【レビュー】ザ・ゴールドロンズの味と香りを3種類の飲み方で解説!

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こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!

ウイスキーの世界には、地域ごとに異なる特徴がありますが、キャンベルタウンのウイスキーは特に独自の風味で知られています。「ザ ゴールドロンズ」は、このキャンベルタウンのウイスキーを代表するブレンデッドモルトで、ダグラスレイン社によって販売されています。スプリングバンクとグレンスコシアのモルトを使用しており、潮気やスモークが特徴的な味わいが魅力です。

この記事では、「ザ ゴールドロンズ」の基本的な概要から製造に使用される蒸留所の特徴、さらに各バリエーションの違いや味わいについて詳しく解説します。

ザ・ゴールドロンズはこんなウイスキー

ウイスキー属性 ブレンデッドモルト
産地(エリア) スコットランド(キャンベルタウン)
メーカー ダグラスレイン
味わい フルーティ、優しい潮気
飲みやすさ ★★★★☆☆
おすすめの飲み方 ロック・ハイボール
個人的感想 初心者からマニアまで楽しめる
ザ・ゴールドロンズの総合評価
イマイチ
良い

入り江の名を冠したウイスキー「ザ ゴールドロンズ」

「ザ ゴールドロンズ」は、スコットランドの名門ボトラーズであるダグラスレイン社によって販売されています。このダグラスレイン社は、1948年に設立されたインディペンデント・ボトラーであり、その品質と革新的なウイスキー造りで高く評価されています。特に、同社が展開する「リマーカブルリージョナルモルト」シリーズは、スコットランドの各地域に焦点を当てたブレンデッドモルトを提供しており、アイラの「ビッグピート」やスペイサイドの「スカリーワグ」などの銘柄は、ウイスキー愛好家の間でも広く知られています。

ザ ゴールドロンズは、このシリーズの中でも最も新しい銘柄であり、キャンベルタウンの風味を代表するものです。またラベルには、クモが描かれています。これは、キャンベルタウンにある入り江「ゴールドロンズ」にまつわる伝説を元にデザインされたもので、ロバート1世が戦いに敗れた後、この入り江でクモが巣を張る様子を見て奮起したという逸話に基づいています。困難を乗り越え、再び立ち上がるというテーマが、キャンベルタウンのウイスキー造りと重なり、このデザインはワールド・ウイスキー・アワードのベストラベルデザイン賞を受賞しています。

キャンベルタウンは、19世紀から20世紀初頭にかけてウイスキー産業の中心地として栄えました。その成功の理由は、主に以下の3つの要因にあります。

  1. 豊富な大麦と石炭
    キャンベルタウン周辺は、ウイスキーの原料である大麦が豊富に栽培されていました。また、燃料となる石炭も地域内で採掘できたため、ウイスキー生産のコストを抑え、生産が容易だったのです。
  2. 豊富で良質な水源
    ウイスキー製造に不可欠な良質な水が、この地域には豊富にありました。特にウイスキーの仕込みに最適な水質を持つ自然の水源が、キャンベルタウンの蒸留所に豊かな風味をもたらしていました。
  3. グラスゴーやイングランドへの輸送拠点としての港
    キャンベルタウンは大西洋に面しており、グラスゴーやイングランドへの輸送拠点としても最適な立地でした。ウイスキーを大量に生産し、海路を通じて迅速に出荷することができたため、非常に効率的な産業体制が整っていました。

これらの要因により、キャンベルタウンは「ウイスキーの首都」として繁栄し、最盛期には30を超える蒸留所が稼働していました。しかし、その繁栄は長くは続きませんでした。

Key(筆者)
Key(筆者)

アラン島と同じく最盛期には沢山のウイスキー蒸留所が稼働していたキャンベルタウンですが、今では3箇所のみとなっています。

キャンベルタウンのウイスキー産業が急速に衰退した理由は、20世紀に入ってからの急激な社会的・経済的変動によるものでした。

  1. 第一次世界大戦と禁酒法
    第一次世界大戦の影響で、ウイスキーへの増税が実施され、さらに禁酒運動が広がりました。アメリカでは禁酒法(プロビジョン法)が施行され、ウイスキーの密輸が行われるようになりましたが、これが品質低下の引き金となりました。
  2. 原材料の枯渇
    キャンベルタウンでのウイスキー生産が過剰に拡大した結果、地域の大麦や石炭といった重要な原材料が枯渇し、持続可能な生産が困難になりました。
  3. 輸送手段の変化
    20世紀になると、輸送手段が海上輸送から鉄道や航空輸送へとシフトし、キャンベルタウンの港が果たしていた優位性が失われました。これにより、輸送面での強みが薄れ、他の地域と競争することが難しくなりました。
  4. 品質低下とブランドイメージの悪化
    アメリカの禁酒法時代、キャンベルタウンの多くの蒸留所は粗悪なウイスキーを大量に密輸し、利益を得ていました。しかし、禁酒法が1933年に廃止された後、品質の低いウイスキーは市場で受け入れられず、キャンベルタウンのウイスキーはその評価を著しく落としました。結果として、アメリカ市場を失ったキャンベルタウンは大きな打撃を受けました。
Key(筆者)
Key(筆者)

衰退後も残った数少ない蒸留所が「スプリングバンク」と「グレンスコシア」です!

かつてキャンベルタウンには30を超える蒸留所がありましたが、20世紀初頭の不況やプロビジョン法(禁酒法)の影響で、多くの蒸留所が閉鎖されました。現在も稼働している蒸留所は、スプリングバンク、グレンスコシア、そして比較的新しく復活したグレンガイルの3つのみです。しかし、これらの蒸留所はそれぞれが独自の伝統を守りながら、キャンベルタウンのウイスキー文化を後世に伝え続けています。

  • スプリングバンク蒸溜所
    1828年に設立されたスプリングバンクは、現在も独立したファミリー経営を続ける数少ない蒸留所です。その特徴は、全ての工程を自社で行う「フルプロセス」生産。自社での製麦から、3種類の異なる蒸留法(スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーン)を採用しており、複雑で豊かな味わいが特徴です。スプリングバンクのウイスキーは、特有の潮気とスモークに加え、フルーティーさやスパイシーさが感じられることで、ウイスキー愛好家に高い人気を誇ります。
  • グレンスコシア蒸溜所
    1832年に設立されたグレンスコシアは、歴史の中で何度か閉鎖と再開を繰り返してきましたが、現在もキャンベルタウンの重要なウイスキー生産者の一つです。グレンスコシアのウイスキーは、軽やかでフルーティーな風味に加え、微かに感じる潮風とピートスモークが特徴です。特に、柑橘系の爽やかなアロマやスパイスが効いた味わいは、スプリングバンクとは異なる魅力を持っています。
  • グレンガイル蒸溜所
    グレンガイルはキャンベルタウンでのウイスキー復活の象徴ともいえる蒸留所で、1925年に閉鎖されましたが、2004年に復活しました。ここで造られるウイスキー「キルケラン」は、伝統的な製法を用いながらも現代的な風味を持ち合わせており、穏やかなピート感とフルーティーなアロマが特徴です。キャンベルタウンの新たな世代を担う蒸留所として注目されています。
Key(筆者)
Key(筆者)

スプリングバンク蒸留所は今でも手作りにこだわり、全ての工程を自社で行っています。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

生産量も少ないスプリングバンクは世界中で人気があり、希少性からプレミア価格がついています。

「ザ ゴールドロンズ」は、スプリングバンクとグレンスコシアのモルト原酒を主に使用して作られています。キャンベルタウンのウイスキーは、その独特の地理的条件から潮気を帯び、ピートによるスモーキーな風味が特徴です。特にスプリングバンクは、伝統的なフロアモルティングを使用しており、その製法がウイスキーに複雑さを与えています。

ザ ゴールドロンズの製造において、ブレンドされるモルトはそれぞれ異なる樽で熟成され、最終的にヴァッティング(混合)されます。このプロセスによって、潮気やスモーク、フルーティーさやスパイスといった多層的な風味が生まれます。熟成にはシェリー樽やバーボン樽が使用されており、それぞれの樽が与える風味のニュアンスも重要な要素です。

キャンベルタウンモルトの特徴を最大限に引き出しつつ、全体としてバランスの取れたブレンデッドモルトウイスキーに仕上げられています。

Key(筆者)
Key(筆者)

主体となるモルトに入手困難な「スプリングバンク」が使用されているのは非常に魅力的!

Caoli(助手)
Caoli(助手)

他にもグレンスコシア蒸留所のモルトなどキャンベルタウンを代表するモルトが使用されています!

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それでは今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!

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ザ・ゴールドロンズをテイスティング(実際に飲んでみた)

ザ・ゴールドロンズのフレーバー

ザ・ゴールドロンズの味わい

ザ・ゴールドロンズをストレートで飲んでみる

香り

  • ハチミツ、潮風、白桃、古木、ウエハース、バニラ、シトラス、淡いスモーク

味わい

  • オイリーな口当たり、スパイシー

感想

まずは、ストレートから飲んでみます。

香りは、ハチミツの甘さに潮風を感じる磯のようなニュアンス、そしてぽってりとした白桃のフルーティさが広がります。さらに、古びた木片を思わせるウッディさや、香ばしいウエハース、バニラの甘さにシトラスの爽やかさが加わり、全体を淡いスモーキーさが包み込んでいます。

口に含むと、滑らかでオイリーな質感が感じられ、白桃のフルーティな香りとシトラスの爽やかなビター感が口中に広がります。次第にスパイシーさが膨らみ、シトラスと潮の香りが絡み合うと、余韻はウッディな香りとともに静かに消えていきます。

キャンベルタウンらしい潮っぽさやスモーキーさを期待していましたが、意外にもフルーティで、塩っ辛さはなく、とてもバランスが良く飲みやすい味わいでした。スプリングバンクのような個性的な風味というよりは、グレンスコシアのように万人受けする親しみやすい印象を受けました。

Key(筆者)
Key(筆者)

キャンベルタウンの塩っ辛さはなく、フルーティで甘さもありとても飲みやすい味わいでした!ややスモーキーで潮気もありバランスが良いです!

ザ・ゴールドロンズをロックで飲んでみる

香り

  • 白桃、マンゴー、ハチミツ、パウンドケーキ、シロップ、潮風、かすかにスモーク

味わい

  • みずみずしくスパイシー、ビター

感想

次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。

香りはストレートに比べてフルーティさが際立ち、白桃をはじめとするマンゴーなどの瑞々しい果実の印象が広がります。その中に、ハチミツやシロップがかかったパウンドケーキの甘やかな香りが感じられ、さらに潮風やかすかなスモークのニュアンスが漂っています。

口に含むと、最初にシトラスの爽やかな風味と共に潮の香りやスモーキーさが広がり、その後、白桃やマンゴーのジューシーな果実味が顔を出します。白桃の甘さがシトラスと調和しながら、徐々にビターな要素が強まっていきます。余韻では、シトラスの皮を思わせるビターな風味が、白桃の甘さと繊細に混ざり合い、ゆっくりと時間をかけて消えていきます。

Key(筆者)
Key(筆者)

適度なビターさと白桃やマンゴーのフルーティさがバランスよく広がり、普段ロックを飲まない私でも素直に”美味しい”と思える味わいでした!

ザ・ゴールドロンズをハイボールで飲んでみる

香り

  • 白桃、マンゴー、ハチミツ、ビスケット、潮風、シトラス

味わい

  • シトラス香るビターな味わい

感想

最後はハイボールで飲んでみます。ロックが非常に美味しかったので、期待が高まります!

香りはかなり控えめになりましたが、白桃やマンゴーのフルーティーな香りが立ち、ハチミツの甘い香りやビスケットの香ばしさ、そして潮風のニュアンスに爽やかなシトラスが漂います。

口に含むと、シャープで爽やかなシトラスの風味が広がり、ビターな味わいが口中に広がります。ほのかに潮っぽさを感じた後、ビスケットや果実の複雑な香りが絡み合い、余韻には渋みを帯びた桃の皮とシトラスのジューシーさ、さらにスモークの香りが加わり、すっと消えていきます。

ロック同様、加水することで果実やシトラスの香りが引き立ち、ビターな傾向はあるものの、ほのかな甘さや潮のニュアンスが全体のバランスを整えています。食事との相性も良さそうですし、じっくり味わうのにも適した、爽やかなテイストのハイボールです!

Key(筆者)
Key(筆者)

フルーティで爽やかな潮風のアクセントが効いた完成度の高い味わいのハイボールです。飲み疲れしない爽やかさが何と言っても秀悦!

まとめ

ダグラスレインのブレンデッドモルト「ザ・ゴールドロンズ」のレビューでした。

ザ ゴールドロンズは、キャンベルタウンのウイスキー特有の風味を堪能できる魅力的な銘柄です。スプリングバンクやグレンスコシアが好きな方にはもちろん、スプリングバンクのような高価なウイスキーを味わいたいけれど、手軽にキャンベルタウンモルトを楽しみたい方にもうってつけです。

ウイスキーブームにより入手が難しいスプリングバンクがブレンドされていることで、期待感が高まりますが、実際の味わいはスプリングバンクほどの塩気やスモーキーさは控えめで、グレンスコシアほどスパイシーでもありません。複数の蒸溜所の個性が見事に調和した絶妙なバランスが特徴で、滑らかで飲みやすい仕上がりとなっています。塩気やスモーク感を控えつつも、しっかりとしたコクと複雑さを持ち、初心者から上級者まで幅広く楽しめる一本です。特に、スプリングバンクの強い個性を求める方にはやや物足りなく感じるかもしれませんが、キャンベルタウンの魅力を手軽に楽しみたい方はぜひ一度試してみてください。

ザ ゴールドロンズには、スタンダードなものから限定品まで様々なバリエーションが存在し、キャンベルタウンモルトの魅力を様々な形で味わうことができます。

スタンダードな「ザ ゴールドロンズ」は、海風を感じさせる潮気とスモーキーな風味が特徴です。穏やかなスモーク香とともに、甘いパンや大麦のシリアル感、スパイシーさが複雑に絡み合い、バランスの良い味わいを楽しめます。キャンベルタウンモルトを初めて試す方におすすめの一本です。

「ザ ゴールドロンズ カスクストレングス」は、通常よりも高いアルコール度数でボトリングされており、より濃厚で力強い味わいを楽しめます。海を感じさせる潮気やスモーキーな風味が一層強調され、キャンベルタウンモルトの個性が際立っています。樽出しそのままの力強さを味わいたい方におすすめです。

「ザ ゴールドロンズ シェリーカスクフィニッシュ」は、シェリー樽で後熟させたバリエーションです。プラムやドライフルーツといったシェリー樽由来の甘く芳醇な香りと、キャンベルタウンモルトの潮気やスモークが見事に融合しています。限定品であり、シェリー樽熟成のウイスキーを愛する方にとっては必見のボトルです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!

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