
このウイスキーを簡単にまとめると
- ウイスキーの属性:シングルモルト
- 産地:アイルランド
- 蒸溜所:非公開
- 飲みやすさ:★★★☆☆☆
- 味わい:複雑で香味豊か、心地よいピート感
- おすすめの飲み方:ロック、ハイボール
- 総合評価:★★★★☆☆
- どんな人に向いている?:アイリッシュウイスキーの概念を払拭したい人
このウイスキーについて

今回のレビューボトルも、イーガンズウイスキーの正規代理店「イントレピッド・スピリッツ・ジャパン」様よりご提供頂きました!!

イーガンズ(EGAN’S)とは!?


イーガンズ(EGAN’S)は、1852年にアイルランド中部のタラモアで創業した170年の歴史あるウイスキーブランドです。

創設者は、代々アイルランド王家の法律顧問を務めてきたというイーガン家のパトリックイーガン氏。


彼は法律顧問の仕事を務める傍ら、卸売りと小売業のP.&H. Eagan社を設立し、ホテルやビールの醸造など20以上の事業を展開。さらに、ウイスキーの醸造、ブレンド、ボトリングなども行う優秀な経営者でした。

その中でもウイスキー事業の評価は高く、自社でブレンドを行ったオリジナルブランド「Egan’s No.5」と「Egan’s No.8」は、国内外から高い評価を受け、高級ウイスキーの代名詞的存在となっていきます。


しかし、1900年代に入ると世界大戦やアメリカの禁酒法などの影響により売上は激減。苦しい時代を生き延びましたが、ついに1968年にその歴史を一旦閉じてしまいます。


一度はその歴史に幕を閉じ、“幻のアイリッシュ・ウイスキー”と呼ばれていたイーガンズですが、ついに復活のときが訪れます。

操業停止から45年後となる2013年に、6代目となるジョナサンイーガンと従兄弟のルパットイーガンによってイーガンズウイスキーは復活!!


新生イーガンズは、世界的に権威のあるウイスキーのコンクールで次々と賞に輝くなど、名門ウイスキーブランドとしての実力を世界に知らしめています。

確かな技術と蒸留所からの信頼があるからこそ、良いウイスキーをリリース出来るんですね!!
イーガンズ エンデヴァーについて


「イーガンズ エンデヴァー」は蒸留所非公開のシングルモルトウイスキーです。

「エンデヴァー」には「努力」、「試み」といった意味があり、実際にこのボトルもアイルランドの伝統的製法を守りながら、新たな試みがされています。

1つは、アイリッシュウイスキーではあまり使われないピート(泥炭)を焚いた「ピーテッド麦芽」を使用していることです。

スコッチウイスキーに代表される「ピート」、その香りには特有のクセがあるので、スムースなアイリッシュウイスキーには使用されてきませんでした。


そして、もう1つの新たな試みとして熟成方法があります。

エンデヴァーの原酒に使われている熟成樽は、アメリカン・オークの新樽、バーボン樽、オロロソシェリー樽、インペリアル・スタウト樽という4種類の樽で熟成しています。

近年のアイリッシュウイスキーでも、スタウト樽などビール樽を熟成に使うのは珍しくありませんが、基本的には後熟(フィニッシュ)を行う程度で、メインの熟成には使われません。


しかし、イーガンズのエンデヴァーではメインの熟成にスタウトビール樽を使用し、ウイスキーの風味を更に広げる事に成功しました!!

今までの概念にとらわれない”新しい試み”により造られる、新生アイリッシュウイスキー「イーガンズ エンデヴァー」は、類を見ない個性豊かなウイスキーに仕上がっています。

今回も、ストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューを行いますので、参考になれば嬉しいです。どうぞ、最後までご覧下さい!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート

味わいチャート

ストレートで飲んでみる

香り
- プラム、クランベリー、グレープフルーツ、ピート、ハチミツ、黒糖、麦芽(ビール)
味わい
- ザラメの甘さ、スパイシー、ピーティーでタンニンを感じる余韻
感想
では、ストレートで飲んでみます。
香りは、「フォーティチュード」と同じようなプラム、クランベリーなど酸味の効いた果実、ハチミツや黒糖といった甘い香り、そしてピートのツンっとしたアクセントがあります。また、時間が経ってくると、グレープフルーツも顔を出して、麦芽やビールに用いられるホップの苦味と発酵感が出てきます。
口に含むと、フルーティーな香味とともに、ザラメのような甘さが広がってスパイシーが追いかけてきます。ワインっぽさも感じながら、ピートが膨らんでタンニンと少しスパイシーな余韻が長く続きます。
「フォーティチュード」も一緒に飲んでみましたが、「エンデヴァー」の方がフレッシュな果実感あるので、バランスが良く飲みやすいように感じます。「フォーティチュード」もフルーティーですが、甘さもグッと前にあり1つ1つのキャラクターがハッキリとしています。
もし、どちらを選ぶべきか!?とお悩みであれば「エンデヴァー」を試して、もう少しパンチが欲しいと思った時は「フォーティチュード」へ、といった感じで良いと思います。

しっかりとした酸味とピートの香り。甘すぎず果実のジューシーさを感じられる「エンデヴァー」今回もアイリッシュらしくない、個性の豊かさに驚かされました。購入には、ちょっと躊躇するお値段かもしれませんが、決して損はしない味わいだと思います。
ロックで飲んでみる
-1.jpg)
香り
- マラスキーノチェリー、イチゴジャム、プラム、ハチミツ、ピート、ショートケーキ、スモーク
味わい
- フルーティーで艶のある甘さ、果実とピートの余韻
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ビックリするくらいフルーティーに変わりました。イチゴやプラムのジャムっぽい感じがして、続けてハチミツやピートなどストレートと変わらないキャラクターではありますが、どこか濃縮感のある果実味・・・、と、冷蔵庫からマラスキーノチェリーを取り出し確認。
そうです、マラスキーノチェリー、あとはショートケーキといった油性の感じや、お菓子っぽい果実味のある香りがします。
口に含むと、甘い果実にスモーキーさが乗って心地よく口の中に広がっていきます。決してしつこい甘さではなく、酸味やほろ苦さもあるので飽きません。
中盤からスパイシーも顔を出しますが、穏やかでピートのアクセントが心地よいです。余韻はライムっぽい柑橘とピーティーな香りがしばらく続くとスッと消えていきます。
氷を入れただけで、こんなにもフルーティーで飲みやすくなるのは良いですね。水っぽくならずに、果実感が膨らみ、人によっては毛嫌いされるピート感は穏やかに変化します。ゆっくり時間をかけて飲むスタイルに非常にマッチしているウイスキーです。

氷を入れただけで、とってもフルーティーになったのにはビックリしました。普通はビターが強まって飲みにくかったり、水っぽくなるのですが「エンデヴァー」はそれがありません。普段からロックでウイスキーを飲む方へ自身をもってオススメできます!
ハイボールで飲んでみる
-1.jpg)
香り
- イチゴ、クランベリー、ハチミツ、クロワッサン、ピート
味わい
- 終始柔らかいピート香、ジューシー、パフューム感(洗剤)
感想
最後は、みんな大好きハイボールで飲んでみます。
香りは、イチゴやクランベリーの酸味が感じられ、続いてハチミツの優しい甘さがあります。微かにですがクロワッサンのような発酵バターっぽい感じがして、全てをピートの煙たさが包んでいます。
口に含むと、ほんのりイチゴとハチミツの甘さが広がって、ジューシーな食感です。中盤からはピートとスパイシーさが現れ、柑橘感のあるビターな余韻へと続きます。
余韻では、柑橘に隠れて洗剤のようなパフューミーな感じがとっても面白いのですが、ビールに使われるホップや、黒ビールの香ばしい焦げ感からくるものかもしれません。なかなか面白く今までにない後味に仕上がっていると思います。

スッキリと爽やかな果実感、穀物の香ばしい甘さ、そしてビール樽の風味。味わいの展開がとても面白く、ジューシーで飲みごたえのあるハイボールです!!
まとめ
「イーガンズ エンデヴァー」は、アイリッシュウイスキーの概念にとらわれない革新的なウイスキーです。何といっても、ピーティーな香味はスコッチに慣れた筆者であっても満足できる香りと味わいがあります。そして、スタウト樽によって熟成を行うといった新たな試みで得られる、アフターにかけての斬新な余韻など、ウイスキーファンはもとより、初心者の方であっても十分楽しめる味わいに仕上がっていると思います。
それなりに”いいお値段のウイスキー”ではありますが、アイリッシュならではのスムースな飲み心地と、複雑な香味を楽しめますので、自分用にも勿論ですがギフトなどにも最適です。
古き良き文化を重んじるウイスキーの世界に一石を投じる”イーガンズ エンデヴァー”、是非、一度

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
コメント