【レビュー】シングルモルト余市の味と香りを解説!!

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こんにちは!ウイスキーの魅力と楽しさを伝えるカエル「sister-ley」です!今回も、魅力的なウイスキーの解説&レビューを行っていきます!!

シングルモルト余市は、ニッカウヰスキーの余市蒸溜所で生み出される、日本を代表するシングルモルトウイスキーの一つです。その力強いピート感とスモーキーな香り、そして北海道の自然環境が与えるユニークな風味が特徴です。創業者の竹鶴政孝がスコットランドで学んだ伝統的な製法を余市の地に持ち込み、彼の情熱と妥協のない姿勢が余市ウイスキーの特徴を形作りました。

この記事では、シングルモルト余市の魅力、余市蒸溜所の歴史、そして製造プロセスについて詳しく解説しながら、その特異な風味と製法がウイスキーファンを魅了する理由に迫ります。

シングルモルト余市はこんなウイスキー

ウイスキー属性 シングルモルト
産地(メーカー) 日本(ニッカウヰスキー)
蒸留所 余市蒸留所
味わい リンゴ香るスモーキー
飲みやすさ ★★★☆☆☆
おすすめの飲み方 ストレート・ハイボール
個人的感想 妥協なき味わい

竹鶴政孝は、日本におけるウイスキー製造の先駆者として知られています。彼が1918年にスコットランドに渡り、現地の蒸溜所でウイスキー製造を学んだことは、日本のウイスキー史における大きな転機となりました。帰国後、彼はサントリー(当時の壽屋)の創業者である鳥井信治郎と出会い、日本初のウイスキー蒸溜所である山崎蒸溜所の設立に大きく貢献しました。

竹鶴はサントリーでの経験を通じて、ウイスキー作りにおける日本人の味覚に合うマイルドなウイスキーを作る方針に直面しますが、彼自身はスコットランドで学んだピーティで力強いウイスキーを作りたいという強い信念を持っていました。この違いから、竹鶴はサントリーを退社し、自身の理想を実現するために新たな道を歩み始めました。その結果、1934年に北海道余市町に「大日本果汁株式会社」(現ニッカウヰスキー)を設立しました。

余市蒸留所

ここは、竹鶴政孝が夢への出発点として選んだ北の大地。

ニッカウヰスキー公式HP

『日本のウイスキーの父』と称される竹鶴政孝は、広島県の造り酒屋「竹鶴酒造」の三男として生まれ、幼少期から酒造りに親しんでいました。日本酒の醸造よりも蒸留酒に強い興味を抱いた彼は、1918年に摂津酒造(後の宝酒造)からの命を受け、国産ウイスキーの製造を目指してスコットランドへ留学しました。そこでウイスキー造りの技術を学んだ竹鶴は、帰国後にサントリー(当時の寿屋)に招かれ、日本初の国産ウイスキー「白札」の製造に成功しました。しかし、本場のピートを効かせた味わいが日本人に受け入れられず、寿屋は後に角瓶を開発しました。

その後、竹鶴は自らの理想とするウイスキーを追求するためにサントリーを離れ、1934年に大日本果汁株式会社(後のニッカウヰスキー)を設立しました。当初はリンゴジュースの製造を行っていましたが、彼の真の目的はウイスキー製造にありました。スコットランドの気候に近い場所を求めた彼は、最終的に北海道の余市を選びました。余市の冷涼な気候と豊かな水源は、竹鶴が理想とするウイスキー造りに最適な環境でありました。

余市蒸溜所では、竹鶴がスコットランドで学んだ伝統的な製法を忠実に再現し、特に石炭を使った直火蒸溜という手法を採用しました。この方法により、余市特有の力強くスモーキーな味わいが生まれ、ニッカウヰスキーの名は後に日本国内外で高く評価されることとなりました。

本場の味を求めた竹鶴政孝氏と、日本人の口に合う

ウイスキーを求めた寿屋の鳥井信治郎氏との到達点の違い。

竹鶴氏は約束の任期満了後に理想の土地を求め退職します。

その後たどり着いたのが、北海道の余市町。

余市町はスコットランドの風土によく似ていて、

ピート、石炭、樽材も採れる正に彼の求める理想郷。

こうして竹鶴政孝氏は理想の土地『北海道・余市』に、

ニッカウヰスキー余市蒸留所の建設を計画します。

理想とする土地に出会い、ウイスキー造りを始める竹鶴政孝氏。

しかし、ウイスキーは熟成という時間を必要とする物。

販売までは収入が無いことを見越して、

当初はリンゴジュースの製造を行い、会社の運営をしていました。

この時の会社名が今も受け継がれている

『大日本果汁株式会社』(現・ニッカ)へとなったのです。

ダイニッポンジュウ。

訳して『ニッカ』

1940年に初めてリリースした余市蒸留所のウイスキーに

『ニッカウヰスキー』と名付けられます。

余市蒸溜所の象徴、石炭直火蒸溜

余市蒸留所での特徴は大きく分けて2つあります。

石炭直火蒸留

余市蒸溜所の最大の特徴の一つは、石炭による直火蒸溜です。この製法は、創業当時から受け継がれており、世界でも数少ない蒸溜方法の一つです。本場スコットランドでも効率や環境面で廃止された蒸溜所が多い中、余市ではこの手法を維持し続けています。

石炭直火による蒸溜は、一定の火力を保つために職人の熟練した技術が必要です。ポットスチルを石炭の直火で約1000度にも達する高温で加熱することで、ポットスチル内部に微妙な焦げが生まれます。この焦げがウイスキーに独特の風味をもたらし、余市ウイスキーのスモーキーでピーティな味わいに大きく貢献しています。

熟成に理想的な環境

ウイスキーの味わいにおいて、**樽の影響は全体の80%**を占めるとも言われています。余市蒸溜所は、この熟成に最適な環境を持つ地に位置しています。ウイスキーが熟成する際、余市の寒冷で湿度の高い気候は、樽内の原酒にゆっくりと時間をかけて風味を与えます。

特に、北海道の寒冷な気候と石狩湾からの潮風が、ウイスキーの熟成を最適にサポートしています。温暖な地域ではアルコールや水分が早く蒸発し、熟成が早まりすぎることがありますが、余市ではそのような問題が発生しにくいのです。この自然環境が、余市のウイスキーに力強く重厚な味わいをもたらしており、他の地域では味わえない独自の風味を形成しています。

余市蒸溜所のウイスキーは、そのピーティでスモーキーな味わいが特徴的です。この風味の鍵となるのが、石炭による直火焚きのポットスチルと、熟成環境です。石炭による加熱は、ガスや電気を使用する蒸溜方法と比べて、焦げが生まれやすく、これがウイスキーに深みを与えるのです。竹鶴政孝がスコットランドで学び取った技術と、彼のこだわりが詰まったこの方法は、余市ウイスキーの特徴的な味わいの基盤を築いています。

竹鶴政孝が余市に蒸溜所を設立したのは、スコットランドの風土に似た条件を持つこの地が、ウイスキー作りに最適だと考えたからです。彼のウイスキーづくりへの情熱は、今日もなお余市蒸溜所に引き継がれており、彼の「竹鶴ノート」は後世のウイスキーメーカーたちに大きな影響を与え続けています。2021年には「ニッカミュージアム」として蒸溜所の博物館がリニューアルオープンし、訪問者はニッカウヰスキーの歴史や製造プロセスについて学ぶことができます。

余市蒸留所訪問時

2016年に大雪で飛行機が欠航する中、運良く北海道を訪問する事が出来た時の写真です。

蒸留所入り口
蒸留施設
石炭直火蒸留
JR余市駅の目の前に蒸留所が見えます。

シングルモルト余市は、他のジャパニーズウイスキーとは一線を画す独自の風味を持っています。スコットランドのアイラモルトを彷彿とさせるピーティーでスモーキーな香りが特徴で、ニッカウヰスキーのファンのみならず、スコッチウイスキー愛好者にも高く評価されています。余市ウイスキーは、日本のウイスキー市場において「ヘビー級」と称されるほど、濃厚で複雑な味わいを持っています。

この味わいは、竹鶴政孝が余市蒸溜所で採用した独自の製造方法によるものです。石炭直火焚きによるポットスチルでの蒸溜は、原酒に独特の力強さを与え、余市のウイスキーに深いコクと重厚なボディをもたらしています。さらに、余市の厳しい寒冷気候がウイスキーの熟成をゆっくりと進め、時間とともに複雑な風味を引き出します。

また、シングルモルト余市では余市川の伏流水が使用されています。この水はミネラル分が少なく、ウイスキーに柔らかくクリアな口当たりを与えます。余市蒸溜所の特有の環境と製法が一体となり、シングルモルト余市は世界でも類を見ないユニークなウイスキーに仕上がっているのです。

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テイスティング(実際に飲んでみた)

テイスティング ウイスキー ストレート ロック ハイボール グレンケアン
フレーバーチャート
個人差があります
味わいチャート
個人差があります

ストレートで飲んでみる

香り

  • リンゴ、キャラメル、ハチミツ、岩礁、スモーク
味わい
  • リンゴの様な香りの後に、甘さと塩味がほのかに感じる
  • オイリーな感じと、アフターに渋み
  • アルコールの刺激は弱い
  • 個性は強いが、全体的にあっさりとした印象

余韻

  • 若干のタンニンと塩辛さがピリピリとした刺激と共に消えていく

感想

以前は年数表記のボトルがリリースされていましたが

現在はノンエイジタイプとなってます。

作り手に敬意を表してストレートで頂いてみると、

特徴的なのは、一瞬ケミカルにも感じる若々しい刺激と塩気。

刺激は45度というアルコール度数の影響が大きいのでしょう。

ただ、安価なお酒のアルコール臭さというわけではなく、

強いアルコール度数によって感じる鼻の許容範囲を超えた刺激

と言った方が正しいかもしれません。

グラスから鼻を少し離して嗅いでみれば、

リンゴとハチミツの様な甘い香りも感じ取れとれます。

飲み口は少しオイルーな舌触りと、

弱めのピーティーな香り、そして塩気が感じ取れます。

全体的に力強い印象が大きいですが、

同時に軽く感じるのは、

構成原酒に短年の物もブレンドされているからかもしれません。

分かりづらいかもしれませんが、

どっしりとした長熟のモルトを低音(バンドのベース)

とすると、

若い原酒の主張が高音(ドラムのシンバルなど)

みたいにも感じ取れ、全体的にドンシャリサウンドの様です。

普段、手軽に手に入るウイスキーを飲んでる方や

初心者の方にはちょっと抵抗ある感じもしますが、

キチッと飲む心構えを持って飲んでみると、

色々な事を感じ取れる味わいだと率直に思いました。

ハイボールで飲んでみる

香り

  • 切って時間の経ったリンゴ、果実、岩礁、煙

味わい

  • 滑らかな舌触り、果実とハチミツ、淡いヨード、苦みが残るアフター

感想

ハイボールにして飲んでみると、

ストレートの時のオイリーな感じは減少し、

リンゴの皮、もしくは時間の経ったリンゴの様な苦みが顔を出し、

微かに果実感とハチミツの様な甘さも感じ取れます。

杯を進めていくと、ヨードの感触も重なって、

アフターは渋みと苦みが少しずつ消えていきました。

全体的にはドライな印象で、

大人のハイボールといったところでしょうか!?

コスト的にはちょっと抵抗がありますが、

ハイボールスタイルにしても、

リンゴの香り、塩気が無くならないのは

さすがッ!といった感じです。

まとめ

数々の受賞歴もあるニッカウヰスキーの余市蒸留所。

そんな余市のレギュラーボトルをレビューしてみました。

竹鶴政孝氏が本場のウイスキーを目指してたどり着いた土地である、

余市の魅力、答えに触れる良いボトルだと思います。

初心者の方にはちょっと抵抗がある味わいかもしれませんが、

しかし、ウイスキーライフのステップアップや

ピートの効いたウイスキーの克服(笑)などに、

ぴったりの銘柄かもしれません。

ウイスキーは飲みにくくて当たり前。

だって、大人の飲み物ですから。

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最後までお読みありがとうございます。

シングルモルト余市には、さまざまな個性豊かなラインナップが揃っており、それぞれが異なる風味を楽しめます。以下は代表的な3つのボトルです。

  • シングルモルト余市 ウッディアンドバニラ
    樽由来のウッディな香りとバニラのような甘さが調和したボトルです。新樽熟成による力強いアルコール感がありながら、バニラやメロンのフルーティーな風味が漂います。ウッディなフレーバーが強く、樽材から抽出されたバニリンやリグニンの成分が特徴的です。
  • シングルモルト余市 シェリー&スウィート
    シェリー樽で熟成された原酒が多く使用され、ブラックベリーやドライラズベリー、レーズンのような豊かな甘みが際立っています。シェリー樽独特の甘酸っぱさと、余市の力強いピート感が絶妙に融合した一品です。
  • シングルモルト余市 ピーティ&ソルティ
    余市特有のピート感と塩味を感じる一本。スコットランドのアイラモルトを思わせるスモーキーさが際立ち、ドライでピーティな風味が楽しめます。非常に力強く、ヘビーなウイスキーでありながら、バランスの取れた味わいが特徴です。
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