このウイスキーを簡単にまとめると
このウイスキーについて
「カフェグレーン」は、日本の大手ウイスキーメーカーである「ニッカウヰスキー」が製造するシングルグレーンウイスキーです。その名の通り、製造にはカフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)が使用され、これがユニークな風味を生み出しています。
カフェグレーンとは
通常の連続式蒸溜機(パテントスチル)と比較して、カフェスチルは生産コストがかかり手間がかかるため、世界中で使用されている蒸溜所はほんのわずかです。しかし、その手間暇かけた製法により、原材料の風味をより強く引き出すことができるとされています。
このこだわりの製法が実を結び、カフェグレーンは2013年に開催された世界的なウイスキーの品評会、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で金賞を受賞。その名声は世界中に広がりました。
カフェグレーンは、生産量よりも品質を重視し、上質なシングルグレーンウイスキーを提供することで知られています。その深い風味と独自の製法により、モルト通の間でも高い評価を得ています。
宮城峡蒸溜所について
北海道・余市での成功を経て、竹鶴政孝は1967年に第二の蒸留所を建設する決断を下しました。彼の信念は、「異なる蒸留所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」というものでした。その選ばれた場所が宮城県仙台市に位置する”宮城峡”でした。
宮城峡の美しい自然環境
宮城峡は、広瀬川と新川というふたつの清流に囲まれた緑豊かな峡谷で知られています。竹鶴が初めてこの地を訪れた際、新川の清流で持っていたブラックニッカを割って飲み、その地の味わいを確認しました。その瞬間、竹鶴は宮城峡に蒸留所を建設することを決定しました。
カフェ式連続式蒸留機の革新
宮城峡蒸溜所が誇るのは「カフェ式連続式蒸留機」です。導入当初、この蒸留機は旧式と見なされていました。しかし、竹鶴はあえてこの旧式蒸留機を選びました。なぜなら、旧式だからこそ雑味となる成分が残りやすく、それを技術的に原料本来の香りや甘みに変えることができると信じていたからです。
竹鶴の情熱を引き継ぐ人々
宮城峡蒸溜所では今もなお、竹鶴の情熱を受け継ぐ人々がウイスキーのおいしさを求め、さまざまな試みを続けています。竹鶴政孝の志を胸に、宮城峡蒸溜所は日本のウイスキー文化に新たな息吹を与えています。
関東圏内からもアクセスしやすい宮城峡蒸溜所では、オリジナルのグッズやウイスキーの販売も行っています。
タイミングが良ければレアなウイスキーも販売されている時があるので、ウイスキー好きなら一度は訪れてみたいですね!!
カフェグレーンの製法
ニッカカフェグレーンは、世界でも稀少な“カフェ式連続式蒸溜機”を使用して製造された、味わい深いグレーンウイスキーです。このウイスキーは、スコットランドのロバート・スタインが1826年に発明した連続式蒸溜器の技術をベースにしています。
連続式蒸溜器は、発酵液を絶え間なく流し入れ、気化と凝縮を一貫して行う製法であり、これにより高いアルコール度数の蒸溜液が得られます。通常、アルコール度数が高くなると原料の風味が損なわれることがありますが、カフェ式連続式蒸溜機を使用することで、原酒の成分が強く残る特徴があります。
ニッカカフェグレーンは、この製法により、原料となる穀物の甘く芳醇な風味が豊かに表現されています。また、「ニッカ カフェグレーン」は、一般的なグレーンウイスキーに比べて原料由来の甘さがしっかりと残っており、これはカフェ式連続式蒸溜機の特異な特性によるものです。
このウイスキーが持つまろやかな余韻は、ニッカのブレンデッドウイスキーにおいても感じられるものであり、そのほのかな甘さがニッカカフェグレーンの特徴となっています。「ニッカ カフェグレーン」は、カフェ式の蒸溜機がもたらす独自の風味と、穀物由来の甘さが調和し、洗練された味わいを提供しています。
一般的な連続式蒸留器では出せない風味豊かな味わいが特徴のカフェグレーン!!
ニッカのウイスキー造りの精神はグレーンウイスキーにもしっかりと活かされています!!
では、いつものようにストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- バニラ、カスタード、バナナ、チョコレート、ウエハース、キャラメル、花のニュアンス
味わい
- 香ばしくスイートな味わい
感想
まずは、ストレートから飲んでみます。
香りは甘やかで、香ばしくバニラ、カスタード、キャラメルなどの洋菓子を彷彿とさせる特徴的な香りが広がります。バナナのような脂っぽい果実感とチョコレートのほろ苦さ、そしてウエハースの香ばしい穀物感が感じられ、奥には花のニュアンスも漂っています。
口に含むと、軽やかでクリーミーな印象が口の中に広がります。穀物の甘さやバナナを感じると、奥からスパイシーさが追いかけてきて、オークの香りとともにほろ苦く甘いニュアンスに切り替わります。余韻ではニッカらしい焦げたようなニュアンスが続き、スッと消えてなくなります。
グレーンウイスキーというと主張のないサイレントスピリッツと言われますが、確かに大きく訴えかけてくる感じはありません。しかし、軽やかに甘く香ばしく、滑らかな味わいはモルトウイスキーにはない個性で、飲みやすく、ウイスキーを飲み始めの人から、グレーンウイスキー未経験の方まで安心して試せる味わいになっています。
甘く香ばしい香りは洋菓子のようなニュアンスが満ち溢れています。一般的なウイスキーの香りとは全く違い、飲みやすさが香りからも感じられました。
ロックで飲んでみる
香り
- カラメル、バニラ、キャラメル、バナナ、カスタード、ウエハース、焦がしたオーク
味わい
- 香ばしくメロウ
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ストレートよりも少し焦がしたようなニュアンスが増え、カラメルっぽい砂糖を煮詰めたような香りが先行します。その後、バニラやキャラメル、カスタードの洋菓子っぽさが感じられ、徐々にバナナ、ウエハース、そして焦がしたオーク材の香りが広がってきました。
口に含むと、バーボンウイスキーとまではいかないものの、花のようなフローラルな香りが広がり、穀物の香ばしさが溢れています。その後、カラメルにバナナが絡み、ウエハースの軽やかな香ばしさを感じると、奥からビターな味わいが追いかけてきて、最後は焦がしたオーク材のようなほろ苦く香ばしい香りが余韻となり、スッと消えていきます。
オンザロックでは、香ばしさやほろ苦さが増し、少し大人の味わいに変化します。加水が進んでも全体のニュアンスが大きく崩れることはなく、ストレートではちょっと…と感じる方でも味の変化を楽しみながら、ゆっくりと楽しめる味わいではないでしょうか。
氷を入れても香ばしさや甘い香りは変わりません。それどころか、カラメルなどのほろ苦い感じが大人の雰囲気を演出しています。時間をかけてゆっくり飲んでも👌
ハイボールで飲んでみる
香り
- バニラ、カラメル、バナナ、カスタード、ウエハース、花
味わい
- 香ばしくフローラル、しっかりとしたビター感
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
香りは、バニラやカラメルの甘い香りに、バナナやカスタードのしっとりとしたニュアンスが絡み、ウエハースの香ばしい香りとともに花っぽいフローラルなニュアンスが漂っています。
口に含むと、バニラの香りとバナナが軽やかに混じり合って、クリームブリュレやカスタードの滑らかな洋菓子の味わいが広がります。その後、ビターが徐々に膨らんでくると焦がしたようなほろ苦く香ばしいニュアンスに切り替わり、ニッカらしい味わいの余韻はサッと消え、甘やかで香ばしいニュアンスが段々と消えていきます。
グレーンウイスキー本来の飲みやすさや、炭酸との馴染みやすさはありつつ、カフェグレーンならではの香ばしさは、角瓶などのハイボールを愛飲されている方であれば驚くほどの味わいだと思いました。
角瓶やブレンデッドのハイボール愛飲者はおそらく未体験!!香ばしさやスイーツのような甘さなど上品でとても飲みやすいハイボールです!!
まとめ
ニッカウヰスキーならではのシングルグレーンウイスキー「カフェグレーン」のレビューでした。
モルトウイスキーに比べ、脇役のイメージがあるグレーンウイスキーですが、カフェ式ならではの素材の味わいを活かした香ばしく、ニッカらしい味わいを楽しむことができました。
以前にも、蒸留所限定の「カフェグレーン」をご紹介いたしましたが、味全体のニュアンスは大きく変わりません。もちろん、蒸留所限定ということもあり、アチラは度数も高く、更に濃厚な味わいが楽しめますが、通常版のコチラでも、カフェ式ならではの原料の風味を損なわない香ばしい味わいを楽しむことができます。
特にハイボールで飲まれる方や、ウイスキー初心者にとってはピートやスモーキーな風味もなく、非常に飲みやすいので、ここから始めてみても良いかもしれません。
しかし、一つ残念なのはやや高い価格ということ、そして人気のあまり入手が少し難しいことかもしれませんが、バーや運良く見かけた際は、是非一度試してみてください。ウイスキーへのイメージが大きく変わる一杯になるかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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