このウイスキーの特徴と簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回ご紹介するのは、飛ぶ鳥を落とす勢いのアイリッシュウイスキー「バスカー」です!
「バスカー アイリッシュウイスキー」は2016年にオープンしたロイヤルオーク蒸留所が製造するアイリッシュウイスキーです。
その名の通り「アイリッシュウイスキー」はアイルランドのウイスキー。スムースで飲みやすく初心者でも親しみやすい味わいが特徴です。
では、アイリッシュウイスキーとロイヤルオーク蒸留所の特徴を見て行きましょう。
アイリッシュウイスキーの特徴
アイリッシュウイスキーは定義に基づいて造られており、法律で定められているおもな条件は以下のとおりになります。
- 穀物類を原料とすること
- 麦芽に含まれる酵素により糖化し、酵母の働きによって発酵させていること
- 蒸溜時のアルコール度数は94.8%以下であること
- 木製樽に詰めること
- アイルランド島(アイルランド共和国、または英国領北アイルランド)の倉庫で3年以上熟成させること
製法の特徴としては伝統的に、発芽させたノンピートの大麦麦芽(モルト)と、未発芽の大麦などを原料に、3回蒸溜で造られてきました。
例外としてピートを使った物もありますが基本的に3回蒸留のクリアな味わいと、未発芽の穀物を原料とすることによる、穀物のダイレクトな味わいが特徴です。
※豆知識
アイリッシュウイスキーの綴りは「Whiskey」、スコッチウイスキーは「Whisky」と表記します。
アイルランド移民によるウイスキー造りがルーツのバーボンウイスキーは「Whiskey」と表記されています。
対してスコットランドにウイスキー造りを学んだ日本は「Whisky」と表記しています。
「綴り」でルーツが分かるのもウイスキーも面白さの一つと言えるかもしれません。
※「メーカーズマーク」の様にバーボンウイスキーでありながら、綴りが「Whisky」の場合もあります。創業者がドイツ系の移民だったという理由でそうなっているのかもしれません。
アイリッシュウイスキーの種類
ポットスチルウイスキー
ポットスチルウイスキーはアイルランドで製造される伝統的なウイスキーです。
例外もありますがノンピートの麦芽と未発芽の大麦、その他には小麦やオーツ麦などを原料とし単式蒸留器で3回繰り返し蒸溜を行います。
3回の蒸溜を繰り返すことでクリアな酒質になりますが、原料に未発芽の麦芽などを加えているため、穀物由来の香味が豊かになり口当たりの良い味になります。
モルトウイスキー
モルトウイスキーは、スコットランドや日本でも製造されている大麦麦芽100%のウイスキーです。
ピートを使用した麦芽を使うこともあり、蒸溜はアイルランド伝統の3回蒸溜を基本に単式蒸留器で蒸溜を行います。(2回蒸溜の場合もあります)
蒸溜回数により味わいに違いをもたらしますが、モルト特有の芳醇な香りなどウイスキーとしてのキャラクターが最も濃い酒質が特徴です。
グレーンウイスキー
グレーンウイスキーは、大麦や未発芽の大麦、そしてトウモロコシなどの穀物を使用したウイスキーになります。
蒸溜は連続式蒸留機で行いスッキリとしたクリアな味わいのウイスキーに仕上がります。
主張が少ないことから「サイレントスピリッツ」とも言われ、主にブレンデッドウイスキーに使用されます。個性の強いウイスキー同士を調和させる影の立役者。
ブレンデッドウイスキー
「モルトウイスキー」や「ポットスチルウイスキー」と「グレーンウイスキー」をブレンドして造られるウイスキーです。豊富な味わいを作り出せる事や、呑み口がマイルドに仕上がるので初心者の方などは特にオススメです。
ロイヤルオーク蒸留所
次に「バスカー」を製造している「ロイヤルオーク蒸留所」について見てみましょう。
「ロイヤルオーク蒸留所」はアイルランドの南東部「カーロウ州」にあります。
蒸留所の創設は2016年、「バーナード・ウォルシュ」によって創設されました。
創設から4年後となる2020年、蒸留所初のブランド「バスカーアイリッシュウイスキー」を販売。新しい蒸留所ながら数々の賞を受賞するなど、アイリッシュウイスキーの中でも一際注目を集めています。
このロイヤルオーク蒸留所の特徴として「3種類のウイスキーを自社で製造出来る」という点があります。
アイルランド独自の技法による「ポットスチルウイスキー」や一般的な「モルトウイスキー」、そして、連続蒸溜による「グレーンウイスキー」の3種類です。
そしてさらに、原酒の作り分けに大切な熟成樽についても4種類を使用しています。
2つ蒸溜方法とアイルランドの技法、そして複数の熟成樽の使用により一つの蒸留所ながら、多彩な原酒の製造を行っています。
これにより、ロイヤルオーク蒸留所の販売する「バスカー」には原酒の違いによる数種類のボトルが発売されています。
今回は、その中でも最もスタンダードな「グリーンラベルのバスカー」をレビューいたします。
このバスカーは「モルトウイスキー」と「ポットスチルウイスキー」、そして「グレーンウイスキー」をブレンドした「ブレンデッドウイスキー」で、味わいはトロピカルフルーツを思わせるライトで飲みやすいウイスキー!!
使われる原酒の熟成には「シェリー樽」や「バーボン樽」に加え、貴重な「マルサラワイン樽」の原酒もブレンドされています。
「マルサラワイン」はイタリアのシチリア島で生産される「酒精強化ワイン」で、ティラミスに使われることで有名なワインです。
マルサラワインの名門「フローリオ社』の熟成樽を使用しており、貴重かつ贅沢な原酒がブレンドされているといいます。
お手頃価格で貴重なマルサラワインの熟成樽原酒が使用されているのも美味しさの秘訣かもしれません。
日本国内でも人気で一時は品薄により、店頭に並ばない時期もありました。
そんな、飛ぶ鳥を落とす勢いの「バスカー」を今回も、3種類の飲み方でレビューしていきますので、最後までご覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ハチミツ、りんご、洋梨、トロピカルフルーツ、バニラ、納屋、ハーブ
味わい
- トロピカルフルーツの甘さ、スパイシー、モルト香
感想
まずは、ストレートで飲んでみます。
香りは、ハチミツやバニラに混じってリンゴや洋梨の爽やかな香りがします。また、南国フルーツのトロっとした果実の香りや、アイリッシュらしいハーブ感、納屋っぽい牧歌的な香りも僅かながら感じます。
口に含むと、香ばしいモルト香にクリーミーな甘さがあり、口当たりはとてもスムースでマイルド。思っていたよりもアイリッシュらしいハーブっぽさはなく、ブレンデッドながらしっかりとしたモルトの旨味を感じます。
余韻は、果実香とスパイシーな一面が続いて、わずかに感じるタンニンがシェリー樽原酒の存在を主張してきます。
蒸留所は2016年創設ですので、逆算しても6年以上の原酒は使われていないと思われます。しかし、短期熟成の原酒で、これだけマイルドでスムースな味わいと複雑な香味を持ち合わせているのは、本当に素晴らしい。ストレートでも十分に美味しく、これなら売れるのも納得の味わいです。
ロックで飲んでみる
香り
- 樽香、バニラ、ハチミツ、トロピカルフルーツ、リンゴ、プラム、チョコ、ゴム
味わい
- ハーヴィーな苦味、スパイシー、ダークチョコ
感想
次は、氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、一気にウッディな香りが膨らみ、樽香、バニラ、ハチミツ、そしてトロピカルフルーツにリンゴやプラムの酸味があります。また、焦げ感のある香ばしさとチョコレート、奥まってゴムっぽい香りも感じられます。
口に含むと、ハーブっぽいビターに香ばしい樽香、シナモンのようなスパイスを感じてモルトの甘みが消えそうな場面にシェリー樽原酒のゴムっぽい感じが出てきます。
ストレートで感じた甘みや南国フルーツ感は減ってしまいましたが、代わりに香ばしさや、ビターな一面が現れ大人の雰囲気を醸し出してきました。ビターも雑味が少ないので、何杯か飲んでいくうちに、心地よいアクセントになり飽き感じさせない造りになっていると思います。
ロックでも美味しく飲みやすい!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- バニラ、キャラメル、カスタード、チョコ、肉(サラミ)、ハーブ、焦がした木片
味わい
- 淡いシードル、ミーティー、スパイシー
感想
最後は、みんな大好き!!ハイボールで飲んでみます。
香りは、バニラ、キャラメル、カスタードといった甘い香りに、ほろ苦いチョコレートを感じます。また、意外ですが爽やかな香りの中に肉っぽいミーティーな香りがあります。具体的に言うならサラミの様な肉っぽさでしょうか!?。
※ちなみに・・・
レビューテイスティング時はおつまみは食べません。グラスも専用のスポンジとクロスで拭いております。なので、香りがグラスに移っているというわけではなく、ウイスキーの中には肉っぽく感じる香りを含んでいるんです。不思議ですね😲
そして、ハーブの薬草感がわずかにあり、焦がした木片の様な香ばしさ、やや煙たい感じのニュアンスが漂っています。
口に含むと、リンゴのスパークリングワインであるシードルっぽい爽やかな酸味が口の中に広がります。中盤にかけてミーティー(肉っぽい)な感じが膨らみ、余韻にかけてはスパイシーで淡いビター感と共に、シナモン(コーラ)がスパッと消えてなくなります。
ハイボールにすることで、そのままでも飲みやすい味わいは更にスッキリとしましたが、個人的にはちょっとパンチがないというか、物足りない印象も正直あります。
ですが、食事と合わせる場面が多いハイボールなので単体での評価よりも、飲まれる場面を想定した場合には「何にでも合わせられる万能ハイボール」と言えるでしょう。
(とても飲みやすいので、あっと今に空になってしまうと思いますよ・・・!?)
やや濃い目の1:3以上で作るとモルト感も失われず、コクと甘み、果実感のある爽やかさを感じられました。
まとめ
新生アイリッシュウイスキー「バスカー」のレビューでした。
以前までは、マイルドで飲みやすい印象とカクテルベースのイメージが強かったアイリッシュウイスキーですが、今回の「バスカー」で「独特の個性」と「値段以上の味わい」を堪能することが出来ました。
創設されてから年月もまだ浅い蒸留所ですが、ストレートでも十分美味しいと感じるブレンデッドウイスキーを作り出しています。もしかしたら、アイリッシュならではの製法も美味しさの要因かもしれません。
今後、熟成庫に眠っている原酒たちが熟成を深め、年数表記のされる長熟タイプ(ヴィンテージ)がリリースされる時も来るでしょう。その時、いったいどんな素晴らしいウイスキーが誕生するのか!?今からとても楽しみでなりません。
低価格ながら、味わい深くカッコいいボトルデザインのアイリッシュウイスキー「バスカー」を是非、お試しください!
最後までお読み頂きありがとうございました。
今回ご紹介した「バスカーアイリッシュウイスキー」はコチラからどうぞ!!
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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