このウイスキーの特徴を簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回、ご紹介するウイスキーはスペイバーン蒸留所のシングルモルト「スペイバーン10年」です!!
スペイバーン蒸留所とは
スペイバーン蒸留所は、スコットランドのスペイサイド「ロセス」という町にあります。
創業は1897年、ホプキンス兄弟によって創設されました。
創業の1897年は、英国ヴィクトリア女王の在位60年という記念すべき年(ダイアモンドジュビリー)で、それにあやかろうと蒸留所は急ピッチで建設されました。
蒸留所の建設はギリギリ12月に間に合いましたが、窓もない極寒の中で従業員たちは最初の蒸留を行ったそうです!
その後、スペイバーン蒸留所は1916年にDCL社に買収されたり2回の操業停止など困難な道を辿ります。
そして、ブレンデッドウイスキーで有名な「インバーハウス社」に買収され、そのインバーハウス社もタイの会社「タイ・ビバレッジ」に買収され、現在は安定した生産を行っています。
現在の運営元であるインバーハウス社は、以前にレビューをおこなった「グリーンプレイド」というお手頃なスコッチウイスキーを販売しています。
そのグリーンプレイドのキーモルトこそがスペイバーン蒸留所のモルト原酒なんです!
スペイバーンの製法
スペイバーン蒸留所は近年、設備の新調により年間生産量は450万トンを誇る蒸留所になりました。
ウイスキーの仕込み水には近くを流れるスペイ川の支流、グランティ川とバーチフィールド川の水を使用しています。
原料の大麦は精麦工場から仕入れたコンチェルト種を使い、ステンレス製のマッシュタンで週に6.25トンの麦汁を製造。
醪(もろみ)を造る発酵槽は木製が4基とステンレス製15基の計19基を備えていて、発酵時間は72時間と醪(もろみ)の出来に一貫性を持たせる工夫がされています。
蒸留器(ポットスチル)は初留1基、再留2基の3基で蒸留を行い、蒸留液を冷やす冷却器は昔ながらのワームタブ方式を採用。
出来たスピリッツは、様々な樽に詰められダンネージ式の熟成庫で長い眠りにつきます。
スペイサイドモルトらしい華やかな味わいがこうした工程を踏まえて誕生するんですね!
スペイバーン10年とは
スペイバーン10年は、スペイバーン蒸留所のモルト原酒だけで造られたシングルモルトウイスキー!
使われている原酒は、10年以上熟成を行ったアメリカンオークのバーボン樽とシェリー樽熟成原酒をブレンドして造られます。
スペイサイドモルトらしい華やかで甘みのある味わいは女性や初心者の方にもおすすめできるシングルモルトです!
ちなみに、ラベルにある魚の絵は「鮭」です!仕込み水に使われる2つの川はサーモンフィッシングで有名な場所で、なにかと鮭にゆかりがある場所からラベルに描かれているそうです。
では、スペイバーンの香りや味わいなどを実際にストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューしてみたいと思います!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ハチミツ、レモン、ジンジャー、ピーチ、パウンドケーキ、ミント
味わい
- スパイシー、ハチミツとジンジャー
感想
それでは、ストレートで飲んでみます。
香りにはハチミツ、レモン、ピーチ、ジンジャーのニュアンスがあり、パウンドケーキのしっとり感とミントの微かな香りも感じられます。
口に含むと、なめらかさとともにハチミツの香りが広がり、ジンジャーのスパイシーな風味も広がってきます。そして、ハチミツとジンジャーの香りが常に感じられ、余韻にもスパイシーさが静かに残ります。
また、ここで少し水を加えると、レモンやライムなどの柑橘系のビターさも現れます。甘い味わいとスパイス、そしてビターさが絡み合い、古典的なスペイサイドモルトの印象を受けました。
オールドプルトニーにも似たハチミツ感が甘くふんわり香ります。甘く華やかな感じはスペイサイドモルトらしく、甘すぎると思う時は少し加水してあげるとビターが良いアクセントになるので、万人受けする味わいだと思います。これなら、女性やウイスキー初心者でも安心して飲めます!
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、レモン、ベリー、ミント、ジンジャー、ゴム
味わい
- ビター、ハチミツと香ばしい余韻
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りはハチミツ、レモン、ジンジャー、ミントがありますが、ベリー系の果実を彷彿とさせる感じも出てきました。また、奥まってゴムっぽい感じもあり、これはシェリー樽原酒の影響でしょう。
口に含むと、ギューっとビターが口の中で膨らみハチミツとジンジャーが遅れて感じます。ストレートの時よりもハチミツ、ジンジャーは弱まり全体的にはビターテイスト、アフターから余韻かけてはビターはそのままに、ふ菓子のような甘みと香ばしさ、そしてゴムっぽさが残ります。
加水が進むば進むほどビター感は強くなり、シェリー樽原酒のゴムっぽさも増してきます。華やかさはあるものの、硬い印象でストレートの時よりか味わいに膨らみを感じられませんでしたが、ロックで飲む機会が多い方ならすんなり受け入れられるテイストですし、甘いのが苦手な方には良いかもしれません。
ロックで飲むとビターが強まりドライな味わいになります。ハチミツなどの甘さも残りつつ、ハードなテイストは食後のスッキリしたい時に良いかもしれません。甘いのが苦手といった方はロックをオススメします!
ハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、レモン、ジンジャー、ミント
味わい
- 麦の甘みと程よいビターテイスト
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りはハチミツ、レモン、ジンジャー、ミントと続きますが随分と落ち着いた印象に変わりました。
口に含むと、レモンなど柑橘のビターとハチミツが口の中に広がり、同時に麦の香ばしさも感じます。そして、ビターは徐々に落ち着きハチミツとジンジャーの淡い感じ、ミントの静かな清涼感が静かに消えていきます。
「はちみつレモン」ほどではありませんが、あのニュアンスとミントの清涼感、ウイスキー本来の麦の香ばしさと続き飲んでいて落ち着く優しい味わいのハイボールです!!
何よりハイボールでも感じるハチミツ!そしてレモンとジンジャー!この3つが炭酸との相性バッチリでサクッと飲めてしまいます!「角のハイボール」など普段飲んでいる方には、是非試して欲しい味わいです!スコッチの煙たいハイボールといったイメージが変わりますよ!!
まとめ
スペイバーン10年を3種類の飲み方でレビューしてみました。
ラベルや箱の見た目はミリタリーっぽい色合いで、ハードな印象を持ってしまいそうですが実際の味わいは「スペイサイド」の優しく、華やかで甘い味わいのシングルモルトウイスキーです。
親会社のインバーハウス同様に日本での一般的な知名度は低く、他の有名なウイスキーに流れてしまいがちですが、優しく飲みやすいウイスキーを探している方にはピッタリの味わいです。パッとしない印相といった意見もありますが、逆に飲み疲れない優しいウイスキーとも言えるのではないでしょうか!?
「何を飲もう・・・」と迷った時に「あ、スペイバーンがあった」と何気ないシチュエーションで活躍してくれる名脇役なシングルモルトウイスキー「スペイバーン10年」。色々なウイスキーを巡り巡ったら是非、試してみて下さい!
そしてもちろん、飲みやすいウイスキーを探している方にも自身を持っておすすめ出来るシングルモルトの1つです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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