このウイスキーを簡単に説明
スーパーニッカについて
スーパーニッカの誕生秘話
ニッカウイスキーが販売する「スーパーニッカ」は、創業者である竹鶴政孝氏が本場スコットランドの味わいを目指して1962年に生み出した高級ブレンデッドウイスキーです。
そんな「スーパーニッカ」の誕生には、最愛の妻・リタ夫人の存在が大きく影響しています。
生涯、竹鶴氏のウイスキー造りを支えてきたリタ婦人ですが、「スーパーニッカ」が生まれる前年に他界。深い悲しみに襲われた竹鶴氏は葬儀の準備は任せ、丸2日間も自室に閉じこもっていたといいます。
そんな竹鶴氏を立ち直らせたのは、最愛の妻であるリタ夫人と共に育んできた「本物」のウイスキー造りに対する情熱でした。竹鶴氏は悲しみをバネに、息子の威(たけし)氏と余市蒸溜所の研究室に入り、新商品の開発に没頭します。
竹鶴氏は、商品開発において余市にある原酒の中から最高のものを選び出し、長期熟成でコクのあるモルト原酒と華やかで力強さのある若いモルト原酒、その2つを繋ぐ柔らかな熟成グレーン原酒を厳選しました。そして選ばれた原酒を、威(たけし)氏と共にブレンドを何度も重ねていきます。
そうして出来上がったウイスキーは、ソフトでスムースな味わい、口に含んだ時に芳醇な
香りが広がる、渾身のブレンデッドウイスキーが誕生しました。この、竹鶴親子が全身全霊を打ち込んで造り上げた「ウイスキー」こそが、初号「スーパーニッカ」です。
唯一無二のボトルデザイン
「スーパーニッカ」といえば、女性的で柔らかく優美なボトルデザインも魅力です。これには、「ウイスキーが熟成するまでには何年もかかる。これは娘が大きくなれば嫁にやるのと一緒なのだから、立派な衣装を着せてやりたい」という、竹鶴氏の強い思いが込められているそうです。
初号「スーパーニッカ」が詰められていたのは、皇室御用達としても知られる各務クリスタル製作所(現・カガミクリスタル社)のセミクリスタルボトル。製造が機械化されるまで、型を使わず吹き上げだけで製造する「手吹き」のボトルが使用されていたそうです。(当時の価格で\500、ボトルだけの価格としては超高級品)
美しいフォルムが目を引くボトルで、高級ライン「スーパーニッカ」にぴったりの装いであったことは、いうまでもありません。今でもそのデザインは唯一無二の存在です。
そんな夫婦愛と親子愛が詰まったブレンデッドウイスキー「スーパーニッカ」をレビューします。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- リンゴ、黄桃、ヨード、紅茶、チョコ、バニラ
味わい
- 果実感のある甘みと酸味、ビター、アルコールの刺激
感想
まずはストレートから飲んでみます。香りは果実感のあるフルーティーな香りで、余市NAっぽいリンゴや黄桃の様な香りがします。同時に潮っぽさのあるヨードとビターチョコのような香りも感じます。グレーンのバニラっぽさもありますが、そこまで強くはありません。
口に含むと、フルーティーな酸味が甘みを伴いながら鼻を抜けていきます。そしてモルトとグレーンの調和の取れた味わいが広がり、中盤からアフターにかけてはビターですが、優しい口当たりで、アルコールの刺激もそこそこ感じます。この辺はノンエイジですので若い原酒の影響がありますが、不快なものというよりはスパイシーと取ることも出来る感じです。ブレンデッドですので、アロマや味わいの主張こそ穏やかですが、熟成感も十分に感じるので\2,000代としてはコストパフォーマンスに優れている味わいです。
ロックで飲んでみる(水割りでも)
香り
- カカオ、バニラ、キャラメル、リンゴ、レーズン、(ピート)
味わい
- 香ばしさを伴ったビター、果実感のある甘みと酸味
感想
次は氷を入れて飲んでみます。ストレートの時よりも甘い香り立ちが目立つようになりました。カカオなどのちょっとビターな感じと、バニラやキャラメルといったウッディ、そしてビターを感じるせいでしょうか?切ったばかりのリンゴや皮を連想させる香りもあります。控えめですがストレートの時よりピーティーな印象もあります。
口に含むと、香ばしさ、燻された感のあるビターな味わいと共に、果実の様な酸味と甘味がふわっと香ります。ややピーティーな味わいながらコクがあって美味しいです。薄まって水割り程度まで進んでもしっかりとした熟成感があるので、ゆっくりと時間をかけて楽しめるウイスキーだと思います。
ハイボールで飲んでみる
香り
- ピート、リンゴ、バニラ
味わい
- ほのかなビター、バランスの良い酸味と甘味
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りはピーティーなニュアンスがありながらも、リンゴやバニラの甘い香りがして安価なウイスキーにはない華やかな印象があります。
口に含むと、柔らかなビターと酸味、そして甘味を一体となって感じます。やや薄めで作ったとしても、しっかりとした香りと味わいがするので、食事のスタイルや好みに応じて対応幅が広いハイボールが作れます。濃いめでピーティー&モルティー、薄めでピーティー&フルーティーといった感じです。
まとめ
沢山のボトルの中にあってもすぐに分かる唯一無二のデザイン。亡き妻への想いで造り上げた『究極の味わい』。竹鶴政孝が目指した最高のブレンデッドウイスキーは、今味わっても優しさとチャレンジ精神を十分に感じる素晴らしいウイスキーでした。
量産されるようになり、コスト面や効率化で失ってしまったモノもあるかもしれませんが、このウイスキーに込められていた想いが現行品であっても宿っていると考えると、より一層美味しく感じるそんなウイスキーでした。(注:実際に美味しいです。値段以上の味わいはちゃんとあるウイスキー。ニッカの企業努力は素晴らしい)
人気ブログランキング
コメント