【飲み比べ】響12年VS響ジャパニーズハーモニー

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響12年(概要)

そもそも「響」とは・・・1989年に誕生したサントリーの最高峰ブレンデッドウイスキー。世界的にも著名な賞を受賞しているウイスキーで、響12年は2009年5月欧州にて先行販売した後に、2009年9月に日本で発売になった当時のラインアップとしてはエントリークラスの響。(他は響30年、響21年、響17年)。響12年は、当時のチーフブレンダー輿水精一氏の60歳の定年を前に世界に通用する12年物を作りたいという想いから開発されたそうです。構成原酒はサントリーが所有する12年以上(30年以上の物も含まれる)のモルト原酒とグレーンをブレンド、また世界的にも珍しい梅酒樽熟成モルト原酒をブレンドし世界に類を見ない唯一無二のブレンデッドウイスキーに仕上げられている。

(2015.9月をもって終売)

響12年の影響を受けてウイスキー沼へ落ちたファンも非常に多く、筆者もその一人です。当時はスーパーなどでもよく見かけ、特売になっている時もありました。

構成原酒の一つ【梅酒樽熟成モルト原酒】はバー向けに限定でリリースされ味わいはまさに梅酒のように甘酸っぱさが際立った味わいで今となっては貴重品・・・。

かつて所有していた物、今は天に召されました(^0^;)

響ジャパニーズハーモニー(概要)

響ジャパニーズハーモニーは先の響12年の下位モデル(響のノンエイジ)として2015年3月にデビューしました。響シリーズの最下位(エントリー)としてのデビューでしたが実質的に12年の終売によって、後継としての扱いが一般的のようです。

「響ジャパニーズハーモニー」のコンセプトは、“日本の四季、日本人の繊細な感性、日本の匠の技を結集したウイスキー”。熟成年数(エイジド)へのこだわりは捨て、サントリーが誇る3つの蒸留所からさまざまな原酒と丁寧な製法によって作られました。ボトルデザインは24節気を表現した24面カット、越前和紙で作られたラベルに「響」の文字が堂々たる風格を放っています。

年数表記がなくなった事で扱う原酒の幅が広がり味わいの可能性は無限大に。しかし、往年のファンからは落胆する声も多く、今のプレミアムな値段からは想像出来ないような波瀾なデビューだったのを懐かしく思います。(当時は4,800円にてスーパーで購入)

世界的なジャパニーズウイスキーブームと数々のコンクールでの受賞。またドラマ「マッサン」によって国内需要も加速し、ノンエイジ製品であってもネームバリューから品薄状態が続き、遂には原酒不足も重なって現在に至ります。

需要が増えても熟成という行程を行わないと完成しないのがウイスキー。

サントリーも現在は原酒の増産体制に入っており、普通に店頭の並ぶ日が来ることを願って気長に待ちましょう。

そんなサントリー響の12年と後継のJHの飲み比べをレビューをします。

響12年をストレートで飲んでみた

フレーバーチャート
味わいチャート
香り
  • プラム、ハチミツ、バニラ、お香、紅茶
味わい
  • 非常にまろやか、甘酸っぱさ、余韻に程よいタンニン感
感想

香りは梅酒樽後熟の要因が大きく、梅の甘酸っぱい香りとウッディな香りがグッと迫ってくる感があります。口に含むと、非常にまろやかなで和を思わせる甘酸っぱさの中にバニラなどのウッディな味わいが溶け込み、終盤になって白州NAにある様なビターがじわりと顔を出して消えていきます。言い換えると、序盤は山崎モルトの主張が強く後半になって白州モルトが顔を出してくるイメージです。そして、終始グレーンの軽やかな甘さが主張の強い2つのモルトの個性を上手くつなぎ止めている感じです。

現在のサントリーをはじめジャパニーズウイスキーの同価格帯には無い、熟成感を堪能できるあたりは12年物と枠組みとはいえ流石の一言です。この様なウイスキーがスーパーなどでも買え、値引きまでしていた時代背景は非常に懐かしく思う反面、メーカー側の苦労も忘れてはならないと改めて思わせる味わいでした。

響12年の単独でのストレート、ロック、ハイボールのレビューも近日アップ予定

響JHを飲んでみた

フレーバーチャート
味わいチャート

香り
  • ゴム、プラム、杏、バニラ、アルコール
味わい
感想

それでは次に響JHを飲んでみます。まず、香りで一番印象的なのはシェリー樽熟成のモルトの様なゴムっぽい香り。そしてアルコールの刺激が伴い、バニラ、微かに梅や杏の様な香りを感じ取れます。口に含むとアルコールのピリつきと共に渋みが表れ、グレーン由来でしょうかバニラっぽさも感じ取れます。終盤にかけては12年同様にビターな味わいが余韻となって残ります。2口目は少し口の中で留めながら味わうと、12年同様に梅酒っぽい味わいも感じ取れる様になってきました。ですが、主張は穏やかでグレーンの甘さでマスクされてしまっている印象です。この辺はノンエイジ故の若さがあり奥深さという点では12年に軍配が上がってしまうのは仕方ないかもしれません。ですが、ブレンデッドウイスキーとしてのまとまりは非常に優れた物に感じます。

まとめ

総評して感じるのは、味の方向性はどちらも同じで、序盤に山崎蒸留所の熟成感のあるモルト原酒で始まり、後半にかけて白州蒸留所のビターで清涼感のある引き締まったモルト原酒がアフターをキリッとした飲み応えのあるウイスキーに仕上げていることです。また、両者をつなぐ役割として知多蒸留所のグレーン原酒がお互いの個性を上手にコントロールして、違和感のない様に仕上げられている点はブレンダーの巧みな技だと思います。スコッチなどのブレンデッドにある数十種類にも及ぶ原酒構成ですと情報量が多すぎてしまうパターンもあるのですが、サントリーが所有する3つの蒸留所の個性をちゃんと感じられ、尚且つ分かりやすく順を追って感じられる点は、他にはない素晴らしいブレンデッドウイスキーであると思います。

どちらも総じて美味しい♪JHには若さを感じる部分もあるけど、口に含んでからの味の移り変わりを是非とも味わって下さい。12年はそこに熟成感や芳醇さが加わった様な感じです。ウイスキーとしての方向性は一緒!!

昨今のジャパニーズウイスキーの牽引役でもあるサントリーの【響】、【山崎】、【白州】。店頭に並ぶ機会も稀で原酒不足が原因とはいいながらも、需要が常にあり続け、世界中の人々が求めてしまうのもこうして飲んでみると納得せざる追えないと感じました。まだまだ、この先も需要に対して供給が追いつく日は遠いと予想されますが、まだ飲んだ事の無い方は機会があれば試してみる価値は十分にあります。高額なスコッチであっても、この様なニュアンスはサントリーだけが出来る芸当だと思いました。

テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。

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