このウイスキーの特徴を簡単にまとめると
このウイスキーについて
今回は、「デュワーズ」のキーモルトであり原酒の重要供給元である「アバフェルディ蒸留所」のオフィシャルボトル「アバフェルディ12年」をご紹介します。
アバフェルディ蒸留所について
アバフェルディ蒸留所の創立は1896年、もともとあった「ピティリー醸造所」の跡地に建てられました。そして、この蒸留所を建てたのはデュワー家。つまり、ブレンデッドウイスキー「デュワーズ」を造る為に建てられたのです。
ちなみに「アバフェルディ」とはゲール語で「水神のプール」という意味だそうです。良質な水が流れ、仕込み水にも使われている事が想像できますね!
現在、アバフェルディ蒸留所の生産量は年間350万リットル。使用される発酵槽はシベリア赤松製の木製発酵槽とステンレス製の発酵槽を用い、ポットスチルは全4基。初溜2基と再溜2基で蒸溜を行っています。
出来上がった原酒は貯蔵され熟成の過程に入りますが、アバフェルディ蒸留所では敷地内で熟成を行わず、現在はグラスゴーにある貯蔵庫へ運搬し熟成されます。
蒸留所の敷地内には、以前まで使用していた蒸気機関車が飾られています。この機関車は、熟成を蒸留所内で行っていた頃、熟成を終えた原酒をブレンド工場へ運ぶために使われていた機関車で、鉄道もデュワー家によって敷かれたものでした。
ブレンデッドウイスキーとして確かな信頼を得ている「デュワーズ」の源、アバフェルディ蒸留所のオフィシャルボトル「アバフェルディ12年」を今回も3種類の飲み方でレビューします。
テイスティング(実際に飲んでみた)
フレーバーチャート
味わいチャート
ストレートで飲んでみる
香り
- ハチミツ、紅茶、プラム、ぶどう、洋梨、ウエハース
味わい
- スパイシー、ハチミツの甘さ、柑橘の皮
感想
まず最初は、ストレートで飲んでみます。香りは、ハチミツの甘い香りが印象的で「オールドプルトニー」ほどではありませんが、しっかりとハチミツを感じ取る事ができます。他には、紅茶っぽい発酵感にプラムやブドウ、洋梨といったフルーティーな香りとウエハースの香ばしさを感じます。
口に含むと、口当たりはスッキリとしている印象で、ややスパイシーさが感じられます。ハチミツの上品な香りが広がり、モルトの芳醇なニュアンス、アフターにかけてはグレープフルーツの様な柑橘感とビターが広がり、全体的にとても飲みやすくて「デュワーズ」のキーモルトらしいサラッとした軽快感がある味わいです。変に甘ったるい感じもなく、ジューシーにも思えてくる果実感にはフレッシュさを覚えるくらいで気をつけないとスイスイ飲んでしまうので危険かもしれません。
ロックで飲んでみる
香り
- ハチミツ、草、柑橘の皮、シリアル、カスタード、スモーク
味わい
- モルティーな香りと強めのビター
感想
次は氷を入れてオンザロックです。香りはハチミツに草っぽい青さが加わり、柑橘を切った時の様な苦味を感じます。表立った感じではないですが、やや香ばしいシリアル感があり、しっとりとしたカスタードの様な甘みと微妙なスモークを感じます。
口に含むと、モルトの樽香に強めのビターが膨らみます。若干渋みを帯びた感じのビターで舌に残る感じがあり、アフターにハチミツ、スモーク感がほんのりと香りますが全体の印象はビターが強め。
オンザロックで飲むには、苦味が結構目立ち、飲み難い印象があります。甘さやモルトの香味がもう少しあれば良いのですが、渋み、苦味が強調されてしまいました。(個人的にはもう少しモルティな香ばしさと、甘みがほしい感じです)
ハイボールで飲んでみる
香り
- ハチミツ、トースト、グレープフルーツ、紅茶、ハーブ
味わい
- フルーティーで甘酸っぱい果実感、ハチミツとビターがアフターで香る
感想
最後はハイボールで飲んでみます。香りは炭酸の泡に乗せられてハチミツの香りとグレープフルーツのジューシーな柑橘感、そしてトーストの香ばしさ、紅茶やハーブっぽい粉っぽさを感じます。
口に含むと、グレープフルーツの爽やかな酸味、甘味、そして苦味が口の中に広がります。オンザロックで感じたビターは穏やかなアクセントに変わりとても心地よい感じに変化。アフターにかけてのハチミツ感と合わさり、果実とハチミツの相性の良い香味がとても爽やかで美味しいハイボールです。
少し濃い目で作って、レモンピールやオレンジピールなどをすれば、ジューシーな感じが更に引き立ち爽快感も何倍にも感じれるかもしれません。黒色に金文字の重厚なラベルの印象とは対象的な味わいでジャケ買いして良い意味で裏切られました。
まとめ
アメリカにおいて人気ナンバー1のブレンデッドウイスキーであるデュワーズのキーモルトだけあり、とても飲みやすく「ヘザーハニー」と言われる甘くまろやかな味わいは、初心者の方でもすんなりと飲めてしまう飲みやすさがあります。
モルトの甘みや香ばしさもありますが、果実を思わせるフルーティーさはフレッシュに感じ、ハイボールにして飲むことで一層に引き立ちます。よく言われる甘い果実の様なフルーティーさではなく、まさにグレープフルーツの様なスッキリ系の果実感で、炭酸との相乗効果により通常に知られているウイスキーハイボールとは、一味違った味わいが印象的でした。
現在、シングルモルトとしてアバフェルディは限定生産ではあるものの、近年のウイスキー需要に応える形で熟成棟を拡大しています。近い将来、デュワーズだけでなく「飲みやすいシングルモルト」としてもっと一般的に広く流通することが待ち遠しい銘柄でもあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。
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