【レビュー】ニッカウヰスキー「鶴」究極のブレンデッドウイスキーの味と香りを3種類の飲み方で解説!

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ニッカウヰスキー「鶴」の特徴を簡単にまとめると

ニッカウヰスキー鶴とは
  • ウイスキー属性:ブレンデッドウイスキー
  • 産地・メーカー:日本(ニッカウヰスキー)
  • キーモルト:余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所
  • 飲みやすさ:★★★★★★
  • 味わい:円熟、重厚なエステリー
  • おすすめの飲み方:ストレート
  • 総合評価:★★★★★★
  • どんな人に向いている?:ニッカの本気を感じたい人、ブレンドの技術を体感したい人

ニッカの最高峰ウイスキー「鶴」について

突然ですが!!ニッカウヰスキーのフラッグシップウイスキーは何か?ご存じでしょうか!?

創業者の名を冠した「竹鶴」、ニッカの集大成「ザ・ニッカ」、「シングルモルト余市」などありますが、フラッグシップではありません。

ニッカのフラッグシップウイスキーは、蒸溜所限定販売の「鶴」というブレンデッドウイスキーです!

ニッカウヰスキー「鶴」は、創業者の「竹鶴政孝」が生前最後に手掛けたウイスキーです。

竹鶴は悲願であった究極のブレンデッドウイスキー「鶴」を完成させて3年後に他界してしまいました。

今回は、竹鶴氏が長年かけて到達した集大成ともいうべきウイスキー「鶴」についてご紹介いたします!

竹鶴政孝の集大成ウイスキー「鶴」

「鶴」はニッカウヰスキーが厳選されたモルト、グレーンを使って造る究極のブレンデッドウイスキー!!

現在では、蒸溜所限定販売となっており、店頭に並ぶ機会は滅多にありません。

では、鶴の発売された経緯や歴代ボトルについての解説です。

1976年に発売されたニッカウヰスキーの「鶴」は、創業者である竹鶴政孝氏の集大成ともいえる遺作のウイスキーです。当時の「鶴」は現行の物とは異なり、真っ白な陶器のデザインをしていました。

この陶器ボトルのデザインと制作は、日本の陶器メーカーである「株式会社ノリタケカンパニー」によって行われ、ボトルには竹林に佇む鶴のデザインが施されています。ボトルネックも鳥類の鶴と同様に長いのが特徴で縁起物として日本では古来より尊重されてきた鶴をイメージしたデザインになっています。

現在では、一部のオークションなどでも販売されており、私自身も一度味わってみたいボトルの1つとして興味を持っています。

この陶器ボトルの「鶴」が誕生する背景には、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所の原酒が熟成してきたことや、ニッカウヰスキー創設42周年というタイミングが大きく関係しています。

当時、創業者の竹鶴政孝氏は83歳であり、60年にわたるウイスキー造りの集大成として自身が目指す”本物”への創作に情熱を注ぎます。そして「鶴」は見事に完成し、後の1982年に竹鶴氏は最愛の妻リタの元へ旅立ったのです。

現在販売されている「鶴」はノンエイジ(年数非表示)の商品ですが、以前(2015年まで)は「鶴17年」という年数表記の商品も販売されていました。また、「鶴17年」の前身には「鶴 スリムボトル」という商品もあり、これまでに鶴は合計5種類のボトルがリリースされています。

スリムボトルが登場したのは1992年、陶器ボトルは17年表記となり、ラベルには息子の竹鶴威氏による自筆の「鶴」という文字が採用され、現行の「鶴」にも使用されています。

出典:ニッカウヰスキー

また、陶器やスリムボトル時代に描かれていた「竹と鶴」のデザインは、現行の鶴ではガラス製のボトルキャップに模様が描かれています。

最初の陶器ボトルとスリムボトルはノンエイジ、その後現在のデザインの17年と17年陶器ボトルが登場。

2015年からは、現在のノンエイジのみ展開し販売は蒸溜所のみとなっています。

鶴はニッカの技術を反映したウイスキー

使われているモルト原酒

「鶴」には、ニッカウヰスキーが自社所有の豊富なモルト原酒とグレーン原酒から厳選されたものが使われています。現在、ニッカウヰスキーは2つの蒸溜所を運営しており、1つは北海道の余市蒸溜所(ニッカウヰスキーの創業地)であり、もう1つは宮城県仙台市に位置し新川(にっかわ)に沿った宮城峡蒸溜所です。

それぞれの地で育まれたモルト原酒の中から、最高のブレンデッドウイスキーを作り出すため、長期熟成原酒はもちろん、さまざまな個性を持つ原酒が「鶴」に調和して織り込まれます。

ニッカウヰスキーが所有する膨大な原酒から、最高のものを使って造りだされているプレミアムウイスキーそれが「鶴」です!!

余市蒸溜所について

余市蒸溜所は竹鶴政孝氏が本物のウイスキー造りの理想の地として選んだ北海道余市町に位置しています。竹鶴氏は、サントリーの山崎蒸溜所の初代所長でありながら、「自分が求める味のウイスキー」を作るために、本場スコットランドに似た環境を持つ余市に蒸留所とニッカウヰスキーを設立しました。

余市蒸溜所の特徴の一つは、世界的に唯一現存する石炭直火蒸留を創業以来変えずに行っていることです。現代では効率や安全性を考慮して、スチームによる間接蒸留が一般的ですが、余市では石炭直火にこだわります。

この理由は、直火蒸留によって力強いモルトを生み出すためです。また、蒸留器の底を直接火で熱することで、モルトに独特の香ばしい焦げ感が生まれます。

実際に石炭を焚いて火加減に細心の注意を払うこの製造方法は、現代ではあまり見られないものです。余市蒸溜所は、竹鶴氏のウイスキーへの情熱が今でも息づいている場所の一つです。

世界的で唯一の石炭直火蒸留を行う余市蒸溜所。環境への配慮からいつ廃止されてもおかしくありません。貴著な余市モルトを守り抜く職人の方々は本当にすごいです!!

宮城峡蒸溜所について

宮城県仙台市の作並という県境付近に宮城峡蒸溜所が位置しています。この場所にはニッカの第2の蒸溜所が建設されましたが、その目的は余市とは異なる特性を持つモルト原酒の製造です。

宮城峡蒸溜所は、山に囲まれており、冷涼な気候の中でスチームによる間接式蒸溜を行っています。また、蒸留器の形状も余市とは異なり、丸みを帯びたバルジ型のものが使用されています。

蒸溜方法や蒸留器の形状、そして立地条件の違いにより、宮城峡蒸溜所では華やかで軽やかな味わいのウイスキーが生まれます。

さらに興味深い点として、宮城峡蒸溜所の近くを流れる川の名前が「新川(にっかわ)」であり、それが仕込み水として利用されているという運命的な関係があります。

隣接する新川の水で竹鶴氏は水割りを作り、蒸溜所建設を決めたそうです!!

使われているグレーン原酒

また、異なるモルトの個性を調和させるために欠かせないのがグレーン原酒です。「鶴」には、宮城峡蒸溜所で製造されるカフェグレーンと呼ばれる原酒が使われています。

このカフェグレーンは、イーニアス・コフィによって開発された連続式蒸留機(カフェスチル)を使用して造られています。この蒸留機は世界的にも珍しいものであり、生産能力は劣っていますが、原料の特性を生かした風味豊かなグレーン原酒が生まれます。

出典:ニッカウヰスキー

竹鶴政孝氏は昔ながらの手法を大切に守り、真のウイスキー造りを目指しました。そのこだわりは製造、熟成、ボトリングに至るまで随所に詰まったブレンデッドウイスキーとして、「鶴」というウイスキーに結実しています。

宮城峡のカフェスチルではウイスキーだけでなく、風味豊かなウォッカやジンなども製造されています。通常のジンやウォッカと違い味わいが豊かで飲みやすいのが特徴です。

カフェ式連続蒸留器(宮城峡蒸溜所)

出典:ニッカウヰスキー

現在、宮城峡蒸溜所にはカフェ式連続蒸留器が設置されています。この蒸留器はもともと兵庫県の西宮工場にあったものを宮城峡に移設したものです。先に述べたように、カフェ式連続蒸留器は素材の風味を引き出すために使用され、グレーン原酒の製造に適しています。竹鶴氏の信念を曲げず、ウイスキー職人たちのこだわりでもあるため、効率を求めずこの蒸留器を使用しているのでしょう。

ちなみに、「カフェ式」の綴は「coffey」と表記します。一般的に「コフィー」と読みますが、当時のニッカではこれを「カフェ」と読んでいました。読み間違いのまま、なぜか現在でも「カフェ」と呼んでいるのは、何ともニッカらしいです。

読み方の間違いがそのまま採用されているなんて面白いですね!!

ニッカのウイスキーに対する情熱を形にする2つ蒸溜所。その蒸溜所から厳選された原酒を使って「鶴」は造られています。

sister-ley
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それでは、ニッカの最上級ブレンデッド「鶴」の味と香りを実際に飲んでレビューしてみたいと思います!!

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テイスティング(実際に飲んでみた)

ウイスキー テイスティング ストレート ロック ハイボール

フレーバーチャート

味わいチャート

ストレートで飲んでみる

香り

  • 完熟のフルーツ、ウッディ、シュガー、レモングラス、スパイス、エステリー

味わい

  • 円熟の味わい、若さとスパイシー

感想

では、ストレートで飲んでみます。

香りは非常に芳醇で、熟成したエステリーの香りが満ち溢れています。完熟したフルーツやレモングラス、熟成感のある樽香など、ノンエイジでもフラッグシップの品格ある香りが特徴的ですね。

口に含むと、非常に滑らかで、ひっかかりもなくスッと口の中に馴染みます。甘い果実の香りが一気に膨らみ、スパイシーさが後から追いかけてきます。余韻の中で少しビターな要素も感じられますが、フルーティーな香りが長く広がり、とても長い余韻を楽しむことができます。

ニッカウヰスキーは本場スコッチの味わいに特化したイメージが強いですが、「鶴」に関しては、サントリーのような日本人に合わせた飲みやすさを感じる味わいです。香りの印象も一瞬「響!?」と思えるほど華やかで、スコッチの要素はほとんど感じられませんでした。

陶器や鶴17年を試飲したことはありませんが、おそらくブレンドや味の方向性は現代に合わせたものになっているのではないかと推測します。

とってもフルーティーで長い年月をかけて熟成したモルトの味わいが楽しめます。ほんの少し若さを感じるスパイシーはありますが、それが良いアクセントになっていてモッタリしない芯の通った味わいが魅力的でした!!

ザ・ニッカと飲み比べてみた

せっかくなので、ニッカの高級ブレンデッド「ザ・ニッカ」と「鶴」を飲み比べてみました。どちらも既に開栓されており、香りや味がかなり開放されていると思います。

まずは香りですが、鶴もザ・ニッカも熟成感のあるエステリーな香りがありますが、鶴の方が圧倒的に濃く、熟成感も感じられます(当たり前ですが・・・)

また、香りの方向性は似ていますが、ザ・ニッカにはグレーンの香ばしさや軽やかさが目立ち、焦げた感じの香りが印象的です。

味わいに関しては、鶴の方が円みがあり非常にまろやかで、濃厚なモルトの風味が楽しめます。一方、ザ・ニッカはグレーンの軽やかな香味と原酒の若さが際立ちました。

どちらも素晴らしいウイスキーですが、ザ・ニッカを単体で飲むときはきっとまろやかで素晴らしい味わいを感じることができるでしょう。しかし、こうして飲み比べるとスペックの格差が如実に感じられてしまいます。

ザ・ニッカは前身の「ザ・ニッカ12年」の頃から大好きなウイスキーですが、鶴と飲み比べるとグレーンの比率が多いと感じたのはとても興味深い発見でした。きっと単品では感じなかった事かもしれません。

ロックで飲んでみる

香り

  • 完熟フルーツ、シトラス、焦げ感、ハチミツ

味わい

  • シトラスと花、ビターがアクセント

感想

次は氷を入れてオンザロックで飲んでみます。

香りは、ストレートとは異なりフレッシュな印象を持ちます。重厚なエステリー感はありますが、シトラスとハチミツのような爽やかさが香りに混ざっています。さらに、樽香に加えて焦げたような香りと花のようなフローラル感も感じられました。

口に含むと、香ばしく華やかな香りが口の中に広がり、フルーティーな味わいが広がってきます。そして、追いかけるようにビターさを感じ、少しスモーキーな香りが口の中に広がり、スパイシーな印象が余韻に残ります。

ストレートでは少し重く感じるかもしれない重厚さは、氷を入れることで飲みやすくなり、フローラルな香りは「鶴」の味わいに華やかな印象を与えてくれています。

個人的にはストレート推しですが、普段ロックでウイスキーを飲み方なら圧倒的な華やかさに驚くと思います。蒸留所限定ではありますが、高いのも納得する味わいのウイスキー!!

ハイボールで飲んでみる

香り

  • フルーツ、スモーク、香ばしい麦、花、ハチミツ

味わい

  • フローラルな香味とビターが主体

感想

最後はハイボールで飲んでみます。香りは、完熟とまではいかない爽やかなフルーツとスモーク、焼きあがったラスクのような香ばしさ、花の蜜、そしてハチミツを感じます。

口に含むと、香ばしい麦の香りと草花を思わせるグラッシーな香りが広がります。そして、ややスモーキーな香りとビターさが広がり、焦げた感じの香ばしい余韻へと変化していきます。

焦げた感じや香ばしさ、甘酸っぱい味わいなど、「シングルモルト余市」の特徴も感じられ、ハイボールでも十分楽しめる味わいでした。

炭酸の爽やかさに、鶴のフローラルな香りが絶妙にマッチ!!味わいはビターが強めですが、比率を濃いめにしてあげる事で熟成感のあるエステリーハイボールも楽しめます。贅沢すぎる・・・

まとめ

ニッカウヰスキーのフラッグシップウイスキー「鶴」のレビューでした。

驚くべきことに、ニッカのフラッグシップである「鶴」は、どんな人でも心地よいと感じる絶妙なバランスを持つウイスキーです。一つ一つの味わいが巧みに組み合わされ、繊細な風味が醸し出されています。

このウイスキーはノンエイジ仕様ですが、他のウイスキーにはない熟成の深みや、厳選されたモルトの濃厚なエステリーさなど、「本物」を求め続けた竹鶴氏の情熱が感じられます。

陶器ボトルで知られる「鶴」は入手困難となってしまいましたが、現行のボトルでも最高級の味わいを楽しむことができます。

もちろん、蒸溜所限定のため、酒販店での購入はできませんが、この素晴らしいウイスキーを味わう機会があれば、ぜひお試しください!

魅力的な香りと深い味わいが素晴らしい時間を過ごさせてくれると思います!!

ネットでもちょいプレ値くらいで収まっているのが不思議なくらい美味しいウイスキーです。定価でも中々のお値段ですが、良い日に飲みたくなる素晴らしい味わいでした!!

sister-ley
sister-ley

最後までお読み頂きありがとうございました。

テイスティングに使用しているグラス「ゲレンケアン」、クリスタル製なのに丈夫で倒れにくく洗いやすい!!しかも、安価という素晴らしいウイスキーグラス。

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コメント

  1. サマンサ より:

    コメント失礼します。
    鶴のスリムボトルや17年表記を調べていてこちらに辿り着きました。

    まとめありがとうございました。
    大変失礼ながら申し上げますが、鶴のスリムボトルが販売されたのは平成2年です。

    下記、ニッカ様HPの確認をお願い申し上げます。

    https://www.nikka.com/80th/story/nikka_and_me/page13.html

    何卒よろしくお願いします。

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