こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!
日本のウイスキーの中でも特に有名な「山崎12年」。その長い歴史と優れた品質は、世界中のウイスキー愛好家から愛されています。
でも、なぜ山崎12年はこんなにも高く評価されているのでしょうか?この記事では、山崎12年の魅力を探り、その背後にある蒸留所の歴史や製造のプロセスについてわかりやすく説明します。
シングルモルト山崎12年はこんなウイスキー
ウイスキー属性 | シングルモルト |
産地(メーカー) | 日本(サントリー) |
蒸溜所 | 山崎蒸溜所 |
味わい | 唯一無二のミズナラの余韻 |
飲みやすさ | ★★★★★☆ |
おすすめの飲み方 | ストレート |
個人的感想 | 今では気楽に飲めない銘柄 |
世界的に評価されるシングルモルト山崎12年
シングルモルト山崎12年は、サントリーが製造・販売するプレミアムウイスキーの一つで、原料となるモルト原酒は全て山崎蒸溜所で12年間以上熟成されています。選び抜かれた樽でじっくりと時を重ね、12年間の熟成期間を経て、豊かな風味と複雑な味わいを育んでいきます。
山崎12年は、世界のウイスキー競技会で高い評価を受け続けており、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)では何度も金賞を獲得し、サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)においては、最高位の金賞を手にしています。
これらの受賞は、山崎12年が世界中のウイスキー愛好家から高く評価されている証であり、日本を代表するシングルモルトウイスキーとしての地位を確固たるものにしています。
世界的な品評会での輝かしい受賞が、山崎やジャパニーズウイスキーへの需要が加速した要因となっています。
今では信じられない話ですが、山崎12年がスーパーで割引されている時代もありました。
製造しているのは日本で最初のウイスキー蒸溜所「山崎蒸溜所」
大阪府三島郡本町山崎に位置するサントリーホールディングスの山崎蒸溜所で造られる「山崎」は、日本初のモルトウイスキー蒸溜所です。サントリーが販売する多種多様なウイスキーの原酒は、ここで作られています。創業者・鳥居氏が求めた上質な水が不可欠なウイスキー作りの理念は、名水の地・山崎で実現しました。
この地は「水生野」とも称され、千利休も茶室を構えたことで知られる良質な水が湧き出る場所です。特に、山崎蒸溜所近くの水無瀬神宮には、「離宮の水」として名水百選に選ばれた水源があります。シングルモルト山崎は、この土地の恵みを活かして作られる贅沢なウイスキーなのです。
日本の豊かな資源「水」、その中でも名水地と呼ばれる場所に山崎蒸溜所はあります。
かつては千利休が好んだ水で山崎12年は造られているんですね!
世界でも稀な原酒の造り分けをする山崎蒸溜所
山崎蒸溜所は、ステンレスと木桶の2種類の発酵槽、そして形状が異なる6基の蒸溜釜を駆使して、多彩な原酒を生み出しています。ニューポットと呼ばれる新しい原酒は、ホワイトオーク、ミズナラ、シェリー樽など、多種多様な樽で熟成されます。これにより、山崎ウイスキーは白檀や伽羅といった香りを纏い、日本のお香を思わせるオリエンタルな香りで世界中にその名を知らしめています。異なる樽で熟成された原酒を絶妙にブレンドすることで、山崎ウイスキー独自の複雑で深みのある味わいが完成します。
山崎蒸溜所の特色は、その多様な原酒の造り分けにあります。発酵槽は、ステンレス製12基と北米産オレゴンパイン製8基の2系統を使用し、異なる味わいを生み出しています。2013年には4基のスチルが増設され、現在は合計16基が稼働しています。形状はストレート型とバルジ型があり、加熱方式にはガス直火とスチームコイルの間接加熱が併用されています。熟成には、ダンネージ式とラック式の4棟の熟成庫を保有し、さらに滋賀県近江市にある巨大なエージングセラーで多くの原酒を貯蔵しています。2023年、サントリーウイスキー100周年を記念して、フロアモルティングの新設とパイロット蒸留所の改修が行われました。
山崎を象徴するミズナラ樽由来のフレーバーは、サントリーウイスキー全般に感じられる唯一無二の味わいです!
山崎蒸溜所での熟成はもちろん、製造されたスピリッツは滋賀県近江市のエージングセラーで熟成されます。
日本を代表するウイスキーを創造して誕生した山崎12年
「山崎12年」は、1984年に山崎蒸溜所の60周年を祝してデビューしました。当時、シングルモルトウイスキーがまだ珍しかった時代に、大胆な一手として市場に投入された注目を集めましたが。当時の日本ではブレンデッドウイスキーが主流であり、シングルモルトはマニアックな存在に過ぎなかったのです。
それでも、二代目マスターブレンダーの佐治敬三氏は、日本を代表するシングルモルトウイスキーの創造を目指し、新たな挑戦に着手。佐藤乾氏と共に原酒のテイスティングを重ね、多彩な原酒が調和する理想の味わいを追求した結果、世界に類を見ないシングルモルトウイスキー「山崎」が誕生することとなったのです。
その後、約30年の時を経て、2003年には「山崎12年」がインターナショナル・スピリッツ・チャレンジで金賞を受賞し、世界的な銘品へと成長。今日に至るまで、世界中のウイスキーファンから愛され続けています。
シングルモルトが一般的でない時代、一石を投じた佐治敬三氏の行動は現在のジャパニーズウイスキー人気の大きな要因の一つです。
山崎12年のこだわりの製法と品薄の理由
山崎12年は、独自のブレンド技術によって、その味わいの深さを生み出しています。ミズナラ樽、シェリー樽、そしてホワイトオーク樽という3種類の樽で熟成された原酒が絶妙なバランスでブレンドされ、それぞれの樽が持つ特徴が複雑に絡み合い、洗練されたウイスキーの風味を創り出しています。
特に、日本産のミズナラ樽は他国ではほとんど使用されていなかった為、山崎12年に独特の風味を加え、ジャパニーズウイスキーの評価を世界的に高める一因となっています。
ミズナラを使い始めた背景には、戦争での物資の枯渇がありました。しかし、今では偶然の産物として、世界に類をみない日本独自の樽材として人気を博しています。
山崎12年から香るミズナラ樽由来のエキゾチックな芳香は、他にない”山崎だけにしかない”独特の味わいを感じることが出来ます。
しかし、この山崎12年の魅力が高まる一方で、国内外の需要の増大により原酒が不足し、需給バランスの崩れが生じています。その結果、市場では山崎12年を含むジャパニーズウイスキーの品薄状態が続いており、一部ではプレミア価格で取引される事態に至っています。この品薄は、転売市場を通じてさらに価格を押し上げ、問題を悪化させています。
ジャパニーズウイスキーは、日本国内だけでなく海外でも非常に人気があり、特にアジア圏での需要が急速に拡大しています。このような状況は、ウイスキーの供給量を簡単に増やすことができないため、品薄状態を解消するのは容易ではありません。ウイスキーは長期間の熟成が必要なお酒であり、たとえ生産量を増やしたとしても、その効果が市場に反映されるまでには時間がかかります。そのため、山崎12年をはじめとするジャパニーズウイスキーの品薄は、短期間で解決することは難しいという現実があります。
ウイスキー最大の特徴でもあり弱点でもある”熟成”の工程によって、すぐに需要への対応が出来ないのが悩ましいところですね。
現在は増産体勢がとられ山崎蒸溜所も24時間フル稼働をしていますが、出来た原酒が使えるのは最低でも12年後になってしまいます。
今は気長に飲めるまでの時間を楽しみにしながら待つしかなさそうですね。
では、山崎12年をストレート、ロック、ハイボールの3種類の飲み方で味と香りをみていきましょう!
山崎12年をテイスティング(実際に飲んでみた)
山崎12年のフレーバー
山崎12年の味わい
山崎12年をストレートで飲んでみる
香り
- レーズン、カスタード、ハチミツ、バニラ、洋梨
味わい
- 熟した果実の様な甘さ、心地良い酸味、優しいビターとタンニン
感想
では日本が誇る銘品「山崎12年」を最初はストレートで飲んでみます。香りは熟した果物や、カスタードなどの甘い香りが印象的で、同時に洋梨などのフレッシュフルーツの香りがします。香り自体は山崎NAにも通じる熟成感があり、山崎というブランドをしっかりと感じさせてくれます。口に含むと芳醇な香りと上品な甘さが広がり、心地良い酸味が抜けていきます。余韻にかけては優しいビターとシェリーのタンニン感が長く続いて上質なウイスキーを頂いているという至福に包まれます。
確かにスコッチにはない独特の味わいにして奥深い味わいで、人気があるのも納得です。山崎だけにしか存在しない確かな個性を感じることが出来ます。
※追記:飲み干したグラスをしばらくしてから嗅ぐと、非常に甘やかでしっとりとした香りを放っているのに驚きました。シェリー樽感やミズナラのエキゾチックな香りが爆発しています(笑)
山崎12年をロックで飲んでみる
香り
- レーズン、ハチミツ、バニラ、プラム、オレンジ、ゴムホース
味わい
- アタックは軽やかでドライ、蜜の様な甘さにビターとタンニン、長い余韻
感想
次は氷を入れたオンザロックで飲んでみます。香りはストレートに通じる要素があり、加水や温度変化によってプラムやオレンジなどの甘酸っぱい香りやシェリー樽原酒のゴムっぽい香りも感じ取れるようになりました。口に含むと、冷やされている分アタックは弱まって、若干ですがドライな印象も受けました。しかし、すぐに芳醇な甘さが包み込み、少しシャープさを増したビターやタンニンが追いかけてきます。飲み込んでも12年物のウイスキーとしては余韻が非常に長く、心地良い時間が過ぎていきます。
山崎12年をハイボールで飲んでみる
香り
- レーズン、プラム、白檀
味わい
- エキゾチックな香り、フルーティーな香り、甘さと苦みの良いバランス
感想
最後はハイボールにして飲んでみます。香りは大分弱まりましたが、サントリーの真骨頂であるミズナラ原酒由来のお香の様な香りが容易に感じ取れる様になりました。エキゾチックな風合いは、海外のウイスキーにはない独特の風味です。口に含むと、その風味が更に強く感じ取れます。エキゾチックな香りとプラムのような甘酸っぱさ、余韻に欠けてはレーズンなどの熟した果実感が増していきます。それは互いの個性を犠牲にすることなく調和がとれ、それでいて相乗効果のある非常に贅沢で優雅なハイボールだと思いました。角ハイボールの様に何かに合わせたりではなく、単品でじっくりと向き合いたくなるハイボールです。
まとめ
山崎12年は世界的に人気があり、その品質はどの飲み方でも崩れません。山崎特有の個性としっかりとした味わいが特徴です。まるで多くの柱が支えるかのように、重厚で複雑な味わいを持ち、飲み方によってさまざまな変化を楽しめます。
この深みが、山崎12年の人気の理由の一つです。12年熟成のウイスキーは世界中に数多くありますが、山崎12年の独特な個性が他の12年物と一線を画し、人々を魅了します。久しぶりに飲んでみて、そのユニークな味わいに改めて驚かされました。際立っているわけではなく、完璧なバランスが取れているわけでもありません。
しかし、飲むとその味わいがじわじわと心に訴えかけてくるような、控えめながらも深い味わいです。飲んだ後には、その味に納得してしまいます。山崎12年は日本が世界に誇るシングルモルトウイスキーです。見かけたら、ぜひその味をお試しください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「グレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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