このウイスキーの特徴を簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回のレビューは、三郎丸蒸溜所のヘビリーピーテッドブレンデッドモルト「FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH」です。
三郎丸蒸留所とは
「三郎丸蒸留所」は富山県砺波市三郎丸にある老舗の造り酒屋「若鶴酒造株式会社」が運営するウイスキー蒸留所です。
「若鶴酒造」のウイスキー造りの歴史は意外に古く、1952年から行われていました。
ウイスキー事業への進出した矢先に火災により全焼してしまう災難がありましたが、地域住民などの協力によって半年で再建され、現在まで途切れることなくウイスキー造りをしています。
以前より販売している銘柄に「サンシャインウイスキー」という地ウイスキーがあります。古くからウイスキーを造り続けてきた為、近年では設備の老朽化という問題がありました。
そこで、2016年に次世代へのウイスキー造りを継承していきたいという想いから「三郎丸蒸留所改修プロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングによって資金調達を行い、2017年より設備を一新した「三郎丸蒸留所」が稼働しました。
新しくなった「三郎丸蒸溜所」の中でも、一際目を引いたのが世界初となる”鋳造製ポットスチル”の「ZEMON(ゼモン)」です。
「ZEMON(ゼモン)」はお寺などで見かける梵鐘の製造を手掛ける「老子(おいご)製作所」の協力によって誕生し、本場スコットランドにおいても注目されました。
「鋳造製ポットスチル」最大の特徴は合金によって成型できる事と、通常ポットスチルより肉厚で保温性と耐久性に優れている点にあります。
通常の銅製ポットスチルの特徴である硫黄臭や雑味を取り除く効果に加え、錫を加えることで生まれる表面の凸凹によって蒸気との接点が増え、酒の味をまろやかにする特性があります。
三郎丸蒸留所 FAR EAST OF PEAT 5TH BATCHとは
「FAR EAST OF PEAT 5TH BATCH」は三郎丸蒸留所が限定でリリースしているピーティーな味わいのブレンデッドモルトです。
今回で第5弾となるこのシリーズは、過去に「江井ヶ嶋酒造」とのコラボボトルなどをリリースするなど、新しい試みがされている注目のシリーズ!!
「5TH BATCH」は、三郎丸蒸溜所の鋳造製ポットスチル「ZEMON」にて2019年に蒸留された三郎丸ヘビリーピーテッドモルトとスコッチモルトをブレンドしたブレンデッドモルト(ピュアモルト)になります。
三郎丸蒸溜所のピーティーなモルト原酒と、本場スコッチのモルト原酒の組み合わせによってどんな味わいが生まれるのでしょうか!?
では、今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類でレビューしてみたいと思いますので、どうぞ最後まで御覧ください!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ピート、麦、タール、煙、炭、グレープフルーツ、シトラス、キャラメル
味わい
- スモーキーな穀物の甘み、シトラス香る余韻
感想
ストレートから飲んでみます。
香りは、ピートのツンっとした香りにスモーキーな煙たさを感じます。穀物の香ばしい香りも感じ取れ、慣れてくるとグレープフルーツやシトラスのフレッシュな香り、そして僅かにキャラメルも奥の方にいます。
口に含むと、ややアルコール感はありますがフレッシュでピートスモークの香りが口の中に広がり、麦の香ばしい甘みが膨らみます。途中からグレープフルーツを感じると共にビターが追いかけてきて、余韻は柑橘感とスパイシーがゆっくりと消えていきます。
そして今回は、さらに加水して飲んでみます。
10ccのウイスキーに1滴ほど加水すると、キャラメルや白桃の甘くジューシーな香りが現れ、柑橘がよりシャープな印象に変わりました。また、飲んでみると焦がしたような香ばしさもり、余韻はスパイシーですが、白桃っぽい果実の香りもかすかに残ります。
アルコール度数は50度、やはり加水をすることで溶け込んでいた香りや味わいが引き立ってきます。個人的にはそのままよりも加水してジューシーさが増した味わいの方が好みでした。
2019年蒸留所のピーテッドモルトが使われていますが、ブレンドされているスコッチモルトの影響でしょうか!?とてもバランスが良く、エグ味もありません。そのままストレートも美味しいですが、個人的には加水したときの白桃や香ばしい焦げ感がある方が好きです。
ロックで飲んでみる
香り
- ゴム、タール、ピート、麦、キャラメル、バニラ、シトラス
味わい
- 心地よいスモークとシェリー感、ビター
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。
香りは、ゴムっぽい感じに硫黄やタールと土っぽさのあるピートのスモーキーフレーバーがあります。そして、麦の香ばしい穀物感にキャラメルやバニラがいて、薄っすらシトラスを感じます。(ゴムっぽい感じがするということは、もしかしたらシェリー樽原酒も使われているのかもしれません。)
口に含むと、土っぽく乾いた感じのスモーキーな香りが広がって奥まった所にキャラメルの甘さを感じます。その後、スパイシーとライムのビターが追いかけてきて、キャラメルの甘さや柑橘を感じるスモーキーな余韻がゆっくり消えていきます。
ストレートの時よりも表情が豊かで、味わいや香りの変化に富んでいます。そのままでもバランスが良いとはいえ、50度もありますから氷を入れて香りや味の変化をゆっくりと楽しみながら飲む方が向いているかもしれません。
カリラなどの柑橘香るアイラモルトが好きな人なら絶対に気に入る味わいです。ほんのりシェリー樽のニュアンスがあり、シトラスとバーボン樽の甘み、少しだけ顔を覗かせる白桃などスモーキーな味わいながら華やかでフルーティーさも感じられます!!
ハイボールで飲んでみる
香り
- バニラ、キャラメル、ピート
味わい
- 香りは甘く、味わいはビター
感想
最後はハイボールで飲んでみます。
若い原酒やバーボン樽原酒はハイボールとの相性が良い傾向にありますので、期待値が高まります。
香りは、バニラやキャラメルの甘くウッディな香りがメインです。そして、ピーティーで煙たさもあります。
口に含むと、麦の香ばしい穀物感とキャラメルの甘さに煙たさが交わって、追いかけるようにシトラスや柑橘系のビターが膨らみます。キャラメルの甘さが消えかかった頃に、追いかけてきたビターとスモーキーだけになり、余韻はそこまで長くなくスッキリとした後味です。
三郎丸の若い原酒はピーティーな風味を演出し、味わいの母体はスコッチモルトだろうと推測しますが、ロックといい、ハイボールといい、加水するたびに十分楽しませてくれるウイスキーです!!
香りは甘く煙たい、味わいは香ばしくビター!!矛盾するかのように思えるかもしれませんがウイスキーではよくあることで、ハイボールがメインでニッカの余市、カリラなどの軽めのアイラを好きな人なら間違いなく気に入ってもらえる味わいです♪
まとめ
なんとも目を引くラベルデザインの「FAR EAST OF PEAT」、その味わいはラベルにも負けない個性的なモルトウイスキーでした!!
ストレートでは、カリラのようなシトラス香るライトで土っぽいピーティーさがあり、加水していくほどにバニラやキャラメル、白桃、シェリー感など様々な表情に変化し楽しませてくれます。
もちろん、それはスコッチモルトの影響が多いのかもしれませんが、いつの日か三郎丸蒸留所のモルト原酒だけで造った「FAR EAST OF PEAT THE SABUROUMARU」みたいなボトルがリリースされるかもしれません。
そのようなボトルのリリースに期待しながら、残りをゆっくりと楽しみたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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