ハートブラザーズ グレントファース10年~希少なカスクストレングスの魅力を解説!

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sister-ley
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こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!

Key(筆者)
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今回は、「ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年 57.9%」の解説&レビューを行っていきます!

ボトラーズウイスキーの醍醐味は、蒸留所のオフィシャルボトルだけでは出会えない、個性豊かなウイスキーとの出会いにあります。

老舗ボトラーであるハートブラザーズが手掛けた、スペイサイドの名門グレントファース蒸留所の原酒を使用した特別なシングルモルトが「ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年 57.9%」です。

このボトルの最大の特徴は、57.9%というカスクストレングスで瓶詰めされ、着色料や冷却ろ過を一切行わないハートブラザーズの哲学が詰まった一本であるという点。

グレントファース蒸留所のフルーティーでエレガントな個性を、ボトラーならではの視点から表現したボトルとなっています。

この記事では、19世紀にまで遡る歴史を持つ独立系ボトラーが手掛けた珠玉の一滴について詳しくご紹介します。

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ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年の基本情報と特徴

スペイサイド地方は、スコットランド最大のウイスキー生産地の1つでマッカラン、グレンフィディック、グレンリベットなど、数々の名門蒸留所がひしめき合っています。

その中でもグレントファース蒸留所は、1897年に設立され、フルーティーでエレガントな味わいのウイスキーを生み出すことで知られています。

主にバランタインやブラック&ホワイトといった著名なブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使用され、その品質の高さで信頼を集めてきました。

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年の詳細はこちら
カテゴリーシングルモルトスコッチウイスキー
産地スコットランド・スペイサイド
蒸留所グレントファース蒸留所
ボトラーハートブラザーズ (ファイネストコレクション)
蒸留年2013年
熟成年数10年
アルコール分57.9% (カスクストレングス)
内容量700ml
味わいの特徴フルーティー、微かなスパイス、グラッシーさが秀逸
おすすめの飲み方ストレート、少量の加水、ハイボール
グレントファース 2013の長所・特徴
グレントファース 2013の短所・注意点
  • カスクストレングスならではの豊かな風味
  • 着色料・冷却ろ過なしの本物志向
  • フルーティーで複雑な味わい
  • 老舗独立系ボトラーの厳選した原酒
  • アルコール度数が高め
  • シングルカスクの為、数に限りがある
  • カスクストレングスに慣れていない方には刺激が強いかも
Key(筆者)
Key(筆者)

カスクストレングスとは、樽から直接瓶詰めされた原酒のことで、通常のウイスキーよりもアルコール度数が高く、より濃厚で豊かな風味が特徴です。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

加水によって希釈されていないため、ウイスキー本来の力強さと旨味が味わえます。

19世紀から続く老舗ボトラー「ハートブラザーズ」

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年の魅力をより深く理解するためには、このボトラーの豊かな歴史と伝統を知ることが不可欠です。

sister-ley
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19世紀から現代に至るまで、ウイスキーへの情熱を受け継いできたハートブラザーズのストーリーをご紹介しましょう!

ハートブラザーズの伝統と革新は酒販店から始まった

出展:The Hart Brothers of Canada

ハートブラザーズの歴史は19世紀後半、スコットランド・グラスゴー郊外のペイズリーでハート家が営んでいた酒販店兼パブにまで遡ります。長年の酒類販売経験を通じて培われた深い知識と情熱が、後のウイスキーボトラーとしての基盤となりました。

1964年、イアンとドナルド・ハート兄弟によってワインとスピリッツの卸売業者およびスコッチウイスキーのブレンダーとして正式に会社が設立されました。当初はブレンディングにも注力していたことがうかがえます。

1975年には、アリステア・ハートが会社に加わり、チーフブレンダーとして重要な役割を担うようになります。彼は専門のウイスキーショップやオンラインサイトでは容易に入手できないヴィンテージのシングルモルトウイスキーの樽を調達し、選定する優れた目利きとして知られるようになりました。

その後、ハートブラザーズは「ファイネストコレクション」シリーズを中心に、シングルカスクリリースを専門とする著名な独立系ボトラーへと発展。ブレンド製品だけでなく、特定の樽が持つ個性と独自性を重視する市場のニーズに応える形で事業を拡大しました。

2007年には会社が売却されましたが、「ハートブラザーズ」の名前は残り、アリステア・ハートが引き続きウイスキー部門の責任者としてその手腕を振るっています。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

ハートブラザーズのようなボトラーズの存在により、通常はブレンデッド用の原酒として使われる蒸留所のモルトを、シングルモルトとして楽しめる貴重な機会が生まれます。

ハートブラザーズの哲学は【最高品質への追求と最小限の介入】

出展:HART BROTHERS FaceBook

ハートブラザーズは、「最高品質のウイスキー」を追求するという明確な哲学を持っています。彼らはスコットランド各地から最高級のスコッチウイスキーを調達し、丁寧に熟成させたシングルカスクを厳選してボトリングすることに重点を置いています。

彼らのボトリングプロセスにおける最も重要な信条の一つは、最小限の介入です。着色料の添加や冷却ろ過を一切行わず、多くの場合カスクストレングスでボトリングすることで、ウイスキー本来の風味、香り、そして質感を最大限に引き出すことを目指しています。

今回の「グレントファース 2013 10年」の57.9%というアルコール度数も、彼らのカスクストレングスへのこだわりを示す好例と言えるでしょう。また、彼らは純粋な水以外のものは一切加えないという原則を貫いています。

ハートブラザーズは、すべてのボトルには物語が宿っており、その物語に忠実であることが重要だと考えています。そのため、樽の選定は風味、香り、熟成の可能性に基づいて慎重に行われます。

1990年代中期からオンラインでの取引を開始していることは、彼らが伝統を重んじながらも、新しい技術や市場の変化に柔軟に対応する姿勢を持っていることを示しています。

Key(筆者)
Key(筆者)

ハートブラザーズのリリースは、オークションなどで高値で取引されることもあります。例えば、31年熟成のボウモアは7,000ポンド(約130万円)で落札されたこともあるそうです。

ブレンデッドウイスキーを支える名脇役「グレントファース蒸留所」

出展:Whisky.com

グレントファース蒸留所はスペイサイド地方のマルベン(Mulben)近くに1897年に設立されました。キース周辺はスコッチウイスキー生産の中心地として長い歴史を持つ地域です。

この蒸留所はブラック&ホワイトなどのブレンドを製造していたジェームズ・ブキャナンによって設立され、現在はペルノ・リカール社の傘下、シーバス・ブラザーズ社が所有しています。

グレントファース蒸留所の主な役割はシーバスリーガルをはじめとするブレンデッドウイスキー用のモルトウイスキー原酒を生産すること。

特に、バランタインやブラック&ホワイトといった著名なブレンドに不可欠な原酒を提供しています。蒸留所自体からのオフィシャルなシングルモルトのボトリングは歴史的に非常に限られています。

Key(筆者)
Key(筆者)

少し前にバランタインのキーモルトとして「グレントファース15年」がオフィシャルリリースされていました!

グレントファース蒸留所の製造工程と特徴的な製法の秘密

出展:Whisky.com

グレントファース蒸留所の製法は、伝統を守りながらも一部近代的な設備を取り入れた独自のものです。この製法がグレントファースのウイスキーに特徴的な風味をもたらしています。

グレントファースの仕込み水の特徴

蒸留所名の由来ともなっているタウチャーズ川(Tauchers Burn)の水を使用。スペイサイド特有の柔らかな水質がウイスキーのベースとなります。

グレントファース独自の麦芽使用法

基本的にはノンピート(ピートを焚き込まない)麦芽を使用しており、グレントファースのクリーンでフルーティーな特徴を形成する重要な要素となっています。これにより、スモーキーさを抑えた爽やかな風味が生まれます。過去には限定的にピーテッドモルト(ピート香のある麦芽)を使用したこともあったようです。

フルーティーな香りを生み出す特別な発酵行程

発酵槽(ウォッシュバック)は伝統的な木製(オレゴンパインやカラマツ)とモダンなステンレス製の両方が使われています。特筆すべきは発酵時間で、比較的長めの発酵時間を取ることによりエステル香(フルーティーな香り)が豊かになると言われています。この工程がグレントファースの魅力的なアロマを生み出す鍵となっています。

6基のポットスチルによる独特の蒸留技術

ポットスチルは合計6基(初留釜3基、再留釜3基)を所有。ポットスチルの形状はストレートヘッド(ランタン型に近い形状)で、ラインアームはやや下向きに取り付けられています。この特徴的な形状により、比較的重めで豊かなスピリッツが生成される傾向があります。冷却にはモダンなシェル&チューブ式のコンデンサーが使用されています。

出展:Whisky.com
Caoli(助手)
Caoli(助手)

左側が蒸留器(ポットスチル)で、右側の筒状の物がコンデンサー(蒸気を冷却し液体に戻す装置)です。

グレントファースの風味を決定づける熟成方法

主にバーボン樽やシェリー樽で熟成されます。これにより、バニラやハチミツのような甘さや、ドライフルーツのような複雑な風味が加わります。ハートブラザーズのボトリングにおいても、この熟成過程で得られる豊かな風味を最大限に引き出すことを重視しています。

出展:Whisky.com

グレントファース蒸留所は年間420万リットルという生産能力を持ちながらも、シングルモルトとしてのリリースは少なく、多くはブレンデッドウイスキーの原酒として使用されます。

オフィシャルリリースが無いゆえに「隠れた名酒」としての側面が、ウイスキー愛好家を魅了しているのです。

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年の詳細

今回、紹介する「ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年」は、スペイサイド地方に位置する名門「グレントファース蒸留所」で2013年に蒸留されました。

その後、老舗の独立系ボトラーであるハートブラザーズの手によって10年間熟成され、2023年にボトリングされたシングルモルトウイスキーです。

700mlのボトルには、蒸留所名とともに、蒸留年月である2013年、そしてボトリング年月である2023年がラベルに示されています。

特筆すべき点として、このウイスキーのアルコール度数は59.8%と高くなっています。

これは、樽出しを意味する”カスクストレングス”仕様で、熟成期間中に蓄えられた豊かな風味と個性をダイレクトに味わえるボトラーズならではの魅力が感じられる一本と言えるでしょう。

sister-ley
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では、実際にストレート、ロック、ハイボールで味と香りをみていきましょう!

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ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年をテイスティング

グレントファース 2013のフレーバー

グレントファース 2013の味わい

グラッシーで優雅な味わいのストレート

香り

ハチミツ、ハーブ、レモングラス、麦、ビスケット、白桃、洋梨

味わい

オイリーでグラッシーな余韻

感想

グラスに鼻を近づけると、まずハチミツの甘やかな香りが広がります。そこにレモングラスなどのハービーな香りが加わり、爽やかさを感じさせます。麦の香ばしさに、砂糖をまぶしたような甘さが混ざり合っているのが特徴的です。

洋梨や白桃のようなジューシーなフルーティーさがあり、高いアルコールを感じさせない滑らかな口当たりです。オイリーな舌触りとともに、レモングラスとハチミツの甘さが広がります。

グラッシーで爽やかな風味があり、スパイシーさが膨らんでくるのが印象的です。余韻は、ほのかなハチミツの甘さとグラッシーなビターが続き、ゆっくりと消えていきます。

Key(筆者)
Key(筆者)

カスクストレングスですが、アルコール感はなく華やかでグラッシーな香りが秀逸な味わいです!

果実の香りが開く加水 (数滴)

感想

数滴加水すると、ハチミツの甘さが強まり、白桃や洋梨のニュアンスが前に出てきます。ハービーさは少し落ち着き、麦の穀物っぽさに湿気っぽさが出てくるのが特徴です。

ビターさが出てきて、同時にスパイシーさが余韻に寄って長く続く変化が見られます。

Key(筆者)
Key(筆者)

ほんの数滴の加水によって白桃などのフルーティーな香りが開いてきます。アルコール度数が高いカスクストレングスならではの楽しみ方です!

樽感がにじみ出てくるオンザロック

香り

ハチミツ、レモングラス、白桃、麦

味わい

ビター、ハチミツの甘さが余韻で響く

感想

オンザロックにすると、華やかなハチミツにレモングラスの爽やかなハーブ感が加わります。白桃を思わせるジューシーなフルーティーさ、ハーブの中に香ばしい麦のニュアンスを感じます。

スッキリとした爽やかなビターさが広がり、クレウッディな渋さを感じます。少しずつスパイシーさが出てきて、余韻にかけてハチミツの甘さが出てきます。加水が進むとビターが増し、樽由来の木の渋みが出てくる変化も。

Key(筆者)
Key(筆者)

ストレートでは感じなかったフローラルで複雑な印象を持つようになりました!氷が溶けても水っぽくならずしっかりとした味わいを楽しめます!

香ばしくグラッシーなハイボール

香り

レモングラス、ハチミツ、ハーブ、森林、樽香

味わい

ハチミツの甘さと爽やかなハーブ感

感想

ハイボールにすると、レモングラスのグラッシーで酸味のあるシトラスの風味が特徴的です。ハチミツの甘さに草やハーブが絡み、全体に樽のウッディさが漂います。

酸味とビターがバランスよく広がり、ハチミツとカリン飴の甘さを感じます。ビターが続き、ウッディな樽の渋さと華やかな甘さがゆっくり消える、素朴さに控えめな華やかさを感じるハイボールです。

Key(筆者)
Key(筆者)

ベースに麦の香ばしさがあって華やかでグラッシーな香りがたまらないハイボールです!

まとめ「グレントファースの魅力が凝縮した一本」

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年の総合評価
イマイチ
良い

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年は、スペイサイドを代表する蒸留所の個性を、老舗独立系ボトラーの哲学によって引き出した傑作です。カスクストレングスでボトリングされ、着色料や冷却ろ過を行わないという「最小限の介入」の方針により、グレントファース蒸留所本来の魅力を最大限に表現しています。

グレントファース蒸留所のフルーティーでエレガントな原酒は、ハートブラザーズの丁寧な樽選びと熟成管理によって、桃やミルクチョコレート、蜂蜜やバニラといった複雑で豊かな風味へと昇華されています。

普段はブレンデッドウイスキーの原酒として使用されることが多いグレントファースのシングルモルトを味わえる貴重な機会であり、スコッチウイスキーの多様性と奥深さを実感できるボトルです。

このウイスキーを味わいながら、グレントファース蒸留所の個性とハートブラザーズの19世紀から続くボトリングの伝統に思いを馳せながら、至福のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?

購入を検討する際の注意点

ハートブラザーズ グレントファース 2013 10年は、ボトラーズからのリリースのため、一般的な酒販店では入手しづらいことがあります。

57.9%というアルコール度数は、ウイスキー初心者には刺激が強く感じられる可能性があります。少量の水を加えたり、氷で割ったりして、自分好みの飲み方を見つけてみて下さい。

また、カスクストレングスのウイスキーは通常のボトルよりも価格が高めですが、その分濃厚で豊かな風味を楽しむことができます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!

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