

こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!

今回は、「グレンフィディック12年」の解説&レビューを行っていきます!!
「シングルモルトを始めてみたいけど、どれを選べばいいかわからない…」「グレンフィディック12年って本当に初心者におすすめなの?」という声をよく聞きます。確かに4,500円〜5,500円という価格は決して安くありません。
結論から先にお伝えすると、この価格でこの品質は驚きのコストパフォーマンス!シングルモルトの世界への完璧な入り口として、絶対におすすめしたいウイスキーです。
この記事では実際に飲んだ体験談をもとになぜグレンフィディック12年がシングルモルト入門の決定版なのか、その根拠を詳しく解説します!
グレンフィディック12年の基本情報とスペック
正式名称 | グレンフィディック12年 スペシャルリザーブスペイサイド |
カテゴリー | シングルモルト・スコッチウイスキー |
メーカー | ウィリアム・グラント&サンズ社 |
蒸溜所創設 | 1887年 |
地域 | スコットランド、スペイサイド地方 |
アルコール分 | 40% |
熟成年数 | 12年 |
内容量 | 700ml |
価格帯 | 4,500円〜5,500円 |
熟成樽 | アメリカンオーク+オロロソ・シェリー樽 |
味わいの特徴 | フルーティー、スムース、バニラ、バランス |
ピートレベル | ごく僅か(ほぼ無し) |
特徴的な工程 | マリッジング(最長9ヶ月)独自製法 |
飲みやすさ | |
おすすめの飲み方 | ストレート、ハイボール、ロック |

さて、なぜグレンフィディック12年がシングルモルト入門の決定版なのか?4つの決定的な理由を詳しく解説していきます!
なぜグレンフィディック12年がおすすめなのか?【4つの理由】
シングルモルト市場を創った伝説
1963年、世界で初めて自社のシングルモルトを輸出販売した歴史的な蒸溜所。今のシングルモルトブームの礎を築いた革命的存在です。
完璧なバランスの味わい設計
洋梨・青リンゴの華やかなフルーティーさに、バニラとオークの上品な甘み。ピート香はほぼ皆無で、万人に愛される絶妙なバランス。
独自のマリッジング工程
ブレンド後、最長9ヶ月もの間オークの大桶で寝かせる特別工程。これにより比類なき滑らかさと調和の取れた味わいを実現。
象徴的な三角ボトルデザイン
1957年から続く革新的な三角形ボトル。ウイスキー棚で一目でわかる美しいデザインは、グレンフィディックの先進性を象徴しています。

ここでグレンフィディックの歴史を振り返ってみましょう。1887年の創業から現在まで、どのような想いで作られてきたのかが分かります!
グレンフィディックの誇り高き歴史

1887年:一族の夢「鹿の谷」の誕生
スコットランド、スペイサイド地方の小さな谷間で、元簿記係のウィリアム・グラントが自分の蒸溜所を建設する夢を抱きました。限られた資金の中、7人の息子と2人の娘とともに、文字通り自分たちの手で石を積み上げ、1年がかりで蒸溜所を完成させました。
家族の絆で築いた蒸溜所
1887年のクリスマスの日、ついに最初のスピリッツが流れ出た瞬間は、グレンフィディックの伝説の始まりでした。「Glenfiddich(鹿の谷)」の名前通り、美しい自然に囲まれた理想郷で、家族の夢が現実となったのです。


家族総出で作り上げた蒸溜所だからこそ、今でも家族経営を続けているんですね!この精神がウイスキーにも表れています。
世界初の挑戦(1963年)シングルモルト輸出革命
当時のスコッチウイスキー市場は、ブレンデッドウイスキーが完全に支配していました。シングルモルトは一部の愛好家が楽しむものに過ぎず、輸出など考えられない時代でした。
業界を変えた革命的決断
そんな中、グレンフィディックは1963年に世界初となる自社シングルモルトの輸出販売を開始。業界からは「無謀な挑戦」と失笑を買いましたが、この決断が現在のグローバルなシングルモルト市場を創造することになったのです。
世界が求めていた味わい
成功の要因は、ピート香を抑えた軽やかでフルーティーな味わいでした。ブレンデッドウイスキーに慣れ親しんだ世界の人々にとって、グレンフィディックの滑らかで親しみやすいスタイルは、シングルモルトへの完璧な入り口となりました。
独立精神を貫く老舗の矜持
創業から130年以上を経た現在も、グレンフィディックは創業者一族による独立経営を続けています。大手企業の買収攻勢を受けながらも、品質第一主義と長期的なビジョンを貫く姿勢は、現代のクラフトスピリッツの先駆けとも言えるでしょう。

シングルモルトの歴史を語る上で、グレンフィディックなくして語れません!まさにパイオニア精神の象徴ですね。

いよいよグレンフィディック12年の核心部分!どのような製法で、あの美しい味わいが生まれるのか詳しく見ていきましょう。
極上の滑らかさを生む製造工程の秘密

生命の水【ロビー・デューの泉】
グレンフィディックの味わいの根幹を成すのが、蒸溜所のすぐそばにある「ロビー・デューの泉」から湧き出る清らかな水です。創業以来130年以上、この単一の水源のみを使用し続けることで、一貫した品質を保ち続けています。
特徴
- スペイサイドの花崗岩層を通過したミネラル豊富な軟水
- 蒸溜・加水に最適な成分バランス
- グレンフィディック独自のテロワールの源
かすかなピート香の麦芽がフルーティーさの土台
使用する大麦麦芽は「かすかにピーティングした麦芽」と表現される通り、ピートによる燻製香を極限まで抑えています。これにより、麦芽本来の甘みとフルーティーな香りが前面に出る、典型的なスペイサイドスタイルを実現しています。
木製発酵槽での長時間発酵

現代的なステンレス製ではなく、伝統的なダグラスファー(米松)製の木製発酵槽を使用。72~80時間という長時間発酵により、洋梨や青リンゴを思わせるフルーティーなエステル(香味成分)の生成を促進します。
エレガンスの秘密はハイカット蒸溜

グレンフィディックの最大の秘密は、創業者ウィリアム・グラントが定めたとされる「ハイカット」蒸溜法にあります。
ハイカットの技術
- 通常よりも遅くミドルカット採取を開始
- 早い段階でカットを終了
- アルコール度数の高い、最も軽やかでフルーティーな部分のみを厳選
- 重厚さより軽やかさとエレガンスを追求
この製法により、樽熟成前からすでに驚くほどクリーンでフルーティーな原酒が完成するのです。
二種類の樽による熟成

アメリカンオーク樽(バーボン樽)
- バニラ、ハチミツ、バタースコッチの甘い風味
- 軽やかなスパイス香
- グレンフィディック12年の主体となる樽
ヨーロピアンオーク樽(オロロソ・シェリー樽)
- ドライフルーツやシナモンのスパイシーな風味
- 全体のバランスを整える補助的役割
- 複雑さを加える重要なアクセント
マリッジングという最後の魔法

グレンフィディック12年の滑らかさを決定づける最重要工程が「マリッジング」です。ブレンド後、マリッジング・タンと呼ばれる巨大なオークの大桶で最長9ヶ月間寝かせます。
マリッジングの効果
- 異なる樽の原酒が互いに馴染み合う
- 味わいの角が取れ、より調和の取れた香味に
- 「スムース」「メロウ」と評される滑らかさの源
この手間暇かけた工程により、比類なき滑らかさと調和の取れた味わいが完成するのです。

マリッジング工程は多くの蒸溜所が省略する、非常に贅沢な工程!この手間があるから、あの滑らかさが生まれるんですね。

お待たせしました!実際にグレンフィディック12年をテイスティングした感想を詳しくお伝えします。
グレンフィディック12年を実際に飲んでみた

グレンフィディック12年のフレーバー
グレンフィディック12年の味わい
ストレートで飲んでみる

香り
青リンゴ、洋梨、ハチミツ、バニラ、干し葡萄(ドライフルーツ)
味わい
バーボン樽由来のクリーミーさとスパイシーなアフター
コメント
まずはストレートで飲んでみます。
香りは、洋梨や青リンゴのフレッシュな果実香が広がり、ハチミツやバニラ、オークの香りが漂う印象。奥深くには干しブドウやドライフルーツなどの熟した果実と、タンニンの渋みのニュアンスも感じ取れます。
口に含むと、クリーミーな舌触りでバニラやハチミツの甘い味わいとともに、洋梨などの青い果実の香りが広がります。そして、徐々にスパイシーでややタンニン感のある味わいが追いかけてきて、ビターな味わいにゆっくりと変化。フルーティーな香りとスパイシーさがゆっくりと消えていき、余韻となるでしょう。
「グレンフィディック12年」ならではの瑞々しいフルーティーな香味はとても飲みやすく、バーボン樽原酒のクリーミーな味わいと相まって幅広い人に好まれます。ただ、旧ボトルと比較して洋梨感がやや落ち着いた印象に思えるのは、リニューアルによる変更点かもしれません。いずれにしても、とても飲みやすく、女性の方でもストレートで抵抗なく楽しめる一本といえるでしょう。

グレンフィディック12年の洋梨や青リンゴの爽やかな果実香、そしてクリーミーで甘やかな味わいは初めてストレートで飲む人にも安心してオススメできます!!
ロックで飲んでみる

香り
バニラ、ハチミツ、キャラメル、洋梨、ブドウ、ゴム
味わい
フルーティーで甘やか、心地よいビターなアフター
コメント
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは果実の鮮烈な印象よりも、バニラやハチミツ、キャラメルの甘い香りが前面に現れる印象。わずかに引いたところに洋梨やブドウのジューシーな香りが漂い、わずかにゴムや硫黄のようなシェリー樽原酒らしいニュアンスも感じられます。
口に含むと、滑らかでクリーミーな口当たりに、バニラやキャラメルの甘さが広がります。同時に青々としたジューシーな果実とその皮のタンニンの風味が交錯し、徐々にビターな味わいが強くなっていく印象です。アフターテイストではスパイシーさが際立ち、爽やかなビター感がゆっくりと消えていく余韻が静かに広がるでしょう。
洋梨などのフルーティーさとバーボン樽由来の香ばしさや甘さ、そしてフレッシュなビター感が絶妙なバランスで楽しめ、氷が溶けるたびに味わいが変化。普段はウイスキーをロックでしか飲まない方でも、スペイサイドらしい上品さを存分に楽しめる一本といえるでしょう。

甘やかでフルーティーな香味はロックでも十分に楽しめます!!特に氷の響きあう音と甘やかでフルーティーな味わいは時間を豊かにしてくれます!!
ハイボールで飲んでみる

香り
ハチミツ、バニラ、青りんご、果実の蜜っぽさ、若葉、ミント
味わい
青リンゴの香りとハチミツの優しい甘さ
コメント
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、青リンゴや洋梨の瑞々しいフルーティーな香りに、バニラやハチミツの甘い香りが満ち溢れ、どこか若葉やミントを感じさせる清涼感のあるニュアンスが漂う印象です。
口に含むと、青リンゴや洋梨のジューシーな果実感と、クリーミーなバニラやハチミツの優しい甘さが口いっぱいに広がります。ピールやミントを思わせるビターがゆっくりと追いかけてきて、アフターではわずかにスパイシーさを感じながら、若葉や緑茶を思わせる優しいビターとハチミツのかすかな甘さを感じ、すっと消えていくでしょう。
以前のレビューでは、ハチミツの甘さと緑茶を組み合わせたような味わいと表現しましたが、現行ボトルでもそのニュアンスは変わりません。口に含んだ瞬間の青リンゴの爽やかさや、中盤から余韻にかけての心地よい甘さやミントのような香りなど、ハイボールとの相性は抜群。食中酒としてだけでなく、幅広い時間帯で楽しめる一本といえるでしょう。

青い果実とハチミツ感、グレンフィディック12年ならではのフルーティーでジューシーな味わいが存分に楽しめる味わいのハイボールです!!
グレンフィディックには12年以外にもラインナップがありますね。他のグレンフィディックや競合製品との違いを比較してみましょう!
競合製品・ファミリーでの位置づけ
グレンフィディック12年 vs ザ・グレンリベット12年
比較項目 | 🥃 グレンフィディック12年 | 🥃 ザ・グレンリベット12年 |
---|---|---|
核となる香味 | 洋梨 青リンゴ バニラ | パイナップル 花 柑橘 |
キャラクター |
やや男性的 骨格しっかり |
女性的 繊細でフローラル |
口当たり |
クリーミー ミディアムボディ |
シルキー ライトボディ |
特徴 |
バランス重視 オーク感明確 |
軽やか トロピカルフルーツ |
スペイサイドの二大巨頭として常に比較される両者。グレンフィディックの方がより骨格がしっかりとしており、オークやバニラの風味が明確に感じられます。
グレンフィディック12年 vs ザ・マッカラン12年 シェリーオーク
比較項目 | 🍃 グレンフィディック12年 | 🍂 マッカラン12年 シェリーオーク |
---|---|---|
樽の影響 |
主にバーボン樽 |
100%シェリー樽 |
香味 |
フレッシュ
軽やか フルーティー |
濃厚
スパイシー ドライフルーツ |
ボディ | ライト〜ミディアムボディ | フルボディ |
価格 |
4,500円〜5,500円 💰 優秀なコスパ |
8,000円〜10,000円 💎 プレミアム価格 |
樽使いのポリシーが全く異なる両者の比較は、熟成樽がいかにウイスキーの性格を決定づけるかを示す好例です。コストパフォーマンスではグレンフィディックが圧倒的優位です。
グレンフィディック12年 vs グレンフィディック15年 ソレラリザーブ
比較項目 | 🥃 12年 入門編 | 🥃 15年 ソレラリザーブ 上級編 |
---|---|---|
熟成システム | 伝統的な樽熟成 |
ソレラシステム +新樽 |
香味 |
フレッシュ 軽やか |
深い
スパイシー ハチミツ |
複雑さ | シンプルで親しみやすい | 複雑で重層的 |
用途 |
万能、気軽に楽しむ 🍻 デイリードラム |
じっくりと味わう特別な一杯 🍷 スペシャルオケージョン |
15年は単なる熟成年数の違い以上の大きな飛躍を遂げた製品。12年のフレッシュさ・軽やかさが魅力の核心である一方、15年はより深く複雑な味わいを求める方向けです。

競合製品と比較することで、グレンフィディック12年の特徴がより明確になりましたね!次は気になる疑問にお答えします。
よくある質問(FAQ)
「本当にウイスキー初心者におすすめ?」
間違いなくおすすめです!ピート香がほぼ皆無で、フルーティーで滑らか。ウイスキーの「クセ」を感じることなく、シングルモルトの魅力を理解できる完璧な入門編です。
「物足りなく感じることはある?」
ウイスキー愛好家の中には「安全すぎる」「個性が弱い」と感じる方もいます。しかし、完璧なバランスと安定した品質は、多くの愛好家が「信頼できるデイリードラム」として評価しています。
「ハイボールにするのはもったいない?」
全くもったいなくありません!グレンフィディック12年はハイボールにすることで、フルーティーさがより際立ち、爽快で風味豊かなドリンクになります。むしろハイボール向きのウイスキーと言えるでしょう。
「マッカランと比べてどう?」
マッカランはシェリー樽由来の濃厚でリッチな味わいが特徴ですが、価格は2倍近く。グレンフィディックは軽やかでフレッシュな味わいを、はるかにリーズナブルな価格で楽しめます。コストパフォーマンスは圧倒的にグレンフィディックが上です。
「保存方法は?」
直射日光を避け、涼しい場所に立てて保存してください。開封後も品質は長期間維持されますが、風味を最大限に楽しむためになるべく早めにお楽しみください。
まとめ
スタンダードシングルモルトの代表格である「グレンフィディック12年」のレビューでした。
ジャパニーズウイスキーのブームによって、ウイスキー愛好家の間ではあまり注目されていないかもしれませんが、この定番品は世界一の出荷量を誇るだけあって、品質の高さは非常に信頼できるものです。
ウイスキー界では希少価値が重視されがちですが、スタンダードなだけに手を抜くことが許されない現実があります。「グレンフィディック12年」は、その地位を長年にわたって確立しており、最近はあまり飲まれていないという方も多いかもしれません。
今回改めて試飲して感じたのは、グレンフィディックの品質の高さと、ブレンデッドウイスキーにも通じる優れた飲みやすさでした。ウイスキーとしての基本的な魅力である果実やクリーミーな香りと味わいを、王道を行くことで深く感じることができます。
シングルモルト初心者の方はもちろん、飲みやすいウイスキーをお探しの方にも、自信を持っておすすめできる「グレンフィディック12年」。気になる方は、ぜひ一度試してみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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