こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!
シングルモルトウイスキーは、スコットランドで発祥した伝統的なウイスキー製法を基に、日本でも数多くの蒸溜所で製造され人気を博しています。
その中でも、比較的入手しやすいですが、好みが分かれるシングルモルトが「シングルモルト宮城峡」です。本記事では、シングルモルト宮城峡の魅力や歴史、生産方法などを詳しく解説します。
シングルモルト宮城峡を簡単にまとめると
ウイスキー属性 | シングルモルト |
産地(メーカー) | 日本(ニッカウヰスキー) |
蒸留所 | 宮城峡蒸溜所 |
味わい | シェリー原酒の華やかさ |
飲みやすさ | ★★★☆☆☆ |
おすすめの飲み方 | ストレート、ハイボール |
個人的感想 | 独特のクセがあり好みが分かれる |
シングルモルト宮城峡の内容と概要
シングルモルト宮城峡は、日本のニッカウヰスキーが宮城県仙台市の郊外に位置する宮城峡蒸溜所で生産するシングルモルトウイスキーです。1969年に設立されたこの蒸溜所は、創業者の竹鶴政孝氏が理想とするウイスキーを生み出すために選ばれた場所で、その特徴的な環境と独自の製法がシングルモルト宮城峡の魅力を形成しています。
宮城峡NAは『宮城峡蒸留所のモルト原酒のみ』を使って販売されているシングルモルトウイスキーになります。
仙台の山深くに佇む宮城峡蒸留所
宮城峡蒸留所
宮城峡蒸留所の歴史
日本のウイスキーの父である竹鶴政孝は、「異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念を抱いていました。彼が北海道の余市にて第一の蒸留所を操業してから約30年後、新たな蒸留所の建設計画が立てられました。竹鶴氏は山形県との県境に程近い宮城県仙台市近郊の緑豊かな山間部を訪れ、その自然環境がウイスキー製造に最適であることを確認しました。
この地には広瀬川と新川という二つの清流が流れており、その自然豊かな環境に魅了された竹鶴氏は、新川の清流で持参したブラックニッカを割って味わいを確認しました。その結果、1969年に宮城峡蒸留所が設立されました。この場所の選定は、ウイスキー製造に必要な自然環境の最適さに基づいたものでした。
新川(ニッカワ)という名前も偶然で、当初は計画が漏れた!?と竹鶴氏は焦った一幕もあったそうです。
スコットランドでいえば力強い酒質の余市が”ハイランド”、対して宮城峡は華やかで柔らかい酒質の”ローランド”の位置づけになります。
宮城峡蒸溜所の製法と特徴
ウイスキーの世界には、個性的で魅力的な蒸溜所が数多く存在します。その中でも宮城峡蒸溜所は、その独特な製法と特徴で広く知られています。宮城峡蒸溜所は、宮城県仙台市に位置し、美しい自然環境に囲まれています。この環境がウイスキーの風味に大きな影響を与えているのです。
宮城峡蒸溜所の最大の特徴は、その製法にあります。まず、使用される水は、宮城県仙台市青葉区を流れる名取川水系広瀬川支流の一級河川新川川(にっかわがわ)の清らかな湧き水です。この水は、ウイスキーの製造において非常に重要な役割を果たしており、その柔らかく清らかな特性が、宮城峡ウイスキーのまろやかで繊細な風味を生み出しています。
また、宮城峡蒸溜所では、伝統的なポットスチル製法を採用しています。これは、銅製のポットスチルを使用して蒸溜を行う方法で、時間と手間がかかるものの、非常に高品質なウイスキーを生産することができます。この製法により、宮城峡ウイスキーは、フルーティーでスムースな味わいが特徴となっています。
スチームによる間接蒸溜
上向きのラインアームを持つバルジ型のポットスチルを使い、約130℃でじっくりと蒸溜します。蒸溜の過程で蒸気と香味成分が何度も繰り返し釜に戻り、その間に洗練された香りと味わいへと凝縮されていきます。ニッカウヰスキーHPより
余市の石炭直火蒸留の様な力強いモルトとは対照的に、香味が濃縮されるので華やかで優しい味わいのモルト原酒が出来ます。
宮城峡蒸溜所のウイスキーは、熟成にもこだわりがあります。ウイスキーは、シェリー樽やバーボン樽など、さまざまな種類の樽で熟成され、それぞれの樽が持つ特有の香りや風味をウイスキーに与えます。この多様な熟成方法により、宮城峡ウイスキーは、豊かな香りと深い味わいが楽しめる製品となっています。
一方で、宮城峡蒸溜所は、季節ごとの気候変動にも対応した製造プロセスを採用しています。これにより、年間を通じて安定した品質のウイスキーを提供することができるのです。宮城峡蒸溜所のウイスキーは、その独自の製法と厳選された材料、そして自然環境の恩恵を受けた逸品と言えます。
宮城峡蒸溜所ならではの設備
宮城峡蒸溜所は、その設備の先進性と独自性で知られています。ここでは、いくつかの特徴的な設備について詳しく解説します。
まず、宮城峡蒸溜所には、特注のポットスチルが設置されています。このポットスチルは、スコットランドから取り寄せたもので、宮城峡の風味を引き出すために特別に設計されています。ポットスチルの形状やサイズは、ウイスキーの風味に大きな影響を与えるため、宮城峡蒸溜所では、何度も試行錯誤を繰り返し、最適な形状を見つけ出しました。
さらに、宮城峡蒸溜所には、独自の蒸留設備があります。例えば、冷却装置は、銅製のワームタブと呼ばれる伝統的な方法を採用しています。これは、冷却過程でウイスキーに独特の風味を与える効果があります。また、熟成用の貯蔵庫も、宮城峡ならではの工夫が施されています。貯蔵庫内の温度や湿度は、自動制御システムによって厳密に管理されており、最適な環境でウイスキーが熟成されます。
さらに、宮城峡蒸溜所では、環境への配慮も徹底しています。例えば、製造過程で発生する蒸気や廃棄物は、最新のリサイクルシステムを導入することで、環境負荷を最小限に抑えています。また、エネルギー効率の高い設備を導入することで、持続可能な製造プロセスを実現しています。
このように、宮城峡蒸溜所は、伝統的な製法と最新の技術を融合させることで、他に類を見ない高品質なウイスキーを生産しています。これらの設備が、宮城峡ウイスキーの独特の風味と品質を支えているのです。
まとめると、宮城峡蒸溜所は、その独自の製法と先進的な設備により、他にない魅力的なウイスキーを生み出しています。これからも、宮城峡蒸溜所のウイスキーが、多くの人々に愛され続けることでしょう。
カフェ式連続式蒸溜機
宮城峡蒸溜所の第二の心臓、カフェ式連続式蒸溜機。この設備が稼働している蒸溜所は、今や世界でもごく少数。一般的な単式蒸留器(ポットスチル)と違い、1回ずつ発酵液を沸騰させて蒸溜液を得る方式ではなく、連続的に発酵液を流し入れ、気化と凝縮をひとつの蒸溜機の中で連続的に行うことで、高いアルコール度数の蒸溜液を得られるという蒸溜器。
連続式蒸留の場合、純度の高いアルコールが生成されるので味わいがすっきりでライトになります。
- カフェ式蒸留塔
一番手前の大きな建物がカフェ式連続蒸留器が入る建物。
- 構造について
蒸留器の中に熱せられた板状の物などがあって上から醪を流し、落ちていく過程でアルコールは上へと揮発していく仕組みです。
シングルモルト宮城峡の製法
シングルモルト宮城峡は、その独自の製法によって特徴的なウイスキーです。まず、フルーティーで柔らかな香りと味わいが挙げられます。製造過程でピートをほとんど使用しないため、スモーキーさが抑えられ、果実のような香りが際立ちます。
スチームによる穏やかな蒸溜と、原酒に重い成分を残さないポットスチルを使用することで、華やかでフルーティーな原酒が生まれます。これにシェリー樽モルトと新樽モルトを加えることで、軽快ながらも深みと厚みのあるウイスキーに仕上げています。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- リンゴ、カスタード、梨、チョコレート、カスタード、ゴム
味わい
- リンゴの香りと共に塩味を感じる
- 軽やかな舌触り
- フルーティーな香りと苦み
- 独特のクセがある
余韻
- シェリー樽のタンニン(渋み)、塩味と苦みが目立つ
感想
ローランドモルトを意識して作られているであろう『宮城峡NA』をストレートで頂きました。
印象的だったのは、軽い味わいと華やかな香りです。しかし、同時にケミカルな要素も多く感じられノンエイジ製品である若さが目立ちました。特にアルコール感はやや強めで、熟成感は感じられずシェリー樽熟成の原酒が中盤から苦みと渋みになって目立ちます。
華やかなモルトウイスキーというよりも、変なクセが目立つ印象が強かったです。初心者の方がストレートで飲むにはちょっと抵抗がある気がします。
ロックスタイルで飲んでみる
香り
- リンゴ、ハチミツ、ミント
味わい
- リンゴ果汁の様なフレッシュさ
- 華やかな甘い香りが心地良い
- アフターに渋みが目立つ
感想
ストレートの時よりも香りに華やかさを感じる様になりました。加水によって隠れていた香味が開いたのだと思いますが、同時に冷えたことによってアルコールやケミカルな要素が少し和らいだのだと思います。飲み口は変わらずライトで一瞬リンゴジュースの様な甘さを感じます。
しかし、後半になると苦みと渋みが徐々に膨らんで一口の味わいの中に極端な二面性を強く感じました。
ハイボールで飲んでみる
香り
- ロックスタイルと変化なし(強いて言うならハチミツが少し強くなる)
味わい
- 口当たりは柔らかく、フルーツよピートの香りが心地良い
感想
今回のテイスティングの中で一番好みで飲みやすくなりました。果汁サワーの様な柔らかな口当たりから中盤にピートもうっすらと感じ、良いアクセントになっています。ストレートやロックの時のクセやエグさが薄まりアフターをキリッと引き締めてくれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか!?
個人的にはハイボール専用といったところです。どうしてもストレートやロックではフルーティーな要素もありますが、ケミカルに感じる若い原酒の特徴が目立ってしまい、中盤からのクセが気になりました。ハイボールにすることでそのクセがアクセントに変化して、飲み応えになるので飲み方としてはハイボールが一番お勧めかな?と思います。
また、食べ物と合わせるなら香草系のパスタなどちょっとクセのある料理には相性が良いのではないでしょうか?お互いに打ち消し合うことでスッキリとしたテイストに変化するでしょうし、メーカーのHPにもハイボールを推奨する様なコメントの記載もありました。
しかし、同じ宮城峡でも蒸留所限定のボトルは華やかで甘いローランドモルトの様な味わいなのに、オフィシャルとしてリリースしているこのボトルの味わいは華やかな一面もある一方、どうしても独特のクセが気になってしまうのでもったいない気がします。これも原酒不足の影響で大量に出回るオフィシャルボトルにハイボールと言う形で飲んでもらうメーカーの提案なのかもしれませんが、ちょっと腑に落ちない感じです。
ショーケースなどでも宮城峡だけ残っているイメージがありますが、あれもあながち仕方ないのかな?とも思います・・・、嗜好品ですので個人の好みもあるでしょうし一概にはこうだっ!!とも言えませんが、価格の面を考えるとやっぱりちょっと割りに合わないのも否めない印象です。
少なくとも初心者の方には取っ付きづらいかなと思いました。日を改めて再びレビューをしてみる材料として温めておきます\(^o^)/
最後までお読み頂きありがとうございました。
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