こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!
ウイスキーを語るうえで、スペイサイド地方のシングルモルトウイスキーは欠かせません。その中でも「グレンマレイ12年」は、リーズナブルな価格ながら高品質な味わいを持つウイスキーとして注目されています。
本記事では、グレンマレイ12年の魅力に加えて、その製造元であるグレンマレイ蒸留所の歴史や特徴、製造過程について詳しく掘り下げます。さらに、グレンマレイが提供する豊富なラインナップについても紹介し、ウイスキーの楽しみ方を広げていきます。
グレンマレイ12年はこんなウイスキー
ウイスキー属性 | シングルモルト |
産地(エリア) | スコットランド(スペイサイド) |
蒸留所 | グレンマレイ蒸留所 |
味わい | 華やかビター |
飲みやすさ | ★★★★★☆ |
おすすめの飲み方 | ハイボール |
個人的感想 | ハイボールで真価を発揮 |
グレンマレイ蒸留所の歴史:ビール醸造所からウイスキーの聖地へ
グレンマレイ蒸留所の歴史は1828年、スコットランド北部のエルギンに設立された「ウエスト・ブルワリー」にまで遡ります。当時、この地は豊かな大麦の産地であり、ロッシー川の清らかな水源にも恵まれていました。もともとこの場所はビール醸造に最適な環境で、ウエスト・ブルワリーはビールの醸造所としてスタートしました。
興味深い逸話として、現在の蒸留所がある場所は、かつて絞首刑の処刑所であったと言われています。そのため、蒸留所の建設に際して頭蓋骨が発見されるという出来事があったそうです。この暗い過去を持ちながらも、エルギンの地は醸造業にとって理想的な条件を備えており、ビールの生産が盛んに行われていました。
1897年には、スコットランド全体でウイスキーブームが巻き起こり、それに伴いグレンマレイはビール醸造所からウイスキー蒸留所へと転換されました。これを契機に、シングルモルトウイスキーの製造が開始され、次第にその名はスペイサイド地方全体に広がっていくことになります。
ウイスキー業界の浮き沈みと復興
グレンマレイ蒸留所も、他の多くの蒸留所と同様に、20世紀初頭に起こったウイスキー業界の不況の影響を受けました。1910年に一時閉鎖を余儀なくされましたが、1923年に「マクドナルド&ミュア」によって買収され、ウイスキー生産を再開しました。この時期、グレンモーレンジィ蒸留所との連携が強まり、両蒸留所はシングルモルトウイスキーの品質向上に取り組みます。
その後、1950年代から1970年代にかけて蒸留所の拡張と設備の近代化が行われました。特に1958年には、伝統的なフロアモルティングをサラディンボックス式製麦に切り替えるなど、大規模な改修が行われ、生産効率が大幅に向上しました。
フランス資本によるさらなる成長
2004年、グレンマレイ蒸留所はフランスのラグジュアリーブランド「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」に買収されましたが、同じLVMHグループに属していた「グレンモーレンジィ」や「アードベッグ」とは異なり、2008年にフランスの飲料メーカー「ラ・マルティニケーズ」に売却されました。この売却により、グレンマレイはLVMHグループから離脱し、フランス資本の下で独自の道を歩むことになります。
アードベッグやグレンモーレンジィは残る一方で、グレンマレイは離脱することになり、少し気の毒ですね(笑)
ラ・マルティニケーズは、蒸留所への大規模な設備投資を行い、生産能力を大幅に向上させました。2012年と2017年に行われた2度の拡張工事により、グレンマレイ蒸留所の年間生産能力は約600万リットルに達し、スペイサイド地方でも有数の規模を誇る蒸留所へと成長しています。
グレンマレイ蒸留所の製造プロセス
グレンマレイ蒸留所では、伝統的な製法と最新技術の両方を活用して、高品質なウイスキーを生産しています。ここでは、その製造プロセスを詳しく解説します。
グレンマレイ蒸留所のスペック | |
---|---|
設立年 | 1897年 |
所在地 | スコットランド、エルギン |
仕込み水 | ロッシー川の水 |
年間生産量 | 600万リットル |
発酵槽 | 14槽のステンレス製ウォッシュバック |
蒸留器 | 初溜釜3基、再溜釜6基 |
所有者 | ラ・マルティニケーズ社 |
主要製品 | グレンマレイ12年、グレンマレイ15年、グレンマレイ18年など |
仕込み水:ロッシー川の水源
グレンマレイのウイスキー造りには、蒸留所のすぐ隣を流れるロッシー川の水が使用されています。この川は、スペイサイド地方の豊かな自然が育んだ清流であり、ウイスキー造りに理想的な軟水を供給します。この水が、グレンマレイのウイスキーにクリーンでフレッシュな味わいを与える鍵となっています。
原料:地元産の大麦
グレンマレイ蒸留所では、地元マレイ州産の大麦を主に使用しています。この大麦は、ノンピーテッドとピーテッドの2種類に分かれ、それぞれ異なる風味を持つウイスキーが生み出されています。特に、ノンピーテッドタイプの大麦は、フルーティで滑らかな味わいをウイスキーに与える要素として重要視されています。
糖化と発酵
グレンマレイの糖化工程では、伝統的な手法が採用されています。糖化槽(マッシュタン)では、1回あたり11トンの大麦モルトが使用され、これが1日に4回行われます。糖化は、麦芽のデンプンを糖に変えるプロセスであり、これによって発酵のための基礎が作られます。
発酵は、屋外に設置された発酵槽(ウォッシュバック)で行われます。グレンマレイ蒸留所の発酵槽は14基のステンレス製で、2012年と2017年の拡張工事で増設されました。発酵時間は通常65時間と長めに設定されており、この長い発酵期間によって、ウイスキーに豊かなフルーティさと複雑な味わいが生まれます。
膨大な生産量を支える9基のポットスチル
グレンマレイ蒸留所の蒸溜設備は、伝統的な銅製ポットスチルが使用されています。銅は蒸溜過程でスピリッツの不純物を除去し、フルーティでクリーンな味わいを引き出す重要な役割を果たします。蒸溜所には3基の初溜釜(ウォッシュスチル)と6基の再溜釜(スピリットスチル)が設置されており、これらの設備を使って2度の蒸溜が行われます。
再溜釜には、エネルギー効率を高めるために「リボイラー(再沸器)」という熱交換器が設置されています。このシステムにより、蒸溜時に発生する熱エネルギーを糖化工程に再利用することが可能で、蒸留所全体のエネルギー消費を約40%削減しています。
伝統を守りながら圧倒的な熟成樽の保有
グレンマレイ蒸留所では、バーボン樽を中心に様々な樽が使用されています。主にファーストフィル、セカンドフィル、サードフィルのバーボン樽が使用され、ウイスキーにバニラやキャラメルの香り、オークの風味を与えています。また、シェリー樽やポート樽、シャルドネ樽など、多彩な樽でフィニッシュされることにより、ウイスキーに複雑な味わいが加わります。
蒸留所には約130,000本の樽が熟成されており、その一部は「ダンネージ式」と呼ばれる伝統的な方法で熟成されています。ダンネージ式とは、樽を積み重ねて熟成させる手法で、長期熟成に向いた方法として知られています。さらに、新しい貯蔵庫も増設中で、グレンマレイの生産拡大に対応しています。
グレンマレイの顔「グレンマレイ12年」
グレンマレイ12年は、リーズナブルな価格帯ながら、そのバランスの取れた味わいと高品質で多くのウイスキー愛好家に支持されているシングルモルトです。バーボン樽で12年間熟成されたこのウイスキーは、スペイサイドモルトらしいフルーティで滑らかな風味を持っています。
グレンマレイ蒸留所の数多いラインナップの中でも中心となる銘柄が「グレンマレイ12年」です!
バーボン樽で12年以上熟成された原酒だけを贅沢に使い、スッキリとした飲みやすい味わいに仕上げられています。
それでは、ストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でグレンマレイ12年の味と香りをみていきましょう!
テイスティング(実際に飲んでみた)
グレンマレイ12年のフレーバー
グレンマレイ12年の味わい
グレンマレイ12年をストレートで飲んでみる
香り
- 青リンゴ、洋梨、バニラ、ハチミツ、キャラメル、カリン、マスカット
味わい
- ライトでスッキリとした果実味
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、ハチミツやバニラの甘さに、青リンゴや洋梨の青々しくフルーティーな香りが絡み合い、いかにもスペイサイドらしい華やかで甘やかな香りが漂います。さらに慣れてくると、カリンやハーブの草っぽいニュアンスが強まり、うっすらとスモーキーな要素も感じられます。
口に含むと、オイリーでヌルっとした滑らかな舌触りが印象的で、かすかなハチミツの甘さにビターな味わいが広がります。スパイシーさが加わるとビターと調和し、余韻にかけて樽の渋みと絡みながら、ゆっくりと消えていきます。
洋梨や青リンゴのフルーティーな香りと、甘すぎずビターが主体の味わいが特徴で、バーボン樽原酒をベースにした、すっきりとした飲み飽きない風味が印象的でした。
グレンフィディックのような洋梨のフルーティーさと、白州NAを思わせる草木の清々しさがあり、非常にスッキリとした味わいです!
グレンマレイ12年をロックで飲んでみる
香り
- 青リンゴ、洋梨、レモンピール、バニラ、キャラメル、ハチミツ、ハーヴ
味わい
- フルーティーでピールのアクセント
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、青リンゴや洋梨の爽やかな果実香が広がり、その奥にバニラ、キャラメル、ハチミツの甘くウッディな香りが感じられます。さらに、ハーブの清涼感があり、レモンピールがアクセントとして加わり、全体的にフレッシュな印象を与えています。
口に含むと、まずフルーティーな青リンゴの風味にハチミツやカリンの優しい甘さが広がり、ハーブのニュアンスと共に一体感のある甘さが口中に広がります。続いて、レモンピールのビター感が追いかけてきて、ビターが終始続く中でハチミツの甘さがほのかに感じられ、最後はレモンピールのビターと樽香の渋みが重なりながらゆっくりと消えていきます。
ロックにすると、フレッシュな印象がさらに際立ち、同時にビター感がギュッと濃縮されたように感じられます。時折感じられるハチミツやカリンの甘さがアクセントとなり、全体的にスッキリとしたビターな味わいが非常に印象的でした。
森を思わせるグラッシーな香りと青リンゴ、渋みの中にあるレモンピールのアクセントなど全体は青々とした味わいが印象的!
グレンマレイ12年をハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、洋梨、スモーク
味わい
- ハチミツ香るスッキリビター
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りはだいぶ弱まってしまいましたが、ハチミツの優しい甘さの中に洋梨のニュアンスが感じられ、ほのかにスモーキーさも漂います。比較すると、その違いが明らかですが、白州NAのような雰囲気を醸し出しています。
口に含むと、ハチミツの優しい甘さと洋梨のフルーティーな味わいが広がり、ふわっとした柔らかなスモーク感が続きます。ハチミツの甘さとレモンピールのビターがバランスよく混ざり合い、徐々にビターが前面に出てきて、最後はレモンピールの爽やかなビターが残り、すっきりと消えていきます。
スモーキーなハイボールを好む方には少し物足りないかもしれませんが、入手が難しい白州ハイボールを好む方には共感できる味わいだと思います。バーボン樽由来のスッキリとしたスモーキーさが特徴的で、そのバランスがとても魅力的な一杯でした。
白州NAに似た雰囲気を持ち、ハチミツや洋梨の甘さとスッキリとしたスモーキーさが特徴のバーボン樽主体のハイボールです!
グレンマレイ12年のまとめ
グレンマレイ12年は、その多彩なフレーバーとバランスの良さから、非常に完成度の高いウイスキーです。スペイサイド地方ならではのフルーティーな香りと、バーボン樽由来のすっきりとした味わいが特徴で、飲み方に応じて異なる表情を見せるのが大きな魅力です。
グレンマレイ12年は、ストレートで楽しむと青リンゴや洋梨のフレッシュな果実味と、ハチミツやバニラの甘さが際立ち、華やかで上品な香りが広がります。口当たりはオイリーで滑らか、余韻にかけてビターな味わいが続きます。ロックではさらにフレッシュさが引き立ち、レモンピールのビター感が爽やかなアクセントになります。ハイボールではスモーキーさとフルーティーさが絶妙に調和し、すっきりとした後味が楽しめます。
ただし、ビターな味わいが苦手な方にはやや物足りなく感じるかもしれません。また、全体的にバランスが良いものの、個性が少ないため、より特徴の強いウイスキーを好む方にはやや印象が薄いと感じることもあるでしょう。
それでも、ウイスキー初心者やリラックスしたひとときを楽しみたい方にとっては、グレンマレイ12年は非常に魅力的な選択肢です。その上品で飲み飽きない風味は、日常に彩りを添えてくれるでしょう。特にハイボールユーザーの方は、ぜひ一度試してみてください。
グレンマレイのラインナップ
グレンマレイ蒸留所は、その豊富なラインナップで知られています。リーズナブルな価格帯のクラシックシリーズから、熟成が進んだ高級ラインまで、多様な味わいを提供しています。
グレンマレイ クラシック
グレンマレイの「クラシック」は、熟成年数を表示しないノンエイジのボトルで、バーボン樽で熟成されています。フレッシュでフルーティな味わいが特徴で、シトラスや若草、バタースコッチなどのアロマが感じられます。価格も非常に手頃で、日常的に楽しめるシングルモルトです。
グレンマレイ クラシック ポートカスクフィニッシュ
クラシックシリーズの一つである「ポートカスクフィニッシュ」は、バーボン樽で熟成した後、ポートワイン樽で仕上げられたウイスキーです。ラムレーズンやプラムの甘みと、ポート樽由来のオークの風味が調和した複雑な味わいが特徴です。
グレンマレイ クラシック ピーテッド
まろやかでクリーミーなモルトの風味が特徴のグレンマレイ蒸留所から、新たにスモーキーフレーバーのモルトウイスキーが登場しました。伝統的なバニラのような繊細な甘さと、しっかりとしたピートの香りが見事に調和し、スモーキーでありながらもフルーツのような華やかさも感じられる、非常に個性的な一品です。
グレンマレイ15年
シェリー樽とアメリカンオーク樽で熟成された「グレンマレイ15年」は、リッチで甘みの強いウイスキーです。完熟したバナナやラムレーズン、キャラメルの香りが広がり、シェリー樽由来のフルーティさとスパイシーさが絶妙に絡み合っています。
グレンマレイ18年
グレンマレイの最上位モデルである「グレンマレイ18年」は、厳選されたバーボン樽で18年以上熟成されたウイスキーです。バニラやメイプルシロップ、オークの深みとスモーキーな余韻が特徴で、贅沢な時間を楽しむのにぴったりの一杯です。他のシングルモルトに比べてお手頃なのも非常に魅力的です。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!
コメント