このウイスキーを簡単に説明
山崎リミテッドエディションについて
世界的に人気のシングルモルト「山崎」には現在までレギュラーラインナップの他に、その年限定となるボトルが数量限定で発売されてきました。
古くは1997年の「山崎シェリーウッド1982」に始まり、熟成樽にフューチャーした物から、ピートを強く感じられる「ヘヴィーリーピーテッド」など様々な限定品が作られています。
今回ご紹介するのは、サントリーが年ごとに数量限定で展開している「贈答品仕様」の「リミテッドエディション」から2021年に500本限定で抽選販売したボトルです。
この「山崎LE 2021」の特徴は、サントリーが一躍世界に有名にした熟成樽「ミズナラ樽」の新樽を用いて熟成されたモルトがブレンドされていることです。
そもそも「ミズナラ樽」は戦時中の資材不足で仕方なく使い始めた材。独特のクセがありウイスキーの熟成には向かないと言われましたが、1989年発売の「響」でミズナラ原酒使用され、その独特の香りや味わいが瞬く間に評価を受けて、ジャパニーズウイスキーというカテゴリーを一気に押し上げた樽材です。
長年あまり期待されてこなかった「ミズナラ樽」の特性に注目が集まり、改めて使い始めた頃の新樽ミズナラ樽で熟成された原酒が、近年になって熟成を終え、ようやく味わう事が出来る様になったという経緯があります。
そんなミズナラ樽の新樽で最低12年以上熟成された原酒を贅沢にブレンドしたシングルモルトが今回ご紹介する「山崎リミテッドエディション2021」です!!
限定500本と言っても、何度か抽選販売され年末年始には店頭にも並んでいたので正確には何本作られたかは不明ですが、市場ではとんでもないプレ値で取引されているので、今回は味見するのもちょっとだけ緊張しました。
今回のボトルは2021の正月に偶然や○やで購入できたボトルです。それではレビュー開始!!
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- レーズン、イチゴ、桃、バニラ、ハチミツ、ミント、ハーブ
味わい
- 完熟のフルーツ、オイリーな舌触り、微かにハーブなどの薬草感
感想
まずはストレートで頂きます。香りは圧倒的にフルーティーな香りで完熟した果物のとても甘く、熟成感のある香りが印象的です。また、ミズナラの新樽熟成原酒の香りだと思いますが焦がしたカラメルやバニラなどの洋菓子のような香りも強く感じます。そして、甘い香り以外にもハーブなどの薬草感のある香りが微かにして、ノンエイジながら全体の奥深さを演出しています。
口に含むと、印象的なのは「舌にまとわりつくオイリーさ」が余韻にまで続くことです。ノンエイジなのでアルコール感はありますが、オイリーな舌触りがあるので非常に柔らかく滑らかに感じ、ウッディなバニラの感じと相まってカスタードのような味わいです。そして、ハチミツ、完熟果物の芳醇な熟成感があり、ノンエイジとは思えない満足感があります。
値段的には山崎12年よりも少しだけ安いので、あまり期待はしていませんでしたが、しっかりとした熟成感も感じとれ、ミズナラ樽の特性を存分に味わえるので、非常に満足できるウイスキーに仕上がっていると思います。これがレギュラーにあったらどれだけ幸せか・・・。
ロックで飲んでみる
香り
- カラメル、バニラ、バナナ、マンゴー、白桃、プラム、紅茶、ハーブ
味わい
- ややドライな口当たり、ほどよい甘さと果物の皮に似たビター、心地良いオイリー感
感想
次は氷を入れたオンザロックで飲んでみます。香りはストレートの時よりも甘さに清々しさが加わり、完熟の果物や、カラメルの甘さが上品に感じとれます。
味わいはオイリーな滑らかさと、マンゴーやプラムなどの甘酸っぱさもあってリッチな味わいです。慣れてくると粉っぽいようなシリアル感もあって、重厚な雰囲気が湧き出てきます。具体的に言うと、山崎12年より少しダーク(重い熟成感)で芳しさが足された様な味わいで、奇をてらった感は無く、しっかりと山崎らしさを感じ取ることが出来ました。
ハイボールで飲んでみる
香り
- レーズン、バナナ、マンゴー、オレンジ、ハーブ、ハチミツ
味わい
- ハチミツの上品な甘さ、ミントやハーブの薬草感
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りはレーズン、マンゴー、そしてちょっとクリーミーな果物(バナナ)が感じ取れ、柑橘の甘酸っぱさもあります。口に含むと、ほのかにオイリーで口当たりは非常に柔らかく、炭酸の刺激までも柔らかに感じるくらいの熟成感があります。余韻にかけては、ハーブなどの薬草感と僅かにスモーキーなアクセントがありますが、滑らかな味わいは何度飲んでも変わらず、加水が進んでも大きく変わることはありませんでした。ハイボールながら、食べ物と合わせる必要を感じさせない熟成感は良いウイスキーならではの特徴ですね!!
まとめ
山崎の限定品「山崎LE 2021」のレビューでした。年数表記がされていないウイスキー(ノンエイジ)が主流になりつつありますが、こうした類いの物を頂くと「こだわる必要はない」と感じます。実際に山崎12年よりも熟成感のある部分が多く「アルコール感」という点では及ばない部分もありますが、原酒のチョイスやブレンドによって十分にカバー出来ていますし、逆に個性が際立って非常に面白い部分があります。しかし、山崎というブランドイメージからは全くはみ出ていないところは流石の一言に尽きると感じました。
限定品なので、現在の実売価格は何倍にもなっていますが定価の¥8,000(税抜き)以上の味わいは十二分にあります。もしバーなどで見かけた際は是非、飲んでみて下さい!!「12年のダークバージョン」といった意味不明な解釈の意味を共感して頂けたら幸いです(笑)
最後までお読み頂きありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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