【レビュー】イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWR リーフラベルの味と香りを解説!

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sister-ley
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こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!

「イチローズモルト ミズナラ・ウッド・リザーブ」は、複数の蒸留所のモルト原酒をヴァッティングし、再熟成させた日本のウイスキーです。キーモルトには、既に閉鎖された羽生蒸留所の原酒が使われ、ピートの強い原酒を選出して秩父蒸留所でブレンドされます。ミズナラ・リザーブ・ヴァットで再熟成されることで、特有のスイートさやフルーティーさが感じられ、奥深い複雑な味わいとピート香が口の中に広がります。自然の風味を大切にするために、ノンチルフィルターで人工的な着色を行わないノンカラーで造られていることも特徴です。

本記事では、その魅力や製造プロセスについて詳しくご紹介します。

イチローズモルトミズナラウッドリザーブを簡単にまとめると

ウイスキー属性 シングルモルト
産地(メーカー) 日本(ベンチャーウイスキー)
蒸留所 秩父蒸留所
味わい スパイシー、オリエンタルな香り
飲みやすさ ★★★★★☆
おすすめの飲み方 何でもOK
個人的感想 山崎12年に近い
イチローズモルトミズナラウッドリザーブの総合評価
イマイチ
良い

イチローズモルトは、ベンチャーウイスキーによってリリースされているジャパニーズウイスキーです。秩父市の豊かな自然と肥土伊知郎氏の卓越した技術により、イチローズモルトはバランスの取れたフルーティな風味が特徴です。

このウイスキーは、日本国内のみならず、海外のコンペティションでも数々の賞を受賞しており、その品質の高さが証明されています。また、限定ボトルが高値で取引されるなど、コレクターズアイテムとしての側面も持ち合わせています。

Key(筆者)
Key(筆者)

日本のクラフトウイスキー蒸留所の先駆けとして功績を収めたのが「ベンチャーウイスキー」です!

ベンチャーウイスキーは2004年に設立されましたが、その歴史はさらに古く、肥土伊知郎氏の祖父が創業した東亜酒造まで遡ります。東亜酒造は1946年にウイスキー製造免許を取得し、羽生蒸溜所でウイスキー製造を開始しました。しかし、経営不振により2000年に民事再生法を申請し、ウイスキー事業からの撤退を決定しました。この際、約400樽のウイスキー原酒が廃棄の危機に瀕しましたが、肥土氏はこれを救うために奔走しました。

肥土伊知郎氏は、東京農業大学を卒業後、サントリーに勤めていましたが、家業の危機を知り実家に戻り、家業の再建を決意します。彼は、生産の現場だけでなく、量販店を回り紙パックの日本酒を売る営業の仕事も行いました。その時に蔵の樽で保管していたウイスキーの原酒(スコットランドから輸入したものと自社である羽生蒸溜所で蒸溜したもの)を発見します。自社の原酒は癖が強くて売りにくいと社内で言われていましたが、本当にそうなのか確かめるため、名前を伏せて夜な夜な首都圏のバーを巡り、バーテンダーに試飲してもらう行為をこの時に行っています。バーテンダーたちは「個性的で面白い味だ」と羽生蒸溜所原酒を評価し、次々にベテランのバーテンダーを紹介してくれたそうです。

しかし、経営不振は止まりませんでした。2000年についに会社は民事再生法を申請。売却先の酒造メーカーからウイスキーづくりからの撤退と期限内に設備の撤去、及び約20年造り続けた400樽のウイスキーの原酒もろとも廃棄せよ、とういう条件が課せられてしまいます。肥土氏は、ウイスキー原酒とそれを入れている樽を預かってくれる企業を探しに奔走します。まだ無名である羽生のウイスキーは売りにくいし、寝かせていても販売できるまで時間がかかるのでなかなか預かり先は見つかりませんでした(ちなみに肥土氏が過去務めていたサントリーにも断られてしまったそうです)。苦労に苦労を重ねた末、福島県の「笹の川酒造」に原酒を預かってもらう許可を得ました。

「笹の川酒造」の倉庫で原酒をワインの空き瓶に詰めて、再びバー巡りを再開。まだ販売免許がないので、製造・販売は笹の川酒造、企画はイチローズ・モルトとしたのです。その後、多くの協力者と出会い、肥土氏は自らの蒸溜所をつくる決意をします。まず2004年9月、まずはウイスキー販売会社として「ベンチャーウイスキー」を立ち上げます。2005年には、ワイン樽で熟成させたボトル「イチローズモルト ヴィンテージシングルモルト」600本をリリース。初となるこのボトルを売り出す為に、肥土氏はなんと1日3〜5件、2年でなんと2000軒以上のバーを回りベンチャーウイスキーの営業をしました。真面目で誠実な肥土氏の人柄も相まって、イチローズモルトはバーテンダーの方々に大変快く受け入れられました。

ちなみにイチローズモルトのカードシリーズのラベルを手掛けたデザイナーは肥土氏がバー回りをしている際にたまたま出会った方。ウイスキーへの情熱はもちろん、人との縁も大切にする肥土氏の人柄が伝わる逸話です。肥土氏は営業だけでなく、ウイスキー造りにおける日々の修練も欠かしませんでした。スコットランドを中心に多くの蒸溜所(キルホーマン、エドラダワー、ダフトミル、ベンロマック、ペンダーリンなど)を訪問し、小規模蒸溜所の運用方法を学習していきます。

2006年の7月頃には建設が迫る秩父蒸溜所の操業の参考にする為、当時のメルシャンを口説き、軽井沢蒸溜所で1ヵ月だけ稼働させてもらい仕込みから樽詰めまでを経験。2007年、スコットランドのベンリアック蒸溜所でもやはり蒸溜所を1ヶ月借りて、仕込みの実務を確かめ、現地のクラフトマンとの技術交流も図りました。そしてついに2007年11月に念願の秩父蒸溜所が竣工し、翌2008年2月に国税庁より酒造免許が交付され蒸溜を開始しました。

しかし蒸溜所が稼働してもウイスキーを熟成させる為には最低でも3〜5年の月日が必要となる為、その間はウイスキーを樽ごと販売したり、地元銀行からの資金調達をして凌いでいました。実家の家業復興に身を投じ、見事再建を果たした背景には肥土氏の家業への愛情とウイスキーづくりへの情熱がひしひしと伝わってきます。その後イチローズモルトはニューボトルをリリースする度に口コミでコアなファンを増やしていき、現在の孤高の地位を確立するまでに至ったのです。

Key(筆者)
Key(筆者)

祖父から受け継がれた貴重な原酒を預かってくれた「笹の川酒造」が無ければ、今のイチローズモルトは無かったと言っても過言ではありません。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

そして、肥土伊知郎氏のウイスキーに対する情熱が日本ウイスキー界を牽引しているとも言えるかもしれません。

イチローズモルトの製造には、細部にまでこだわりが見られます。使用する大麦麦芽の大部分はイングランド、ノーフォークのクリスプモルティングからの輸入ですが、近年では地元埼玉県産の大麦を使用しています。少量ではありますが、伝統的なスコッチの製法を見習い、フロアモルティングも行っています。秩父蒸溜所のゴールのひとつは、地元産の大麦に、地元産のピートを使い、蒸溜所内でモルティングを行う「100%埼玉産」のウイスキー造りを可能にすることだと言います。

モルトを細かく砕いてグリスト(粉末状)にする作業は朝晩2回行われ、グリストと温水をマッシュタンという大きな糖化槽の中で混ぜ合わせ、糖分を含むウォート(麦汁)を抽出していきます。そして、ウォートに酵母を投入して混ぜ合わせ、ウォッシュバックと呼ばれる発酵槽に入れられます。発酵槽には日本を代表する木材であるミズナラ(ジャパニーズオーク)を使用しており、発酵はじっくりと四日間行われます。近年では本場スコットランドでも維持管理の手間を考慮しステンレス製の発酵槽を取り入れている蒸溜所が増えていますが、秩父蒸溜所では手間よりも原酒に与える風味を優先し、あえて手間とコストのかかるミズナラの木槽を取り入れています。

発酵の工程が完了するとビールのような発酵液(モロミ)が出来上がります。これはウォッシュと呼ばれ、次にポットスチルで蒸溜されます。秩父蒸溜所ではスコットランド・フォーサイス社製のポットスチルを使用しており、これがイチローズモルトの豊かな風味を生み出す一因となっています。蒸溜された原酒は様々な樽で熟成され、その風味を深めていきます。

イチローズモルトのこだわりの中でも特に重要なのは樽の選定です。原酒の半分はバーボン樽、もう半分はシェリー樽や、ワイン、ポート、マディラ、ミズナラなどの樽に入れられます。その他にもラム樽、テキーラ樽、グラッパ樽、ビール樽などの実験的な試みも数多く行っております。さらに、蒸溜所内には自前のクーパレッジ(樽製作所)を設けており、樽の製作からメンテナンスまで自社で行っています。

Key(筆者)
Key(筆者)

クラフト蒸留所ならではの効率性を高めたコンパクトな設計の秩父蒸留所。手入れが大変なミズナラの発酵槽を備えているのは貴重ですね!

Caoli(助手)
Caoli(助手)

また、クーパレッジ(樽の製造・修理)を備えているというのも並々ならぬ肥土氏のこだわりを感じます!

Key(筆者)
Key(筆者)

ベンチャーウイスキーでは、主となる秩父蒸留所の他に生産体制強化と原酒の造り分けを目的とした秩父第二蒸留所を所有しています。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

さらに、現在建設中のグレーンウイスキーの製造を目的とした「北海道苫小牧蒸留所」と合わせて3箇所のウイスキー蒸留所を展開していく予定です。

秩父第一蒸溜所は2008年に操業を開始し、秩父の豊かな自然環境の中で高品質なウイスキーを生産しています。発酵槽には日本を代表する木材であるミズナラを使用し、ポットスチルはスコットランドのフォーサイス社製を導入しています。熟成にはバーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、ポート樽、マディラ樽、ミズナラ樽など、様々な種類の樽を使い分けることで、複雑で深い味わいを追求しています。

秩父蒸溜所のこだわりは、使用する大麦麦芽の選定にまで及びます。大部分はイングランド、ノーフォークのクリスプモルティングから輸入されるものですが、地元埼玉県産の大麦も使用し、少量ながら伝統的なフロアモルティングも行っています。将来的には、地元産の大麦とピートを使用し、「100%埼玉産」のウイスキーを製造することを目指しています。

秩父第一蒸溜所では、糖化にはステンレス製のマッシュタンを使用し、酵母を投入して発酵を行います。発酵槽には手間とコストのかかるミズナラを採用し、発酵期間は約4日間。この工程により、豊かな風味と複雑な香りを持つウォッシュ(発酵液)が生成されます。蒸溜はフォーサイス社製のポットスチルで行われ、蒸溜された原酒は多様な樽で熟成されます。

また、秩父蒸溜所の特徴の一つとして、自前のクーパレッジ(樽製作所)が挙げられます。ここでは、樽の製作からメンテナンスまで自社で行い、熟成に使用する樽の品質を徹底的に管理しています。こうした細部へのこだわりが、イチローズモルトの独特な風味を生み出しています。

2018年に設立された秩父第二蒸溜所は、第一蒸溜所から約400mの場所に位置し、第一蒸溜所の約5倍の生産能力を誇ります。発酵槽にはフレンチオークを使用し、ポットスチルはガス直火焚きを採用するなど、第一蒸溜所とは異なる特徴を持っています。発酵槽は現在5基が稼働中で、マッシュタンはセミロイタータンを使用しています。

第二蒸溜所の設立により、イチローズモルトの供給が安定し、今後さらに多くのウイスキーが市場に流通することが期待されています。また、少量生産のメリットを活かし、絶えず新しいことにチャレンジしている第一蒸溜所との相乗効果も期待されています。

出典:北海道新聞

2025年に操業開始を予定している北海道苫小牧蒸溜所は、ベンチャーウイスキーの新たな挑戦です。この蒸溜所ではグレーンウイスキーの生産を予定しており、地元産のトウモロコシなどを原料としています。広大な敷地に最新の設備を備え、年間生産能力は2400キロリットルに達します。将来的には苫小牧産のシングルグレーンウイスキーや、秩父のモルトウイスキーとバッティングさせたブレンデッドウイスキーの製造も視野に入れています。

苫小牧蒸溜所は、トウモロコシを主原料とすることで、日本国内産の原料を積極的に取り入れ、純国産のシングルグレーンウイスキーの製造を目指しています。最新の設備を導入し、高品質なウイスキーの生産が見込まれています。

Key(筆者)
Key(筆者)

規模は違いますが、日本のウイスキーを牽引してきた「サントリー」と「ニッカ」に続く、新たな歴史創りの一部を見ているようです。

Caoli(助手)
Caoli(助手)

苫小牧蒸留所が稼働すれば自社のラインナップの全てを国産原酒で賄うことが出来るようになります。

イチローズモルトミズナラウッドリザーブは、ベンチャーウイスキーが製造するジャパニーズウイスキーの中でも特に評価の高いボトルの一つです。このウイスキーは、羽生蒸溜所の原酒を使用し、複数のモルトウイスキーをヴァッティング(混合)してからミズナラ樽で再熟成させたものです。以下にその特徴と製法について詳しく解説します。

  1. 風味と香り
    • 味わい: イチローズモルトミズナラウッドリザーブは、濃厚なカラメルとカカオの風味が主な特徴です。さらに、干し葡萄やドライフルーツの甘みが加わり、複雑で奥行きのある味わいを楽しむことができます。
    • 香り: サンダルウッド(白檀)の香りが際立ち、鼻腔をくすぐります。この香りはミズナラ樽で熟成させたことによるもので、独特なウッディな香りが魅力です。
    • 余韻: 長い余韻が特徴で、ウッディな香りとピートの香りがバランスよく残ります。飲みごたえのある一品として、ウイスキー愛好家に高く評価されています。
  2. 外観
    • カラー: このウイスキーの色は濃いめのブラウンがかったゴールド。長期熟成による深い色合いが視覚的にも楽しめます。
  1. 原料の選定
    • モルトウイスキー: 主に羽生蒸溜所で生産された原酒をキーモルトとして使用しています。その他にも複数のモルトウイスキーがヴァッティングされています。
    • 地元産素材: 可能な限り地元の埼玉県産の大麦を使用し、フロアモルティングを行っています。
  2. ヴァッティング
    • 複数の原酒のブレンド: さまざまな個性を持つモルトウイスキーをヴァッティングし、バランスの取れた複雑な風味を実現しています。この段階でピート感の強いモルトウイスキーも加えられ、全体の味わいに奥行きを与えています。
  3. 再熟成
    • ミズナラ樽の使用: 最も特徴的な工程はミズナラ樽での再熟成です。ミズナラ(ジャパニーズオーク)は、日本固有のオーク材で、その独特な香りと風味がウイスキーに個性的なアクセントを加えます。再熟成により、サンダルウッドのようなウッディな香りと濃厚な風味が引き出されます。
  4. 発酵と蒸溜
    • 発酵: 秩父蒸溜所の発酵槽には、ミズナラ材が使用されています。この発酵槽は、約4日間の発酵期間を持ち、独特な風味を持つウォッシュを生成します。
    • 蒸溜: フォーサイス社製のポットスチルを使用し、2回蒸溜を行います。この過程でウォッシュからアルコール分が抽出され、フレーバーが凝縮されます。
  5. 熟成
    • 多様な樽の使用: 初期熟成にはバーボン樽やシェリー樽が使用され、その後ミズナラ樽で再熟成されます。この多段階の熟成プロセスにより、複雑で豊かな風味が形成されます。
Key(筆者)
Key(筆者)

日本固有の樽材「ミズナラ」によってフィニッシュを行ったMWR(ミズナラウッドリザーブ)は、オリエンタルな香りとまろやかな味わいが特徴です。

Caoli(助手)
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この美しい金色の葉のラベルは、ウイスキー好きの方なら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

sister-ley
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それでは、このMWRをストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!

Caoli(助手)
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今回は同じミズナラ樽原酒で有名なサントリー山崎12年と飲み比べもしてみましたのでそちらも是非、御覧ください!

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テイスティング(実際に飲んでみた)

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWRのフレーバー

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWRの味わい

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWRをストレートで飲んでみる

香り

  • アプリコット、カカオ、キャラメル、バニラ、チョコ、お香、ピート

味わい

  • スパイシーでオリエンタルな香味

感想

まずは、ストレートから飲んでみます。

香りは、熟した果実の甘酸っぱいアプリコットやほろ苦いカカオが感じられ、バニラやチョコの甘い香りも漂います。また、ミズナラ樽特有のお香を思わせるオリエンタルな香りに加え、シナモンやほのかなピートのニュアンスも感じられます。さらに、時間が経つとビターな香りが顔を出し、シトラスのような爽やかさが現れます。

口に含むと、アプリコットのフルーティーで甘酸っぱい味わいとウッディな樽の渋みが広がり、スパイシーさが膨らんできます。そして、バニラの甘さを感じると同時にビターな風味が現れ、余韻にかけてスパイシーさとビターさが混じり合いながらゆっくりと消えていきます。

個人的に、イチローズモルトには特有のシュガーのような甘さがあると思っていますが、このMWRも味わいとしては甘めです。しかし、スパイシーな風味によってしつこさがなく、熟成感のある味わいを楽しむことができます。また、サントリー山崎12年に似た印象を持ちました。

Key(筆者)
Key(筆者)

最近流行りのミズナラフィニッシュをいち早く行っていたボトルだけに、ミズナラ樽の特性がとても良く出ている味わいに仕上がっています。

せっかくなので、山崎12年とミズナラウッドリザーブ(MWR)を比較してみました。

どちらのウイスキーも、熟成感のあるウッディな香りとバニラやキャラメルの香りが特徴的で、ミズナラ樽ならではのお香を思わせるオリエンタルな香りが良く現れています。しかし、山崎12年の方がより熟成感が強く、フレーバーの厚みや円熟さなど、12年熟成ならではの香りが感じられます。その一方で、MWRには単体では気づきにくいイチローズモルト特有の砂糖菓子のような甘さが感じられます。

味わいについては、どちらもミズナラ樽特有のオリエンタルな香りと熟した果実のエレガントな味わいが広がりますが、山崎12年の方が舌触りが滑らかで、円熟感が豊かに感じられ、何のトゲもありません。対して、MWRはスパイシーさが際立っており、モルトの旨味も感じられますが、ライトで軽やかな印象が強く、ストレート以外でも気軽に楽しめる汎用性の高さを感じました。

同じミズナラ樽に由来するウイスキーですが、味の方向性は似ているものの、そのベクトルの差は明確です。熟成感の面では山崎12年が優れていますが、その強い個性がしつこく感じられることもあり、やや飲み疲れすることがあります。一方、MWRはバーボン樽の特徴も感じられ、軽やかで飲み疲れしない感覚があります。

どちらも和の雰囲気を醸し出す素晴らしい味わいですが、さまざまな飲み方で楽しみたい方にはMWRが向いていると思います。山崎12年も多様な飲み方に対応できるように作られていると思いますが、その強い主張や、価格と入手の難しさが最大のネックかもしれません。

Key(筆者)
Key(筆者)

比べると違いを大きく感じますが、どちらかをブラインドで出されたら違和感なく飲んでしまいそうです。そのくらい似ている部分が非常に多く感じました。

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWRをロックで飲んでみる

香り

  • ダークチョコ、焦げ感、アプリコット、バニラ、キャラメル、お香、ピート

味わい

  • ビターな傾向、オリエンタルなスパイシーさ

感想

次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。

香りは、一気に焦げたようなニュアンスとほろ苦いダークチョコの印象が強くなりました。アプリコットやバニラ、キャラメルなどの香りは控えめになり、オリエンタルなお香の香りにピートのアクセントが漂っています。さらに、加水が進むとオリエンタルさが徐々に増していく傾向があります。

口に含むと、スパイシーな香味とともにビターな味わいが広がります。樽のウッディさとキャラメルの甘さが膨らみ、ピートのアクセントを感じさせます。余韻にかけて、ビターとピーティーな風味が混じり合いながらゆっくりと消えていきます。

ストレートよりもビター感が増しましたが、不快な感じはありません。人によってはシトラスっぽいビターが強すぎると飲みにくく感じることもありますが、適度な甘さとオリエンタルな香りが全体の味わいをバランスよくまとめ、熟成感のある仕上がりになっています。

Key(筆者)
Key(筆者)

”焦げ感”の香ばしくも力強い印象を受けたロックの味わい。ビターも程よくモルトの旨味を感じれる素晴らしい味わいです。

イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWRをハイボールで飲んでみる

香り

  • 焦げ感、ハチミツ、アプリコットジャム、シナモン、バニラ、キャラメル

味わい

  • フルーティー、香ばしくスパイシー

感想

最後はハイボールで飲んでみます。

香りは、焦げたニュアンスにハチミツの甘さがあり、アプリコットの香りには少し粘り気のあるジャムのような印象が加わっています。また、オリエンタルな香りが感じられる一方で、シナモンのスパイシーなニュアンスに変わり、バニラやキャラメルの香りが全体を包むようなエレガントな雰囲気があります。

口に含むと、アプリコットの甘酸っぱいフルーティーな香りと樽の香りが広がり、バニラやキャラメルの甘さが感じられます。その後、ビターとスパイシーさが現れ、ややビター感が強まる中でほろ苦いビターチョコのような風味がサッと消えていきます。

炭酸との相性が良いバーボン樽原酒の特性と、ミズナラ樽によるエレガントでオリエンタルな風味が合わさり、日本らしさを感じる贅沢な味わいのハイボールです。

Key(筆者)
Key(筆者)

甘酸っぱいフルーティーさと香ばしくほろ苦いフレーバーがとても調和しています。爽やかさがウリのハイボールにエレガントな雰囲気をまとっています!

まとめ

ベンチャーウイスキーの人気銘柄「ミズナラウッドリザーブ」の解説とレビューでした。

イチローズモルトを知るきっかけとなったリーフシリーズ。その中でも非常に人気があり、定価で購入するのが難しい銘柄ですが、その理由も納得の味わいでした。ノンエイジながらも年数を感じさせない円熟したフレーバーと、モルトの香ばしさや優しい甘さなど、価格以上の価値がある素晴らしいウイスキーだと思います。

ただ、個人的には少し甘すぎる印象もありましたが、これはアイラウイスキー好きの戯言と受け止めていただければ幸いです(笑)。ウイスキーを飲み始めたばかりの方や、飲みやすいウイスキーを探している方にはぴったりの味わいですし、樽による熟成感を知るためにも優れた選択だと思いました。

余談ですが、キーモルトに使用されている羽生蒸留所の原酒は、使い切ってしまうと別のキーモルトに置き換わる可能性があります。現在のMWRの味わいも少しずつ変化していくかもしれませんので、今の味わいを知った上で今後の動向に注目するのも面白いかもしれません。

肥土伊知郎氏の情熱が詰まったシングルモルト「イチローズモルトミズナラウッドリザーブ」、見かけた際にはぜひチェックしてみてください!

最後までお読み頂きありがとうございました。

イチローズモルトには、様々なラインナップがあります。代表的なものとして、「イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル」は、9つの蒸溜所のモルト原酒と2つの蒸溜所のグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーです。また、「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」は、秩父蒸溜所と羽生蒸溜所の原酒をヴァッティングした特別なボトルです。その他にも「イチローズモルト 秩父ザ・ファースト」など、多彩なラインナップが揃っています。

イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベルは、比較的手に入りやすいレギュラーボトルの一つです。グレーン原酒とブレンドすることで香味を発揮する原酒を選び、それをキーモルトとして作り上げたブレンデッドウイスキーです。色は明るいゴールドで、レモンやオレンジのピール、フルーティーさの後にモルトのコク、オークなどの余韻が続きます。ハイボールにすると柑橘の香りが溢れ、高尚なソーダカクテルとして楽しめます。

イチローズモルト ダブルディスティラリーズは、秩父蒸溜所原酒と羽生蒸溜所の原酒をヴァッティングしたボトルです。色は黄色味がかったゴールドで、糖蜜、ハチミツの甘み、白檀のような香木のアロマが特徴です。ジンジャーや黒コショウのスパイシーな一面も感じられ、飲みごたえのある一品です。

イチローズモルト ワインウッドリザーブは、秩父蒸溜所で作られた原酒をワイン樽で熟成させたシングルモルトです。オレンジやレモンピールの爽やかさ、ビター、カカオのコクが楽しめる一本で、華やかで爽快さが前に出たボトルです。ハイボールにしても美味しく召し上がれます。

秩父蒸溜所が稼働した2008年に樽詰されたバーボン樽熟成のモルト原酒から31樽を選びヴァッティングしたボトルです。レモンやオレンジのフルーティーさ、ミルクキャラメルやトフィーの柔らかな甘みが特徴です。3年とは思えないほどのウッディさや骨太さを感じさせる逸品です。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!

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