

こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!
今回は、「マルスウイスキー 越百(こすも)」の解説&レビューを行っていきます!
「越百(こすも)」は、日本のクラフトウイスキーの中でも独自のブレンディング技術が光る一本です。
本坊酒造が手がけるマルスウイスキーの一つであり、長野県のマルス信州蒸溜所で生産されています。
「越百」は、複数のモルト原酒を使用しながら、フルーティーでスパイシーな味わいを実現していることが特徴です。
バーボン樽やシェリー樽、アメリカンオーク樽などさまざまな樽で熟成された原酒を巧みにブレンドし、複雑で奥行きのある味わいに仕上げています。
今回の記事では、「越百」の製造背景、蒸溜所の特徴、ブレンディング技術、香味の分析、最適な飲み方について詳しく解説します。
マルスウイスキー 越百はこんなウイスキー
カテゴリー | ブレンデッドモルトウイスキー |
産地 | 日本・長野県 |
蒸留所 | マルス信州蒸溜所 |
アルコール分 | 43% |
内容量 | 700ml |
価格帯 | 4,000〜5,000円 |
飲みやすさ | ★★★★☆☆☆ |
味わいの特徴 | ハチミツやキャラメルを連想させる甘い香りとほのかなスモーキーフレーバー |
おすすめの飲み方 | ロック、ハイボールで |
「越百」とは?ネーミングの由来とブレンド哲学

「越百(こすも)」は、長野県にある中央アルプス・越百山(こすもやま)の名を冠したウイスキーです。この山の名前は「百を越える」という意味を持ち、卓越した品質と革新性を象徴しています。
また、「越百(コスモ)」という響きは宇宙を連想させ、中央アルプス山麓にあるマルス信州蒸溜所から見上げる夜空をイメージしたラベルデザインとなっています。
モルトのみのブレンド – 「越百」の特徴

一般的なブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られます。しかし、「越百」はモルトウイスキーのみを使用した「ブレンデッドモルトウイスキー」に分類されます。
これは日本では「ピュアモルト」とも呼ばれ、スコットランドの「ジョニーウォーカー グリーンラベル」や「ニッカ 竹鶴」などと同じスタイルです。マルスウイスキーの「越百」も、異なるモルト原酒を組み合わせることで、バランスの取れた複雑な風味を生み出しています。
国内外のモルトをブレンド
「越百」の特徴は、単一の蒸溜所のウイスキーではなく、国内外のモルト原酒をバランスよくブレンドしている点です。これにより、国内のモルトだけでは得られない深みと多層的な香味を実現しています。また、各原酒の熟成樽の違いによる複雑な風味も、このブレンドの妙を際立たせています。
マルス信州蒸溜所 – 日本アルプスが育むウイスキー

日本アルプスの雄大な自然に抱かれたマルス信州蒸溜所は、清らかな水と冷涼な気候を活かし、個性的なウイスキーを生み出しています。本坊酒造が手掛けるこの蒸溜所は、長い歴史の中で幾度も変遷を遂げながら、日本のウイスキー文化を支えてきました。その背景には、ウイスキー造りに情熱を注いだ先人たちの知恵と挑戦が刻まれています。
ここでは、マルス信州蒸溜所の歴史やこだわり、そしてこの地ならではのウイスキーの魅力について詳しく見ていきましょう。
蒸溜所の歴史

出典:本坊酒造
マルス信州蒸溜所は、本坊酒造によって1985年に長野県上伊那郡宮田村に開設されました。標高約800mの冷涼な地に位置し、日本アルプスの澄んだ空気と豊かな自然の恩恵を受けながらウイスキー造りが行われています。しかし、1990年代初頭のウイスキー市場の縮小により、蒸溜所は1992年に一時閉鎖を余儀なくされました。それから約20年後の2011年、世界的なウイスキーブームの再来とともに再稼働し、新たな歴史を刻み始めます。
本坊酒造はもともと鹿児島県で焼酎造りを行っていた老舗酒造メーカーですが、ウイスキー事業への本格参入は1949年に遡ります。その背景には、日本のウイスキー黎明期に活躍した岩井喜一郎の存在がありました。
岩井喜一郎は、かつて竹鶴政孝とともにスコットランドのウイスキー製法を研究し、ウイスキー造りに必要な知識を日本に広めた重要な人物です。彼が設計した「岩井式蒸溜機」は、現在のマルスウイスキーの基盤となる製造技術に大きな影響を与えました。特に、蒸溜器の形状や蒸溜方法に関する彼の考え方は、マルスウイスキー独自の味わいを生み出す要因のひとつとなっています。
こうした岩井喜一郎の功績を受け継ぎながら、本坊酒造はスコットランドの伝統的な製法を取り入れつつ、日本の風土や気候を活かしたウイスキー造りを探求し続けています。その結果、マルスウイスキーは独自の個性を持つジャパニーズウイスキーとして、国内外のファンから高い評価を受けています。
- マルス信州蒸溜所の歴史: 1985年に本坊酒造が長野県に開設。1992年に一時閉鎖されるも、2011年に再稼働。
- 本坊酒造とウイスキー事業: もともと鹿児島県で焼酎を製造。1949年にウイスキー事業に本格参入。
- 岩井喜一郎の影響: 竹鶴政孝とともにウイスキー製法を研究。「岩井式蒸溜機」を設計し、マルスウイスキーの製造技術に貢献。
仕込み水の重要性

出典:本坊酒造
ウイスキーの風味を決定づける要素のひとつが「仕込み水」です。マルス信州蒸溜所では、中央アルプス山系を源流とする清冽な湧水を使用しています。この水は花崗岩層を長い時間をかけて通り抜けることで、不純物が取り除かれながらも、ミネラル分が適度に含まれた軟水となります。
軟水は発酵や蒸溜の過程において繊細な香味成分を引き出すのに適しており、マルス信州蒸溜所のウイスキーが持つやわらかく丸みのある味わいに寄与しています。水質の違いはウイスキーの個性を決定づける大きな要因であり、この地ならではの天然水が、マルスのウイスキーに独自のキャラクターを与えています。

ウイスキーの味わいのベースとなる良質な水は、中央アルプスの湧き水を使用!
高標高での熟成

出典:本坊酒造
標高800mという環境は、ウイスキーの熟成に理想的な条件を提供します。スコットランドのハイランド地方に匹敵する冷涼な気候のもと、ウイスキーはゆっくりと時間をかけて熟成し、その過程で香味成分がバランスよく整えられます。
特に寒冷地での熟成は、エステル(フルーティーな香り成分)の形成を促しやすく、マルス信州蒸溜所のウイスキーが持つ華やかで複雑なアロマの鍵となっています。たとえば、代表銘柄である「越百(こすも)」は、比較的短期間の熟成ながらも、果実のような芳醇な香りとバランスの取れた味わいが特徴です。
こうした環境条件のもとで生み出されるマルス信州蒸溜所のウイスキーは、日本の気候風土と伝統的なスコッチ製法が融合した、唯一無二のジャパニーズウイスキーとして高く評価されています。

本場スコットランドの冷涼な気候に匹敵する熟成環境。力強いハイランドモルトのようなアロマがここで生まれます!
「越百」の製造方法と特徴

熟成樽の種類と影響
「越百」は、以下の異なる樽で熟成された原酒をブレンドしています。
- バーボン樽:バニラやキャラメルの甘みを付与し、まろやかでリッチな口当たりを生む。
- シェリー樽:レーズンやドライフルーツの濃厚な風味を与え、深みのある甘みとスパイシーなニュアンスをもたらす。
- アメリカンオーク樽:ウッディなスパイス感とココナッツのニュアンスが特徴で、余韻にほのかな甘みを加える。
- ワイン樽(一部使用):赤ワイン由来のフルーティーさやタンニンのニュアンスを与え、複雑な香味を形成。
これらの異なるキャラクターの原酒を絶妙なバランスで組み合わせることで、「越百」ならではの奥行きのある味わいと長い余韻を実現しています。
マルスウイスキー 越百をテイスティング

マルスウイスキー 越百の香り
マルスウイスキー 越百の味わい
ストレートで飲んでみる

香り
- ハチミツ、キャラメル、バニラ、食パン、白ぶどう、スモーク
味わい
- 華やかで心地よい酸味、ビターな余韻
感想
まずはストレートで味わってみます。
グラスに注ぐと、華やかで甘い香りが立ち上ります。ハチミツやキャラメル、バニラといったバーボン樽由来の要素が強く感じられ、ほのかに酸味を帯びた印象です。さらに、生の食パンをちぎったときのような香ばしさや白ぶどうを思わせるフルーティーな香りも漂います。奥のほうには、木を燃やしたようなスモーキーさがほのかに潜んでいます。
口に含むと、ややオイリーで滑らかな舌触り。スッと広がる柔らかな酸味とスパイシーさに続いて、樽由来の木の渋みが感じられます。二口目になると、カラメルの焦がしたような甘みが現れ、次第にビターな印象が強まっていきます。余韻には酸味とビターな味わいが残り、ブラウンシュガーのような甘みと混ざり合いながら、ゆっくりと消えていきます。
海外原酒を使用したブレンデッドモルトながら、マルスウイスキーらしい骨太で華やかな味わいがしっかりと感じられます。サントリーやニッカとは一線を画す、マルスならではの個性を楽しめる一本。ストレートでも十分に美味しく、良質なモルトの豊かな風味が口いっぱいに広がります。

マルスらしいジューシーな酸味と焦がしたような香ばしい甘さがバランスよく感じられ、価格を考えるととても秀逸です!
ロックで飲んでみる

香り
- ブラウンシュガー、ハチミツ、トースト、ナッツ、スモーク
味わい
- 香ばしくモルティ、ビターな余韻
感想
次は、氷を入れてオン・ザ・ロックで味わってみます。
香りは、ブラウンシュガーのような香ばしく、ほのかに焦げ感のある甘さが際立ちます。そこに、ハチミツの華やかな香りが重なり、さらにトーストのような軽い酸味を伴う穀物感やナッツの香ばしさも感じられます。控えめながら、スモーキーなニュアンスもほんのりと漂います。
口に含むと、ストレートのときよりも香ばしさが前面に出てきて、酸味とのバランスが絶妙に調和しながら口の中に広がります。ロックの方がモルトの味わいがより際立ち、氷が溶けて加水が進むにつれてビターな印象が強まっていきますが、同時に木の渋みがそれを和らげ、全体としてまとまりのある味わいになっています。余韻には、ほのかにスモーキーな香りと香ばしいモルトが混じり合い、樽の香りとともにゆっくりと消えていきます。
ロックにすると、ストレートで際立っていた酸味が落ち着き、ビターさとバランスを取りながらウッディなモルトの風味が楽しめます。加水が進みすぎてもビターさが過度に強まることはなく、香ばしい香りとともに水割りのような感覚で楽しめるため、意外にもロックとの相性は非常に良いと感じました。

ロックで時間をかけても崩れないのはとても良いですね!慌てて飲む必要もなく、味や香りの変化をリラックスして楽しめます!
ハイボールで飲んでみる

香り
- ハチミツ、とーすと、ナッツ、ブラウンシュガー、スモーク
味わい
- 甘くモルティで香ばしい
感想
最後は、ハイボールで味わってみます。
グラスから立ち上る香りは、ハチミツの華やかさに加え、ブラウンシュガーの甘くほろ苦いニュアンスが漂います。さらに、ナッツや焼き立てのパンのような香ばしさが感じられ、遠くで焚き火をしているようなほのかなスモーク感が良いアクセントになっています。
口に含むと、ハチミツやブラウンシュガーの華やかで、わずかにビターな優しい甘さが広がります。そこに、焼きたてのトーストのような香ばしさと淡い酸味が加わり、炭酸の刺激とともにモルトの風味がしっかりと感じられます。余韻にかけてビターさが現れますが、最後にはハチミツの穏やかな甘みが残り、ゆっくりと消えていきます。
ロックとの相性の良さに期待していましたが、やはりハイボールでもしっかりとしたコクや樽由来のウッディな風味が感じられ、味わいが崩れることなく、まろやかでモルト本来の魅力を楽しめます。加水してもバランスが崩れずに美味しく飲めるのは、ブレンダーの技術の高さを物語っているのではないでしょうか!

ハイボールでもしっかりとモルトの風味が活きていて、料理と合わせる必要がないほど飲み応えが感じられました!
まとめ
「マルスウイスキー 越百」は、フルーティーさとスパイシーさが絶妙に調和した、バランスの取れた味わいが魅力のブレンデッドモルトウイスキーです。バーボン樽やシェリー樽で熟成された原酒を巧みにブレンドすることで、華やかな香りと奥深い味わいを生み出しています。
ストレートでモルトのコクをじっくり味わうもよし、ロックやハイボールで香ばしさや甘みの変化を楽しむもよし。どんな飲み方でも、マルスらしい個性がしっかりと感じられます。
マルスウイスキーの入門にも最適な一本!
✅「サントリーやニッカとは違う日本ウイスキーの味わいを体験したい」
✅「クセが少なく飲みやすいけれど、奥深さも楽しみたい」
そんな方にぴったりのウイスキーです。この機会に、“百を越える”味わいの深みを体験してみませんか?

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラスです!!
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