【レビュー】ニッカ ピュアモルトホワイト(終売品)を3種類の飲み方で味と香りを解説!

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このウイスキーを簡単にまとめると

ピュアモルト ホワイトとは
  • ウイスキー属性:ブレンデッドモルト
  • 産地・メーカー:日本(ニッカウヰスキー)
  • キーモルト:余市モルト(ヘビーピーテッドタイプ)
  • 飲みやすさ:★★☆☆☆☆
  • 味わい:スモーキー
  • おすすめの飲み方:ストレート
  • 総合評価:★★★★★☆
  • どんな人に向いている?:スモーキーなモルトを好む人、アードモア、ティーチャーズ愛飲者

ニッカ ピュアモルトとは

ニッカ ピュアモルトシリーズ

ニッカウヰスキーが販売する『ピュアモルト』は、その名の通り「モルト」だけで構成されているウイスキーで、1984年に初めて販売されました。出荷本数が少ないためか、あまい知られていない希少な銘柄となっています。同社の人気銘柄である『フロムザバレル』と同様に、コストパフォーマンスに優れたウイスキーとしてファンからは指示され続けています。

『ピュアモルト』が販売された背景には、当時のウイスキー市場が好景気の影響を受けており、見た目に派手なボトルやパッケージの商品が数多く存在していました。競争が激化する中、マスターブレンダーである『竹鶴威』氏は、創業者の『竹鶴政孝』氏の精神を受け継ぎ、モルト100%の美味しさをシンプルに味わってほしい」という思いから、あらゆる装飾を排除したウイスキー『ピュアモルト』を世に送り出しました。

翌年、1985年にはブレンダー室の味わいを消費者にも味わってほしいという想いから「フロム・ザ・バレル」を発売。「ピュアモルト」と並び、ウイスキー本来の味わいを楽しめるボトルとして今では貴重な存在となっています。

モルトの味を手軽に楽しめるコストパフォーマンスに優れたボトル!!

ニッカウヰスキーならではの本格的なモルトウイスキーです!!

現行ピュアモルトシリーズ(2種類)

ピュアモルトシリーズは現在、2種類のラインナップで構成されています。1つは「ピュアモルト ブラック」と呼ばれるクラフト紙のラベルに黒字で印字がされているボトルです。ブラックはモルトの力強い味わいが堪能できるウイスキーで、主に「余市蒸溜所」のモルト原酒をベースに造られています。

そして、もう1つは文字が赤色の「ピュアモルト レッド」があります。こちらは華やかな味わいの「宮城峡蒸留所」のモルト原酒を軸に構成されているようです。

どちらも、ニッカウヰスキーが所有する蒸留所のモルト原酒をベースにしており、スコットランドに所有する「ベンネヴィス蒸留所」のモルト原酒も使用している可能性があります。しかし、どちらも高品質なモルト原酒の味わいを楽しんでほしいというニッカの思想が詰まったウイスキーであることに違いありません。

どちらもニッカの蒸溜所の特徴を反映したボトルになっています!!

それだけ蒸溜所によって個性が違うということですね!!どちらも味わってみたいです!!

終売となったピュアモルト ホワイト

現在ではすでに終売となってしまいましたが、「ピュアモルト」シリーズには「ホワイト」という“白文字”のラインナップも存在しました。

「ピュアモルト ホワイト」は、スモーキーな風味を楽しめるボトルで、「余市蒸留所」のピーテッドモルトをベースにブレンドされていたと言われています。しかしながら、「ホワイト」が終売となった背景には、原酒不足の影響があったとされる一方で、発売当初から「レッド」や「ブラック」と比べて売上が振るわなかったという2つの要因も存在しました。

筆者をはじめ、アイラモルトを好むユーザーにとっては復活してほしい銘柄ではありますが、日本においてはピーティーな味わいは敬遠されがちですので、よほどのことがない限り再販はないかもしれません。

期間限定でもいいから再販してほしいボトルの一つです・・・。

余市蒸溜所について

日本ウイスキーの父である『竹鶴政孝』は、当時在籍していたサントリーの「山崎蒸溜所」を退所し、自身の求めるウイスキーの味わいを実現するために、”理想の地”を探していました。

ウイスキー造りにおいて大切な”冷涼な気候”や大麦の乾燥に用いる”ピート”の採取が可能で、自身がウイスキーの研修を行ったスコットランドの風土に類似している北海道余市町にニッカウヰスキーを設立します。

ウイスキーを販売出来るようになるまでは、最低でも3年ほど熟成の期間が必要になります。その間、竹鶴は余市の名産品である”リンゴ”をジュースにして販売し、会社の存続を確保したそうです。そして、これこそが、現在の社名でもある「ニッカウヰスキー」の前身「大日本果汁」であり、ニッカは「ニホンカジュウ」の略語から命名されました。

世界的に希少な「石炭直火蒸溜」

「余市蒸溜所」では、今でも蒸溜方法に石炭による直火蒸留を採用しています。

竹鶴自らがスコットランドで学んだ蒸留方法に習い、余市蒸溜所では「石炭」による直火蒸留を今でも行っています。

本来であれば、効率や安全面から考えても「スチーム式」や「ガス式」へ転換するべきところを「余市蒸溜所」ではあえて「直火」それも「石炭」にこだわります。

その理由として、石炭による圧倒的な火力により得られるモルトの力強さと香ばしさがあります。直火で蒸留すると、蒸留釜の底ではもろみに焦げが生じます。この焦げこそが、香ばしいモルトを生み出し、同時に力強くコシのある味わいが生まれるのです。

非効率であっても創業者「竹鶴政孝」の理想と情熱が今もなお受け継がれているわけです。

現在では貴重な「石炭直火蒸留」は竹鶴政孝の情熱への証なんですね!!

「ピュアモルト ホワイト」について

ピュアモルト ホワイト」は、余市モルトの中でもピートを多く使用して麦芽の乾燥を行った「ヘビーピーテッド」タイプのモルトを使用しています。販売は「レッド」と「ブラック」より遅れて1987年頃に登場。販売当初はアイラ島のモルト原酒を輸入してヴァッティングを行っていた時期もあるようです。(ボウモアやカリラ)

当時、日本ではピーティーな味わいを好むユーザーは少なく(今もそうかも・・)通好みなボトルであった為、販売数は他の「レッド」、「ブラック」に比べて不振でした。故にシリーズ中でもいち早く終売となってしまったようです。

また、ブレンドされる他の原酒についても公開されていませんが、おそらく「宮城峡蒸留所」や「ベンネヴィス蒸留所」の原酒の中から、相性の良い原酒をヴァッティングしていると思われます。

国産ウイスキーの中でもピートの効いたスモーキーな味わいのボトルはとても稀です!!

今となっては凄くマニアックな仕様ですね!!終売してしまっただけに味わいが気になります!

sister-ley
sister-ley

それでは、今回もストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方でレビューをしてみたいと思います!!

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テイスティング(実際に飲んでみた)

テイスティング ウイスキー ストレート ロック ハイボール グレンケアン
フレーバーチャート
味わいチャート

ストレートで飲んでみる

香り

  • レモングラス、カスタード(バナナ)、シリアル、おがくず、キャラメル、スモーク、ピート

味わい

  • スパイシー、ニッカらしい甘さとスモークのハーモニー

感想

まず、ストレートで飲んでみます。

香りは、レモングラスやシトラスの爽やかな香りに、スモーキーさが絶妙に調和しています。そして、カスタードやバナナのような甘い香りに、ウッディで香ばしいシリアル感、おがくずのニュアンスが続きます。

口に含むと、モルティで煙たい感覚が口いっぱいに広がります。甘さも感じられますが、すぐにスパイシーな要素が膨らんできて、ビターさや塩味を感じながらゆっくりと消えていきます。

日本人向けに販売されたスモーキーなウイスキーということで、正直、期待はしていませんでしたが、想像以上に煙たさと力強さがあり、独特の味わいを楽しむことができました。ニッカらしい甘さも感じられ、シトラスの爽やかな香りも楽しめますが、終始通じてスモーキーでピートのニュアンスもはっきりと感じられます。

この味なら売れないのも無理はないです。通好み過ぎます(笑)

想像以上にスモーキーでビックリしました!!同じホワイトでも特級表示の時代などでは原酒も違っていますので、個人的にはそちらも気になりますね!!

ロックで飲んでみる

香り

  • スモーク、レモンシロップ、カラメル、ピート

味わい

  • スパイシーでビター

感想

香りは、スモーキーな香りが際立ち、かき氷にかけるレモンシロップのような甘さが広がります。さらに、微かなほろ苦さがあり、ツンとしたピートのニュアンスが漂います。

口に含むと、スモーキーで香ばしい穀物の風味が広がり、すぐにビターさとスパイスが追随します。そして、スパイスの刺激は徐々に和らぎ、ビターさが増してスモーキーな香りとともにゆっくりと消えていきます。

氷を加えることで、ニッカらしい香ばしい甘さも感じられますが、スモーキーさは一定を保ちつつ、味わいはビターな傾向を示しました。ストレートのときよりも香りはやや控えめで、ビターさが際立つため、当時の日本のウイスキーの楽しみ方(ロックや水割り)を考えると、販売不振になるのも理解できるところです。

(当時流行っていたサントリーオールドと比べると圧倒的に飲みにくいと思います)

冷やすとビターが強まって、そこへ煙たさを感じるので初心者の方には飲みにくいと思います。個人的には、もう少し甘さやコクを感じれると良かったですね!!

ハイボールで飲んでみる

香り

  • スモーク、焦がした木片、ビスケット、シロップ、ピート

味わい

  • 香ばしくスモーキー

感想

最後にハイボールで試してみます。

香りは、乾いた印象のスモーク感とピートの微妙なニュアンスが際立ちます。さらに、焦がした木片やビスケットのシリアルな香ばしさが感じられ、余市の特徴も感じさせる一方で、シロップのような甘い香りも漂います。

口に含むと、穀物の香ばしい甘みとスモークが口いっぱいに広がり、シロップの甘さと香ばしさが交差します。そして、余韻の中でスモークが続き、樽からの香りとシリアルな風味がゆっくりと消えていきます。

スモーキーな要素が心地よく、モルトの甘みも感じられるため、非常に美味しいハイボールに仕上がっていると思います。ただ、絶版となってしまったボトルですので、ハイボールに使うのは少しもったいない気もします。

人気銘柄「竹鶴」をピーティーにしたようなハイボールの味わいです。煙たく、香ばしい味わいはニッカならではですね!!

まとめ

「ピュアモルト ホワイト」のレビューでした。

絶版となってから数年が経ちましたが、ウイスキーの人気がまだ芽吹いていない時代に、このような味わいのボトルを提供していたニッカの偉業に改めて感嘆せざるを得ません。サントリーも同様に困難な時期を切り抜けてきましたが、彼らは日本人の好みに合った商品展開で、食卓においても当たり前に愛されていた印象があります。一方で、ニッカはバーや飲食店での展開が主だったように思います。

そうした時代背景の中で、ここまでスモーキーなウイスキーを提供していた事実は、「やっぱりニッカは本格志向だな」と再認識せずにはいられません。アイラモルトや内陸系ピートを愛する熱狂的なモルトファンであっても、この味わいには納得できることでしょう。

現在では、高値でプレミアムな取引が行われていますが、元々はあまり注目されなかった商品でした。もしかすると、今も田舎の酒屋などでひっそりと佇んでいるかもしれません。

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。

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