このウイスキーの特徴を簡単に
このウイスキーについて
今回ご紹介するウイスキーは、樽出し原酒(カスクストレングス)の中では非常にコストパフォーマンスの高いボトル「グレンファークラス105」です。
「グレンファークラス105」はグレンファークラス蒸留所がリリースするボトルで、カスクストレングスタイプ(樽出し無加水)のシングルモルトになります。
105の意味は!?
このボトルネームである「105(イチマルゴ)」の意味ですが、これはアルコール度数を表しています。
ウイスキーのアルコール度数の表記については、イギリスやアメリカでは伝統的に「プルーフ」という単位で表記されてきました。
アメリカで使用されるプルーフは「アメリカンプルーフ」と呼ばれ、表記されているプルーフ数に0.5を掛けた数値がアルコール度数になります。
対してスコットランドで使われているプルーフを「ブリティッシュプルーフ」と呼び、表示されている数値に0.571を掛けた数値がアルコール度数になります。
ボトルネームである「105」に0.571を掛けると「59.995」、約60になります。
つまり、このウイスキーはアルコール度数60%であるという事を表しているんですね!
カスクストレングスとは!?
通常のウイスキーは約40%のアルコール度数ですが、これは熟成を終えた原酒をブレンドし最後に加水調整をすることでボトリング(製品化)したものです。
それに対して「カスクストレングス」は樽同士の原酒をブレンドし、加水調整をしないままボトリングしたウイスキーになります。
加水調整されていない分、樽の中の原酒を味わうことになりますので、ウイスキー(モルト)の旨味がギュッと詰まっています。もちろん、高いアルコール度数ですのでパンチの効いた味わいは、少々の構えが必要になるかもしれません。
間違えやすいカスクストレングスとシングルカスク
「シングルカスク」という表記のボトルを「カスクストレングス」と勘違いされることがしばしばあります。
似通った意味に思われるかもしれませんが、「シングルカスク」とは一つの樽からボトリングされているウイスキーの事で、必ずしも無加水(カスクストレングス)とは限りません。
樽によって個性も違うため、加水調整した方が美味しくなる場合もあるため、「シングルカスク」であっても樽出し原酒の状態とは限らないんです。
メーカー公表がない場合も多いので、「シングルカスク」のボトルがアルコール度数60%前後であったなら、カスクストレングスの可能性も十分にあるといって良いでしょう。
ややこしく思われるかもしれませんが、レギュラーボトルにはない樽の個性をダイレクトに味わえる「シングルカスク」と「カスクストレングス」。見かけた際は是非、挑戦してみてくださいね!
鉄の女と呼ばれるイギリス首相の愛飲品「105」
世界的に有名な女性政治家の一人に「マーガレット・サッチャー」という女性がいます。
彼女は保守的かつ強硬なその政治姿勢から「鉄の女」の異名を持つ第71代イギリス首相です。
歴代首相の中でも在任期間は最長で「11年と208日間」。イギリスはもちろん、その他欧米各国にも影響を与えた「強い女性の象徴」でもあります。
そんな彼女が愛飲したボトルが「グレンファークラス105」です。「強き女性」と「強いシングルモルト」の結びつきは偶然というよりは、必然と言っても過言ではないかもしれません。
伝統の力強いモルト感を存分に味わい事のできる「グレンファークラス105」
今回も3種類の飲み方でレビューをしたいと思いますので、是非最後まで御覧ください。
それではいってみよ〜!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ブドウの皮、硫黄、ゴム、ダークチョコ、ペッパー
味わい
- アルコールの刺激の影に濃厚なシェリー感、レーズン、スパイシー
香り(加水後)
- レーズン、ブドウ、ハチミツ、バニラ、チョコレート、ペッパー
味わい(加水後)
- スパイシー、レーズン感、ハチミツのほのかな甘さ
感想
まずは何も加えずにストレートで飲んでみます。香りは、強いアルコール度数によって硬く硬質な感じがありますが、感じとれるブドウの皮や硫黄、ゴムっぽさなどシェリー樽の要素が垣間見えます。少し慣れてくるとダークチョコや、胡椒といったスパイシーな印象。
口に含むと、強いアルコール度数ではあるものの刺激は少なくドライな印象。揮発する感覚が口に広がりレーズンなどドライフルーツの味わい、ややスパイシーさを感じ余韻はブドウの皮とビターで短めです。
ここで少量の水を加えて、香りを開いてみます。無加水の状態から一気にレーズンや葡萄、ハチミツや甘いバニラの香りに変化。チョコレートのほろ苦さと胡椒のスパイシーな感じと相まって、複雑でエレガントな香味をまとっています。
口に含むと、味わいこそスパイシーではありますが、柔らかなレーズン感とハチミツの甘さを感じられるようになり、上品なモルト香が口の中に広がります。焦げ感や力強さも手伝って、スペイサイドではあるものの、元々はハイランドである!!というグレンファークラスの主張を感じ取れる味わいですね。
ウイスキーの香味成分とアルコール度数の関係について簡単に解説いたします。
ウイスキーにおいて、香り成分は40度前後が最も解き放たれるらしく、逆にアルコール度数が高ければい高いほど沈殿(内に向かって外に出ない)するという研究結果があるそうです。
人それぞれですが、好みではないと思っても加水で大きく様変わりします。目の前のグラスに注がれたモルトと対話する感覚で、加水しながら楽しんでみてください。
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、キャラメル、ゴム、硫黄、プラム、レーズン
味わい
- 濃厚な甘みとドライフルーツ
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りは、ハチミツやキャラメルの甘い香りに、ゴムや硫黄に混じりプラム、レーズンなどの華やかでシェリー樽らしい香味が感じ取れます。
口に含むと、濃厚なドライフルーツの香りにハチミツなどの甘み、シェリー独特のタンニン感がスパイシーさと合わさってとてもリッチで飲みやすくなりました。もちろん、元がカスクストレングスですので、水っぽくならずにコシのある重厚感、直火蒸留らしい焦げ感や香ばしさも十分に感じ取れます。
氷で冷やしても、どっしりとした酒質とグレンファークラスらしい華やかさや甘みは健在で、非常に飲みごたえのある味わいです。
ロックにするとビターが先行したり、水っぽく感じる場合もありますが、さすがはカスクストレングスです!!濃厚なシェリー感、力強いモルト感が満載!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- レーズン、ハチミツ、硫黄、ゴム、ビスケット
味わい
- ハチミツの優しい甘さ、余韻にハーブ感(ビター)
感想
最後は現代の鉄板スタイル「ハイボール」で飲んでみます。
香りはレーズンなどのドライフルーツ、そしてハチミツにビスケットのような香ばしさがあり、硫黄やゴムっぽいシェリー独特の香味が感じられます。
口に含むと、クリーミーな印象でハチミツの優しい甘さが口の中に広がり、レーズンとビスケットの穀物感がじんわりと主張してきます。余韻にややハーブっぽい薬草感もありますが、後味はさっぱりとフルーティーで飲み手を選ばないシェリー樽熟成のお手本のような味わいが特徴です。
炭酸でやや濃い目に作りましたが、カスクストレングスだけあってモルト感が崩れることなく、甘くエレガントな味わいと骨太感の両方を楽しめます。
いつものスタイルでハイボールを作っても、カスクストレングスなのでやや濃い目の仕上がりになります。そこは是非、躊躇せずに飲んでみてください。モルトの力強さをハイボールでも美味しく楽しめますよ!!
まとめ
マーガレット・サッチャーも愛飲した「グレンファークラス105」のレビューでした。
ウイスキーは「度数が高いほうが美味い」という言い伝えは昔からあり、同じ容量のボトルならば度数が高いほうが樽由来の成分は多く含まれています。途中解説をいたしましたが、度数が高すぎると香味成分は液体から放たれづらいので、硬く感じてしまいますが少しの加水という一手間を加えてあげることで滲み出てきます。定番のスタイルで楽しむのが一番かもしれませんが、是非ちょっと通ぶって(笑)加水の効果を楽しんでみてください!!飛びますよ(笑)
ウイスキーという樽の中で長い時間をかけて起こる神秘をダイレクトに感じられる「グレンファークラス105 カスクストレングス」。味よし、コスパよしの大盤振る舞いシングルモルトを是非、試してみてはいかがでしょうか!?
誤解が無いように追記をさせて頂くと、通常の40度のウイスキーは飲みやすく、さらに香味が引き立つように仕上げられている作り手の作品になります。
決して「水増しをして売っている」というネガティブな印象だけは持たないようにしましょうね!カスクストレングスは映画やゲームで言えば「ディレクターズカット」のようなファンに対するサービスと捉えたほうが良いかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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