このウイスキーの特徴
このウイスキーについて
今回ご紹介するのは、特徴的なラベルのブレンデッドウイスキー「VAT69」をご紹介します。
販売しているのは「ウィリアム・サンダーソン・アンド・ソン社」で、現在は「ディアジオ社」の傘下にある企業です。ステンシルの文字が印象的でラベルがとてもカッコいいですね!!
VAT69の名前の由来とは
さて、「VAT69」というネーミングは一体どういった由来なのでしょう!?
それでは順に解説していきます。まず「VAT」についてですが、これはウイスキーの熟成に使われる樽の名前に由来します。
サイズ別に「バレル」、「ホグスヘッド」、「ヴァット、パンチョン」と大まかに分けることができます。「バレル」はアメリカンウイスキーの熟成に使われる事で有名で、内容量が小さい分熟成も早く進みます。
そして2番目に大きい「ホグスヘッド」は「バーボンバレル」を解体し、組み直すことで出来る樽で豚一頭分の重さがあることから名付けられました。
「パンチョン樽」はサントリーが熟成に使っていることが有名で、300~500Lとサイズもマチマチ、材は「アメリカンホワイトオーク」が使われています。
そして「ヴァット」樽ですが、ラテン語で「大きい」を意味します。主にスペインのアンダルシア地方原産の「シェリー」という酒精強化ワインに用いられる樽で有名です。ボトルネームのVATは、このヴァット樽に由来しています。
そして「VAT69」の「69」についてですが、ブレンドされたウイスキーをヴァット樽に各レシピごとに貯蔵、その後テイスティングの際「みんなこぞって69番目の樽が一番良い」と評価が揃ったことにより、69番に使われたブレンドレシピを採用した事に由来しています。
VAT69のキーモルト
「VAT69」に使われているモルト原酒とグレーン原酒は40種類以上にも及びます。
その中でも中核となるキーモルトにハイランドにある「ロイヤル・ロッホナガー蒸留所」のモルト原酒が使われています。
ロイヤル・ロッホナガー蒸留所は「ロイヤル」と付くことから王室御用達の称号を与えられている蒸留所になります。
シングルモルトとしての味わいは、フルーティでスムースな飲み口と、麦芽の甘さやスパイシーさを感じるバランスの取れた味わいで、食後にピッタリな味わいと言われています。
ヴィクトリア女王がお忍びで訪れた際に、その味を気に入った事から”ロイヤル”の冠を授与された歴史があります。
そんな由緒あるロイヤルロッホナガー蒸留所のモルトをキーモルトに使っている「VAT69」、印象的なラベルは一度見ると覚えてしまいますよね!
VAT69にまつわる○○な話
「VAT69」というブレンデッドウイスキーはアメリカでとても流行った時期がありました。
それは、ボトルネームに由来しています。
良い子のみんなにはとても言えない話だけど、「69」という数字に妙な期待を持ったアメリカでは「飛ぶように売れた」のだとか・・・(笑)何とも・・・。
話は脱線しましたが、「VAT69」の味と香りなど、今回も3種類の飲み方でレビューしていきます!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- バニラ、ハチミツ、キャラメル、ハーブ、塩バニラ、ライム、ゴム
味わい
- 砂糖や果実の優しい甘み、柑橘感のあるアフター
感想
まずはストレートで飲んでみます。香りは、バニラやキャラメルといった甘い香りにハチミツやハーブ、ライムの酸味や苦味を持つ柑橘と、ゴムっぽい香りも感じ取れます。
口に含むと、砂糖や果実の甘さが口に広がりモルトの樽香が僅かに香ります。アフターにかけて柑橘のビターさと酸味を感じますが、ややオイリーな舌触りの中にほんのりと感じる程度です。
味わいは全体的に良い意味で薄い印象、「ライトボディーの極み」みたいな味わいで濃いモルトを飲み慣れている人には「水」とも思えるくらいのさっぱりとした味わいです。軽快で軽い飲み口を好むアメリカでヒットした過去があるのも、こういった「軽いさっぱりとした味わい」が要因なんでしょう。
個人的に「カティサーク」に近いと思ったので飲み比べてみました。味の傾向は似ていますが、「VAT69」の方が圧倒的に軽い味でした。「カティサーク」は「VAT69」に比べるとオイリーでピートも感じ、酸味が際立った印象を持ちます。初心者の方に「どっちが飲みやすい?」と聞かれたら、間違いなく「VAT69」とお答えします。
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、メイプル、キャラメル、ライム、レモン(シトラス系の香り)
味わい
- ややスパイシー、ビター、氷を入れてもさっぱりとした味わい
感想
次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。香りはハチミツ、メープルといった自然な甘さが感じられキャラメルの少し焦げたような香ばしさ、そしてライムやレモンといったシトラスの酸味や苦味を感じます。
口に含むと、砂糖のような甘さは少し落ち着きスパイシーな刺激を感じます。アフターにかけてミントやハーブっぽい薬草感を伴ったビターがじんわりと広がりモルト感のある余韻がスパッと消えます。
冷えたことでビター寄りの味わいに変わりましたが、変わらず「ライト」で「薄い」印象に変わりありません。物足りなさもありますが、飲み口の良さがこのウイスキーの個性と捉えれば、何も考えずサクッと飲みたいときにピッタリな銘柄だと思います。
ハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、リンゴ、焼き菓子、ハーブ
味わい
- ライトでさっぱりとした味わい、モルトの香味、ハーブの余韻
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りは大分薄まってしまいましたが、炭酸で湧き上がる香りには、ハチミツやリンゴのフルーティーな香りと、焼き菓子の様な甘く香ばしい香り、そしてハーブを思わせる薬草感が少しだけ感じ取れます。
口に含むと、とても軽やかでさっぱりとしていて「あまりの軽さ」にウイスキーの量を足したくなります。そのくらい味の主張が薄く、プレーンの酎ハイ並みにクリアな印象がありますが、どこかオイリーな舌触りを覚え、砂糖の甘さ、モルト感も僅かにあるので「この上なく軽いウイスキーハイボール」としては一番かもしれません。この味わいなら初心者でも抵抗なく飲めるのではないでしょうか!?
変にクセや主張も無いので、どんな食事にでも合いさっぱりとした後味はリフレッシュするのにも最適だと思います。
まとめ
思わずジャケ買いしたくなるブレンデッド「VAT69」のレビューをしてみました。
ラベルの印象は「ハードな装い」、味わいは「ライトでスムース」と呆気にとられそうな感じですが、クセがなく飲みやすい安価なスコッチとしては合格点だと思います。あまりのライトな飲み口に「物足りなさ」もありますが、シングルモルトなど飲み続けた時の「シメの一杯」としては、軽やかなこういったウイスキーの方が良いかもしれません。
もちろん、ウイスキーを飲み始めたばかりの初心者の方にも「飲みやすさ」に特化している部分が多いのでオススメです。甘めの味わいが苦手で、サッパリとした味の飲みやすいスコッチを好まれる人にはまさにうってつけの「安美味いスコッチ」だと思います。
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