ミドルエイジのシングルモルトとしてはコストパフォーマンスにも優れています。
昨今の原酒不足などを踏まえると、いつまでこの状態が続くかは分かりませんが、ウイスキーの先輩から教えられた言葉で「飲める時に飲んでおけ!」をこの「ボウモア18年」を通してお伝えできればと思いました。
気になる方は、ぜひお試しください!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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